原作通りにならない僕アカ   作:オリオリ

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長くお待たせして申し訳ありません。
ちょっと体調を崩して通院したりしてました。

ちょっと短いですが、今回もニヤニヤしてもらえると嬉しいです!
それからいつも誤字脱字の報告ありがとうございます!
この小説は読者の皆さんに支えられてできていますね!

今回は少し下ネタ?みたいなものがあるので苦手な人はご注意を……


第十五話 温泉旅行の終わり

「…………全然眠れなかった」

 カーテンの隙間から入り込んでくる朝日に目を細める。

 少しだけ眠ることができたが、全然眠り足りないな。

 とりあえず、起きて支度しよう。

 

「……んぅ」

「…………」

 身体を起こそうとして、右手に何かやわらかいものに触れた。

 一瞬で冷や汗が吹きでる。

 この柔らかさ……覚えがある……!!

 ギギギギと音がしそうな感じで首を横に動かすと、何故かアリス君が私と同じ布団で寝ていた。

「…………」

 そして、私の手は現在、彼女の胸に乗せられている……!!

 

 離さなければ!!

 そう思うのに、体は全く反応する事なく固まっている。

 アリス君が起きる前に!

 起きる前に離さねば大変なことになるぞ私!!

 

 脳内では二人がそのまま『ヤッちまえ!』なんて叫んでいるが、そんなことできるか!!

 というか、何故体が動かない!?

「……とし、のり……さん?」

 そうこうしている内に、アリス君が目を覚ました。

 アリス君の視線が驚きの所為か、目を大きく見開き、視線が自分の胸を触っている私の手と私の顔を行き来して、顔を赤くして涙を浮かべ始めた。

「あ、アリス君……これは、その……」

 未だに全く動こうとしない右手に、私は絶望した。

 

 アリス君は、涙目のまま私を見て……

「……えっと……その、さ、流石に朝からスるのは……」

「否定したいのだが否定できない状況だなこれは……!!」

 と言うかこの状況でそんなことを言わないでくれ!!

 本当に襲ってしまうじゃないか!!

 

 

 そんな朝のハプニングから一転して、お互い真っ赤な状態で朝食を取って外湯へと向かった。

 見送りをしてくれた女将さんの笑みが、直正と同じような笑みだったのは気にしてはいけないのだろう。

 そんなことをグダグダと考えながら、この状況をどうにかしなければならないと、内心で頭を抱える。

「…………」

「…………」

 無言である。

 圧倒的無言である。

 完全無欠の無言である。

 私とアリス君は無言で温泉街を歩いているのである。

 

 アリス君の顔を見てしまうと、昨日の温泉でのことや朝の出来事を思い出してしまい、顔が熱くなるので視線を向けないようにしている。

 こ、恋人相手にどうかと思うが、浴衣で臨戦態勢になったら隠す術がないので仕方ないのだ……そう言う事にしておいてほしい。

 ……想いが通じ合ったはずなのに、何故か事態は前よりも後退している気がする……なぜだ。

 

 脳内では直正達が大ブーイングしている。

 やれ、手を繋げ、話をしろ、恋人を放って何してんだなどなど……いや、これは私自身が思っている事だが、あの二人が脳内に出てくるのはなぜだ。

 特にナイトアイ……君ってそんなキャラじゃなかっただろう。と脳内の彼にツッコミを入れてみるが、意味のない事だ。

 

 ちらりとアリス君を見てみると、アリス君も私を見ていたらしく視線が合った。

 次の瞬間には顔を赤くして、胸元を押さえながら俯いていく。

 非常に可愛らしい仕草だが、その胸元を押さえているのは朝の出来事の所為かな?

 あ、いかん。

 思い出すな私。

 あの感触を思い出してはいけない。

 

 何とか自制する事が出来た私は、やはり内心で頭を抱える。

 私は今までどうやってアリス君に接していた!?

 普通ってどんなだ!?

 

 脳内が大混乱である。

 どうすればいい!?

 そんなことを考えていると、手にアリス君の手が当たった。

「ッ」

 心臓が跳ねた。

 アリス君は遠慮がちに私の小指を握ってきた。

 

 アリス君を見れば、顔は見えないが、見えている耳からうなじまでが真っ赤だった。

「ぅぅ~……なんだこれ……いつもの私はどこ行った……どうやって話してた……? 朝の出来事の所為? いやいや、昨日自分で迫っときながらそんな訳が……あれ、思い返すとなんか凄く恥ずかしい……そんなバカな!?」

 小さな声でそんなことを言っているのが聞こえた。

 どうやら今更ながらに、混浴したことが恥ずかしかったようだ。

 ……これなら今後迫られることはなさそうだ。

 正直、昨日みたいな感じで迫られると本当にいつか襲ってしまいそうだったので助かる。

 

 さて……いい加減このままにもしておけない。

 せっかく旅行に来ているのだから、楽しんでいかねば。

 その為には……年長者であり、男である私から何かうまい話題を……!!

「し、仕事は、どうだい?」

「う、うん、順調、です」

「そ、そうか」

「「…………」」

 駄目だ!

 誰か助けくれ!!

 

 脳内の二人!!

 やれやれと首を振らずに私に話題を!!

 今こそ君たちの助けが必要なんだ!

 

 そう願っていると、直正が何かが書かれたホワイトボードを掲げた。

『普通に話せよ』

 それができたら苦労していない!!

 そしたら次はナイトアイが何かを書いた。

『ヤったれ』

 ぐああああ!!

 や、やはり脳内の二人ではだめだ!!

 

 どうにかこの状況を打破しなくては!!

 温泉に浸かっては感想を言って、無言。

 そんなことを繰り返していてら、あっという間に夜になってしまった。

 食事も終わり、今度はアリス君が風呂に突撃してくることもなく、就寝するだけになってしまった。

 ……いくら何でもヘタレすぎるだろう……

 

 気が付けば、二人して布団の上で正座して向かい合っていた。

 だがしかし、視線は相変わらず天井を見ていたり、俯いていたりと相手を見ていなかった。

 

「大丈夫、大丈夫、恥ずかしくない、恥ずかしくない、むしろのこのままの方がイヤ、女は度胸、度胸」

 天井のシミを数えていると、アリス君が何かを呟いていた。

 それが気になって視線を向けると、アリス君も私を見ていた。

 今度は赤くなりつつも、視線を外さない。

 その視線に私の方が視線をそらしてしまった。

『ヘタレ!!』

 脳内の二人に叫ばれた。

 返す言葉もない……

 

「俊典さん」

 そんなことを考えていると、アリス君が歩み寄ってきて声を掛けきた。

 流石に目を逸らしたまま会話するのは失礼だ。

「な、なんだい」

 声を返しながらアリス君を見上げた瞬間、布団に横になる様に押し倒された。

「…………アリス君!?」

「…………」

 突然の事態に思わず声を上げるが、アリス君は真っ赤になったまま私の胸に顔を押し付けてきた。

「あ、アリス君……?」

「こ、このまま、いっしょに、ねよ?」

「んなぁ!?」

 真っ赤で潤んだ瞳で、甘える様に言うアリス君にこっちまで顔が熱くなった。

 

 そんな私を見て、アリス君は縋りつくように抱き着いてきた。

「ねむる、だけだから、ね?」

「あ、あぁ……わかった」

 私が了承すると、アリス君は少し安心したように笑って、指を振るった。

 

 すると、カチッと言う音と共に部屋が暗くなった。

「……便利な物だね」

 暗くなったおかげで、少しだけ冷静になった私の口から言葉が漏れた。

 クスッと小さく笑う声が聞こえた。

「何でもできるからね」

 行き場のなくなった腕をどうしようかと彷徨わせていると、アリス君が腕を捕まえて自分の頭の下に持ってきた。

 こ、これは腕枕と言うやつではないか!?

 

「……いい?」

「あ、あぁ、構わないよ」

「ありがとう」

 暗くなった視界でもアリス君が微笑んでいるのがわかった。

「大丈夫? しびれとかない?」

「全然ないな……何かしているのかい?」

「? 何もしてないよ?」

 軽すぎではないだろうか?

「ひゃっ!?」

 左腕でアリス君の背中に手を回して、抱き寄せてみる。

 やっぱり軽いな……

 

「アリス君、ちゃんと食べてる……ね。もっと食べた方が良いんじゃないかい?」

「……女に重くなれって、叩かれても知らないわよ」

 可笑しそうに笑いながら、軽く胸を叩かれた。

「それはすまない。けど、君は軽すぎとおもうのだが……」

「こら、それ以上言わない。大丈夫だから」

「わ、わかった」

「…………」

「…………」

 

 いつの間にか普通に喋れていた。

 その事に安心する。

 流石に、ろくに話もできない状態になってしまうのは、私としても嫌だからな。

「……これでもダメだったら、忘れさせようと思ってたわ」

 アリス君が小さく呟いた言葉が聞こえた瞬間、左腕でアリス君の肩を掴んで思わず叫んでいた。

「それは駄目だ!!」

「ふえっ!?」

 暗闇に慣れ始めた目にはアリス君が、驚いて目を丸くしていた。

 

 ヘタレな私の行動の所為だが、それでも今の言葉だけは許容できなかった。

「アリス君、私は君と両想いになれて幸せなんだ。だから、忘れさせるなんて言わないでくれ。私は君と過ごした日々を一日たりとも忘れたくない。絶対だ。君と初めて出会った日も、友人として過ごした日々も、君を想っていた日々も、昨日の出来事も、全て私の大事な、宝物で大切な記憶なんだ。だから、何があろうと絶対に忘れさせるなんて言わないでくれ……!」

「わ、わかったわ……その、ごめん、なさい……」

 真剣にアリス君にそう頼むと、アリス君は顔を赤くして目を逸らした。

 ふと気が付いた、いつの間にか私はアリス君に覆いかぶさるような格好になっている。

 

『おー、押し倒すとはなかなかやるね、オールマイト!』

『ついにオールマイトも男になる日が来たんですね』

 脳内の二人がそんな会話をしていた。

 冷や汗が流れる。

「……ふふふ、全く……」

 そんな私に気が付いたのか、アリス君は小さく微笑んで、私の浴衣の襟をつかんだ。

 

 チュッと言う音と共に、アリス君の顔が離れていく。

「待ってるから」

 慈愛の籠った笑みでそう言われ、私も自然と笑みをこぼしていた。

「ヘタレですまない」

「いいの。そんな所も……その、すき、だから」

 頬を赤く染めながらも、真っ直ぐ見つめられながら言われては、照れてしまうじゃないか。

「……あまり煽るようなことは言わないでくれ」

「ヤダ。その理性の牙城いつか崩してやるわ」

 悪戯気に笑うアリス君に苦笑する。

「お手柔らかに頼むよ」

 

 アリス君にまた腕枕をして、抱き寄せる。

 腕の中でアリス君が目を丸くしていた。

「早速その気になった?」

「寝るだけだよね?」

「ふふふ、そうね。寝るだけだわ」

 そう言って、私たちの会話は終わった。

 しばらくして、すーッという寝息が聞こえてきた。

 

 少しだけ体を離して、アリス君の顔を見る。

 あどけない寝顔に小さく笑みが浮かぶ。

 

 それと同時に、この幸せを護る為に、けじめをつけなければならない。

 オール・フォー・ワン。

 彼との決着を早々につけなければ。

 

 彼と決着をつけた時、その時にはアリス君を……

 

 

 ★ ★ ★ ★

 

 

 V月D日 温泉旅行たのしかった

 

 2泊3日の温泉旅行から帰ってきた。

 まさか、オールマイトと恋人になる日が来るとは思わなかった。

 オールマイトの事は好意的に思ってたし、なんかこっちに好意ありげな行動するもんだから意識して仕方なかったぜ。

 流石は原作屈指のヒロイン、あざといぜ。

 あっさりと落とされた俺はチョロインですかね。

 

 さて、恋人になったのは良いんだけど……何すればいいんだろ?

 家政婦みたいなことしてたけど、それって押しかけ女房みたいな感じだよね。

 今更ながらに。

 えっちなことは、残念ながらあっちがヘタレちゃったのでしばらくはないだろうし。

 いや、正直な所助かったんだけどね。

 俊典さんってガタイが良いから、きっとあっちもデカい。

 もしかしたらエロ同人みたいなマグナムしてるかもしれない。

 

 ……俺って耐えられるのだろうか?

 女は男の2倍気持ちいいとか聞いて一度試してみたけど、ヤバかった。

 一度自家発電してみた時感度がヤバくて、徐々に上ってくる感覚が怖くなって途中でやめた。

 言うなれば、今の俺は性的経験LV1である。

 知識ならめっちゃあるけど。

 

 ……破瓜の痛みに耐えれるだろうか……

 それ以前に、俊典さんの愛撫に耐えれるだろうか……

 漫画みたいに意識が飛んだりする?

 いや、でもあれは現実には……いや、そもそもこの世界は漫画の世界……(以降意味のない考察が延々と続いている)

 

 

 

 




今日の甘さは……ミルクチョコくらいかな!?

久し振りにアリスの日記を出せました。
仮にノクターン行になった場合、絶対にエロ同人みたいな展開になるねこの子。
それから多数のリクエストありがとうございました。
今一つ一つ書き上げている最中なので、もうしばらくお待ちください。
いや、掲示板ネタって難しいね。

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