ゴーレムが冒険者になるのは間違っているだろうか 作:ドラゴニック
予め言っておこう。ムシュルツは強いです。ベートやアイズ程ではありませんが(多分注意書きで伝わってるから大丈夫だと思いたい)
それでは冒まち第2話、驚異のステイタスをお楽しみに!
「え?!あれってまだ使えるのかい!?」
と聞く。ムシュルツは頷き
「あの状態ならば修復は可能です。それに、あれが一度壊されると、また一から作り直さなければならないのです。」
うわぁ、と言う顔をヘスティアはする。あれをまた作り直すとなると費用も恐らくかかるのだろう。それを考えると急いで恩恵を刻み、あれを回収しなければならない。折角眷族になると言ってくれたのに。
「分かったよ。それじゃあ今から急いでホームに向かおう。恩恵を早く刻まないといけないし」
それを聞いたムシュルツは頷き、ヘスティアとともにホームへと向かった。
そして、ホームに着いたが、それはホームと呼ぶには貧相だった。一部の屋根が取れ、壁にはヒビがあり、さらに穴が空いていた。それに加え、壁には苔のような植物まで生えていたのだ。そこへ転がり込むように入ったヘスティアは、
「そこで寝転がって!うつ伏せにね!恩恵を今から刻むから!」
と、ムシュルツに急かす。ムシュルツはそれを聞くと、服を脱いでうつ伏せになる。コア、もといムシュルツの体に傷が見られないのは、あの装甲があったからだと言えるだろうか、綺麗な肌が露わになる。ヘスティアは、その体に見惚れてしまったが、気を取り直して、恩恵をムシュルツに刻む。やがて恩恵が刻まれると、ステイタスが発現する。ヘスティアはそれを見る。冒険者は初めたてはLV1が当たり前……なのだが
「何このステイタス……」
ヘスティアは、自分の見間違いでは無いかと思い、読み上げる。
ムシュルツ
LV:3
力:F325
耐久:B768
器用:C612
俊敏:H100
魔力:A868
【鉄壁】:I
<達成された偉業>
【心】の発現
<魔法>
<スキル>
【装甲修復】
コアを守る装甲を短時間で修復
【発現『心』】
心を持ち、人との共存を望むもの。
人との会話が可能になる。
「守護」を行う場合、【ステイタス】上昇
他者の危機を救う時、【ステイタス】上昇
【装甲装着】
発現時、レベルが1上がる。
発動中、【ステイタス】上昇
発動中、物理攻撃による被ダメージを90%カットする。
驚いた。彼が普通では無いことが分かっていたが、彼の【ステイタス】も普通では無かった。LV3に加え、彼の【アビリティ】も俊敏と力以外は高めだ。しかし、高い魔力も魔法が無いため真価を発揮出来ないのが心残りか。しかし、それを物ともしないスキルがある。というよりも、2つ目と3つ目のスキルが異常だ。2つ目のスキルは魔物が長い間人との接触を果たしていればえられるのだろうが、おそらく彼を作った場所に人が居たのだろう。それならば納得出来るし、彼の言った機関にも納得ができる。嘘をついてないとはいえ、まだどこか信用出来ない所もある。それを証明してくれるスキルがあったのだ。そして3つ目のスキル、これは今まで見たことのないスキルだ。まず発現時にレベルが1上がる。これだけでもアドバンテージになるし、【ステイタス】上昇も、あの装甲ならば納得がいく。だが、物理ダメージをほぼ受けないのはとても凄いことだ。階層が低い場所ならばほぼ彼だけで倒す事が可能だ。さらに、彼が出てきた場所には収納できるスペースもあった。つまり、魔物を倒し、魔石を回収したあと、それを収納出来るという、サポートを守りながら戦うよりも効率が良くなるのだ。あれ?そうなると彼だけで良い気がしてきた……。
「ヘスティア様、もうよろしいでしょうか?」
と、ムシュルツが聞く。それを聞いたヘスティアは、ハッと我に返り、
「もういいよ。それじゃあ君の装甲を取りに行こうか」
と、言うと、ムシュルツはうなずき、立ち上がる。ヘスティアは、彼が着終えるのを待ち、もうバイトしなくていいのではという期待を寄せる。やがて彼が着替え終えると、ムシュルツは外に出る。ヘスティアは彼の行動に、いち早く装甲を回収したいと言う思いがあるのだろうと見る。しかし、忘れ物を慌てて取りに行くかのような足取りの彼を見て、まだまだ子供だねと、微笑みながら追いかけるヘスティアだった。
やがて大通りに着き、例の装甲を見つけた2人、ムシュルツはヘスティアの方を向き、
「少しお待ちください」
と言うと、開いた場所に入り込み、目を閉じると、グググと開いた場所が閉じていく。ヘスティアは、ムシュルツが再び動くまでジッと見守る。やがて、閉じ終えX型の線が消えると、頭部に目が出現する。
「もういいんだね?」
とヘスティアが聞くと、
「はい、それでは戻りましょう」
と答える。それを聞いたヘスティアは歩き始め、ムシュルツはそれについて行く。ボロボロになった装甲を見て、頑張ったんだねと声をかけて労いをかけるヘスティアの様子は、子供を褒める母親のようであった。それを聞いてムシュルツは、少し恥ずかしそうに頰をポリポリとかく。そして、それを見ていた影が一つ。狐の耳を生やした女性。女性は
「私も、あんな風に褒めてほしいです……」
と、呟いた。そしてその呟きは、誰にも聞こえることは無かった。
夕刻、教会に着いた。着いた直後、ムシュルツが装甲から降りると、早速修理を始めようとする。ヘスティアが、彼に【装甲装着】と【発現『心』】を除くスキルを含め、ステイタスを教えると
「装甲修復ですか。では、早速それを使ってみましょう」
と、スキル【装甲修復】を発動し、ボロボロになった装甲を直し始める。それを見守るヘスティアは、本当に早く直せるか半信半疑だった。なぜなら、外見からしてダメージが高く、さらには腕が片方無くなっている。さらに、彼なら直せるとはいえ、1人で直すとしても、時間がかかる。しかし、見る限り、すでに血痕は消え、ボロボロだった装甲は新品同様になっている。あとは失った腕を直すだけだが……
「……え?何これ?」
ヘスティアは驚きの声を上げた。何故なら、既にたった半時間で腕の半分近くが直っていたのだ。この短時間でここまでの修復速度、正直なめていた。
「……相変わらず君は色々と予想外だよ……」
半時間ほど経ち、修復が終わった。修復を終えたゴーレムは、街を見守るかのように佇んでいる。それはまさしく、守護していた証拠とも言えるものだった。そして、ムシュルツは。ゴーレムの頭頂部から、街の景色を眺めていた。おそらくそこが彼にとっての絶景ポイントなのだろう。彼にとっての、知らない世界がそこにある。おそらく彼に教えなければならない事は沢山あるだろう。彼はこの世界において、産み落とされた赤ん坊のような物なのだから。ヘスティアは頭頂部まで登り、ムシュルツの隣に座る。
「ねぇ、ムシュルツ」
「何でしょう?ヘスティア様」
「……いや、何でもない。明日から頑張るんだよ」
「……分かりました。私は、帰る場所を、私を迎えてくれる人達を、「守護」し続けましょう」
そう宣言したムシュルツの顔は、夕陽に照らされ、その目は輝いていた。それは、心を持つ者だけがする瞳、それは、ヘスティアにとってとても美しくみえた。ヘスティアの頰は、それに魅入られたかのように赤くなる。ヘスティアはブンブンと首を振ると、
「それじゃあそろそろ中に入ろっか。それと、明日はバベルに向かう前に、登録をちゃんと済ませてね。じゃないとバベルに入ることはできないからね」
それを聞いたムシュルツは頷き、ヘスティアを抱えて飛び降りた。ヘスティアは驚いた顔をし、顔を赤くする。しかし、ムシュルツはそれを意にも介さず、そのまま教会へと入っていった。
短いですが、目を瞑ってください。色々未熟なんです……。そしてレベル3、流石に最強ではありません。魔法攻撃に弱いので、魔法くらい続けてたらぶっ倒れます。あ、次回予告しないと。
「皆様、ムシュルツです。次回の冒まちは、私は遂にバベルに入り、魔物と戦います。私はそこである魔物と出会い……次回、冒まち第3話「バベルの魔物」、次回もどうぞよろしく」
まぁ、ムシュルツのレベル的に結果はどうなるか目に見えてるんだけどね
ちなみに鉄壁はその名の通り被物理ダメージを減少させます。まぁ簡単に言うと対物理特化ですね