ーーっというわけで主人公、お前生贄な
主「え?」
月 日
リンちゃん達を送り届けて、その途中で何故か霧隠れの忍びに襲われて……だめだ、そっから先はどうも思い出せない。
何となく、こう、犀犬と一体化して大暴れしたような記憶があるんだが、鮮明に思い出せない。まあ俺は生きてたし、さっきシャボン玉で確認したけど無事にリンちゃん達も帰れたみたいだから別にいっか。
うん、終わりよければ全て良しって言うしな。万事オケェ!!だ。
月 日
何と言うか、1人っきりの我が家っていうのは寂しいな。
水影の話によればもうじき戦争も終わるらしいから、戦争が終わって暫くしたらリンちゃんに会いに行こうかな?うん、我ながらナイスアイディア!!ついでにこう、なんて言うの?20歳になったらやる予定の1人旅の予行演習みたいなのもしよう。
本番は自分の足で歩いて回るつもりだけど、今回はシャボン玉で飛んでいけばいいよね。
そうと決まったらそれまでにできることは片っ端からやっていくか!!
取り敢えず体鍛えて道中仮に山賊にでも襲われた時に対処できるようにはしておこう。よし!!っというわけで明日からは犀犬にでも頼んで修行(笑)だ!!
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「やはりか」
数日前、ウタカタから来たのはらリンという捕虜に関する情報。
それについて詳しく調べてみた結果出て来たのはここ最近行方をくらましていた上忍数名についてだった。
実力は高く、その人柄も霧隠れでは珍しいほどによく出来た忍び達である。それが水影である自分に何の報告もせずに捕虜を捕らえる?あり得ない。
っとなれば疑わしいのはやはり幻術。それも彼らほどの手練れを操れるほどとなると候補は必然絞られる。
だが、
(疑わしいのはうちはのもつ瞳術。だが木の葉の忍びが木の葉を襲わせるか?)
それは、違う。仮に木の葉の内情がどうであれ、この戦時中にわざわざそんなことをするのは単なるバカのすること。
たとえうちはの忍びが木の葉に不満を抱いているのだとしても動くのなら戦争が終わった後、疲弊しきった所を狙う方が余程安全で確実だろう。
だとすれば、この一件。相当に闇が深い。
そしてウタカタは
(そのことに気付いている)
だからこそあいつはわざわざ連絡用のシャボン玉を飛ばした。それもいくつかのフェイクを混ぜた上で。
そして自身は単身、のはらリンの護衛につき木の葉まで無事送り届けた。あの少年が何を何処まで知っているのかはまだ分からないが、恐らく彼が出なければならない程の事件
(事実あいつは尾獣化したと聞く、それによって彼女達を守り、同時に各里に告げたのだ。『尾獣を完全にコントロール出来る俺がいる』と)
事実それによって各里は戦争から手を引き始めている。
当然だ、雲隠れには1人尾獣を操れる者がいると聞くがその実力は天と地ほど離れたもの。
さらにいえば六尾は毒ガスや強酸といった特殊な攻撃で戦う存在。
それに勘のいいものは気付くだろう。木の葉の手練れに重傷を負わせ撤退させた噂の水遁使いが、六尾を完全にコントロールする人柱力であることに。
それほどの忍びが本腰を入れて戦場に出てくれば、被害はこれまでの比では無い。だからこそ各里は戦争から手を引かざるを得ない。
だが、何かが引っかかる。あの少年程の忍びが、ただ戦争を止める為だけに態々姿を見せるようなことをするだろうか?
それはつまり
(今起こっている大戦よりも遥かに恐ろしいことが待ち構えているとでも言いたいのか?)
そしてそのためには、すべての忍びが手を取り合わなければならないと。
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月 日
戦争が終わってから早一年。俺は6歳になった。
世界は大分安定して来たみたいだし、そろそろリンちゃんに会いに木の葉隠れまで旅行しようと思う。
シャボン玉を使っても大体3、4日かかるようだけど、まあたまにはそういう長旅もいいね!!
っというわけで今日は早く寝て明日に備えよう!!
あっ、そういえば歩くの面倒だったからシャボン玉飛ばして水影と連絡をとって明日から木の葉に行くって言ったら何故か神妙な顔されたんだけど何でだろ?
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っというわけでやって来ました空の旅!!いやあ快適快適!!
流石に道中ずっとシャボン玉の中で寛ぐのもあれだから時たま仙人モード(笑)とかになってはいるけどね?自然エネルギーを練るのはもはや日課みたいなもんだから。むしろ暇つぶし?だめだ、それ言ったらカツユさんに怒られそう。
けど、3日もシャボン玉でプカプカするのって意外にしんどいなぁ。
犀犬と喋ってたらそうでも無いか?だめだ分かんねえ。取り敢えずシャボン玉飛ばしとこう。
特に仙人モード(笑)中のシャボン玉ってなんかいつもとは違う感じがして、飛ばしてて楽しいし。
あー、漸く火の国が見えて来た。ただ飛んでるだけとはいえ流石に疲れて来たし、なんかオアシスにすら見えて来たよ。
まあまだもうちょい時間かかりそうだし、暇つぶしがてら自然エネルギーでも練っとくか。最近だと3秒とかからず仙人モード(笑)になることが出来るようになったしな。っと言っても殆ど犀犬のお蔭だけどね!!ほんと犀犬様様ですわ〜
「……ん?」
仙人モードになって分かったが、なんか物凄くヤバそうなのが高速で木の葉に向かってるんですけど、え?何あれ?
取り敢えずシャボン玉でも飛ばして一息つこう。
きっとあいつはアレだ、任務が終わって愛しの妻子に会わんと全力ダッシュする親バカだ。だからきっと関わったらマズイ。具体的には見たこともない悪人ヅラでニヤ、じゃなくてニヤァくらい笑って襲いかかって来そう。
っとか思ってたら突然立ち止まった。何?どうしたの?
そんでもってこっちを見てニヤァと笑ううううううううう!!やべえ!!やべえのに見つかった!!何だあのクレイジー野郎!!何でこっち見んの!!1キロくらい離れてますよね?目があったよ!!シャボン玉で視力強化してる俺と目が合ったよ!!!しかもこっちに接近してるううううううう!!!!
誰かあああああ助けてぇぇぇええええ!!
って火が飛んで来たっァァアアあああ!!!!シャボン玉割れるうううううう!!
やべえもう笑うしかねえ。何とか別のシャボン玉に移動したけど、それが運悪く木の葉近くの森の中を彷徨ってるやつだったから実質下に降りたも同然なんだよね。
やべえええ来てる!!クレイジーが来てるうう!!
「見つけたぞ、仙術を扱う小僧」
ぎゃアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!出たアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
「またしても俺の計画の先を読んだか、面白い!!九尾より先に貴様を仕留めてくれる!!!」
何でええええ!!!!いけよ!!九尾さんのところ行けよ!!待ってるよ?きっとあなたの帰りを待ってるよ!!
取り敢えず逃げます!!そりゃもう全力で!!スタミナなんか気にせずに『何処でもシャボン玉』連発してやる!!
そうして始まりましたリアル鬼ごっこ!!何でだろうね、こっちは仙人モード使って、犀犬さんの力借りてるのに何であのクレイジーサイコ野郎はついて来られるんだろうね!!
「いいだろう、その誘いに乗ってやる」じゃねえよ!!誘ってねえよ!!帰れ!!木の葉に帰れ!!もしかしてお前ホモか!!クレイジーでサイコなホモなのか!!悪いがホモは帰ってくれえええええ!!!!
あっ、なんか光が見えて来た!!!森を抜けた先に滝があるよ!!そこだ!!そこに行こう!!あとは水に紛れて何とか逃げよう!!ってか現状それしかない!!イッケエエエエエ!!
「ほう、ここは。成る程、なかなかいい趣味をしている」
っとか考えてたらいつの間にか先回りされていた件について
何で既に向かいにいるんですか!!ってかお前が乗ってるその石像のようなやつ随分とあなたにそっくりですけど?え?同一人物?ハハッもう笑うしかねぇ。
「さて鬼ごっこも終わりだ。さあ戦いを楽しもうか!!!」
ご勝手にして下さい。って言っても無駄ですよね?知ってた。取り敢えず先手必勝のシャボン玉目眩し!!ってか俺にはシャボン玉しか無いんですが此れ如何に。
「俺に幻術は効かん!!」
いいえ現実です。
ってか幻術なんて使ってないんですが?何を勘違いされていやがるんですか?むしろこの現状が幻術であって欲しいよ!!割と切実に。
まあ願ったところで現状が現実なんだけどね(泣)ってかまた火を吹いて来たぁあ!!けど、何処からともなく現れた犀犬の尻尾と、周囲を舞っていたシャボン玉が鎮火してくれた!!ありがとう犀犬さん!!俺一生あんたについて行くよ!!
それに今周囲にはシャボン玉が蒸発してできた蒸気が溢れている、よし!!この隙に逃げよう。全力で!!
っというわけで犀犬さん!!力貸して下さい!!
《尾獣化やね、任せとき》
え?尾獣化って何?
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「ほう、尾獣化したか」
一部を尾獣化して攻撃を加えてきた時から予感はあった。
そして案の定現れた山よりも大きな化け物を前に戦意は萎えるどころか益々高まっている。
柱間ほどの多彩さは無い、だが柱間同様仙術を扱い、印も結ばずにあらゆる忍術を扱うあたり、期待は出来る。
(強酸、強アルカリ、毒液、更には幻術作用のあるもの。成る程、並みの忍び、どころか手練れであろうとこのガキの前ではまるで歯が立たんだろう。それにこれほど多彩ならば封印術の1つや2つ持っていてもおかしくは無い。迂闊に突っ込めばまず間違いなく封印されるだろうな…)
さらに加えるなら最強の瞳術である万華鏡写輪眼をもってしても見極められないほどに練度が高い。
歴戦の猛者であるマダラだからこそ、その膨大な戦闘経験からくる勘で対処出来るがそれもそろそろ怪しくなって来た。
(戦闘の最中に成長するか、面白い!!)
穢土転生体になった事で大幅に弱体化したとはいえ、その忍術体術が全て一級品のマダラ。
その彼が最も得意とする【火遁・業火滅却】を防ぎ切るほどの水遁を当たり前のように使いこなすその腕前、恐らくあと数年もすれば自らの全盛期にすら迫る。そう確信させる何かを少年は持っていた。
「面白い!!面白いぞ小僧!!!ならば今ここで!!生き延びてみせろ!!!!」
もちろん、だからと言って見逃すマダラでは無い。今ここで死ぬのなら所詮はその程度の器でしかなかったと言う事。
だからこそ全力で殺しにかかる。たとえその結果自らを楽しませてくれる存在を失うことになるとしても。ここで生き抜いて、さらなる
一切の躊躇なく自身の持つ最強の技、完成体須佐能乎を発動させる
「ハハハハハハハハハハハ!!!………ッ!!何!!」
いつの間にか自身を覆い隠していたシャボン玉が次の瞬間には破裂し、気付けば何処とも分からない場所へと飛ばされていた。
(時空間忍術!!っということはあの尾獣化は俺に須佐能乎を使わせるためのフェイクか!!)
全てはあの一瞬、須佐能乎を発動させるためにマダラがチャクラを練るその一瞬の隙を作り出すためのもの。そしてそれまでに作り出していた水遁忍術も恐らくははあの一瞬を生み出すための伏線。
あの滝ーー柱間とマダラの最後の戦いの地まで誘導したとき、あの少年は確かに時空間忍術を使っていた。だがその移動距離は大したことはなく、せいぜいが近場にある別のものへ移動する程度しか出来ないと思い込んでいた。
だからこそ警戒しなかった。いや
(警戒させなかったと言うのが正しいか)
恐らくはあの少年はここまでを計算していた。
思い返せばそうだ、九尾捕獲のため出産日である今日を狙い木の葉を襲撃しようとしたマダラを、あの少年は自らを囮にすることで誘い出しのだ。
それもご丁寧に、ゼツにかけられていた幻術に練られた仙術と、全く同じものをその身に纏って。そうすれば確実にマダラの意識がそちらに向くと理解した上で。
そうして誘い出した少年は戦いの最中マダラに示したのだ『俺がいる』と。
里という1つの組織ができるまでの間、血で血を洗う戦乱の時代を生きたマダラからすればこの時代に生きる忍びはただのゴミでしか無い。何の面白みも感じさせない、だからこそ当初はオビトを使って月の目計画を進めようとした。
だが現れた。嘗ての柱間を彷彿させる忍びが。
戦闘狂であるマダラを何処までも興奮させる才能が。そしてその才能はまだまだ伸びる、それこそ敢えて生かそうとマダラが本気で思った程には。
マダラの望む計画の一番の弊害になると分かった上で、それでもなおマダラに流れるうちはの血が、戦闘を望む血が、少年との再戦を望むことに一縷の望みを抱いて。
そして少年は賭けに勝った。
マダラとて計画を辞める気は無い。だが同時に、無意味に計画を急ぐ気もまた、ない
少なくともあの少年がいつか自身と対等なステージに立つその日までは……
「ウタカタァ……!!」
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生きてる!!!俺生きてるよ!!頑張った俺超頑張った!!!
あのクレイジーサイコホモを覆い隠したシャボン玉が割れたと思ったら、姿が消えてた時はマジで焦ったよ!!だってそうだろ?目の前にいるのもめっちゃ怖いけど、いきなり消えたら正直その比じゃ無いくらい怖いじゃん!!
犀犬が大丈夫って言っても30分くらいはずっと警戒してたし!!
そのしばらく後くらいかな?なんか武装した爺さんがやってきて『このチャクラ……まさかうちはマダラの!!』っとか言ってたけど
何知り合いなの?あのクレイジーサイコホモの知り合いなの!!?だとしたら割と全力でなんとかしてください!!!警察!!警察に連絡して!!!
え?木の葉じゃ警察はその うちは がやってるの?『こいつです!!お巡りさん!!』が『こいつ、お巡りさんです!!』になってんの?
ふざけんなじじい!!そんなクレイジーな奴にお巡りさんやらせちゃマズイだろ!!!捕まった犯罪者に同情する気は無いが、それでも同じ男としてホモに見張られて一睡も出来ない奴には『うわぁ』ってなるぞ!!
取り敢えず俺への謝罪として一泊させてくださいお願いします!!出来れば女性のいる部屋で!!暫くは若い男性とは顔も会わせたく無いんです!!若干の男性恐怖症なんです!!!嘘ですガチで男性恐怖症なんです!!!
月 日
や☆ど☆!!!
日記を書けることがこれほど幸せなことだなんて思わなかった!!嬉しい!!嬉しいよ!!!本来なら今日を俺にとっての特別な日にしたかったけど、やっぱあのクレイジーサイコホモと出会った日でもあるからやめた。
だってあのホモと出会った日を特別な日にしたく無いじゃん!!分かってくれるよねこの気持ち!!
しかもリンちゃんと同じ部屋にしてくれた!!ありがとうジジイ。けどやっぱ相対的に見てマイナス方面突っ切ってるから許すことは無いからな!!
さて、無意味にテンションを上げてみたがもう無理。疲れた。寝る
月 日
火影室とかいう場所に連れていかれてなぜか礼を言われたんだが……なぜ?
助かったって何?もしかして……あくまで推測だけど、お前ら自分の身可愛さにあのクレイジーサイコホモに、このいたいけな少年の体を生贄に捧げた?助かったってもしかしてそういうことか?おい…おい!!ふっざけんなコラァアア!!俺がどんだけ怖かったと思ってんだよ!!!
『君は既に知っていると思うが、今日は俺の妻の出産日でね…』っじゃねえよ!!そうだね!!確かに出産日に夫が別の男に掘られているとか悪夢以外の何でも無いよね!!けどやっていいことと悪いことがあるだろ!!!こっちはまだ、あくまで体は齢6歳のガキだぞ!!
もういい!!礼をさせてくれとか言われたけど知らない!!そんな礼なんていらない!!帰る!!霧隠れに帰る!!
けど出来ればその前に美人の多い里を教えてくれませんか?
あっやらしい意味じゃ無いですよ?あくまで療養のためです。主に男性恐怖症を治すための。
副題(主人公、早くも男性恐怖症を患った模様)っでお送りしました。
まあ原作死亡キャラを救えたから、いいよね?うん。主人公は犠牲になったのだ。
そしてこれからも犠牲になって貰おう。次は……オカマの蛇かな?
主「え?」