堕天少女と中二病少年   作:AQUA BLUE

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堕天。GW終わってしまうねぇ……。


†舞いし羽は堕天使と黒騎士をも掻き乱す†

 無人な排汚の牙城(トイレ)の個室内に、またも意図せぬため息が抜けた。

 

「くそッ」

 

 やってしまった、軽く白壁を殴り付ける。腹痛をダシに4限目をサボろうとしていることへの憤りではない。ちっぽけな後悔はとうに錆び付いた。裁きたくあるのは、ふとすれば出てしまう息吹。

 

 おそらく、胸中に留まって消えないやるせなさがそうさせるのだ。もしも近くに手頃な石と川などがあったなら、水切りでもしたくなるくらいにはやるせない。

 

 

 戻るとしよう、昼放課になるまでいたところで仕方がない。我は居座る器から腰を上げた。

 

 便穴(そこ)は空っぽだ。紙もなければ汚物もない。透明な水が天井と己の顔を映しているのみ。我は何しをに来たのだろう?

 

 頭を振って水洗の引き金に手をかける。清掃の渦潮が暴れ始めるのを耳奥で感じがてら、我は解錠を済ませる。

 

 と、個室から出て気付く。

 

 

「流す必要なかったんだった……」

 

 

 ――そう、このやるせなさは。

 

 

『また、逢えたらなって』

 

 

 あの一言から来ている――どこまでも柔らかった声音が、忘れられぬ。

 それだけではない。ここのところ動きも悪くてかなわぬ。咄嗟に素で応対してしまうのである。つまるところ、普段通りに振る舞えない。

 

 

 買い物での件を機に。

 

 僕は……おおっと。我、であった。

 我は……おかしくなっていた。

 

 

 

 授業(学修空間)では。

 

 

『問4を――手尾』

『ふあ!? え、X=12』

『まともに答えただと! いや、不正解なのはいつも通りだが……!!』

 

 

 放課(スクールブレイクアウト)でも。

 

 

『手尾くん。日直の仕事(黒板消すの)、忘れてるよ』

『……あ、ああ、悪かったね。すぐやるよ』

『う、嘘……ぜんっぜん偉そうじゃない?!』

 

 

 酷い有り様である。どうしても集中力を欠く。僅かにでも気を緩めていれば、授けられた蜜柑と微笑みを回想してしまう。

 

 

 結果、

 

 

 

「おい、ボールいったぞォ!」

「…………は? ぇぶはっ?!?!」

「ぷぷっ、黒騎士さんに大ダメージぃ」

「あんの馬鹿がっ……誰か手尾を保健室に!」

 

 

 醜態を晒す。

 

 

 授業を疎かにしてまで考える時間を設けたのに、なおも駄目だ。鼻血を垂らすという不恰好な絵を体現してしまったことさえ今は問題にならぬ。

 

 鼻から下を押さえて立ち上がり、我は空いた手で駆け付けた保健委員の肩を借りる。すまないなと断りを入れると、当人はぼそりと問いかけてきた。

 

「君さ、色々と大丈夫?」

 

 横を向けば想像通り、なんとも表現に困る顔。我は自嘲気味に笑った。

 

「すなわち変、と?」

「え? 一応そういうことになる、のかな」

「ふ……誉め言葉として受け取っておこうか」

「うーわ」

 

 

 熱い掌返し? 黒騎士の前では無力なり。

 

 

 

 ……平静を保てなくなって数日になる。冗談抜きで対処せねばな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと解放か。まったくもって長かった」

「同感ね。しかも1ヶ月後には期末テストよ……」

 

 

 堕天使と対峙する時を除いては。

 いざ向き合うとなると色々引き締まるのだ。ゆえにヤツの正面で乱れを見せたことはゼロ。

 

 ちなみに、ここまでの間でヤツから深りを入れてきたこともない。同クラスなので我の綻びは目にしているはずだが……。助かるというか、不可解というか。

 

「で、どうだったのよ。さんっざん危惧してたテストの結果は」

「訊くまでもなかろうて。第一貴様には関係ない!」

「大アリよ。テスト3日前に泣きついてきたのはどこの誰? さ、恐れずに白状なさい」

「断固拒否」

 

 けれども。

 駄弁る傍ら考えに耽る時間は唐突に断たれた。

 

 

 だらだら通ううちに集合地と化していた学校屋上(禁じられし外部屋)に居座る、我と堕天使の前に。

 

 

 

 ――その元凶は現れた(旋風は起きた)

 

 

 

「ぐっっ……」

「うわっ!」

 

 

 (はじめ)にぶおおっと耳を抜け、(ふた)に圧の追撃を体感。虚を突くに至ったその勢いは、図らずとも我らの顔を伏せさせた。

 

 してやられたこちらが次に捉えたのは、母なる大海に馴染深き町並み。

 

 

 

 

 もう一つは。

 

 

「うそっ……!?」

 

 

 青ざめた堕天使がすべてを物語っていた。ちょっぴり晴れ間のぞく曇天には、我らの手届かぬ天の領域には……ヤツがいつも髪の団子に刺している黒羽。

 

「……飛んだな。いつもお前の魔玉を際立たせている漆黒のソレが」

「っ……お、追うわよリトルデーモン!」

「勝手に決め――」

「早くっ!!」

「う、承った!」

 

 凄まじい剣幕になった彼女に促され、胡座(あぐら)を崩して立ち上がる。我がようやく駆け出した頃……核を(だっ)されし失羽の堕天使は、既に屋上の扉を蹴破らんとするところであった。怒濤のアップテンポで先を急ぐヤツもヤツで、ある意味旋風のよう。逆撫でせぬように、その感想は胸に留めたが。

 

 

 

 発端すなわち、大自然の挙動。闇討ちよろしく現れた旋風()は、騒がしくも和やかな放課後の余韻を断ち切ったのである――。

 

 

 

 

 

 

 

~~‡~~‡~~‡~~

 

 

 

 

 

 

 

 拝啓地球に生きる人々よ。唐突ながら問う。風は好きか?

 

 我は好きだ。当たり前すぎて意識されないことが殆どだろうが、風とはとんでもない存在だと思う。時には流麗に、時には荒々しく、時には何よりも穏やかに世界を吹き去る。

 

 生き物が誕生するより遥か前から、大きく変わることなくマイペースに悠久(とき)を駆け続けてきたこの存在には―――尊敬の念すら抱く。

 

 

「いやー本当にッ、ぐうの()も出ぬほどになぁぁぁぁっ」

「足を動かして。見失うわよ!」

 

 

 無駄に風が暴れがちな本日放課後、心に立て並べた皮肉を吐くゆとりなし。家路につく者が大半の中で、滑るように天を舞うモノの確保に邁進する堕天使と黒騎士が1名ずつ……。曰く堕天使の「アイデンティティ」なる黒羽(それ)を追っていた。

 悲しいかな、寄るつど風が吹いて振り出しになるため歯痒いったらない。あれから何分か連続で休みなしに駆動中で、過酷さはもう持久走の領域と表せる。

 

「戻って、戻りなさーい! 私の片翼ー!!」

「離脱してもいいか? 我一人が手を貸したとて望みは薄いぞ」

「だめっ、すっごく大切なものなんだから!」

 

 黒騎士サイドの我、できれば帰還したくある。しかし隣で並走する堕天使サイドの津島善子ことヨハネ、それを許さない。一応振り切れぬこともないだろうが、そうすると翌日きっと今以上の面倒を(こうむ)るのでやめておく。

 

似た羽(代用品)でカバーするのは?」

「同じのは他になくもないけど……でも、そんなのはたくさんなの!」

 

 妥協案も、ヤツが眉を歪めたところからしてなさそうだ。ところで追跡が続くのはもうよいとして、ヤツの含みある物言いが引っかかった。

 

「なに? するとあれは長らく愛用し続けてきたモノではないというのか」

「さ、3枚目かなぁ……なんて」

「さすがに冗談であろう?」

「…………」

「まさか……?」

「最初はすっぽ抜けたのが排水溝に。次のは鳥に拐われちゃって……アハハハ」

「うむ、すまなかった堕天使よ」

 

 なるほどひどい。失礼ながら思う、今回も奪還不可能だったり……? 思えば決闘したあの日もいきなり転んでいたし、もしや薄幸か?

 乾いた笑みを浮かべる堕天使だが、追う足をまったく緩めていないのがまた大したものだ。遭った不運にめげず立ち向かう精神、惜しみない称賛を送りたくある。

 

 さて。ヤツのみでは、ヤツ自身の傷口に塩を塗る結果を迎えてしまうかもしれぬ。ほどほどで帰還しようかと考えていたが、悲惨な事例を聞いて気が変わった。二人がかりで果たして羽を取り戻せるかはともかく、しっかり最後まで付き合うことにする。

 

 

「同情なんていらないわ!」

 

 かといって、八つ当たりは勘弁願いたいがな。一転して訴えかけてくるよはまだよし、ただしその調子でポカポカ叩き始めるのはやめろ。地味に痛い。

 

「そんなことより、今こそ黒騎士の本領を発揮してもらいたいものね。 ほら! すんごいジャンプして羽を掴まえるとかっ」

「な!? んなことでき……いや。言っていなかったか? 我は特化する力が日により異なる。」

「…………ふーん。ならしょうがないわね」

「理解を示したか。そうだ、しょうがないのだ。身体強化を行使したいのはやまやまだが」

「本当なんでしょうね?」

「あっ、ああ。神に誓おう」

 

 

 ……俯瞰した気分でいられるのも束の間だった。我もひどかった、別ベクトルで。少なくとも見苦しく余所を眺めるしかなくなるぐらいには。

 

「……なぁ。貴様も堕天使ならなにかしらの能りょ」

「天界堕天条例により、地上で力を解き放つことはで不可能」

「しかし」

「天界堕天条例」

「…………」

 

 でもって、この話は流すべきだ。うむ。

 

 

 そんな折。風が弱まり、運ばれていた羽が減速し始めた。順当にいけば無事に道上へ落ちそうであった。

 

「しめた!」

 

 紛れもないチャンスを隣の当事者は無論見逃さない。我を眼中から外すと、ヤツはすかさずスパートをかけた。

 

 

 勢いを削がれ、下降する羽。息を弾ませながらも着々と隔たりを無くしていく堕天使。ヤツがあと十数歩詰めれば追跡は終焉する。誰からしても、元鞘は必然と断ぜられそうであった。

 

 

 

 

 ただ。

 

 ……ただなんというか。どうにも腑に落ちない。

うまく事が運びすぎてはいなかろうか。確かにこの状況から羽を逃すなどほぼあり得ない。それでも何か、嫌な予感がしてならないのである。

 

 もしもだ。

 あと一歩、というところで彼女が災難(トラブル)を呼んだら?

 

 

 過度な懸念だろうか。勝利の約束されたであろうシチュエーションから、敗北の線をたどるなど。

 

 

 だが。日常では巻き込まれにくい事案、被験確率1%を下回るであろう惨事……それを引くツキを、堕天使が本当に持つとしたら?

 

 

 馬鹿な、考えすぎに違いない。そもそもヤツに「不幸体質」かどうかを聞いたことはない。保障などどこにある。かつての件や今回、聞いた話を合わせたところで――

 

 

(……いや)

 

 訂正、確信した。惨事は起こる。ヤツがここまで露呈した片鱗(薄幸)らしきものは、まごうことなき片鱗(薄幸)であった。間違いない。追跡は現状では決着しない!

 

 

 

 何故なら。

 

 

 

 

 

 ……ヤツが行く先に、障害()があったから。

 

 

「堕天使! 迂闊に飛び込」

「ふぎゃっ」

 

 叫ぶも、遅し。持てる力を余すことなく羽の奪還に急いでいた彼女は、足掛け小石(トラップストーン)を回避できなかった。付近にある、昨日の雨でできたであろう水溜まりに倒れ込まなかったのがせめてもの救い。

 

「い、ったぁ……」

「言わんこっちゃない!」

 

 もはや宿命なのかと、苦い想いで堕天使の元へ駆ける。致命的な怪我はしなかったようで、我が着くより早くヤツは動いた。

 

 掌や膝小僧はそうだが、今回は若干顔の方も()ったようで、高めな鼻が微かに赤くなっている。体勢を立て直しながらも、堕天使は後方の石をきつく睨み付けた。ダメージよりも行き場のない怒りが勝ったのだろう。

 

 ところがヤツの注目対象は、ほとなくして変化した。

 

「湧丞、羽は……?」

 

 我にかえった堕天使に問われて、最も肝心なことを再認識する。羽だ、羽はどうした。想定外がさらに発展する前に動かなければ。

 

 あちこち視線をさまよわせるまでもなく、例の物は見つかった。幸運にもまだ風に煽られてはおらず、しっかりと行く先に着地中、いや着羽中。

 

「……お願い」

「任せろッッ!」

 

 我は真っ先に脚部へ力を込めた。長い前髪が揺られて邪魔になるけれども、ずらす暇はない。僅かでも油断していたならばやられる。いつ、何が起こるかわからぬのは世の常だ。

 

 風を警戒した上で、羽へ詰め寄っていく。幸いにも標的の軌跡は変わることなく、距離は目と鼻の先というところまでになった。

 

 

 

 

 

 その時である。

 

 黒羽が落ちるであろう地点の少し先、視界の奥にトラックが留まった。

 

「んん?」

 

 直感でしかない、それでも我は踵を返しがてら堕天使のいる方位を確認した。どうせなら呼吸でも整えるつもりなのか、当人は転倒したのとほぼ同じ位置にいる。真横には水溜まりだ。

 

 そして反対には、ヤツ側へとこれから進むトラック……。

 

「……さては」

 

 ピンときた。我はひとまず羽を無視し、全速力で彼女の元への引き返しを開始した。平穏無事ならばよし、想定した通りならヤツにはまず間違いなく――

 

 

 疲労してきた足に鞭打つ。元々そう遠くないのと、フルパワーで全身を弾ませたおかげですぐ堕天使まで近付けた。

 が、迫る相手速し。それなりにあった差はほとんど失せてしまった。耳を抜ける震動の大きさが、それをしかと教えてくれる。間に合うかは賭け……いいや、間に合わせる以外の用件は要らぬ。ひた駆けるのだ。

 

 

 走る、疾走(はし)る。緩めず地を踏みしめ続ける。空気抵抗に負けじと腕振り、熱く乾ききる喉を息をもって制する。独特の重低音を鳴らすトラックは、滞りなく堕天使への肉薄する。

 

 手を伸ばせばどうにかヤツに届きかけるくらいまで縮った刹那、トラックの先端と己が並んだ。互いがすれ違うまでもう僅かとない。

 

「堕天使! 身構えろー!」

「何? なんでこっちに……」

 

 警告するも空振り、顔を上げた堕天使は突然のことにたじろぐのみであった。

 

 ――まだだ!

 

「うおおおおおっっ!!」

 

 こうなってはいちかばちか。堕天使の正面まで出ると同時、爪先を起点に体を横へ捻る。

 

 直後、視界の隅に映った小浪(こなみ)が背後から――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へっ、へへぇ、つくづく……厄介事に縁ありだな」

 

 乱れた息遣いを誤魔化しながら、我はニヤリと言い放つ。

 

 何が起こったのか理解しきれていないのだろう。トラックが通ったスペースに焦点を定めている堕天使。しかしその線はほとなくして泥水を滴らせる我へと集中した。

 

「びしょ濡れじゃない……」

「だが見てみろ。貴様はどうだ?」

 

 聞いて堕天使は目を丸くするが、我としては満足この上ない。すんでのところで危機を救う……こんな場面、想像することはあっても体感したことはなかった。

 

 ノーダメージであることに気付くと、ヤツは驚いたように口を開けた。その素晴らしきリアクションに、噛み殺していた我の狂喜は爆発した。

 

「回避できたろうッッ! 降りかかる不幸を! 嬉しく思うぞ、貴様が無事でなァァァ」

「え」

「フッ、フフフ……ハハハハハハ! ああ。こんなに嬉しいことはないね!」

 

 前面と背面の温度差が生む気色悪さも勲章。いつになく我は黒騎士をしている。どちらかといえば聖騎士寄り? 知ったことか、なんたって最高だ。古の木製グラス片手に祝杯を上げたいほどに。

 

「…………」

「ん、どうした? ……そうか驚いて言葉も出ぬのか! よいよい。我を讃えるのは後でも構わないからな?」

 

 それでつい。興奮して口を出た綾もヤツの様子も、完全に失念していた。

 

「じゃ、じゃあ。今のはその、守ってくれた……ってこと?」

「ぬ」

 

 消え入りそうな声音が過ったことで初めて、騒ぎ巡る血が落ち着きを取り戻す。

 そわそわ。我を見ては目逸らしを繰り返す、変に弱った堕天使が降臨していた。錯覚か、あまりない身長差がやけに大きく見える。

 

 事情はどうあれ把握する。ちょっとした誤解を招いてしまったらしい。

 

「あのままだったら、きっと天からの嫉妬をまた身に受けていたわ。それを予感して、盾になって、こんなふうになって……」

 

 堕天使の内容がある程度正解だとしても、大筋は自画自賛からくる喜び。ゆえに撤回すべく口を開こうとした。

 

 にも関わらず。

 

 

 

 

「……黒騎士って伊達じゃないのね

 

 

 そうするより早くヤツは、ヤツは――。

 

 

 声が小さい、なんだか照れくさそうだ、口元がもにょもにょしている。

 実況じみた感想の数々が、何かをはぐからしたがるように胸中を飛び交った。それでいて涼んだはずの脈動がまた熱いのは、単なる思い過ごしなのか。

 

 

 

「箸の借りは……これで返したからな」

 

 歯切れ悪く答えられたのは、しばしの絶句を喫してからであった。

 奴の危機を思い浮かべ、助太刀すべく向かったこと自体に偽りはない。とはいえ不思議なもので、もうわざわざ解説しようという気は起こらなかったのだ。むしろしたくなくなった。

 

 成す術なく棒立ちしていると、黒いハンカチを頭部に、それでいて優しく投げかけられる。

 

「ま、まあ及第点ね!」

 

 追って塞がれた視界の向こうから聴こえる、上擦り気味な評価(こえ)

 

 タオルの方が色々と都合がいいだろうに、とは言わなかった。

 

 

「ハンカチまで黒とはな」

 

 

 代わりに、逸れた指摘だけが喉を通った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!!」

「な、何だ急に!」

「そういえば羽は!?」

「…………あれはまだ反対方向に――げっ」

 

 

 なお無情。我らが急いで振り返った頃、羽は着地点から舞ったところであった。長い隙を作ったのが仇。我らはまたしても……嗚呼。

 

「そんなぁ~」

 

 堕天使が崩れ落ちる。追いかけ始めは雲多かった空だけ、いつの間にかすっきりしているのがまたイヤらしい。

 

 

 

 取り逃がした心持ち、ただ虚しく。ここまでにおける必死の追いかけは何だったのだろうかと気にする余裕なくして。

 

 

 果てしなく遠くへ旅立つ黒を、我らは見送るのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いよいよ引き下がれなくなったようね。掴まえにいくわよ、リトルデーモン?」

「そうだ、ちと用事を思い出した。さらば」

「あっ、コラ! こっちよこっち! どっか行くなぁー!!」

 

 

 旋風強し。

 

 

 




本作の投稿フォームに辿り着いたのが3ヵ月ぶりと……すいませんっしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! というのもですね実は色々……なかった。遅筆とサボり癖が化学変化起こした結果です。次話は早めに出せるようにしまっせ、可能な限り!

それではこの辺で。そしていつものを。

――終焉の炎。
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