転生ローラのファイブスター物語   作:つきしまさん

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【13話】嵐の中で輝いて(3)

◆シーン:1-2

 

 時を前後して月下──強い風が吹きつける暗黒の森にマグロウが立つ。

 

「見つけたぜ……こいつはすげー! 盛り上がって来たぜ下剋上~~っ!」

 

 発見した”獲物”に舌なめずりのジィッドが発見したジュノーンを見下ろす。その輝くばかりの美しさに息を呑んだ。

 芸術にはとんと縁がないジィッドが思わず見惚れてしまうほどだ。

 持ち帰れば女王がたんまり褒美をくれる……コーラスの首はあいつらにくれてやるがこいつは俺のものさ!

 手にする栄華と名声に心奪われてジィッドは浮かれきっていた。そのとき、背後に気配を感じるが仲間と信じて疑わない。

 

「おう、おせえじゃねえか、おっさん! 速く運んじまおうぜ!」

 

 次の瞬間、斬撃が奔りマグロウの首は撃ち落される。その一撃を放ったのは味方のガスト・テンプルだった。

 中のジィッドは昏倒して意識を失っている。よもや仲間に倒されるなど予測すらしていなかっただろう。

 

「これで回収ってか? 悪いなぁ、ジィッド。これも俺たちの仕事の内さ。”雇い主”様の意向でね。娘っ子を守れ、とか。ハグーダに雇われて情報を逐一流せ、とか。あげくエンゲージには手を出させるな、とか現場の苦労を知らねえ無茶ぶりばかりで困るぜぇ。ただでガストくれたはいいがこき使いすぎだろ……追加報酬は貰うけどな」

 

 ガストのコクピットでカエシが雇い主の無茶な「命令」の数々をぐちるが、とっさに行動を起こしていた。

 突如飛んできた物体をガスト・テンプルが打ち落とす。打ち落としたのはバル・バラと呼ばれる騎士やMHが使う飛び道具の一つだ。 

 

「おっと、物騒な連中が他にもいやがったか……」

 

 打ち落とした態勢のまま視線を向けた先に一騎のMHがいた。

 暗黒に沈みこむように立っているが、雰囲気から伝わってくるのは「こいつは手を出したらヤバい奴」というカエシの直感に寄るものだ。

 いずこのものかまったくの不明だがカエシは通信を試みる。

 

『貴様は何者だ? そのモーターヘッドに傷一つつけてみろ。貴様の首が体から離れることになるぞ?』

 

 誰何するのは女の声だ。

 

「そりゃ、こっちの台詞だが、あんたはハグーダ側じゃねえな? 俺はエンゲージに手を出さねえ。そういう依頼主との約束なものでね」

『ハグーダでもコーラスの間諜……でもないな?』

 

 その声はカエシをどう扱ったものか迷ったものだ。

 

「こっちも臭いでわかるぜ、あんたはどっかの国の者だろう? こっちはマグロウのガキを持って帰るだけさ。エンゲージに手を出すってならさすがに見逃せねえがな」

『……いいだろう。我らもコーラスに手を出すつもりはない。持っていけ』

「そんじゃま、そういうことで」

 

 マグロウのコクピットをこじ開け、中で気絶するジィッドを担ぎ上げてカエシが戻る。その間、謎のMHは沈黙を保ったままだ。

 ガスト・テンプルが起動して去ると謎のMHから一人の女が姿を現した。その胸元には赤き逆十字剣のシンボル──ミラージュ騎士を示すマークがある。

 

「よろしかったのですか、マスター?」

「いいさ。カルバリィCの予行演習にはならなかったけれど、あのモーターヘッドからも少し情報は取れたし、陛下も気になさらないでしょう。それよりアキレス……」

「はい」

 

 男性型のファティマ、アキレスが主に返す。

 

「純白のモーターヘッド……まるで宝石でできた乙女のようじゃないか。そう思えないか? 司令に報告しておこう」

「はい……」

 

 アキレスが答え、主ディッパと共にジュノーンを見上げるのだった。 

 

◆シーン:1-3

 

 ローラがその力を開放した頃──闇の中でいくつもの影が跳んで交差する。駆ける人影がもんどりうって倒れ血を吐き出して絶命する。

 独特の衣装のミミバ族の男だ。追手たちを引き付けながら放たれた暗器をかわしサードはジグザクに木の間を跳んだ。

 

「やはりミミバ族か……」

 

 空中で暗器を掴んで投げ返しまた一人倒れるが敵は一人二人ではない。かなりの数が木々の向こう側で息を潜ませている。

 木の陰で一息つき、置いてきた者たちとかなり距離を取ったことを確認する。

 胸元を抑えて少し呻く。肋骨数本のダメージが体を蝕んでいる。深く息を吸い込んで整えると声を上げた。

 

「鬼ごっこはここまでにしよう。出てこい。ボク相手に投げ道具だけとはチョット失礼なんじゃないかな?」

 

 月明りの下、鬱蒼とした下生えを抜けてサードはその身を晒す。 

 

「さすがコーラス・サード陛下ですなあ。ミミバでは不足でしたかな?」

 

 闇夜から抜け出るようにミミバのギエロが姿を現した。その背後に付き従うミミバが沈黙を保ちながら殺気をサードに向ける。

 

「手前はブーレイの黄色(ギエロ)の頭と申します。お相手よろしいか?」

 

 その言葉の後にギエロは光剣を抜いた。

 

「ウリクルはどうした? くたばったのですかなぁ? オレのファティマはミンチになっちまったがな」

「それは気の毒な事をした。だが戦いは騎士の常だ」

「わびなど求めていませんがね。欲しいのはあんたの首とコーラス印の白い奴さ。それとウリクルは弄んで手足をバラバラに引き裂いてやる」

「悪いが渡す気はない」

 

 応じるサードは無手のままだ。周囲をぐるりとミミバたちが囲む。

 

「む、何だ?」

 

 そのとき森の奥に浮かび上がった光にギエロが気が付き笑った。

 

「二人行けっ! ウリクルを捕まえるんだっ!」 

「気が付かれたか。仕方ない」

 

 サードが威圧を叩き付け突破口に男たちを薙ぎ払った。三人が吹き飛ぶが目の前を人の壁が阻む。二人のミミバが駆けて森の奥に走り去る。

 ギエロがサードの眼前に立ちふさがった。

 

「おおっと、年貢の納め時だっ! 終わりさ」

「はたしてそうかな?」

 

 風が吹いた。その風は唸り声となって周囲に満ちる。圧縮されたストリームの渦が溢れミミバたちとギエロに絡みついてその動きを鈍らせる。

 

「う、動けん!?」

 

 サードの腕が不可思議な軌道を辿った。生まれる残像。そこから生み出された風が男たちを圧する。

 

「ボクの技はハリコン直伝さっ! 森の中は災いだったね」

 

 かき乱され圧縮された風が気圧を変化させて耳に異常を感じさせる。サードが片手を上げると轟っという音が轟いた。

 

「これしきの風で我らを封じれると思うか? 殺せっ!!」

 

 一〇人の男たちが殺到するが、サードから解き放たれた技が炸裂するのが先だった。その体が揺れ動いたかと思うと耳をつんざく音が森中に響き渡る。

 回転乱舞するサードから放たれたソニックブレードが男たちを薙ぎ払い空中に千切れた手足が舞った。

 直撃を免れた者たちも逃げることはできなかった。空気の渦に巻き込まれて圧縮され剃刀のようになった風にその身を切り刻まれる。

 跳んだ者もその風に巻き込まれ、破壊された木々に体を貫かれる者や、ある者は大木にぶつかって脳しょうをまき散らした。

 

「ぐふぉ……」

 

 全身から血を噴き出し、骨という骨がすべて砕けながらもギエロは生きていた。他に無事に生きているミミバはいなかった。

 破壊された木々と千切れた体の一部が何十と降り注ぐ中でサードは一人立っていた。

 たった一人で一〇人の騎士を瞬時に屠った恐るべき使い手は悼みの言葉を骸に投げかける。

 

「ダブル・ブレイクダウン・タイフォーン……この技を生きている者に使ったのは初めてだよ。誓いを破ってしまったな……」 

 

 呻くギエロを見下ろしてサードは呟きがくりと膝をついた。万全ではない体でこの技を使うのは危険を伴うのだ。

 ブレイクダウン・タイフォーン──三分身し、三つのソニックブレードの衝撃波と共に使い手が飛び込むという騎士の持つ技でも超至難の荒業であるが、サードはそれを同時に二回放ったのだ。

 技同士がぶつかり合って超乱気流となり森の中という相乗効果を生んだ。誰も逃げることができない嵐が吹き荒れたのだ。 

 この技を受けて生き残る者などいない。

 

「コーラス……ぐ……」

 

 ギエロが血を大量に吐き出して眼をむいた。それが彼の最後の言葉となった。

 荒業の連発で胸を押さえるサードに大小二つの影が伸びた。

 

「ブレイクダウン・タイフォーン。コーラスの武帝殿、見事な技の冴えであった」

「済まぬが動けぬ。御名をお聞かせ願いたい」

「F.E.M.C(ファースト・イースター・ミラージュ・コーア)総司令。A.k.D総司令。バビロン国王、ファルク・ユーゲントリッヒ・ログナー。陛下のウリクルとモーターヘッドは無事です。部下たちが安否を確認しました。お味方も今来たところです」

「そのようだね」

 

 空挺団のサーチライトが空に光るのを見てサードは頷く。

 

「主の命を受けブーレイの行動を追っておりました」

「スターレス・ファイター殿、アマテラス陛下には一度会って礼を言わねばならぬようだ。そちらは白のイエッタ殿と見受ける」

 

 ログナーの側に控えるイエッタが軽く頭を下げた。

 

「帰ったらエルメラに叱られてしまうな。泥んこ遊びをして服を汚して帰った気分だよ」

「やんちゃな子ほど可愛いのでは?」

「ファルク王はお子さんは?」 

「いません」

「そうか。次の子は男の子らしい。父親としての威厳というものを保てるのか自分でも疑問だよ」  

 

 ログナーは答えず、三人は味方の部隊が到着するのを待つのだった──

 

◆終話1

 

 そして一夜が明けたハグーダ王宮──緊急帰還した青のブルーノが赤のラルゴと会っていた。

 肩に巻かれた痛々しい包帯を恥ずるようにブルーノは肩の痛みを飲み込んでいる。

 

「してやられたな。ブルーノよ」

「申し訳ありません。お預かりしたブーレイに傷を付けました」

「これがコーラスの底力というものか。ギエロは見誤ったな。ハグーダの受けた損害は思いの外大きい。私の進軍すべしという意見に女王はすぐに行動に出なかった。おかげでもたついて機会を逃したわ」

 

 コーラス近衛部隊が展開した作戦でハグーダ側は連携を欠いた。失ったMHもそうだが兵力の損失が大きい。

 アトキを落とすまで計画は順調だったが思いもよらぬ敵の奮闘で機会を逃すこととなった。コーラスは大国。甘く見てよい相手ではない。

 

「上は待ちくたびれているのでは? モーターヘッド部隊を下ろして戦力を集中させコーラスを一気に落とすべきです」

「上はもう少し様子を見るだろうな。コーラスの武帝は健在。出回ったコーラス王の騎体の画像で世論は大騒ぎだ。ハグーダは機会を失ったが、あの女王は戦略などまるで理解しておらぬ。相手はコーラス。手駒は慎重に動かさねばならぬ」

 

 ラルゴは赤い仮面に手をかける。顔に馴染まぬそれはここでは仮の姿でしかない。

 

「ギエロのブーレイは本星へ送り返せ。遺体もな」  

「はっ!」

 

 自室へ戻ったラルゴは自らを覆うすべての仮面を脱ぎ去った。部屋に待機していた少年ファティマ・ジャズラブがそれらを拾い上げて丁寧に畳む。

 

「出ていけ……」

「はい」

 

 無機質に主に返事を返すとジャズラブは部屋を後にする。

 ラルゴは本星への通信を開く。モニタに姿を現したのはフィルモアの帝王の姿であった──

 

◆終話2

 

 そしてロウトでは──

 ロウト離宮は広大な敷地を保有し、豊かな自然の山々に囲まれた場所にある。ロウトはコーラス王家の保養地として使われており高地特有の樹木と植物が群生している。

 自然公園としても管理されていて動植物の大きな生態系が形成されていた。

 その離宮に高速で発射された音が鳴り響いた。一筋の煙となったそれは固定されて佇む人型の近くに着弾し爆音と共に吹き飛ばしていた。

 

「たーまや~~」

 

 目標を見事にぶっ飛ばしたのを確認し華やいだ声が上がる。淡い草色のマタニティ・ドレスの貴婦人は誰であろう、エルメラ王妃その人であった。

 エルメラがゴーグルと耳当てを取っ払う。下ろした片手にはハンド・ミサイル・ランチャーがあった。一弾ずつ込める使い切りタイプだ。

 その後ろでテーブル席で耳を抑えるクローソーとセイレイがいた。二人は耳に残る音の余韻が止むと手を下ろす。

 

「ちょっと外れたわ……二メートルくらいね」

「そうですね」

 

 セイレイがクローソに囁きエルメラには聞こえないように返事が返った。

 煙が晴れて人形のあった場所は抉られた土をさらしている。他にもいくつか同じような跡が点在していた。

 

「さあ、次の人形を設置しなさい」

 

 お付きの侍女にエルメラが指示すると新たな人形を抱えた侍女部隊が行進していく。その人形には「宇里苦流(うりくる)」という名が書かれていた……

 人形は何の変哲もないかかしだ。違うのは胴体部に怨念を込めた墨筆でその名が書かれていることだ。

 このうりくる人形、この離宮に王妃たちが来てから通算二三体目の犠牲物となります。たまりにたまったストレスをランチャーでぶっ飛ばすのは王妃様の日課となりつつあるのでした。 

 

「王妃様……」

「何です?」

 

 官の一人がエルメラに声をかける。

 緊急以外では王妃には取り次がないようにと離宮の者には指示されているが、エルメラは立ったまま彼の説明を聞いていた。昨夜起こったことの顛末だ。

 設置完了ですっ! という侍女たちの報告をエルメラは聞き流す。

 

「……以上で報告終わります」

「そう、あの人は無事なのね……ウリクルの意識が戻らないと? 危険な状態なのね……」

 

 少し離れた場所で深刻な話かと二人の少女がやきもきしていた。

 

「父上怪我したのー?」

「ええ、でも全然大丈夫ですって。心配しないで」

「父上強いもん。誰にも負けるはずないわ!」

 

「……報告お疲れ様。下がってよいわ……」

「はい。あの、お戻りになられますか王妃様? 登城の準備は整えてありますが……」 

「私は行きません。武帝の妻が夫が少し怪我をしたくらいで慌ててどうします? 王妃としての務めを全うするのがわたくしの役目です。戻らないと城に伝えてちょうだい」

「は……」

 

 官が報告を終えて下がると三人が残される。かかしの侍女部隊は指示なく待ちぼうけだ。

 

「セイレイ、勉強の時間です。お戻りなさい」

「はーい」

「クローソーは残って。聞いてほしいことがあるの」

 

 セイレイがなだらかな芝生をよぎって離宮へ歩いていくのを見送ってエルメラは口を開いた。

 

「私は本当はね、ウリクルが死んでくれたらって、いつもどこか頭の中で考えてた。どこかの戦場に出てあの子だけが戻らない。そんなことが起きたらどんなにいいだろうって思ってたの」

 

 その告白をクローソーは黙って聴く。

 

「あの人を取り戻せるなら、って。私はコーラスを愛してる。ずっと、ずっと誰よりも愛している。その気持ちは誰にも負けないつもりよ。彼が王位に就く前から、同じ学校で一緒だった頃から……ずっと好きだった」

 

「でも彼の心にはいつもウリクルがいた。彼女はファティマ。決して妻にはなれない。でも、彼女の存在がいつも彼の中にあると感じてた。結婚してからも、セイレイを生んでからも……」

 

「ウリクルが目を覚まさないと聞いて思ったのは、いっそこのまま一生……私たちが生きている間ずっと目を覚まさなければいい、なんて思ってしまったの……」

 

「そんなことを考えた自分がすごく嫌い……大嫌い。こんなの私じゃないっ! 醜い、あさましい女の嫉妬に焼かれてる自分が大嫌いなのよ……」

 

 エルメラは体を抱いて目立ち始めた腹を撫でる。 

 

「私のコーラスを取らないで。何度ウリクルに言いそうになったか。ウリクルにお前なんて大嫌いだって。でも、本当はそうじゃないのよ……」

 

「本当はすぐにでもコーラスのところに行って、怪我を手当てしてあげて、バカなことしちゃだめよって子供を叱るみたいに叱って、優しく包んであげたいの」

 

「でもできない。私は王妃だもの……コーラス王の妻。国母という役割に縛られている。民が待ち望んでいるのは元気な男の子。次のコーラス四世(フォース)……女としての幸せはどこにあるのかしら? クローソー、あなたにはわかって?」

 

 風が吹く。思いを吐露しエルメラは唇を噛んだ。

 

「私──城へ行きます」

「あなたにはわからないのね……クローソー」 

「コーラス陛下にお会いしたとき、私はあの方をマスターと呼びました。けれどそれは幻のようなものでした。あれはきっとコーラスの血を受け継ぐであろう未来のコーラスを観たのです」

 

「私たちファティマは永遠の寿命をもって生まれてきました。その命を以って人々の生活や生き方に寄り添って生きていけたら、そして私たちの力が役に立てればいいと考えてきました」

 

「でも、現実は難しいですよね。姉のアトロポスは私と同じ思いを抱えて姿を消しました。ですが、私たちのもう一人の姉であるラキシスは王妃様の思いを一番わかっている者です。この世界で誰よりも恐ろしいお方──アマテラス陛下を夫にした姉ですから。機会があれば一度会ってくださいませ」

「クローソ-……」

「飛び込んでください王妃様。誰よりも愛しい人を決して離さないで。そして子どもを叱るみたいに悪さをしたら怒ってください。そしてそっと寄り添って優しい言葉をかけてください。笑って……泣いて……私たちファティマができないことをしてあげてくださいませ。だから私……城へ行きます」 

「待ってっ!」

 

 エルメラの制止にクローソーが歩みを止めて振り返る。

 

「私、自分を縛り続けてた。コーラスの王妃という立場と妻としての役目を気にしてばかりで。いつか女として寄り添うということを忘れてしまっていたのかもしれない……そして彼の心が向いてないことを認めるのが怖かった。閉じこもって震えているばかりだった……もうそれは止めるわ。私も城に行くっ! 誰にも止められないの。そうよね、クローソー? あなたの姉のように」

「はい、王妃様っ!」

「王妃様ぁ~~」

 

 遠くで侍女部隊がしびれを切らしている。

 

「あら、忘れてたわ。これを済ませたらね!」

 

 エルメラは視線を返すとゴーグルと耳当てをはめてランチャーを手に取る。それを見て侍女たちが慌てて散る。

 引き金が引かれ爆発が巻き起こる。うりくる人形は木っ端みじんに粉砕され跡かたもなく消え去っていた。

 

「たーまーや~~~! さあ、行きましょうっ!」

 

 ゴーグルもランチャーも投げ捨てて、意気揚々とクローソーを引き連れたエルメラが王城行きのディグに乗り込むのでした。




タイトルネタ>「嵐の中で輝いて」(歌:米倉千尋)
(´・ω・`)ガンダムジャネーケド

次話 二部一章完結「奇跡の方程式」
ローラが目覚めモラードの「わるだくみ」が発動する!?

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