テイルズオブベルセリア 〜争いを好まぬ者〜 【完結】   作:スルタン

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これにて当作品は完結とさせていただきます。長い間この作品を読んでいただき、ありがとうございました


エピローグ

 

青空の下、そよ風が草木を揺らす中一つの足音が嘗てカノヌシが封じられていた祠に近づいてくる。その祠も今は雨風で幾分か朽ち果て奈落に通じていた穴はとうに塞がれ、祠だった名残が残っているだけになっている

 

「さて、と」

 

祠を通り過ぎ海が一望できる崖の近くにその人影はしゃがむ。人影のしゃがんだ目の前には小さい石碑が立てられている、ついている汚れを払いながら口を開く

 

「ちょっと見ない間で海風と埃や砂で汚れるわね」

 

アバルで暮らしていた時と似た服装と長い髪を纏め、包帯を巻いていた左腕はフィンガーレスの白い薄手のロンググローブを嵌めている。一通り掃除を終えるとベルベットは石碑を前に口を開く

 

「あんたが帰ってから、こっちは随分経ったわ」

 

ベルベットはアバルだった場所にある自身の家に今も暮らしている。そして定期的に此処に通い石碑を手入れしている

 

「エレノアも、マギルゥも、この世を去ったわ。エレノアはあの後ライフィセットが穢れを浄化するために白銀の炎で世界を包んで、その後その影響で少しづつ人の霊応力がなくなって最終的に聖隷が見えなくなったの。でもエレノアはその後も人々を支援する活動を続けてね、それが今のマオテラスの信仰になったの。すごいわよね、あたしじゃ絶対無理だもの」

 

ベルベットはエレノアの事を思い出すように空を見上げる

 

「エレノアは生涯の最後の時まで生き方を貫いたわ。あ、後あのお騒がせの魔女、あたし達の事を伝承にしてね、今はローランス皇帝家が国を運営してるけど、その祖先に吟遊詩人としてあの時に起きた事を伝えたの。"語り部メーヴィン"ですって。ま、彼女らしいわよね」

 

過去の事を思い出しながら僅かに微笑む

 

「ロクロウはあの後、剣を極めるって言いながら当てもなく旅に出たの。噂じゃ二本の太刀を背負った男を見たって聞いたし、業魔を倒しながら旅でもしてるんでしょうね。偶には顔見せてもいいと思うんだけど」

 

彼女は立ち上がり今度は山の方へ顔を向ける

 

「アイゼンはあの後バンエルティア号に戻ったんだけどアイフリード以外姿が見えなくてね。まあそんなことは関係なかったみたい、相も変わらずだったそうよ。それから大分経ってアイフリードはベンウィックを次の船長に任命して船を降りたらしいわ。それから暫くアイゼンは船にいたけど彼も降りてレイフォルクっていう霊峰に行ったっきり誰も見てないらしいわ。アイゼンの妹にも会ったの、彼女も心配してるみたい」

 

ベルベットはまた石碑に向き直ると後ろから青年の声が聞こえた

 

「ベルベット、此処にいたんだね」

 

「ライフィセット、準備はできたの?」

 

青年の声の正体はライフィセットだった。ズボンとコートを羽織り、アイゼンの服装に似てるが落ち着いた服装だ。あの頃より成長し、背丈はベルベットを追い越している

 

「うん、はい、ベルベットの荷物も持ってきたよ」

 

「ありがと」

 

ライフィセットの背中にはケンが背負っていた背嚢を改造したものがあった。ベルベットが肩に掛けたのはバックパックである

 

「あたしが持つ量これだけでいいの?」

 

「大丈夫だよ、何かあったらベルベットに守ってもらうから」

 

「もう」

 

ベルベットは肩を竦める。ケンとルシフェルがこの世界を経って百数十年後にルシフェルがカノヌシを連れて再来したのだ。カノヌシは本来の善良な聖主に戻りルシフェルの力でマオテラスとカノヌシの聖主としての立場を交代させ、ドラゴンの姿から聖隷の姿に戻したのである。ベルベットはルシフェルにケンは今何をしているのかと聞いたら

 

「今は最初にいた場所にはいないよ、彼はまた別の所にいる」

 

「・・・また、会えるかな」

 

聖隷に戻ったライフィセットがルシフェルに聞く

 

「すまないが、それについては言えない。だが、縁というのは消えないものだ。もしかしたら、もしかするかもしれないぞ?」

 

ルシフェルはそんなことを言っていたのをベルベットは思い出す。最後に石碑を一瞥してライフィセットと共に歩き出すと、目の前から人影が現れる

 

「もう発つのか?」

 

そこにはザビーダとテオドラ、そしてライラがいた

 

「ええ、途中で聖主の御座にも立ち寄る予定よ」

 

「はいこれ、道中お腹が空いたら食べてね」

 

「わあ!ピーチパイだ!!」

 

テオドラがベルベットに包みを渡す、包みを開けるとこれは美味しそうなピーチパイだった

 

「ありがとうテオドラ、いただいていくわ」

 

「ええ」

 

「あれ?そういえばシルバは?」

 

ライフィセットはシルバがいない事に気付く

 

「ああ~アイツは今朝また旅に出やがったんだ。ったく、顔ぐらい会わせていけばいいのによ」

 

「大丈夫だよ、もしかしたらどこかで会うかもしれないし」

 

「すまん、助かる」

 

「じゃあライラ、ごめんけど此処の管理、またお願いするわ」

 

ベルベットはライラに石碑や周辺の管理を頼む

 

「はい!お任せください。しっかり務めさせていただきます!」

 

「そこまで気張らなくていいのよ」

 

「いえ、そうはいきません、その石碑も私にとっても大事なものですから」

 

ライラは石碑を見て目を細める

 

「わかった、じゃ、行ってくるわ」

 

「行ってきます!!」

 

二人は手を振りながら歩きはじめる。ザビーダ達は彼らが見えなくなるまで手を振り返す。しばらく歩き、ライフィセットがベルベットにどうするか聞き出す

 

「じゃあベルベット、何処に行く?」

 

ベルベットは歩きながら空を見上げる。一羽の鳥が飛んでいく

 

「そうね・・・風の向くまま気の向くままっていうのはどう?」

 

「・・・うん!!」

 

二人は海や山が広がる、そしてそれに続く道を歩み出したのである

 

 

テイルズオブベルセリア 〜争いを好まぬ者〜 終わり

 

 




このエピローグにてこの作品は完結にさせていただきます。約7年ほど、更新が止まったり拙い文章ではありましたが、今までこの作品を読んでくださった皆様に感謝を申し上げます。そしてお気に入りに登録してくだった方々、素人作品を気に入っていただきありがとうございました。

ご意見、ご感想などありましたら嬉しいです。次回作などはまだ考えてはいませんが参考にさせていただければと思います

最後になりましたが本当にありがとうございました
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