戦争が終わって数週間経ったある日の出来事

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初めて挑戦しました


加賀さんへ

「加賀です。失礼します...って言っても、私だけよね。」

 

__深海棲艦との戦いが終わりはや数週間、私は、執務室の片付けに明け暮れていた。

 

「それにしても、随分とものがあったのね…」

 

ここの鎮守府には、私以外誰もいない。

数週間前、深海棲艦との長い戦いは幕を閉じた。そのため、艦娘の存在も必要なくなり、艦娘は武装撤去。そのまま普通の女性として生きることとなった。

赤城さんも、二航戦や五航戦の娘たちもだ。

 

(もうすぐ私もか…)

 

艦娘として残っているのは、多分私だけだろう。しかしそんな私も、ここの整理が終わり次第、艦娘を辞めることになる。

 

「...貴方がいなくなって、もうこんなに経つのね」

 

そして、提督もいない。

 

それは、戦争が終わる数日前のことだった。

深海棲艦の報告もほぼなくなり、もうすぐ戦いが終わるだろうと、そうみんなが確信している時だった。ここが深海棲艦の襲撃を受けた___

その時に提督は殉職した。

 

「...貴方がいないなんて、まだ信じられません。」

 

提督は死んだ。

 

その紛れもない証拠が、この執務室に残っている提督の所有物の数々だった。

でも私は、それが未だに信じられなかった。

 

「今呼んだら、後ろのドアから出てきそうです。」

 

そんなことを呟きながら、私は私物の整理をしていた。

 

「?あら、これは何かしら?」

 

どこかに挟まっていたのだろうか、ペンダントのような物が小さな紙と一緒に床に落ちた。

拾い上げてみると「加賀さんへ」と提督の字で書かれた小さな手紙と中に提督と私の写真が入ったペンダントだった。

 

「サプライズでもするつもりだったのかしら...」

 

 

手紙の方を開いて見た。

日付は、提督が亡くなる数日前のものだった。

 

"加賀さんへ、この手紙を読んでいるということは、私はもうこの世にはいない人間なんでしょう。そして、戦争が終わっているはずです。なんで加賀さんだと思うか、ですか?それは私の直感です。もし私が死んだら、きっと身辺整理は加賀さんがやるでしょう。ってだけです(笑)

ところで加賀さん。戦争が終わった世界は、どんなものですか?艦娘のみんなは、戦いから離れ、平和に暮らせていますか?私はそれが一番心配です。さっきも書いた通り、この手紙を他の誰かが読んでるなら、私は死んでます。だからこそ不安です。この目で見れないのですから…

まぁでも、加賀さんがいるなら多分心配は無用でしょう。私が一目置いた艦娘なんですから。,,

 

「提督....」

思わず涙が溢れてきた。

 

恐らく提督は自分の死を覚悟していたのだろう。

そうでなくては、こんな手紙を書けるはずない。

 

「なんで、なんでですか提督...」

 

手紙を無意識に握り締めていた。

 

「なんでですか提督!貴方は、貴方は!「戦争が終わったら一緒に暮らそう。」そう言ってたじゃないですか!なんで、なんでですか…」

 

いつの間にか、涙が溢れていた。

 

手紙には、まだ続きがあった。

 

"ペンダントの加賀さんが写ってる方を開けてみてください。,,

 

開けてみると、生前、提督が大事そうにしまっていた指輪が入っていた。

 

"加賀さん。私は貴女のことが大好きでした。無愛想で表情に出すのが下手で、いつもクールな雰囲気。でも、たまにボロが出てしまう。そんな不器用な加賀さんがホントに好きでした。そんな貴女にこれをあげます。私との、絆の証。そして、どうか私のことを覚えておいてください。少なくとも、貴女だけでも覚えてて欲しい、我が儘でしょうが、私はそれだけで充分です。

そして最後に、貴女に出会えて、本当によかったです。ありがとう、そしてごめんなさい。一緒に暮らせなくて。,,

 

「提督....」

 

そのまま堰を切ったように私は泣いてしまった。

そこで初めて、あの人が死んだと自覚したのだろう。

今まで溜めてたものが溢れてくるようだった。

 

「提督、貴方は本当にずるいです…」

 

泣いたまま、かすれたような声でそう言った。

その日の夜、私はひたすら泣いていた。

 

___あれから数日が経った。

私は、墓の前に立っていた。

 

「こんにちは、提督。」

 

そう、亡くなった提督の墓だ。

ここ最近、必ず来ている。

花と線香を変え、最近あった話などをして帰る。そんな日常だった。

 

「そうだ提督。今日 、久々に空母の娘達に会いました。相変わらず五航戦の片方は生意気でしたよ。」

いつもの様に墓の横に座り、話していた。

 

「その時に赤城さんから、「辛かったらいつでも言ってね。」って言われたんです。提督がそちらに逝かれたから、気を使ってくれたのでしょう。本当に良い仲間に出会えたって実感しました。...でも提督。私はちっとも辛くなんかありません。」

そう言って私は、墓の前の階段を降り、正面に向き合った。

 

「貴方が書き残したことと同じです。貴方が私のことを想ってくれていた。それだけで充分です」

 

そう言って私は最大の笑顔で提督に敬礼をした____


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