ドラクエ3 勇者は出来れば楽をしたい   作:半生緋色

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可笑しい、俺はヒロアカの小説を書き始めていたはずだったんだ。でも気がついたらこっちを書いていた。
な……何を言っているのかわからねーと思うが 
俺も、何をされたのかわからなかった…


それが王様のすることかよぉ!

「あー……此処ってこんな広い街だったんだ」

 

「どうしたの? アレルはいつも見ているじゃない」

 

「いや、今日でここから旅立つと思うと、少しだけ感慨深いというか……」

 

 母の後について家の階段を下り、玄関を抜けてみたアリアハンの町並みは俺が想像したよりもずっと綺麗で大きいものだった。それもそうだ。俺が今出てきた家と同じで、俺が知っているのはゲームの画面の中のアリアハンだ。あくまで画面に写っていたのはデフォルメされた町並みや室内なのである。ゲームでは明らかに住人の数に対してベットの数が足りなかったりするのは、其処まで描写してしまえばゲーム内の探索が面倒くさいだろうから仕方がない。

 

「……寂しいなら、まだ来年までこの町に居ていいのよ?」

 

 城に向かって歩き始めていた母が振り返って俺に言った。

 

「世界を出来るだけ早く救いたい。だから、それはダメだよ母さん」

 

 返す言葉に嘘はない。そもそもゲームの世界に来たことは納得するしかない現状だし、今のところ楽しんでいるのも事実だが、俺はまだ帰るのを諦めたわけではない。

 どうしてこんなことになったのか見当もつかないが、こういった事で元の世界に戻る一番王道な方法といえばゲームクリアすることだろう。確実とは言えないがその目標が立っている以上、俺は一年も水源のはずの井戸の底に一軒家があって、しかもやたらと人の出入りがあるこんな町に長居するつもりはない。あのメダルおやじの家のトイレどうなっているんだと考えただけで、一刻も早くおいしい水が飲めそうな町に移動したいものである。

 まあ、母さんが美人だし家には時々泊まりに返ってくるつもりでは有るのだけど。

 

「……そうね、ごめんなさい。私も決心したはずなのに」

 

「大丈夫、家には顔を出しに何度も戻ってくる予定だから」

 

「あらあら、心配しなくても大丈夫よ? おじいさん、ああ見えてまだまだ元気だから。でも時々顔を見せてあげないと」

 

 何故だろう、時々母さんと会話が噛み合っていない気がするのだが。そもそも前を歩く母さんが背負っている荷物は何なのだろうか? 家に出る前に聞いても笑ってはぐらかされるばかりだったし。もしかしたら、勇者が旅の途中持っている袋ってあれのことなのだろうか?それなら薬草99個や装備を山ほど入れれるのも少し納得できる。

 そういったことで少しだけ不安になるが、此処まではゲームの展開どおりだ。『おもいだす』では記憶に残った出来事しか思い出せなかったので街の風景などはあまりなかったのだが、それでも町の中に一際大きくそびえ立つ城に向かって進んでいるのは間違いない。そして見えてきた大きな橋。なら、このへんで……

 

「ここから真っ直ぐいくと、アリアハンのお城です。と言っても、あなたは城の兵士に剣技を学んでいたから今更でしょうけど」

 

 記憶通りの言葉に少しだけ言葉が付け足されている。これもまだ誤差の範囲だろう。

 

「なら、僕行ってくるよ。王様にはちゃんと挨拶するし、勇者として母さんの息子として失礼がないように…」

 

 そう思って、母さんの言葉を奪うように俺は先に声をかけようとするが。

 

「王様にはかあさんも一緒に挨拶しに行くわ」

 

 帰ってきたのは予想外の言葉だった。

 

「え?」

 

「なにかおかしいかしら?」

 

 いや、可笑しくはない。そもそも不自然ではない。だけど、ゲームでは一人で城まで行かせていた母が付いて来るという違和感に少しだけ戸惑う。これでは王様に会う前に城にいるメイドさんとお姫様にちょっかいが出せないじゃないか!

 こんな機会でないとリアルメイドさんをお目にかかることがないのに。それにお姫様だぞ! ゲームだったら簡単にお城に入れるけど、こうやって現実感がある世界ではそう簡単にお城に侵入なんてできないし、そもそも普段から裏庭で遊んでいるとも限らない。そんな数少ないチャンスを此処で潰してしまっていいのか? いや良くない!

 

「いや、母さん此処は僕が一人で……」

 

「……かあさんが一緒では何か問題が有るのですか?」

 

 間髪を入れずに母が笑顔で此方に逆に問いかける。とてもいい笑顔でだ。こんなもの断れるはずがない。

 

「あ……なにもないです。はい。」

 

「そう。なら、早く王様に挨拶しに行きましょう。時間も伝えてありますし、遅れてはいけませんから」

 

 そう言って、母は俺の手を掴み橋を渡りだす。少しだけなんだか恥ずかしい。というのも現実世界での俺は異性と手をつなぐことはもとより、母親と手をつなぐ機会なんてあまりなかったからだ。一般的な親子ならこれが普通なのだろうと納得して、俺は母に手をひかれながら橋を渡り王城へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして俺は今玉座の前で、威厳あふれるアリアハンの王に謁見している。

 

「よくぞ来た!勇敢なるオルテガの息子、アレル。そして、オルテガの奥方よ」

 

 恥ずかしい……。何だこれは、新手の拷問か!?ほら、王様だって流石に苦笑いですよ。

 此処に来る途中に出会った兵士たちもそうであったが、周りの兵士たちが此方を見る目が痛い。そもそも、そろそろ手を離してくれてもいいんじゃないか母さん!!

 最初は橋を渡るまで手を繋いでいるつもりだったのだが、王城の正門の前の兵士に用件を伝えるときに手を離そうとしたら、母さんが全く手を離してくれなかったのだ。

 

「謁見の件については、連絡を受けている。さあ、王様がお待ちだ。……が、何故母君まで一緒なのだ?」

 

 不審に思った門番の兵士も苦笑いを浮かべながら、そう援護射撃を送ってくれたのだが。

 

「そうだよ、母さん。王様にはやっぱり僕一人が……」

 

「息子の旅立ちに母が最後までつきそうことが悪いことでしょうか?」

 

 そう言って少し兵士を笑顔で睨んだ母の握る手に力がこもる。

 あれ、手が痛いよ母さん。ていうか、力強くないか? 俺一応勇者で男なんだけど。しかも此処に来る前に力の種一つ飲んできたんですが。この俺の筋肉は飾りだとでも言うのですか? ムキムキに見えて筋力Dだとでも言うのか。手よ、動け! 手よ、何故動かん!?

 

「あ、いや、そういうわけでは無く、元々上の方からは恐らく勇者一人で来ると連絡が来ていたのでな。少し待たれよ」

 

 何故其処で圧される門番よ。俺の記憶の中では、お前普通にこの城の中にいる兵士の中では上位の実力者だろう。元勇者の記憶の中ではそうなってるぞ! 此処は「流石にそれは許されない。王と会うのに保護者同伴は旅立ちの儀としても似つかわしくない。諦めて頂けぬか?」とやんわり諌める所だろう。

 そんな俺の心の声は届くこともなく、俺達にそう声をかけた門番はもうひとりの門番をこの場に残し、王城の中に入っていく。

 

「勇者アレルが保護者同伴で王に謁見を求めているのだが」

 

「はぁ、前代未聞だろう!? そんなことが許されるわけ……」

 

「だが、王が既にお待ちだ。一応大臣に判断を……」

 

「訓練の時は寡黙で黙々とトレーニングをしていたのに、まさかまだ母親離れできていなかったとは……」

 

 おい、聞こえてるぞ兵士たちよ。まあ、これは王城の扉が開きっぱなしなのも悪いが、お前達も慌てすぎだ。まあ、訓練された勇者はこれぐらいでは動じない。何故なら素数を数えているからだ。素数は1と自分の数でしか割ることのできない孤独な数字。俺に勇気を与えてくれる……。

 

「2……3……5、7、11……」

 

「どうしたのアレル? 顔が真っ赤だわ。旅立ちの日だというのに体調が悪いのかしら」

 

 此方を心配そうに見つめる母の顔。だから近い! そして、大体の原因は貴女のせいです。

 でも、まあ流石に大臣にまで相談すれば止めてくれるだろう。王様は勇者に50Gと棒と服しか旅立ちの準備で渡してくれないが、それでも大臣なら……俺達の大臣ならどうにかしてくれる。そう甘い考えをしていた俺にとどめを刺すように母が言葉を続けた。

 

「まだ帰ってこないわね。これでは王様を待たせてしまうわ。行くわよ、アレル」

 

「あ、待たれよ!」

 

流石に兵士が母を静止するように前に立つ。これは出来る門番である。昼でも夜でも勇者一行なら素通りさせるような世界の門番とは違うなー。

 

「元々謁見については事前に連絡をしていたわ。人数については伝えていなかったけど。そんなことより王様を待たせてしまう方が問題が有るのではなくて?」

 

「そ、それは」

 

「何かあれば私達が責任を取りますし、まさか勇者オルテガの親族がこの国の王に何か害することをするとでも?」

 

「そういうわけでは……」

 

 この人が出来る門番だと思っていた頃が数秒ほど僕にもありました。門番の頼りなさに俺も小さくため息を付いてしまう。

 

「さあ、付いてきなさいアレル。王様には失礼のないようにね。」

 

 それ、母さんが言う言葉ではない気がする。 

 俺はされるがまま、母に手を引かれ王城の中を有るき進んでいく。どうしてこうなった……どうしてこうなった!!

 

 

 

 

 

 そうして、話は謁見場面に戻る。

 

「既に隣りにいる母から聞いておろう」

 

 俺は真っ赤な顔を隠すように頭を垂れ王の話を聞いている。

 

「そなたの父、オルテガは戦いの末、火山に落ちて亡くなってしまった」

 

 良かった。此処はちゃんと原作通り話が進んでいる。さすがは王。苦笑いを浮かべても話すべきこと、やるべきことは心得ている。まあ、俺は王様のありがたい話を遮って色々と提案を切り出すつもりなのだが。 

 

「しかし、その父のあとを継ぎ、旅に出たいというそなたの願い、しかと聞き届けたぞ! そなたならきっと、父の遺志を継ぎ、世界を平和に導いてくれるであろう」

 

 そう思うなら、ちゃんとした装備と援助をしてくださいよ王様。俺はそう心のなかで思ったがまだその話を切り出すタイミングではない。

 

「敵は魔王バラモスじゃ!世界の殆どの人々は、未だ魔王バラモスの名前すら知らぬ」

 

 まあ、世界的な危機として認知されていれば、各国で国内が混乱するかもしれないのだから当たり前といえば当たり前である。世界を征服しようとする明白な悪意。しかもそれがかなりの力を持っていると人々が知れば、食料の買い占めや暴動が起こっても可笑しくはないだろう。ただでさえ、魔王が居なくても世界には明白な魔物という人類の敵がいるわけだし。

 

「だが、このままではやがて世界は魔王バラモスの手に……。それだけは、なんとしても食い止めねばならぬ! アレルよ、魔王バラモスを倒してまいれ!」

 

 王様が玉座より立ち上がりそう力強く宣言する。一国の王として威厳のある姿だ。世界の平和を願う姿はに偽りはない。ただ、少しばかり、いやかなりケチなだけだ。さて、じゃあそろそろ話を切り出すか。

 

「しかし一人では、そなたの父、オルテガの不運を再びたどるやも知れぬ」

 

「無礼を承知で…」「王様、話を遮ってしまい申し訳ありません。ですが、それならば心配ありません」

 

 ん? かあさん!?

 待って、何?何この展開……

 俺は慌てて未だに手を離さない母の方に視線を向ける。王様もどうやら予想外だったらしく、その発言で慌てる兵たちを手で諌めると、改まって一つ咳払いをすれば。

 

「よい、話を続けよ。して、心配はいらないとはどういうことじゃ?」

 

「アレルの旅には私も同行しようと思います」

 

 さすがの王もこの発言には言葉が詰まる。だが、さも何も問題がないとでも言うように母が話を続ける。

 

「私自身も、息子であるアレルに全てを背負わせてしまっていいのか? と、夫を亡くしたあの日からずっと考えていました。それはただ責任をアレルに押し付けているだけではないのかと。本当の家族だというのなら、その重荷も一緒に背負うべきではないのかと」

 

「……何を言っておるのか、自分自身でもわかっているのか?」

 

 静まり返る謁見の間。その場にいる人間の視線は全て王とそれに意見する一人の母に注がれている。

 あー、これ今俺が口を挟むべき場面ではないな。何だこの蚊帳の外感は。一応俺の旅立ちの儀だよね?このままじゃあ、王様に装備品をたかろうとしてる俺がすごく小さい人間みたいじゃないか。まあ、勇者の体の中身はただの小市民だからね。仕方がないね。

 

「私自身も王様もご存知のように、元々冒険者です。その旅の途中、夫に出会い所帯を持ち、母として子を育てるため一線を離れこの子を育ててきました。ですが、この子も今日で16歳。一人で旅立つことが出来ると自負出来るまで、勇敢に育て上げたつもりです。なら、私も母としての役割を終え、一人の冒険者としてアレルの旅に同行したいのです。どうか王様、私のこの気持ちをご理解下さい」

 

 母の言葉に神妙な顔をして考え込む王。俺もこの話は初耳である。ゲームでもそのようなことは書かれていなかった。でも、話を聞く限り不自然ではない。魔王討伐の旅前から勇者と呼ばれていたオルテガとどうやって結婚したのかと考えると、むしろ元旅の仲間だというのは王道である。あれ?でもよく考えたらこのままだと魔王討伐最後まで母を同伴させることにならない?

 

「母さん、どうして此処までついてきたと思ったらそういうことだったんだね。何で何も相談してくれなかったの?」

 

 さすがの俺もこの流れは不味いと声を上げる。このままでは最終的に女性キャラで水着装備ハーレムパーティーの夢が潰えてしまう。

 

「アレル。貴方は優しい子だから、相談したら必ず反対すると思ったの」

 

「当たり前だよ。僕は母さんまで危険に合わせたくない。母さんには安全な場所で平和に暮らしていてほしい。そのために僕は世界を救いに行くんだから」

 

 そう、俺はあくまで自分の知っている知識を活用して、楽しく楽に世界を救いたいのだ。その為に縛りになりそうな母の同伴は極力避けたい。だって勇者にあるまじき行動とか既に予定にはいってるし。

 俺は助けを求めるように俺達を見ていた王様に視線を向ける。

 

「……諦めるんじゃな」

 

 さすが王様。母を思う子の意思をくんでくれた!

 

「王になって長いが、これほど強固な意思の宿った目を見たことがない。それほどまでに本気ということじゃ」

 

 自慢ではないが俺の目にそんな意志はどちらかというと無い。多分某漫画の銀髪天パザムライぐらい目が死んでいる自信もある。あれ……これは

 

「アレルよ、諦めるのじゃ。……良い母を持ったではないか。いや違うな、オルテガよ、いい奥方をもらったという方が正しいか」

 

 王様はしみじみと此方の様子を見ながら呟いた。よく見ると少しだけ目元に涙が見える。何いい話風にまとめようとしてるんだ! 完全に感情に流されてるだけだろう。

 

「王様、それでも僕は母を連れて行くのは反対なのです。父を亡くした上に、もし此の旅で母まで亡くしてしまえば、僕は何のために世界を救うのかわかりません……」

 

「勇者とは、世界を救うものに与えられる称号じゃ。その勇者が身近な仲間を守れずして世界が救えるわけがなかろう」

 

 王の言葉に、周りの兵士たちも納得したように頷くのが見える。お前ら他人事だと思って。結局全部俺に背負わせてるだけじゃねえか!

 どうしてくれようかと、俺が次の言葉を考える。だが、ああ無情。時に感情というのは抗うことができない流れを作ってしまうもので……。

 

「アレルよ、もう何も言うでない。これは王命じゃ。勇者アレルよ。母とともに魔王バラモスの討伐の旅に出るのじゃ!」

 

 王命まで言われてしまえば、今の俺に逆らう術が有るはずもない。俺はため息とともにその言葉を受け入れることしかできなかった。でも、これだけは心のなかで叫んでもいいだろう?

 

『これが王様のやることかよぉ!』

 

 あー、もう吹っ切れた!王様がそのつもりなら、俺だって考えがある。もう遠慮しなくてもいいんだよな?なんて言ったって、個人の意志で魔王を倒す旅に出る許しを得たのではなく『王命』で直々に倒してこいと言われたんだ。その為に王は力を貸すべきだよな?俺はそんなグツグツ煮えたぎった感情をできるだけ顔に出さずに、王様に頭を垂れ言葉をひねり出した。

 

「王命、確かに承りました。では王様、これからの話しをしましょうか」

 

俯いたまま、すうっと一度深呼吸をする。ここからだ。ここからが俺の本当の戦いが始まるのだ。俺はその言葉の後に少し間を開けて言葉を続けた。

 




感想感謝です!
行き当たりばったりで書いてますが、色々参考にさせてもらってます!

お母さんの職業は迷い迷った末決まりました!
あとはどんなPTメンバーにするかお楽しみを。
まあ、人数制限とかゲームの枠組みとかぶち壊すとは思いますが
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