彼方 of the Dead   作:びている


原作:正解するカド
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実は品輪博士が到達した先は宇宙でも異方でもない第三の世界で、彼らを引き連れて宇宙に戻ってきて、ザシュニナや真道がなんやかんやで復活して「皆、ワムは持ったな!行くぞッ!!!」と戦いだすクソみたいな話(が見たい)

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編集中……


彼方 of the Dead

「今日で、ヤハクィザシュニナの出現から一年がたちました。依然としてあの日以来、ヤハクィザシュニナが再び姿を現すことはなく、私たち人類は異方に行く術を模索しているままです」

 テレビのキャスターが言う。

 ヤハクィザシュニナが表れて消えた、この一年はあっという間に過ぎ去った。

 ワムやサンサ、ナノミスハインが消えて――正確には消させて――から世界中が大騒ぎになった。私たちも、事態の収拾のために多くの労力をさくことになったのだ。

 

 飾り気のない電子音が部屋に響く。スマートフォンがメッセージの受信を知らせる音だった。開くと花森さんからのメッセージが届いていた。

『今日が件の日ですが、沙羅花さんは行きますか?』

 私は、向かいますと返信をして、準備を始める。

 

 事の始まりは、一週間前だった。

 異方存在現宇宙滞在用仮設住宅一号棟に出入りをしていた面々に同じ内容の一通のメールが届いたのである。

『一年後の7月25日、羽田空港で待っています』

 堅苦しい文面には見覚えがあった。

 私はほとんど幸路朗さんと文章のやりとりはしていなかったのだけども……。

 花森さん曰く、この一文はあの人みたいな文章で、この謎の答えを知るために、私たちはカド出現からちょうど一年たった今日、羽田空港に向かうことにしたのだ。

 

 

   ◆

 

 

「沙羅花さん!お久しぶりです」

「お久しぶりです」

 国際線ターミナルに到着すると、花森さんが出迎えてくれた。

「浅野さんや夏目さんは?」

「やはりこられないようで」

 当然だろう。今日はカドが出現してからちょうど一年がたった日、世界を揺るがす大事件が起きた日なのに、時間を割いて羽田まで足を運ぶ私たちの方がおかしいだろう。

 時計を見ると9時30分を指していた。

「カドが出現したのは10時ごろ、でしたね」

「はい。まだ時間はありますね!」

「それでは、コーヒーでも買って待ちましょうか」

 

 待つこと30分。時計の針が10時を指した瞬間にそれは起こった。

 最初に気づいたのは花森さんだ。

「沙羅花さん!アレっ!」

 窓を指差した方向に目を向ける。そこには巨大な立方体が浮かんでいた。

「カド……?」

 頭に浮かんだ考えを即座に打ち消す。違う。大きさも紋様も、カドのそれとは違っていた。

 カドよりも一回り小さい――とはいえ人と比べるとあまりにも大きい――物体が、一年前のように滑走路に降り立っていく。

 私たちは呆然とその光景を眺めていた。

 

 

  ◆

 

 

 箱が滑走路に降り立ってから10分がたつ。

 最初は騒いでいた人々も、冷静になり、何も動かない箱を皆、見つめていた。

「僕たちが取り込まれていたときも、外はこんな感じだったんですかね」

「そうかもしれませんね」

 カドの出現時はネットやニュースでしか情報を得ていなかったので正確なところはわからなかったがあえて言う必要もないだろう。

 

 と、私たちが雑談にふけっていたとき、箱の内部から人々が出てきた。

「あれは……」

 内部から出てきた人たちは、建物に向かって全力で走り始める。

 その集団は滑走路にいる整備士たちに気づくと彼らに向かって進路を変えた。

 私は嫌な予感がした。まるで昔、映画で見たような……。

「えっ……」

 集団を目で追う、その先には信じられない光景が広がっていた。

 整備士であろう従業員に襲い群がり、肉を食べている人々の姿があったのだ。

「「「「「うわあああああああ!!!!!」」」」

 誰かが叫ぶ。喧騒が一気に広がり、外へ外へと出ようとする人の波が生まれる。

 まさにパニック状態といえるだろう。

「まさか、真道さんが……?」

「花森さん!まずは外へ!!!」

 呆然としている花森さんの肩を持ち上げる。普段の言動を聞いてると全く年齢を感じさせないが、40代の男性の体重は重かった。

 急いで出口に向かうが、群がる人々がとても多くて近寄れない。

 悲鳴が聞こえる方を振り返った。

 “彼ら”はすぐそこまで近づいている。

「まるで、ゾンビ……」

 初めに見た既視感を簡単に言い表すならこの表現が正解だろう。

 “彼ら”はまるで拡散したように数が増えていて、そのなかには、先ほど襲われていた普通の人たちがいたのだから。

「花森さん、幸路朗さんがこんなことをしたと思いますか……?」

 私は問いかける。

 “彼ら”に対抗しようとしても、武器はなく、異方の力はもう使えない。

 謎のメールの意味すらわからず、真相が何一つわからないままだった。

「そんなの、ありえるわけないじゃないですかッ!」

 ですよね、と私は答える。

 “彼ら”はもう、私たちの目の前に立っていた。

 最後の時が目の前にある。反射的に目をつぶる。

 しかし、その時は来なかった。

 目を開けると、首を落とした“彼ら”の残骸が横たわっている。

「平気か」

「沙羅花さん、花森、久しぶりだな」

目の前には、存在しないはずの二人の人物がそこにいたのだった。


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