原作通りにならない僕アカ   作:オリオリ

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今回はオールマイトがいないので甘くないです



第六話 イズくんとかっちゃん

 ω月П日 おめでとうイズくん

 

 イズくんが技術試験最終日に水切りに成功した。

 いやぁ、すごいね。

 無茶振りかなって思ってはいたけど、彼ならきっとできるって思ってたよ。

 

 水の中と言う事でいつもより疲れたと思うけどお疲れさまだね。

 さて、試験を突破した彼に、個性を上げようと思う。

 正直な話……魔改造やりすぎたかもしれない。

 

 彼に渡すつもりの個性を纏めておこう。

 

 個性名は心力強化

 効果は、強い思いに呼応して身体能力を強化していくこと。

 通常発動でも出力は2倍以上。

 強い思いを込めれば10倍以上の力を発揮することもできるはずだ。

 

 彼にぴったりだと思うんだよね。

 誰かを守りたいって強く思えば、その分身体能力が強化されるわけだし。

 ある意味、ワン・フォー・オールにも似てるかもね。

 けど、やっぱりデメリットもあるわけで……強化すればするほど疲れるって所だね。

 なれてない状態だと10分が限界かな。

 そこは使い続けて慣らしていくしかないけど。

 

 …………正直、オールマイトといい勝負ができるんじゃないかなと思ってるだけど、どうかな。

 今度オールマイトに組手を頼んでみようっと。

 

 後、俺の本当の個性の事も教えておこう。

 

 

 〇月-日 マジか

 

 イズくん、君すごいね。

 中学に入って最初の身体測定でぶっちぎりの一位をとったようだ。

 その所為でかっちゃんに喧嘩を売られて、つい無力化してしまったらしい。

 

 それからは毎日襲い掛かってくるそうだ。

 ……原作見てた時から思ってたけど、彼の言動はホントにヴィランよりだよね。

 ヒーロー目指してるのに、それでいいのかな。

 

 それにイズくんの身体能力は大分高くなった。

 その技術も既に準達人級になっているイズくんに勝負を挑むなんて、かっちゃんがいくら天才的とはいえ、素人では勝てるはずもない。

 これは油断でも傲慢でもなく、ただの事実だ。

 何せイズくんには個性なしでも戦える様にと武術を仕込んだ。

 更に言えば、特A級の達人達に武術を伝授されて、その達人たちに認められているんだ。

 

 精神的にも成熟しているイズくんが、今更子供の脅し程度で怯えるとは思えない。

 結果、イズくんが負ける要素はゼロ。

 これを機に、かっちゃんも変わってくれるといいけど……まぁ、それは私が考える事じゃない。

 かっちゃんが勝手にどうなるかは、かっちゃんしだい。

 俺が踏み込む様なことじゃないね。

 

 そういえば、オールマイトとの組手についてはまだ書いてなかったかな。

 見返したら書いてなかったので、書くことにした。

 

 結果だけ言うなら、まぁ当然負けた。

 平和の象徴は伊達じゃないし、読み合いでもかてないだろうし。

 ただ、オールマイトからの評価は凄く高かった。

 本人曰く、出力60%で戦っていたらしい。

 最初は20%くらいでいいと思ってたらしいから、評価としては絶賛に近いだろう。

 

 中学生になったばかりのイズくんが、オールマイトに60%も力を出させるなんてやるね。

 個性も与えてまだ数カ月程度だけど、特A級の達人にならった技術はちゃんと活かすことができているみたいだ。

 これなら、あの達人達にも褒められるだろうね……まぁ、素直に褒めてくれるかはわからないけど。

 

 個性もまだ使うことに慣れてないだろうし、イズくんはまだまだ発展途上。

 身体もまだ大きくなるだろうし、彼が高校三年生くらいになればオールマイトも全身全霊で戦う相手になるんじゃないかな。

 高校三年生でオールマイトに全力を出させるってすごいよね。

 

 彼はもっと強くなる。

 だから頑張ってねイズくん。

『Plus ultra!』だよ。

 

 

 

 ✖月♫日 なんかきた

 

 イズくんが走ってきたと思ったら、その向こう側から汗まみれで猛ダッシュしてきた少年が、目の前で倒れるようにして崩れ落ちた。

 慌てて調べて見たら酸欠だった、しかも意識がなかったので速攻で回復させた。

 

 聞けば、イズくんを追って最初から全速力で走ってきたらしい。

 デクに負けるかぁぁ!と叫びながら、意地で追いかけてきたようだ。

 いや、まぁその叫びは俺に届くくらい魂の籠ったものだったけどね。

 

 常に体に負荷をかけて鍛錬してきたイズくんを追いかけるなんて凄い執念だね。

 イズくんって自動車並みのスピードで流すように走るのに。

 で、この負けず嫌いの彼は予想通りかっちゃんだった。

 

 酸欠になるまで走り続けるなんて凄い執念だ。

 うーん、彼も鍛えてみようかな……イズくんをライバル視……って言うより敵視してるみたいだけど、イズくんのいい刺激になるかも。

 

 そう思って提案したら、苦虫を噛み潰したような顔でお願いしますって頭下げた時は目を疑ったよ。

 彼の身体能力値をデータ化してみたら、凄まじかった。

 どうやら、イズくんを鍛え始めた時から鍛錬を繰り返してたみたいで、基礎修行は必要なさそうだった。

 

 なので、早速1kgの負荷をかけて、爆豪くんの影と個性なしの対人戦闘訓練をさせた。

 

 彼は天才だった。

 少し影と戦って自分のくせに気が付いたみたいで、あっという間に自分の欠点を修正、影を打倒した。

 1kgの負荷を全く物ともしていない。

 

 その後、2kg、3kgと増やしてみたけど、全戦全勝。

 確かに周りの事をモブっていうだけのセンスがある。

 

 最終的に5kgの負荷で影に負けたけど、イズくんの時の事を考えると凄まじい。

 

 イズくんの様子を見たけど、やっぱり流石だなっていう気持ちはあったみたいで驚いてはなかった。

 けど、こっちも負けるかとばかりに影を打倒していた。

 ちなみにイズくんの負荷は全身30kgだ。

 

 しかし……どうしようかな。

 彼の性格的に、合いそうな師匠が思いつかない。

 イズくんは身体能力を強化するっていう増強型の個性だからそのまま武術を修めさせたけど、彼の個性は爆破。

 正直、どう鍛えていいかわからない。

 今しばらくは、そのまま影と戦ってもらおう。

 

 かっちゃんはホント化け物レベルの才能の持ち主だよ。

 

 

 

 ✖月!日 かっちゃんワラエナイ

 

 かっちゃん凄まじい。

 あれからかっちゃんの対人技術が凄まじい事になってる。

 個性ありの戦闘にしたらもっとワラエナイ。

 

 片方だけ爆発させて空中での旋回力と衝撃力アップ?

 なんでそれでバランス崩さないの。

 っていうか、最近戦闘場所が徐々に空中になりつつあるんだけど。

 影じゃあっという間にやられてしまうので、ドッペルゲンガーに作り直した。

 全ての能力が常に更新され、実力は常に拮抗する。

 

 それはまさしく、影ではなくもう一人の自分だ。

 かっちゃんが負ける時もあるが、ドッペルゲンガーが負ける時もある。

 この子、師匠いらないんじゃないかな。

 勝手にどこまでも上り詰める、恐ろしい天才だ。

 

 たまに違う対戦相手と戦うフィールドを用意するだけで良いなこれ。

 

 

 そして、イズくんも影ではなくドッペルゲンガーと戦うようになった。

 イズくん、なんだかんだでライバル視してるのかな。

 頑張れイズくん。

 一番弟子として負けるなよー。

 

 それとかっちゃん、雑魚でいいから対多戦をしたいって……君すごい上昇志向だね。

 囲まれた時の判断力を上げたいとか……ほんとに私ただのステージ準備係にされてるよ。

 

 

 ▼月▽日 色々あったけど

 

 

 今日は一言だけ、救けてくれてありがとう、オールマイト

 

 

 

 

 ーーーーーーー

 

 

 あいつは無個性だったはずだ。

 役に立たねぇ『デク』がいつの間にか、俺よりも先を走ってた。

 

 クソがッ!

 なんでテメェが俺の前を走ってやがる!

 ふざけんじゃねぇ!!

 俺の前を走るな!

 

 そう思って、デクに喧嘩を売ったこともある。

 

 ……情けねぇ話だ……俺はデクに負けた。

 最初は個性を使わないで、殴りかかった。

 けど、俺の攻撃は全部見切られて、掠らせることもできなかった。

 

 ふざけるな、ふざけるなふざけるな!!

 

 デクは俺の中で一番凄くない奴だった。

 おどおどして、身の程知らずにもヒーローになりてぇなんて思ってる馬鹿な奴だと思ってた。

 

 それがどうだ。

 馬鹿だったのはどっちだ。

 

 個性も使った。

 今までと違って全く加減なしに使った。

 

 ……それでも届かなかった。

 気が付いたら俺は保健室で寝ていて、大々的に個性を使ったことを怒られた。

 

 

 それからデクに喧嘩を売る毎日が続いた。

 俺はデクを観察した。

 

 デクが何らかの武術を使っていることはわかった。

 けど、その技術の練度がおかしかった。

 

 あんな風にできるくらいあいつは強かったか?

 

 身体能力で負けた。

 喧嘩で負けた。

 学力で負けた。

 

 気がつけば俺はあらゆる面であいつに負けていた。

 

 俺とあいつの立場が逆になっていた。

 

 ……許せねぇ

 

 放課後になってあいつの後をつけようとしたら、自動車並みのスピードで走っていった。

 速さが必要だ。

 あいつに追いつけるくらいの速さが。

 

 許せねぇ

 

 その日から、俺は走りまくった。

 家から学校まで毎日ダッシュして、帰りも同じようにダッシュする。

 より早く走れる方法が必要だ。

 本で、ネットで一番効率のいい走り方を調べて実施した。

 

 許せねぇ

 

 学校から走り去っていくデクを追いかけた。

 体力が足りず、途中でバテて見失った。

 全速力で走り続ける体力が必要だ。

 

 毎日走った。

 いつものようにダッシュで学校に向かい、走り去るデクを追いかけ、見失ったら日が暮れるまで走る。

 速さも体力も足りない。

 飯は体力と筋力をつけるための食事に変えてもらった。

 

 そうして、毎日を繰り返した。

 デクには依然として追いつけない。

 けど、どうにか付いていけるくらいにはなっているが、体力が足りずに見失っちまう。

 

 それが許せねぇ。

 

 あいつはいつから、あんな風になった。

 いつの間に追いつかれて、追い抜かれて、置いて行かれたんだ。

 まるで『うさぎとカメ』みてぇだ。

 

 俺は、自分はすげぇって思っていて、あいつが走っているのを見逃したのか?

 いつの間にか、追いついていて、追い抜かれて、姿が見えないくらいに遠くなっていた。

 調子に乗って負けている自分が、何よりも許せねぇ!

 

 

 だから負けねぇ。

 そこをどけ、デク!

 テメェに負けていられねぇ!!

 俺はNo.1ヒーローになるんだ!!

 テメェにも、オールマイトにも、神綺にも、ヴィランにも!

 誰にも負けたくねぇ!!

 

 まずは最初にテメェだ!!

 その次に俺よりも前を走っている奴らに追いついて、追い抜いてやる!!

 

 俺が! 一番になってやる!!

 だから、いつまでもデクに置いて行かれるわけにはいかねぇんだよ!!

「待ァァちやがれエェェ!!! デクゥゥゥウ!!!」

 

 俺が追いかけているのに気が付いてたはずだ。

 デクは俺を振り返ると、汗もにじませない顔で言い放った。

「僕は君に負けたくない」

 そうして、デクはまた前を向いて走る。

 いつものと同じペースだ。

 

 テメェはもっと早えだろ、なんだ調子に乗ってんのか!?

 それとも追いついて見せろとでも言ってんのか!?

 フザケテンジャネエゾ、デク!!

 

「デクに負けるかあああああああ!!!」

 心臓がバクバクいってる。

 足も動かすのがつらい。

 だが、あいつがそこにいる。

 

 そこで待っている。

 俺はようやくあいつの背中に追いついて、気を失った。

 

 

 

 そうして、俺は神綺……チッ、師匠の二番弟子になった。

 いつか追い越す相手だが……師匠……の修行は俺にはちょうどいい。

 最初は身体能力だけの対人訓練だったが、今では相手は俺自身。

 

 自分自身を乗り越えて行けば、俺はもっと強くなれる。

 師匠の回復能力が反則級のおかげで、個性で怪我してもすぐ治療して、再度訓練を積める。

 

 影による一対多の戦闘訓練も積める。

 こればっかりは他の連中にもできない事だろ。

 ……まぁ、一応感謝はしといてやる。

 

 俺は強くなる。

 だから、デク!!

 覚悟してろ!! 

 すぐに追いついてやるからな!!

 

 

 




気が付いたらかっちゃんが乱入してきた。
けど、彼のキャラって難しいよ。
下水のクソ煮込みってどんな感じ?

次回は明日の18時に更新します。

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