世界はシャボン玉とともに(凍結)   作:小野芋子

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霧隠れの時系列がワケワカメなので細かいつっこみは無しの方向でお願いします。
それとウタカタの登場するアニオリは知らない子です。


作者が思うすぐに友好関係が築けそうな尾獣

犀犬>重明・磯撫>>孫悟空・又旅・穆王>>>>>牛鬼>>>>>>(超えられない壁)>>>>>>>>>守鶴>>>>>>>>(超えられない壁)>>>>>>>>>九喇嘛>>>>>>>>(超えてはいけない壁)>>>>十尾





こうして始まる少年の物語

始まりはいつだったのかは正直覚えていない。何か違和感を感じたと思ったら気づけば異世界にいて、気づけば子供になっていた。

何を言っているのか分からないと思うが正直俺も分からない。

1つ言えることがあるとすればこの世界での俺はウタカタという名前で生まれてきた事くらいだ。

だがまあ分からないことに頭を使っても無駄なこと、どういう因果かは分からないが異世界転生とやらを果たしたのならこの世界を満喫すれば良いだけのこと。早速気持ちを切り替えて新しい人生を歩んでいこうと思う。

 

 

 

 

……そう思っていた時期が私にもありました。

どういう訳か俺はこの世界ではメチャクチャ嫌われている立ち位置にいるらしい。いや、ほんと何で?俺まだ見た目的に3、4歳くらいだよ?そこまで邪険に扱う必要はないでしょ?

 

いや、本当に何故だ?さっきなんてちょっと小腹が空いたから茶屋でも行って団子を買おうと思っただけなのに注文したみたらし団子では無く、親父の拳が飛んできたぞ。

もしかして気付いてる?中身が成人だって気付いてる?

 

何とかその場は水影とかいう子供が取り成してくれたから事なきを得たけど、来てくれなかったらと思うと正直ゾッとする。享年3歳は普通に洒落にならん。ってか子供は労わるもんって教わってないの?

取り敢えず今後の目標はまた同じことになった場合自衛くらいは出来るようになる事だ。うん、鍛えよう。

いや、その前に水影とか言う少年に感謝の言葉を言うのが先だな。おっさんを捕らえたと思ったらすぐどっか行っちゃったし言いそびれてたんだよね。

 

 

 

……で、中々に立派な建物の中に水影さんがいるという情報を入手した俺は、早速お礼を言うために建物へと入って行った。

途中でガラの悪い忍び装束を身に纏った男数名とすれ違ったので、もしかして間違えた?ってか生きて帰れますよね?と思ったが僅かに視線を向けられるだけで特に何かを言われることも無く、『水影室』と書かれた部屋へと無事辿り着くことができた。

ノックをして部屋に入ると、そこには乱雑に散らかった机と、そこに頬杖をつきながら難しい顔して紙を眺める水影さんの姿が。

『何か用か?』至極メンドくさそうにこちらに視線を向け、暫し停止。

数秒ほど経って少々の居心地の悪さを感じ始めたころ、椅子を蹴飛ばしながら立ち上がって、気付けば目の前に顔があった。え?速すぎじゃね?

 

「お前、何でここに!!」

 

何ですか?いちゃ悪いんですか?そういう差別は良くないと思いますよ?

まあお礼を言いに来たのに喧嘩腰になるのも可笑しな話だから特には何も言いませんけどね。

 

「お礼を言いに来ました」

「礼?ああ、さっきの……。だとすれば礼はいらん。あれはこちらに非がある」

「だとしても助けてもらったのは事実です。先ほどはありがとうございました」

「………はぁ。分かった、受け取っておこう」

 

お礼しただけで溜息吐かれるとはこれ如何に。この国って感謝1つしない無礼な奴が多いのかな?さっきすれ違った奴もガラ悪かったし。

そう言えば俺はこの世界について何も知らないな。ちょうどいい機会だし質問してみるか。まずはアレだな、何で俺が嫌われているのかについてだな。

 

 

 

 

 

 

 

動物の帰巣本能的なものに従って歩いていたら奇跡的に俺の家らしきところに帰ってくることが出来た。

隣に住んでいる奴が俺を見るなり『あいつ、もう帰って来やがった』って言ってたからまず間違いないと思う。別に傷ついてないよ?ホントだよ?

 

取り敢えず家に入って、既に床に敷いてあった布団に寝転がる。

色々と考えなければならないことはあるが思い出すのはつい先ほどの事。

 

『何でみんな俺を嫌うんですか?』

 

純粋な疑問としてそう水影に問いかけてみたら何故か抱きしめられた。why?

いや、『すまない。俺の力が足りないばかりに……』じゃ無くてですね。俺は嫌われている理由を知りたいんですよ。それと涙声で謝罪するのはやめてください。まだ感情の制御とかあんまり出来ない体だからこっちまで泣いちゃいます。

っとまあ、脳内ではそれなりに冷静ではあったが実際は大泣きも大泣き。

いきなりの転生での不安も相まって、一生分の涙を流したのでは無いかと錯覚してしまうくらいには泣いてしまった。…だめだ、思い返してみても恥ずかしい。

 

そのあと暫くして漸く冷静さを取り戻した俺は、この世界についていくつかの質問をした。

自分で言うのも何だが、はたから見てこの世界の常識について質問する俺の姿は異質であっただろうが、水影さんはただただ俺の質問に答えてくれた。本当にいい人だと思う。

 

暫くして今現在抱えている疑問全てをぶつけた俺は、恩は返すとだけ告げて帰路につき、帰り道に偶然見つけて何故か気に入ったパイプ(喫煙具)のようなものと何冊かの日記を購入し、そして現在に至る。

 

取り敢えず今日起きた出来事をまとめて書きたいから日記でも書こう。日付は………空白でいっか。

 

 

 

 

月 日

 

早速だが今日知った知識について箇条書きでまとめようと思う。

 

・この世界には忍びと呼ばれる者達が山ほどいる。

・忍び五大国と呼ばれる大国(火の国、雷の国、土の国、風の国、水の国)があり、それぞれの大国には隠れ里と呼ばれる忍びが生活する里(木の葉隠れ、雲隠れ、岩隠れ、砂隠れ、霧隠れ)がある。因みにここは水の国の霧隠れだ。

・そのほかにも小国はある

・五大国にはそれぞれ長となる◯影と呼ばれる存在がおり、水影さんは水影らしい(自称)

・忍びはチャクラと呼ばれる摩訶不思議な力を使って術を使ったり、水面を走ったりする

・その際に印と呼ばれる、術を出すためのトリガーとなる動きが必要である

・印と呼ばれる指の動きは全部で12個あり、それぞれに十二支の名前を当てはめて呼んでいる

 

他にも色々とあるが特筆すべきはこんなもんだろう。中々に情報は集まったと思う。

うん、書いていて思ったが中々にアレだな。何と言うか、現代人が望む世界だな。多分こんな設定の漫画が元いた世界にあったら世界中でヒットしそうだな。まあ実際にその世界にいる以上は他人事じゃ無いんだけどね。

 

取り敢えず今日は疲れたからもう寝よう。今日買ったパイプのようなものの使用用途とか模索したかったけどそれは明日に回すことにする。

 

明日はいいことあることを願って、おやすみ!!

 

 

 

 

★★★★★★★★★★★★

 

目を覚ますとよく分からない空間にいた。

寒いようで、暑いようで、暖かいようで、そんな感じのする不思議な空間だ。周囲には何も無い。一面真っ白のキャンバスのような、唯只管に白い空間が広がっている。

 

「………ん?」

 

そんな不気味な空間で、僅かに違和感を感じた方へ視線を向けよく目を凝らせば、何かがいた。

それは、何と言うかうまく言葉では言い表せないナニか。強いて例を挙げるとするならば、ナメクジだろうか?そんな生物がポツンと佇んで静かに俺を見ていた。

 

気になってそちら側に足を向け、ゆっくりと歩く。ここが夢なのか、はたまた別の異世界なのかは分からないが、少なくともこの足は俺の意思で動いてくれた。

短いようで長い距離を、早いようで遅いスピードで歩くと、先ほど見たときは手のひらくらいの大きさしか無かったナニかは、俺の身長を優に超える山のような巨体をもって俺の進行を妨げる。その目は相変わらず俺を静かに眺めていた。

 

沈黙が空間を支配する。……そう言えばここ迄歩いてくる時も足音1つしなかったな。意識して足音を忍んだ訳でも無いから、もしかしたら元々そういう空間なのかもしれない。

 

「………」

「………」

 

流石に気まずくなってきた。ってか首が痛い。

取り敢えず自己紹介でもしてみるか?うん、それが良いな。爺ちゃんも自己紹介すればみんな友達って言ってたし。

 

「俺はウタカタ。お前は?」

「……俺が、怖く無いんけ?」

 

頼むから会話してください。これでも結構な勇気を振り絞ったんです。

それと、怖く無いのかだって?この世界が何なのかは分からないが、仮に俺の夢だとしたならば怖いわけがない。だってそうだろ?自分の想像上の生物を怖いと言うのはあまりにもバカらしいじゃないか。

だから怖くない。むしろアレだな

 

「愛嬌があって良いと思うぞ」

「そうけ…」

 

褒められ慣れていないのか、少し照れ臭そうにする姿はやっぱり可愛い。仮に他のやつが気持ち悪いと言おうが関係ない、少なくとも俺の世界は俺の主観で成り立っているのだから、俺が良いと言えばそれで良いんだ。

 

「俺やよ、犀犬(さいけん)ってんだ。よろしくな、ウタカタ」

「こちらこそ宜しく頼む、犀犬」

 

握手なのだろうか?家の1つや2つくらい軽く潰せそうな白い手?を差し出してきたので、俺もすぐさま右手を上に挙げる。

まあ、大きさの違いすぎるお互いの手で握手なんて出来る筈もないので結局は拳を合わせるような形になってしまった。これはこれでカッコいいのでありだと思う。

 

そのあとは随分と長い間会話をしたと思う。鮮明に思い出せるが、どうも夢見心地なため実感がイマイチ湧かないのが本音だ。

 

ただ最後に聞こえた「ウタカタは俺が守るけんね」という言葉だけは妙に耳に残った。

 

 

★★★★★★★★★★★★★★★

 

月 日

 

不思議な夢を見たが、その影響だろうか?今日は随分と調子がいい。

 

そんな訳で昨日保留にしておいたパイプのようなものの使い道を探ろうと思い、取り敢えず息を吹き込んでみたらシャボン玉が出た。え?何で?

急いで口を離し中身を確認してみたが石鹸液のようなものは無い。え?本当に何で?

まあ忍術とかいうとんでもなものがある世界だから石鹸液なしでシャボン玉が出てもおかしくは無い……のか?

結局原因は分からなかったが、楽しかったしまあ良いだろう。

ただ夢中になって遊んでいたら酸欠で倒れて、またあの夢を見た。

そして、「無茶し過ぎなんよ」と犀犬に笑われた。うるへー、まさかぶっ倒れるとは思わなかったんだよ。

 

 

取り敢えず今後の目標を立てよう。

1つは、自分の身は自分で守れるように強くなる

2つ目は水面を走れるようになる

最後に、シャボン玉を霧隠れの里を覆い隠せるくらい大量に出せるようになる、だ。

 

え?忍術はやらないのかって?まあよく考えて欲しい。例えば人が突然魚に転生したとしよう、エラ呼吸ができると思うか?

つまりはそういう事。生まれがこの世界ならまだ何とかなったかもしれないが、何も無い平凡な世界から生まれ変わって来た俺にはチャクラの仕組みなんてサッパリだ。だから早々に諦めるに限る。

え?じゃあ水面を走るのは良いのかって?それはアレだ。今日犀犬に相談したら何とかしてくれるって言ってたから大丈夫だ。

 

よし、もう寝よう。明日もいいことあると良いな。

 

 

 

 

月 日

 

今日も今日とてシャボン玉を飛ばしまくる。昨日少しは学習したので一度にバカみたいに飛ばすような愚行はしない。

ただ何というか、シャボン玉を飛ばす度に俺の中の何かが削れているような錯覚に陥るのは何でだろう?まあ気のせいだと思うけど。だって暫くしたらすぐ回復するし。

それと水の上を走る練習を始めた。正直何をどうしたら良いのか全く分からないが、犀犬が色々教えてくれたので割と出来るようになった。

やっぱあれだな、一回自分の体で体験してみるとコツとかって分かってくるものだな。

俺の体を少し貸してくれと言われたときはちょっと、かなり焦ったが今となっては感謝の言葉しか出ない。

それと結局犀犬は俺の妄想ではなく実在するものだった。色々ツッコミどころはあるが多分この世界はそういう世界だから、うん、もう諦める。

 

 

 

月 日

 

今更気付いたが俺の作ったシャボン玉がシャボン玉っぽく無い。

風に飛ばされないんだ。

いや、本当にどうしてだろう。この世界に元の世界の常識を当てはめるのはもう諦めたがこればかりは譲れない。物理法則を無視するのはやめてくださいお願いします。

 

けど、指を動かすとそれに合わせて動くのは素直に感動した。早速の掌返しだが、そういうのって異世界っぽくてなんか良いだろ?だって複雑な軌道を描いてもちゃんとそれに合わせてシャボン玉が動くんだぜ?最高じゃね?

 

しかし楽しいことばかりでも無かった。そう、俺は見てしまった。風も俺の指示も無視して飛んで行ったシャボン玉が途中でぶつかった岩をデロデロに溶かしていたのを。

ヤベエな。何がやばいってあのシャボン玉を作ってるのが自分だってのが一番ヤバい。まあ、人に当たってないからセーフだよね?うんセーフセーフ。

取り敢えずこれからシャボン玉を飛ばすときはなるべく人気のないところでやろう。

 

 

 

★★★★★★★★★★★

 

昨日決めた通り人気の全くない場所でシャボン玉を飛ばしております、どうも俺です。

今日は風も無いし、絶好のシャボン玉日和ですね!!

 

しゃーぼんだーまーとーんーだー♬やーねーまーでとーんーだー♫やーねーまーでとんでー♪こーわーれーずー消えてった!?え?何処?どこ行ったの!!?あのシャボン玉割とシャレにならない時があるからマジでヤバいって!!

 

いや、落ち着け!!焦っても良いことは無い。まずは一服。ふぅ。あっ、やべ、またシャボン玉飛ばしちまった。

まあ飛ばしてしまったものは仕方ないから折角だしその行方を追ってみよう。

 

そんな訳であいも変わらず風も無いのに何処かに行ってしまうシャボン玉を足元に気をつけながらゆったりと追いかける。この辺一帯は霧のせいで割と視界が悪くなる時があるが、今は快晴。見失うことは無いだろう。……多分。やべえ自信ない。

 

 

 

 

さてさてかれこれ十分ほどシャボン玉を追いかけているが未だに割れる気配がない。ってかさっき木に当たったけど逆に木が腐敗したんだが……き、気のせいだよね?あとなんか後ろから追いかけられてるような感じもするんだが……そういえば今って戦争中だって水影さんが言ってたような………。

やべえよ!!めっちゃやべえよ!!嫌な予感しかしないんですけど!!取り敢えずシャボン玉大量に飛ばそう!!上手くいけばそれを見てほっこりしてくれるかもしれない!!そうでなくとも目眩ましくらいにはなるよね!!……なるよね?

 

いや!!俺はシャボン玉の無限の可能性を信じている!!刮目せよ!!これがシャボン玉の全力だぁぁぁぁああああ!!!

 

 

 

月 日

 

全力でシャボン玉を作ったら大量のシャボン玉とかなり大きなシャボン玉が出来たからやべえ!!これもしかして乗れるんじゃね(笑)という感じで飛び込んでみたらマジでシャボン玉に乗れた件について。ちょっと何言ってるか分かんないですね……。

マジで何でもありすぎるだろこの世界……。

まあなんだかんだ言ってシャボン玉に乗って空を飛ぶのは子供の頃からの夢、というほどでも無いが出来たら良いな〜くらいには思っていたので貴重な経験が出来たとは思うけど。

風に乗って(乗っているとは言っていない)まったりとした時間を過ごすのはなかなか有意義だった。

今が戦争中じゃなきゃもっと良かったんだけどね!!だって目に入る景色、10秒に一回くらいのペースで爆発してたし!!

それと、空から霧隠れの里を見てみたら里の周囲をシャボン玉が漂っていたのだが……俺のじゃ無いよね?ち、違うよね?そうだよね?きっとアレだ!!この里には俺みたいな遊びとは違って忍術でシャボン玉を作り出す人がいるんだ!!

だからあのシャボン玉もきっとその人のやつに違いない!!

ようやく謎が解けた。つまりはあの木を腐敗させたり岩を溶かしたりしてたシャボン玉は別の人のやつだったんだな。成る程、これで気は晴れた。明日からは気楽にシャボン玉が飛ばせるぜ!!

 

それと乗っていたシャボン玉が割れたと思ったら気付けば家に居たんだが……。え?何で?この世界何でもありすぎじゃね?

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

「水影様!!」

「……なんだ?ノックくらいはしろ」

 

そうは言ってみるが現在進行形で戦争を行なっているこの時代、ノックの時間すら惜しいと思うのは当然かもしれないが、最近になって戦争とは違う新たな悩みのタネを抱えてしまっている水影は思わず悪態をついてしまう。

 

「また例の少年が……」

「ウタカタか……」

 

数日前に水影室を訪れた人柱力の少年にして現在水影の抱える最大の悩みのタネだ。

 

「今度は何を?」

「はっ!!霧隠れに潜入して居た敵国の忍びを誘導、その後自身の忍術で撃退しました」

「……敵は?」

「岩隠れの上忍で、女子供関係なく命を狙うかなり凶悪な男です。岩隠れからもマークされていたようですし…」

「……はぁ」

 

頭が痛い、素直にそう思う。

それは件の少年が勝手に行動したのもそうだが、年端のいかない少年までも巻き込んでしまった自分自身の不甲斐なさに因るところが多い。

このご時世、幼いとはいえ能力があるのなら戦争に出すべきではという意見もあるが、水影ーーいや、やぐらとしては大人達が始めた戦争に子供を巻き込みたくないのが本音だ。

もっとも上役達の中には彼を戦場に出すべきだーーそれも1人の忍びとしてではなく人柱力、つまりは人間兵器として戦場に送るべきだと主張する者も多いのもまた現状ではあるが…。

 

「『恩は返す』か。全くあいつは一体どれだけの恩を貰った気でいるんだか…」

「水影様?」

「いや、なんでも無い。それで?例のシャボン玉については何か分かったか?」

「いえ、未だに解析が続いています。それにしても一体何なんでしょうか?敵に対してのみ反応し攻撃する忍術など聞いたこともありませんよ?」

「俺もだ…。それに強い酸で溶かすこともあるそうじゃ無いか、だとすればひょっとすれば……」

 

ひょっとすれば、既に六尾の尾獣との和解が成立しているのかも知れない。そう言いかけたが直ぐに口を噤む。

万が一にもこれを上役達が聞けばウタカタを戦場に出そうという意見はますます勢いを持つ、それは危険だ。ウタカタの身も、霧隠れの里も。

 

「?」

「何でも無い。引き続き解析と周囲の警戒を続けてくれ」

「はっ!!」

 

黄色い閃光。三忍。両天秤。

これから先、戦場はますます激化していくことだろう。最近になって入った情報では木の葉の白いキバの息子がその才能を発揮し始めたとも聞く。

 

「俺も……そろそろ三尾をこの身に宿す覚悟を決めなければな」

 

そうしなければ、恐らくそう遠く無い未来にウタカタが戦場に送り込まれることになる。それだけは阻止しなければ。人柱力だからという理由で人々に疎まれ涙を流して尚、自分への恩のためにこの里を守ろうとするあの少年にこれ以上背負わせるわけにはいかない。

強い意志を持った瞳で未だに終わりの見えない戦場を強く睨みつけ、静かに決意を固める。

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

月 日

 

シャボン玉に乗って遊覧飛行ができることを知ってしまったらやっぱやっちゃうよね!!っという訳でシャボン玉に乗って外を探検しました!!

 

割と何でもありな世界だが意外や意外、空を飛ぶ技術は無いみたいで戦場の真上を飛んでいるというのに誰とも接触することは無かった。まあ俺に戦場をみてニヤニヤ笑う趣味は無いし、ただ、必死な表情で殺し合いをさせられている人たちに少しでも心安らぐ時間を提供できたらな〜という思いでシャボン玉を飛ばしている訳なんだが…。

 

ただあまりにも多くのシャボン玉を飛ばしすぎたせいか何人かはこっちを見てきたけど、子供のやったことだからか?見逃して貰えた。

何人かの目の赤い人や目の白い人は驚いた顔でこっちを見てきたが、すぐにシャボン玉で見えなくなってしまった。あれは何だったんだろう?やっぱ空を飛んでるやつは珍しいのかな?

まあシャボン玉で空を飛んでたらそりゃ驚いた顔にもなるわな。

 

それと今回もシャボン玉が割れたと思ったら気付けば自宅にいた。シャボン玉が割れるほんの数瞬前に妙な形をしたクナイ?みたいなのが飛んできたけど体に怪我は無いから、きっと気のせいだね。

 

さて、じゃあもう寝よう!!今日も犀犬とお話だぜ!!

 

 

 

 

 




シャボン玉「我々が」犀犬「ウタカタを守るけんね」

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