勢いで書いたのでなんかおかしいところあったら御免なさい。
一応、シナリオネタバレ注意です。
古くからの戦友、ウェルダーとその故郷で起きた事件。
500年前から時を超えて現われた、覇空戦争の負の遺産。
それは、一人の少年と星晶獣の間に育まれた絆、
彼らを思う良き村の人々。
どういう訳か気まぐれを起こした帝国の皇帝とそのペット。
そして、幸運にもこの事件に立ち会えた僕たち騎空団の手によって、どうにか一つの執着を得た。
全てが完全に上手く終わった訳では無い、だがそれはこれからの旅でどうにかする希望がある。
幸い、元から果てなどあってないような旅の友なのだ、問題ない。
これはひとまず、この事件が収束を迎えたことを村に報告し、それを祝う一晩めの宴で行われた会話。
「やれやれだぜ、まさかこんな盛大な宴をこんなに早く開いて祝うなんて、この村の連中、もしかしてザンクティンゼル並に元気なんじゃ無いか?なあ、グラン。」
平時の依頼と比べれば、困難は多くとも助力も多かった昨日の日。
実は割と疲労していたグランは、他の団員より一歩先に宴を抜け出してきていた。
そして、ビィもそれに着いてきた。
「ははは...そうかもしれないな。流石はウェルダーが育った村というか...ウェルダーの性格を作った一因というか。」
「ジャスミンもあれでかなりおてんばなこと多いし、ここはきっとそういう土地柄って奴なんだぜ!ま、そんな所だからこそ、オイラ達も今こうやって笑って過ごせてるんだろうけどな!」
戦いの疲労は確かに残っている。
フェンリルは拘束されていても強力な星晶獣だし、ジェイドも内からの抵抗があったとは言え、決してあの力はこれまで闘った大星晶獣にすら引けをとっているとは思わなかった。
だが、決してこの疲労を不快には思えなかった。
これまでの旅、決していつも今回のように上手く運んできたわけでは無い。
辿り着いた時には既に多くの犠牲者が居たこともある。
事件が起こった事に気がつくのが遅れ、後手に回ったことなど数知れない。
あるいは、解決したと思い込んだそれに足を掬われたこともある。
そして、問題の解決を見たというのに、すっきりはしなかったことさえも。
そんな中で、これまでに無いほどの理不尽な環境、残酷すぎる運命の悪戯を、これでもかと言うほどにはね除けてしまえたのだ。
それも騎空団の持つ高い戦力による力尽くの収束ではない。
ウェルダーとジェイド、二人が築き上げたものが、星の民のおぞましい研究が生み出したそれを上回る形での勝利だ。
こんな爽快な気分で迎える依頼の成功など、そうそうあるものでは無い。
「なあグラン、いや相棒。」
そんな事を考えながら、グランが物思いにふけっていると、ビィが突然、神妙に切り出した。
「...なんだ、ビィ。」
そう聞き返す。
実は、グランはこの時点で少しビィが言おうとしていることが少し分かっていた。
「ウェルダーとジェイドは...オイラたちと本当に同じなのかもしれねぇな。」
「...もしかしたら、僕たちもウェルダーとジェイドのような戦いに挑まなければ行けないときが来るかもしれないな。」
今回の事件は、空の民と星の民の間に遺されていた因縁の再表面化だ。
その時期が偶然今だったというだけで、これはどうあっても必ず訪れる事件だった。
ビィは、ただのトカゲのような生き物では無いということは確実だ。
そしてルリアも、きっとこの世界の大きな秘密をまだまだ抱えているだろう。
...あるいはグランも、グラン自身でさえ分からない何かを背負っているかもしれない。
遙かな過去から訪れる試練は、自分たちにも迫っている。
そしてそれは、今回の事件よりも更に困難なもの。
そんな気配をビィとグランはひしひしと感じ取っていた。
「ビィ、不安になったのか?」
グランはビィに問いかけた、かつて、ザンクティンゼルで何かを封印していた祠を開ける際にも、ビィは怖がっていた。
そこにはビィ自身でさえも覚えていないビィの何かが。
伝説的な力を誇った父が封印した何かが眠っていたから。
グランでさえも、それの底知れ無さに畏怖したものだ。
「うんや?そうじゃないぜ、グラン。」
だが、今のビィからはその気配が無かった。
むしろその表情には...
「なあ、グラン。オイラと、お前。そしてウェルダーとジェイド。どっちの繋がり、絆って奴が強いと思う?」
「...そんなの、一概には言えないけど。でもまあ、負けてるとは思わないかな。」
「そうさ、だからオイラは安心したんだ。たとえ、星の民って連中が、覇空戦争の歴史が、オイラの過去が、オイラが。無茶苦茶やばいものを今に運んで来ちまったとしても。」
ビィはいつもより空高く跳び、僕のグランの上から自信満々に言った。
「お前とオイラならあいつらみたいになんとかできる、そう思ったんだよ、グラン。」
グランとビィの関係は、グランが生まれたときからずっと続いている。
物心付いた時にはもうビィはグランと常に一緒にいた。
幼い頃は、ビィはグランにとって兄のような存在だった。
その前からいろいろとグランの面倒を見ても居たらしい。
やがてグランが成長しても、実はなんだかんだで、グランはビィを頼りにしていた。
旅の中の困難で、ビィの激励は確実にグランの心に火を灯してくれていた。
どうしようも無いほどに悩んだとき、最後に相談相手として選ぶのは、やはりビィだ。
もしかしたら、今でも無意識の内に、ビィを兄のように頼っている節があるのかもしれない。
「...ははっ、全く。たまーにビィは年上らしい事言うなぁ。」
「おいグラン!それってもしかしてオイラがいつもはガキっぽいって意味かぁ!?せっかく良いこと言ったってのになんて言いぐさだよ全く!」
「ビィ。いや、相棒。」
「なんだよ、相棒。」
「これからも宜しく頼むよ、旅はまだまだ長い。頼りになる相棒無しじゃ、どうしようもないくらいには。」
「...ははっ、全く。図体はでかくなってもグランはグランだな。あたりめえよ!まだ空の果ての親父さんにすら会ってねえんだ!オイラがお前の相棒やってやらなくっちゃあな!」
きっと、昨日のことも今日のことも旅の中で思い出になる。
行こう、空の果てへ、まだ見ぬ世界へ。
そこに待ち受けているものがどんなものであろうとも、自分たちにだって乗り越えられない筈は無いのだから。
さあ、グラブル!