時は1944年、ドイツベルリン。 総統官邸において戦略会議が行われていた。
そこでは、一向に進展しない東部戦線とついに本格参戦が濃厚とささやかれている米国への元仏領への対抗策会議として独総統とSS長官の苦悩があった。
独総統アドルフ・ヒトラーは傍らにいつもいる自分のSS長官(親衛隊長官)にふとこぼした。
「まったく、国防軍は情けない。君のところの武装親衛隊はよく頑張っているといったところだが・・・」
その総統の小言ともいうべき言葉にSS長官ハインリヒ・ヒムラーはとても正気の人間ではないことを進言した。
このときの進言が元で後のドイツの歴史、そして世界の歴史が変わってしまったことには歴史家の注釈が入ることだろう。
「総統閣下。実はお耳に入れておくべきと思う情報がありまして・・・」
「それはなんだね。」
「実は42年に暗殺されたハイドリヒのことなんですが。」
「彼を失ったことは惜しかった。ぜひとも、我々上層部の忠告を受け入れてほしかったものだ。」
ドイツの最高権力者である彼は至極残念そうに故人のことを悼んでいた。
「そのことなのですが、総統閣下。ハイドリヒは蘇っております。」
そう、SS長官のその言葉を聞くまでは・・・
「SS長官、君は死人が生き返ったとでもいうのかな?」
「にわかには信じがたいのですが、そのようです。そしてどうやらハイドリヒが生き返った際に我々が住んでいる世界とは違う世界へ行ってしまったようでして、総統閣下と我ら大ドイツにその世界に来てほしいとの招待状が届いております。」
そういって、SS長官は上司であるヒトラーに一枚の羊皮紙を差し出した。
それを見たヒトラーは文字をすべて読み終えると傍らの長官にいった。
「これは素晴らしい提案だ。このふざけた世界ではなく、我々が圧倒的に優位に立てる世界があると。一考の価値があるな。」
そういって即日、その羊皮紙に書かれた異世界への行き方とやらを彼とその長官は行ったのである。
その夜、ベルリンは火に包まれておよそドイツ及びその占領地が世界地図から忽然と姿を消したのである。
  第1話
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