ゴーレムが冒険者になるのは間違っているだろうか   作:ドラゴニック

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はい、そういうわけで始まりました。冒まちです。前回の注意書きを読んでない方は、そちらを読んでから本編をお楽しみください。


第1章 オラリオ
第1話 ゴーレム、オラリオに立つ


ゴーレムが冒険者になるのは間違っているだろうか

 

第1話(別枠)

ゴーレム、オラリオに立つ

 

時系列はベル・クラネルがオラリオに訪れる2年前

 

ここは、【ヘスティア・ファミリア】の人が住む寂れた教会、ここに大勢の人が……いるわけでもなく、1人の神が住んでいた。名はヘスティア、【ヘスティア・ファミリア】の主神である。彼女は今、非常に困り果てていた。

 

「どうしよう、バイトしてるからまだ持つとは言え、このままだとここの経済が……」

 

そう、彼女には眷族が1人もいないため、バイトをして、お金を賄っていたのだ。だが、1人で稼ぐにも限界はあるため、眷族を1人でも作らないといけなくなったのだ。しかし、悩んでいても始まらない。彼女は、その日街の大通りへと向かった。

 

大通り

様々な店やファミリアの住む建物、民家など、建築物が並び、さらには屋台まで展開されている。その大通りを、ヘスティアは1人、歩いていた。どこの冒険者も大手ファミリアへと向かっており、中には自分に見向きもしない冒険者もいた。

 

「はぁ……」

 

と1人ため息を吐く。ここまで人が入りたいと言ってこないのもあってか、どこか諦めも感じ始めていた。

 

「帰って不貞寝しよ……」

 

そう思って帰路につこうとした時、何やら空が暗く感じた。そして足元を見ると、何かの影が映し出されていた。彼女は不安にかられ、恐る恐る見上げると……

 

巨大な岩の塊が落ちてきたのだ。

 

「ひゃあぁぁぁ!?」

 

思わずそこから逃げるように走った。そして、直後に後ろからズズゥンという大きな音が聞こえた。恐る恐る後ろを振り返ると、4M近くの巨大なゴーレム。しかし、右腕を失い、体の一部が欠損等をしている。そして恐らく何かと戦ったであろう、血の跡が左手や右足にあった。

 

「なんだい?このゴーレムは……」

 

そう呟いていると、冒険者達もゴーレムの元へと走ってきた。空から落ちてきたゴーレムを見て、皆興味を示したのだ。

 

「ヘスティア!何なんやこれ!」

 

と、聞き覚えのある声が聞こえてきた。声の方を向くと、そこにいたのは、大手ファミリアである「ロキ・ファミリア」の主神、ロキであった。ロキはヘスティアを見るなり言い寄ってきた。

 

「このゴーレムあんたが落としたんか!?」

 

と、ありもしない言いがかりをぶつけてくる。

 

「違うよ!僕だってこんなのが落ちてくるなんて思わなかったよ!?」

 

と、口喧嘩を始める。その間にもゴーレムに寄ってくる人が多くなってきた。人々は突然落ちてきたゴーレムを見てザワついていた。そして冒険者の1人が叫び声を上げた。

 

「おい!ゴーレムが立つぞ!」

 

その言葉を受け、人々の視線はゴーレムへと向く。ゴーレムは、右膝を曲げ、左手で、体を持ち上げた。その後、ゆっくりと足に体重をかけ、立ち上がる。そして、ゴーレムはゆっくりと周りを見渡し、そして冒険者達に向け、語りかけた。

 

「申し訳ありませんが、ここは、何処なのでしょうか?」

 

と。それを聞いた冒険者達は更にざわつき始める。そして1人は武器を取り、1人は怪しんでいる眼をし、1人は逃げ出し、1人はまるで品定めをしているかのような眼をしていた。ロキは、人を呼ぶべきか悩んでいる。もし敵ならば倒せばいい。しかし、相手は明らかに人に対して敵意を見せておらず、嘘までついていない。ここが何処なのか分かっていないかのようだ。だが、もし敵意を出せば……そう考えると、迂闊に教えることが出来ないのだ。そんな中、ヘスティアは

 

「ねぇ、君は誰なんだい?君は、どこから来たんだい?」

 

と、話しかける。冒険者達は勿論、ロキでさえもこの行動に驚いていた。なぜ素性も分からない相手にこうも話しかけるのかと。ゴーレムはそれを聞き、答えた。

 

「私は、ムシュルツ。人類繁栄機関研究所にて、人によって作られた人工ゴーレムです。」

 

僕は信じられなかった。目の前のゴーレムが人の手で作られたこと、そして、ムシュルツが言ったことに嘘偽りは無かった。しかし、それでも信じられないのは人工ゴーレムであること。だから、僕はこう言った。

 

「ごめん、君が人工的に作られたとは信じられないんだ。その証拠を見せてほしいんだけれども……」

 

それを聞いたゴーレムは

 

「分かりました」

 

と、膝をつく。その後、中央にX型の線が走り、グググと開く。やがて、その中にいる者の姿が見えて来た。健康体を想わせる肌の色、黒い髪は後ろに結っており、それだけで長いと感じさせる。ゆっくりと開いた眼は、翡翠のような綺麗な瞳をしていた。そして、顔の整った形、力強い顔は、青年である事を示していた。だが、それを見た途端、ヘスティアやロキなどの女性陣は悲鳴を上げた。何故なら、下の服を着ていなかったのである。

 

「ちょっと!ちょっと!服着てよ服!」

 

それを聞いた青年は、横に掛けていた服を手に取る。一応服は持っているらしい。服を着た彼は、上に置いていた槍と盾を手に取り、装備した。どうやらあれが青年の武器らしい。そして、ゆっくりと降りる。そして、大地の感触を足で確かめた青年はヘスティア達に目を向け、そして口を開いた。

 

「これが、ムシュルツという人工ゴーレムのコア、所謂心臓です」

 

コアが人の姿をしている。どういう事なのか説明が欲しくなった。だが、彼は、これに関する事は教えられない。教えたら不要な物まで生むことになると、一切教えてくれなかった。ひとまず人との共存が出来るとの事で、ムシュルツに対する意識は変わった。そして人々が日常に戻る。ロキも

 

「そろそろ皆が遠征から戻って来る頃やし、うちはそろそろ行くわ、んじゃな」

 

と言い、巨大な建造物の方向へ歩いた。ライバルがいなくなったのを見計らい、ムシュルツにこう言った。

 

「ねぇ!僕のファミリアになってよ!」

 

と、自分の眷族になるよう交渉を持ちかけたのだ。そして、ムシュルツの返答を待つ。だが

 

「申し訳ありませんが、ファミリアとは?」

 

と質問をする。ヘスティアは、あっ、そっかという顔をして、説明を始め、ムシュルツはそれをしっかりと真剣な表情で聞いていた。この街はオラリオと言い、ここにある巨大建造物「バベル」の探索などを目的とした街らしい。そしてここには様々な神々がおり、神々は自らを主神とした、つまりファミリアの長という立場を作った。そしてそのファミリアに眷族、つまり子として人が入るのだ。さらに話を聞く限り、どうやらここには人間の他にエルフやドワーフ、さらには小人に狐人や狼人などの多種多様な種族が暮らしているという。そして話は戻され、ファミリアに入った眷族は恩恵を受けなければモンスターと戦っても負けてしまうと言う。つまり、恩恵を受けた方が利益をもたらすと言う事なのだ。さらにモンスターはコアとなる魔石を持ち、それを失ったモンスターは灰になるという。また、上層のモンスターの魔石は小さいが、深く潜っていくにつれ、巨大な魔石を落とす事もあるらしい。その魔石はお金に換算出来るため、ファミリアの主な収入源になるらしい。また、オラリオの住人の生活を支える大事な物でもある。そう言った説明を聞き終えた後、ヘスティアはもう一度質問する。

 

「じゃあ、僕のファミリアになる?」

 

ムシュルツは少し考えた後、こう答えた。

 

「分かりました。私の力がどこまで通用するか分かりませんが、力を貴方に捧げましょう」

 

と。ヘスティアは笑って

 

「それじゃあ、改めて、僕はヘスティア。【ヘスティア・ファミリア】の主神だよ!よろしくね、ムシュルツ!」

 

ムシュルツは頭を下げ、微笑んだ。そして、2人は、寂れた教会へと、足を運ぶのだった。

 

果たしてムシュルツはバベルで何を見るのか。そして、彼はなぜこの世界に降り立ったのか。そしてムシュルツのステータスはどうなるのか?

 

「あ、そういえばあの装甲まだ使えるのでした。勿体無いです」

 

「えぇぇぇぇぇ!?」

 

続く




次回の冒まちは!
「やぁ!僕はヘスティア!やっと眷族が1人入ってくれて嬉しいよ。あ、次回予告しないとね。さて、次回の冒まちは!教会へと足を運んだムシュルツ。そしてそこで僕からの恩恵を受け取るよ。そして僕は、ステイタスを確認するんだけれども……うん、正直予想外だよ。最初からスキルが発現してるのは嬉しかったけれども、僕はトンデモナイ逸材を眷族にしたようだよ……。次回、冒まち第2話!「衝撃のステイタス」!皆、次回も見てくれよ!」

はい、というわけで第1話でした。まだまだ酷い部分はありますが、よろしくです。

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