堕天少女と中二病少年   作:AQUA BLUE

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前回のおまけというか、ちょっとしたアフタータイムです。閑話に近い感じあります。


堕天使と黒騎士は祭囃子を辿った

 背に腹変えられぬ。引き返すにしろ往くにしろ、下駄の致命的欠陥を負った堕天使に残された道は一つしかなかった。ヤツはスマートフォン(高中毒性通信機)を家に忘れてきたようだし、我に至ってはそもそも持っていない。

 

「い、いくわよ……」

「もう四度くらい聞いたぞ」

 

 そこで、十字架形態。おんぶともいう。祭典はおろか帰宅もままならぬという悲惨を覆す効果が期待できる。実行する躊躇いさえ乗り切ることができれば。

 

 

 肩にヤツの手がかけられたので、脚の下部をゆっくり探る。さらさら布地の感触から特定、素早く該当の部分を掴むと熱および微かな脈動が伝った。堕天使はもっとやさしく! とか抜かす、よせよせ不審者疑惑勃発だ。捕まるのだけは勘弁だと堕天使に黙ってもらうよう仕向けるが、慣れないことにヤツもパニックなのか聞く耳持たぬ。

 

 それでものけぞらぬよう少しずつ引き寄せて、どうにか背負うのに成功した。

 

「……重厚」

 

 後頭部を、堕天使の掌が鋭く打ち抜く。

 

「考えてもみろ。……30~40kgの鉄を運ぶようなものだぞ?」

「せめてオブラートに包みなさいよ!」

 

 デリカシー問題だったようだ。ヤツは堕天使である以前に一人の女だということをすっ飛ばしていた。ちゃんと気にするらしい。ちょっと箇所が痛むのを反省材料に、我はしっかりフォローにかかる。

 

「保証するさ。お前は細い、触れたからわかる」

「っ!!」

 

 この後、また滅茶苦茶怒られた。心とは測れぬものよ。

 

 

 

 

お面(あれ)つけてなら……大丈夫」

「いや、本気か?」

 

なお、祭りには会議の末突入することにした。仮面を被っての条件付きで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千葉の鼠にピューロランドの山猫。多くに認められながらも時には畏れられる、有力象徴の偽造顔(かめん)を被った二人組が……大衆の中で異彩を放っている。

 

 浴衣の女と、彼女を背負い歩く灰服の男。彼らが素面を明かさずしているのは、選ばれた力の持ち主たる代償。

 

 特に、男の方は――

 

 

「射的よ!」

「ふははははは!!!」

「絶対取ってやるんだか……ら」

「あの伝説の黒騎士!」

「……もしもーし?」

「ん、ああ。こちらの話だ」

 

 いまひとつ会話が成り立ってはいない気がするが、さておいて回れ右の方向へ重心をずらす。数歩、微妙な距離を埋めて我は屋台の前で堕天使を下ろす。

 

 ヤツはいそいそと金を押し付けて支配人から銃を受け取ると、勢いよく片手で狙いを定め、いきなり発砲した。ポージングだけは孤高の銃士――そして、流れ弾は壁で停止。

 

 

 変わらぬ調子で、残りの三弾は散弾。最後のが標的にかすったのみで戦利品を得るには至らなかった。

 

「く~っ、あとちょっとだったのにぃ……」

「構えの問題では」

「あの方がカッコいいでしょ!」

 

 終わったのでまたしゃがみ、ヤツを乗っける。後ろなら間髪入れず「行くわよ」とのお達し、ヤツめご満悦だ。祭りへののめり込みがおんぶの羞恥に勝ったようだ。

 

 

「全っ敗……あとは水風船だけ……」

「……どうする?」

「やってみなくちゃわからないじゃない、さあ次っ」

「貴様ならそう来ると思っていたよ」

 

 急かすようにバシバシ背中を叩かれる。こいつ、元々どんぱちやるのは好きなのかもしれない。

 

「あーっ!? また破れたぁ……」

「待て、諦めるな我がライフを捧げる……頼むぞ店主」

「あいよっ」

「……と、取れたわっ!!」

 

 

 立ち込める熱気、屋台から吹くたまの煙も悪くない。無邪気な子供のように頬を明るく火照らす堕天使の所為でか、はたまたプラシーボ効果なのか。絞まらぬ成り行きをもう悔いることはなくなった。

 

 

 

 

 




そろそろ潮時かななんて思ってたりします。なんか畳始めたり、連載状態いじりだしたらお察しあれ……それでは。

――終焉の炎!
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