このダンジョンに神殺しが居ることは間違っている。 作:みころ(鹿)
てわけでオリジナリティを出しつつ駆け足です、原作の内容は殆ど書かないんで事前に確認しておいた方が解りやすいかと思われます
ではほんへ
・・・
リョナさんとはぐれてしまった僕達は中層を歩いていた。
時折訪れる地震に怯え、慣れない地形に体力をすり減らし、怪我をしているヴェルフを庇いながら進む。
リリの提案で僕達は地上ではなく18階層に向かう事になった、現在いる場所から地上に戻るよりいっそセーフティポイントであるリヴィラの町に向かった方が近い。
ただ問題は迷宮の弧王、数か月前ロキファミリアが倒したゴライアスの復活が近いという事、正直いつ復活するかは曖昧で明日かもしれないし一週間後かもしれない。
もし復活していたら通り抜けるのは絶望的だ、危険な賭けではあるが地上に戻ることに比べればまだ可能性があった。
「もう少し…!」
虹色の壁、ゴライアスの出現ポイントを見上げた。
その麓には下の階層へと続く横穴が伸びている、あの穴に入れさえすれば18階層に入ることが出来た。
既に意識の無い二人を担いだままベルは走る。絶えず余震は続いており、それは巨大な化け物の鼓動のように聞こえていた。
とはいえそのまま何事も無く少年は横穴に滑り込み、そのまま18階層へと傾斜を流されていく。
ゴライアスはまだ産まれない、余震は長く続いていた。
・・・
少女が泣いている、
昨日初めて父親が帰ってこなかった。言葉に出来ない不安と悲しみに少女は涙を止めることができず、大声をあげてただ泣いていた。
一晩明けても涙は止まらない。いつだって側にいてくれた彼はどこにもおらず、慰めようとする者達の声が届くことは無かった。
私はそんな少女の悲哀に満ちた泣声に強い痛みを感じながら、朝の教会に並び目の前で頭を下げる和装の少年少女達に目を向ける。
どうやら彼らがモンスターを擦り付けた直後に地震が起きたらしい、話を聞いた限り彼らが悪いわけじゃなさそうだが主神のタケミカヅチはこうして早朝に頭を下げに来ていた。
大崩落、ここのところ続いていた地震によってもたらされた自然災害。
降り注ぐ巨石、ルームに空いた大穴。深淵はベル君達を飲み込み、彼らの仲間の一人も巻き込まれてしまったらしい。
「…」
一晩明けた今、彼らの安否は誰にも解らない。
しかし私は確信を得ていた、繋がれた恩恵から確かにベル君の命を感じる。きっとあの子はどこかで生きている、生きてさえいれば救いようがある。
しかし――もう一人は。
消えかけの恩恵では何も解らない。彼が今どこにいるかも、生きているかも。
少女の声が聞こえる、猫人に抱かれたあの子を泣き止ませてあげられる唯一の人間がこの場にいない。
(全く、そんなんじゃ親失格だぜ…リョナ君)
きっと彼は生きている、今はハティちゃんの為にもそう信じるしかない。
ならするべきことは決まっていた、迷子の子供達を探しに行くのは私の仕事だった。
顔をあげた私はその場にいる面々に目を向ける、息をつき柔和な笑みを浮かべた私はお願いがあるんだ、と切り出したのだった。
・・・
気が付いた時、俺の意識は既に深海に包まれていた。
悪夢の中で俺はいつもとは比べ物にならない程の水圧に押しつぶされている、全身が砕けるような激痛に身体を丸めてただ耐える。
全身を裂かれるような痛みに思考の余地はない、激流に揉まれ見上げると黒龍がこちらを悲しげに見下ろしていた。
『――』
黒龍が口を動かす、だが立ちこめる泡の中で声は聞こえない。
ただその口はどこか「手遅れだ」と、そう言っているような気がした。
シェイクされるような暗黒、漆黒に紛れるような巨龍は遥か彼方を見つめている。それはまるで何かを待つかのような視線であり、強烈な震源を忌々しく睨みつけるかのような瞳だった。
世界がどこかで産声を上げていた。否、それは天地開闢よりそこにある根源。
全ての化け物はこの混沌から生まれた、生命という名のスープに名を与えた神格が全身を包んでいる。
それは耐えがたい安らぎだった、身体を一切動かせない痛みにさえ喜びを感じざるを得ない。
ここは母神の夢海、胎児の子宮そのもの。
山のような巨龍よりも遥かに大きな、もはや生物としての概念を超えた存在。強く抱かれた俺は蒼髪の幻覚を見る。
まるで
『あぁ…もうすぐかしら、愛しい我が子』
その女の顔は暗闇の中で良く見えない、だがどこか見覚えがあるような気がする。
鈴のような囁き声で笑いかけてきた女神は俺の頭に触れ、慣れた手つきで胸に抱く。たったそれだけのことで俺の意識は奪われた、深い安心感と共に訪れた微睡みはただ懐かしかった。
夢の終わりは近い、もはや引き返すことのできない水位に抱かれた俺は女神に抱かれたまま途方も無い水圧に点にまで圧潰されたのだった。
・・・
目を覚ますと本当に水の中にいた。
口から大粒の泡が漏れる。慌てて俺は身体を動かすと水面に向かい、ブハァと息継ぎをすると荒く呼吸を繰り返しながら水を蹴った。
水面に浮かんだ俺は酸素の行き渡っていない頭を振ると周囲に視線を向ける、一番近い岸に向かって泳ぎ出すと水を吸った服が重く身体を引きずった。
「はぁ…はぁっ…」
這うようにして岸に辿り着くと腕をついて呼吸を整える、身体から滴り落ちていく水が小石の敷き詰められた岸に撥ねた。
身体が泥のように重い、疲労感の中で俺は濡れた頬を拭うと霞む視線を周囲に向けた。
(ここはどこだ…?)
広いドーム状の空間。
その端はもはや暗闇の中で見る事が出来ない程遠く、反対に天井はビルの3階程度で比較的近い。
目に見えて特徴的なのはまるで削り取られたような壁だ、歪曲した岩壁には巨大な生物がぶつかって出来たような破壊痕が幾つも作られており、まるでこの空間自体が何者かによって穿たれたかのように錯覚する。
「っ…!」
ここがどこであれダンジョン内なのは間違いない。どれほどの時間気絶していたか解らないが長く水に浸かっていた身体は極限にまで冷え切っており、このままでは体調を崩しかねない。
幸い怪我は殆どしていないようだ、水から上がった俺は岸から這って離れると石の上に座り込む。左手に意識を集中させ暗闇に何とか蒼炎をつけると、とりあえず足元の石を燃え上がらせた…可燃性のものじゃないのですぐに消えてしまうだろうが無いよりかはマシだ、何より手元が見えるのはありがたかった。
「ふー…」
改めて周囲を確認する、どうやら近くにモンスターはいないらしい。
とりあえず濡れた服を脱ごうと俺は直剣を外す、コートを脱ぎそのまま他の衣類も脱ぎ捨てパンツ一丁になると乾くことを祈って脱いだ服を火に近い石の上に並べた。
ダンジョン内でほぼ裸である、とはいえ人の目も無いし裸でだって戦える自信はあった。
石を円形に並べ焚き火を作ると冷えた身体を温め始める、揺れる小さな蒼炎は心もとないが手をかざすと熱がじんわりと指先に染みた。
せめて燃やせるものがあると良かったのだが所持品にそんなものはない、体育座りをした俺はぼんやりと明かりに照らされた範囲にあるものを眺めながら疲弊しきった身体を休める。
(あれからどうなったんだ…?)
地震が起きてダンジョンの床が崩落したところまでは覚えている、気が付けば水に浸かっていた。
いかんせん時間と場所の感覚が狂っている。
ベル達は今どこにいるだろうか、恐らく同じ穴に落ちたはずだが水流に流され運ばれているため同じ場所にいるとは限らなかった。
今ははぐれた彼らもどこかで生きていると祈るしかない、あれからどれほどの時間が経ったか知らないが…カウントが途切れているし日をまたいでいる事は確実だろう、それはつまり昨日の段階でハティを迎えに行けていないということを意味していた。
「…」
ぼんやりと辺りが蒼く照らされている。
ハティのことは心配だし早く帰ってあげたい、ベル達のことも気になるが今どこにいるか検討もつかないし体力が回復しだい地上に戻ろう。
蒼い火にあたりジッと動かないでいると体温があがり少し眠くなってくる、ここがどこなのか考え爆ぜる炎を見つめていると次第に目を閉じている時間の方が長くなってきた。
がくりと落ちた頭が膝にぶつかって目が覚めた、鈍い痛みにため息をついた俺は頭を振る。本当は眠りたいところだが休眠中にモンスターに襲われたりしたら洒落にならない、意識を保つように改めて気をつけた俺は周囲に視線を向ける。
暗い浜には文字通り何もなく、蒼い焚き火に照らされて俺の服が広がっているだけだ。目の前に広がった真っ黒な湖は時折波紋を広げており、ところどころ浅いのか幾つかの浮島が出来ていた。
「――…っ!?」
舐めるように浜辺を見ていると、俺は薄紫色の何かが流れ着いていることに気がつく。
立ち上がり小さな波が寄せる浜辺をまだおぼつかない脚で歩いた。見覚えのあるその後姿は近づくにつれ徐々に明らかになり、やがて倒れ込んだその後姿が穴に落ちる前に助けたあの女のものだと解った。
どうやら俺と同じようにここまで流れ着いたらしい、すっかり忘れていたが運よく崩落を免れたようだ。
だが生きているかは解らない、出来る限り急いでその女の側に駆け寄った俺は片膝をつく。
目に見えて外傷がないことを確認し華奢な身体を起こすと血色の悪くなった顔が見えた、服も濡れているしどうやら先程の俺と同じように身体が冷え切っているようだ。
呼吸は正常にしている、ただ気絶しているだけのようだし早く焚き火のところに連れていってやった方が良いだろう。
歳は16くらいか、まだ若い大和撫子を担ぐと焚き火の元に戻る。
とりあえず濡れた服を脱がさなければ命に関わるだろう、気絶している相手に悪いが俺は焚き火の近くに座らせた女子の装備や服を脱がせると乾くように火の側に広げて置いておく。
そして比較的平べったい石の上に寝かせ、その上に乾いていたサラマンダーコートを被せた。すぐにとは言わないがこれで体温も戻るだろう、火の側に横たわった大和撫子は寝苦しそうに呻いている。
「はぁ…」
少なくともこれで死にはしないだろう。
元いた場所に戻った俺は胡坐をかくとため息をついてこれからの予定を考え始めた。まずは服が乾くのを待ってから地上を目指すことになる、俺の服は生乾きだが脱がせたばかりの女の服の方はまだまだ時間がかかりそうだった。
焚き火にあたった俺は息をつく、本当は何か腹にいれたいが動かなければ充分に体力を回復させられるはずだ。
(…)
パチパチと炎が爆ぜている。
穏やかな時間だ、ここがどこかも解らないが今のところモンスターの気配はない。
周囲を見る、いつもなら壁や天井からモンスターが湧くはずだがこのルームは違うのだろうか。
「っ!?」
ふと暗闇の中から何かが自分を見ていることに気が付いた、瞬時に意識を覚醒させた俺は直剣を手に取ると腰を浮かせる。
それが徐々に近づいてくる、俺は緊張しながら呼吸を正すと僅かに柄を引き抜いた。
「…は?」
暗闇の中から現れたのは見たことも無い兎だった。
アルミラージとも違う赤い…そう、まるで肉塊の固まったような兎。
様々な生物の死体をこねてそのまま兎の形にしてみたようなその生物は…もはや生物のようには見えない。
一瞬戸惑った俺の眼前、その兎は跳ねてくるとそのやけに綺麗な瞳で俺の事を見つめまるでそれで目的は終えたとでも言うかのようにUターンして暗闇の中に消えた。
何だったんだ、そう呟こうとした俺の視界の端で湖がぼんやりと輝き始める。
徐々に強さを増していくその光はやがて水面を突き破りルーム内に差し込むと照らし出した。
先程の暗黒が嘘のような明るさが訪れる、思わず立ち上がった俺は輝く湖の水面を見下ろすと感嘆のため息を漏らした。
それは光を放つクリスタルの器。
湖の正体は光源水晶に溜まった広大な水たまりだった、その中心には天井から絶えず水が注ぎ込まれており白泡をたてている。
水底から放たれる虹色の光は幻想的であり、ダンジョンであることを一瞬忘れるほど美しかった。
「…!?」
徐々に地上のような明るさが増していくルーム内、瞳孔が開くにつれ周囲の様子が明らかになる。
湖の反対側に巨大な亀裂が走っているのが見えた、恐らくこのルームからの唯一の出口は巨大な湖を迂回していくしかない。
暗闇に消えた兎に振り返る。しかし逃げ道などないにも関わらずあの兎の姿はどこにも見えず――その代わりにかモンスター達が溢れんばかりに蠢いているのが見えた。
「骸骨…?」
骨の身体が起き上がる。
それはいわゆるスケルトンという化け物、中層では見たことの無いモンスターの話自体は聞いていた。
だがどこか様子がおかしい、武器を手にした骸骨たちの身体にはところどころに屍肉がついており、その瞳には濃く『蒼い火』が灯っていた。
無数に群れた肉付き骸骨達はこちらに気が付くと石の武器を構え襲いかかってくる。雪崩のように駆けこんでくるスケルトン達を前に、強く息を吸い込んだ俺は戸惑いながら直剣を振り下ろした。
・・・
あれから数時間が経つ。見たことも無い化け物達との戦いは予想以上に長引いている、周囲を囲んだ骸骨はその個々が今まで戦ったどのモンスターよりも強かった。
「はぁっ…はぁ…!」
オッタルほどではないにしろその骨の腕から放たれる一撃は重く速い、振り下ろされる石剣を躱すと脊髄にあたる部分に直剣を叩きつけた。
瞬間鈍い感触が手に伝わる…が、骨の身体に斬撃は効果が薄く、斬りつけたスケルトンも僅かに身体をよろめかせただけでまたすぐに武器を構えた。
明らかに強すぎる。階層を間違えてリスポーンあるいは迷い込むにはこの数は多すぎるし、何よりその蒼炎には見覚えがあり過ぎる。
(…おかしい)
闘っている中で感じた違和感が二つ。
一つは周囲を囲んだ化け物達が一斉に飛びかかってこない事、骨の化け物達は必ず一対一で勝負を挑んでくること。
もし周囲にいる最低でも100体以上の骸骨達が一斉に飛びかかってきたら俺はすぐに串刺しになっていたはずだ。しかし周囲を囲むスケルトン達は俺の姿を蒼く燃える瞳で俺を見つめているだけであり、ただ逃げられないように武器を構えている。
二つ、焚き火の側に寝ているあの女はまだ無事だということ。
本来モンスター達の行動原理は無差別攻撃であり、ただ目の前にいる人間を襲うだけの知性のはずだ。
しかし蒼い目の骸骨達は女に目もくれず俺を狙っている、まるで誰かに命令されたかのように。
(クソッ…戦わされてるのか?)
逃げられない骨のリング、その中心でスケルトンと戦わされ続けているような感覚。
これではただカウントが増えていくだけだ、あるいは
いい加減服も乾いたはずである、こいつらを全て相手していたらきりがない。
返す刀で一体と距離を取った俺は左手の中に顕現したナイフを握り潰す、溢れ出した粒子の中で俺は強く咆哮した。
「狼騎士ッ!」
咆哮と共に膨張した巨剣を骸骨に叩きつける、蒼炎を纏った大質量はスケルトンの身体を叩き潰し粉微塵に粉砕した。
狼騎士の登場に周囲の骸骨達は身じろぎし、歓喜に歯を打ち鳴らす。その中心で蒼い銑鉄が形を成し、狼をかたどった廃材の騎士は排気熱と共に巨剣を肩にかけた。
(…)
予定としてはあの女を助けてから脱出、いざとなれば見捨てる覚悟でいるが出来る限り助けたい。
そのためにはとりあえず周りのスケルトンを突破する必要があった、久しぶりの力の発動に掌を馴染ませた俺は息をつき巨剣を持ち上げると強く踏み込む。
『「ラァッ!!」』
鉄塊が横薙ぎに振るわれた。
炎を纏う重い一閃は骸骨達を脆く薙ぎ払うと吹き飛ばす、何体かはそのままバラバラになったが頑丈な骸骨達はまたカタカタと立ち上がろうとしていた。
時間はそう残されていない、跳躍と共に骨のリングを飛び越え消えかけの焚き火の側に着地した俺は巨剣を打つ。
散らばった服を拾い上げサラマンダーコートで巻いた女の身体を担ぎ上げると、鋳造し終えた鉄馬に乗せた。
蒼火を纏う巨馬は前足で地面を蹴っている、骸骨達に似た炎瞳で俺の事を見つめると荒い鼻息と共にたてがみを揺らした。
積み荷を固定した俺は鉄馬にまたがる、構造としては張りぼてに近い馬はしっかりと鎧を着こんだ身体を支えた。
『「…ハッ!」』
掛け声と共に馬が駆けだす。
既に立ち上がり武器を構えていた骸骨達の輪に突っ込むと鉄脚で踏み潰し、蒼炎を撒き散らしながらいななきをあげた。
目指すは湖の反対側、回り込んでいく岸辺にはまだ多くの骸骨達が手を伸ばしている。いちいち相手をする気はない、遠い目的地を眺めた俺は兜の下で息を吸い直すと覇気と共に馬を駆りだした。
・・・
「ベル君!」
「神様!?なんでここに…」
「へっへっへー!来たぜぇー君たちのピンチにこの僕がッ!」
18階層、辿り着いたセーフティポイントでロキファミリアに助けられていたベルは上の階層から滑り降りてきた女神の姿に唖然とする。
ダンジョンにいるはずのない彼女はボロボロになったローブを身に纏っており、尻餅をついた痛みに涙を浮かべたまま明るい笑顔を浮かべていた。
「なぁに僕が来たからにはもう大丈ブゴホォッ!?」
「神様!?」
「失礼、膝が確定しました」
「リューさん!?」
次に穴から滑り降りてきたのは若草色のフードを被ったエルフ、リューの姿がそこにはあった。
ヘスティアに続きリューまでも、驚愕するベルは神様に手を貸し起こすと急速に訪れた強い安堵に涙が出そうなほどの嬉しさが溢れ出した。
それから数分後リリとヴェルフが合流し、横穴からはポンポンと救援隊が飛び出してくる。
その中にはパスパレードをしようとしていたタケミカヅチファミリアの面々、更にはヘルメスファミリアの主神ヘルメスとその団長であるアスフィ・アル・アンドロメダも参加していた。
「それで何で神様がここに?」
「うーん…居ても立っても居られなくなった、何て言えるほどカッコ良くないよなぁ僕…」
「?」
情報交換が始まる。
帰ってこなかった四人を探すべくヘスティアは有志を募って救助隊を編成したらしい。
「リューさんは何故?」
「ハティを泣かせる輩は必ず誅さねばなりません、故にあの男は必ず連れて帰ります…彼はどこに?」
「…それが」
はぐれてどこにいるか解らないと伝えると二人の表情が曇った。
丁度そのタイミングでアイズとティオナがやってくる、タケミカヅチファミリアの団長である桜花が周囲を見渡し視線を険しくした。
「うちの命が見えないようだが、いないのか?」
「…ごめんなさい、私達は見てないかな」
「謝るようなことでは…」
行方不明者二人の存在は奇跡の再会に影を落とした。
傷と疲労を癒さなければならない、この日は何もすることも出来ずに全員で身体を休めるのだった。
・・・
「…」
焚き火の前で俺は服を着る。
最初のルームから脱出して数時間が経つ、巨大な亀裂は確かに出口ではあったが始まりにしか過ぎなかった。
そこに広がっていたのは未知の階層、中層にも似たダンジョンは広く出口がどこにあるか探索しなければいけなかった。
(腹減った…)
鋳造した高台の下では骸骨達が大挙して押し寄せている、この空間にも満ちたスケルトン達は執拗に襲ってきていた。
現に巨剣を鋳造して足場を作らなければろくに休むことも出来なかっただろう、焚き火の前で鎧を解いた俺は休憩がてら乾いた服を身に着ける。
骨同士がぶつかりあう騒々しい音が絶えず聞こえていた、再び鎧を展開し俺は腰かけると側に寝かせた女子を見る。
サラマンダーコートで巻いた女子も先程服を着せたばかりだ、かなり時間が経ったにも関わらず目覚めない彼女は掠れた呼吸を繰り返している。
酷い熱だ、体力の回復に合わせポーションを飲ませたりもしているが効果は感じらない。苦し気に呻いている彼女の額を脂汗が流れていく、意識も戻らないし地上に急ぎ連れていかなければ危険だ。
『「…よし」』
まずは出口を探さなければならない、広い空間を眺めた俺は息をつくと立ち上がる。
サラマンダーコートで巻いた女子の身体を肩に担ぐと、足場だった鉄塊に篭手の拳を振り下ろした。金属音が鳴り響く、染み込んだ蒼炎が鉄を溶かし変形させると再び巨馬を鋳造した。
降り立った蹄鉄が集まっていた骸骨達を踏み潰す。噴き上げた蒼炎が周囲を焼き払い、馬の余剰分で作り出した長剣で馬上から骨の身体を斬りつけた。
騎兵。
休憩を終えた俺は騎剣で道を拓くと馬を走らせる、行方を阻むスケルトン達を鉄馬で吹き飛ばすとダンジョンではありえない速度で疾走した。
岩場を馬が跳躍する、どこを見てもスケルトンはいるがこの馬の速度には追いつけない。
鋳造された馬は恐怖とは無縁だ、その鋼鉄製の前足で頭蓋骨を踏み潰しいかなる包囲も突破する。
狭い場所はともかく通常戦闘に置いて馬に乗っているアドバンテージは大きい、その速度と高さは敵を寄せ付けない。
脳内にある程度の地形情報を詰め込んでいく、骸骨達をなぎ倒しながら知らない道を通って出口を探した。
亀裂や横穴を馬が駆け抜ける、騎剣で襲い来るスケルトンを斬りつけ探索を始めたのだった
・・・
何者かの意志が絡む、覗きイベントを避けたいという意思が絡む。
というか文字数の都合だけどまた一週間投稿出来ちゃいましたね、調子良いんだよなぁ
でそろそろ新人賞の応募原稿とか書きたいんで投稿が遅れる可能性が微レ存、まぁ構想段階なんでそこまで遅れないと思いますが。
ではではー