ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか?   作:パトラッシュS
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そうめん流すしかない その2

 

 

 

 カタッシュ村で数週間が経った頃。

 

 彼らが作る巨大そうめん流しの作業は本格的に進んでいた。

 

 竹取物語からわざわざ取り寄せた上質な竹たちを使い、手慣れた手作業で次々とつなぎ合わせていく。

 

 

「おぉ…鋸が綺麗に入るねー」

「んしょ、んしょ」

「モーさん上手いなぁ鋸使うの」

「兄ィ直伝だからな! ふふん! なんたって兄ィの一番弟子はこの俺だぜ?」

「あー…、モーさん、それだとアルちゃん拗ねちゃうからあの子の目の前で言うの禁止ね」

 

 

 鋸を担いで自信満々なモーさんにそう言って顔を引攣らせるカルナ。

 

 インドにおいてきたアルジュナの事が気がかりなのか、そう言わざる得なかった。勤勉で建築について自分から懸命に学ぼうとしている彼の姿を知っているカルナからしたら、モーさんを一番弟子と断言できない。

 

 果たして、彼は元気にしているだろうか?

 

 さて、それはともかく、巨大そうめん流しの竹は繋がっていき、形が出来てくる。作業に割く人数も多いので効率よく組み立ても出来ていた。

 

 

「後はこれが数十キロ先まで伸ばさなきゃいけないってとこだよなぁ…」

「先は長いね」

 

 

 そう言いながら竹をひたすら組み立てていく作業。

 

 絵面的にはかなり地味である。こんな単調作業を繰り返していては次第と会話の方も残念ながら。

 

 

「……………」

「……………」

 

 

 ーーー無言になってしまう。

 

 無言ながらも、黙々と作業に取り組むカタッシュ隊員達。

 

 だが、そうめん流しはそんな無言な彼らとは異なり、だんだんと長さを順調に伸ばしていた。これならば、完成にもさほど日数をかけなくてもできるかもしれない。

 

 そうして、作業をする事数時間あまり、ここである出来事が彼らの前に立ち塞がる。それは…。

 

 

「おい、カルナ、ここはどうする? 川だぞ」

「あーマジかー、川跨いじゃう?」

 

 

 そう、エミヤが発見したのはカタッシュ村から暫し離れたところに流れている川。

 

 あいにくと、この川はまだ橋が架けられておらず、そうめん流しをするにはこの川をそうめんが渡せるようにしなくてはならない。

 

 これは参ったと一同は表情を曇らせる。しかもこの川、なかなか幅もあり埋め立てるわけにもいかない、そこで?

 

 

「川の中にこう、支柱を作ってさ」

「その上から繋いでってってな感じでどうよ」

「ほほう、なるほど確かに名案だ」

 

 

 川に入り、支柱を立て、その上からそうめん流しを建てる。

 

 こうすれば、川を渡らずとも竹は向こう岸まで伸び、そうめんも開通するはず、そうと決まれば話は早い、早速、リーダークーフーリンが川の深さを調べる。

 

 すると? この川の深さはなんと…。

 

 

「あ、意外と割と深いね、こりゃ、ロープ腰に巻いてなきゃ危ないかもわからん」

「いやーほんとゲイボルク便利だよね」

「ほんとだなー」

 

 

 そう言って、川の深さをゲイボルクで調べるリーダーの姿に頷くカルナとディルムッドの二人。

 

 この3人、ゲイボルクの使い方が明らかに間違っているのだが、さして、問題ないと言わんばかりに利便さに感心している。

 

 さて、深さもある程度わかったところで、水着に着替えたモーさんと褌一丁になったクーフーリンの2人はロープを腰に巻いて早速、支柱を作るために川の中へ。

 

 

「モーさんまでせんでええのに…」

「リーダーがやるんなら俺もやるよ、2人でやった方が早いじゃんか、な?」

 

 

 そう言って、赤いビキニを着たモーさんはにこやかな笑顔を浮かべてクーフーリンにそう告げると2人はとりあえず支柱になるものを建てにゆっくりと川に足をつける。

 

 しかし、この川…。

 

 

「ひゃー!? つ、冷めてー!!」

「無病息災! 無病息災!」

 

 

 かなりの冷たさだった。

 

 あまりの冷たさに思わず可愛らしい声をあげるモーさん、そして、リーダーは何故か冷たい川に入る際、大寒の儀式まで行う始末。

 

 そう言われてみれば今年はまだやっていなかった大寒の儀式、この機会についでに済ませるあたり流石である。

 

 さて、そうして、流されないようにゲイボルクを地面に刺しながら先に進み始める2人、だが、流れは相変わらず早くなかなか前に進まない。

 

 そして、ある程度、川の中を進み支柱を立てる場所に2人はたどり着くと竹の支柱が流されないようにしっかり川の地面にめり込ませるように入れていく。

 

 仕上げは木槌で上から叩き、周りは川にある丸い石で固めれば完成、これならば、川が大洪水の様な事にならない限りは大丈夫なはずだ。

 

 

「よーし!そんじゃ上に竹を通すぞー!」

「はいはい、それじゃこっちにくれー」

 

 

 そして、支柱の上に竹を通し、紐でしっかりと固定していく。

 

 なかなかの出来栄え、川を挟むという予想外な出来事があったものの、問題なく作業は進めれそうだ。

 

 さて、川の上でのそうめん流しも無事に完成しあとは戻るだけ、だが、ここでそう簡単に終わらないのが彼ら。

 

 なんと、岸に帰る途中、モーさんとリーダーにあるハプニングが…。

 

 

「よいしょ、よいしょ、あっ…!?」

「あ! リーダー! ちょ!?」

 

 

 なんとリーダー、足を滑らせ、なんと川に流されてしまった! 幸いにもロープを巻いていたのでそれを掴んでいるのだが…。

 

 リーダーの顔面に冷たい川の激しい水流が襲いかかる! ガボガボ言ってて、陸にいる3人には何言っているのかよくわからない。

 

 

 ーーーリーダーの川流れ。

 

 

 エミヤ、カルナ、ディルムッドの3人は大爆笑。リーダーを助けるべく、ロープを引っ張るのだが笑いのあまり腰に力が入らない。

 

 そして、同じく川に入っていたモーさんにも悲劇が…。

 

 

「あー!! ちょ! ちょっと待てぇ!」

「ブボォ!」

「あははははははははは」

「ちょ! 何やってんの!? 2人とも! あははは!」

 

 

 なんと、モーさんが付けていたビキニの上の部分が川に流され、なんと、足を滑らせ流されていたリーダーの顔面に直撃。

 

 これには腹筋をやられた3人の手から思わず力が抜ける。

 

 

「上げてぇ〜! たすけて〜」

「リーダーその声やばい」

「わかったわかったから」

 

 

 モーさん赤いビキニが顔面に直撃している中、大爆笑している3人から引っ張り上げられる我らがリーダー。

 

 それからモーさんも片手で胸を隠しながら顔を真っ赤にしつつ、ゆっくりとゲイボルクを地面に刺しながら進み、岸に上がる。

 

 その上からカルナがポンポンと頭を軽く撫でてやると上着をそっとかけてあげた。川に入っていた二人とも唇が紫でフルフルと震えていた。

 

 

「しかし、すごいタイミングだったな」

「いやー、笑った笑った、リーダーの顔面に追い打ちだもんな」

「べちん! っていったぞ、べちん!って」

「う、うるさい! 俺もまさかリーダーの顔に飛んでくとは思わねーし!」

「なかなか凄い衝撃やったで」

 

 

 そのリーダーの一言に再びエミヤ、カルナ、ディルムッドの3人から笑いが溢れ出る。

 

 川に流されたリーダーの褌がズレてもうちょっとで危うい場面もあったので余計に笑いが出てしまった。

 

 名高い英雄がなんと褌一丁であわや川に流されるという珍事、しかも、二人ともポロリしそうになるというおまけ付き。

 

 さて、こうして、カタッシュ隊員は再び、そうめん流しをキャメロット城の下町まで引く作業に戻る。

 

 気がつけば、多分、半分くらいだろうか、長い長いそうめん流しがキャメロット城下町までの半分くらい出来上がっていた。

 

 

「ま、こんなとこやろうかねとりあえず」

「今日はここまでにしとこうか」

「いいねー」

 

 

 とキリが良いところでそうめん流しの作業を一旦やめるカタッシュ隊員達。

 

 もう、日も暮れはじめ、そろそろ夕飯の時刻も迫ってきている頃だ。クーフーリン達は作業を終えてひとまずカタッシュ村に帰ってくる。

 

 

「おかえりー」

「あ! クーちゃん! お疲れ様! ご飯にする? お風呂にする? それとも…」

「た・わ・し?」

「ちょ! ベディ! せっかく私の見せ場なのにー!」

 

 

 そう言いながら、ずいっと横から現れたベディの顔を押し退けるようにして不機嫌そうに告げるメイヴ。

 

 ヴラド、ベディ、スカサハ、メイヴの四人はどうやら先に帰ってきて夕飯を作ってくれていたらしい。

 

 すると、スカサハはなんだか恥ずかしそうに顔を赤くしながらクーフーリンにこう告げ始める。

 

 

「あ、しげちゃん! …きょ、今日は私がなんとカレーとやらを作ってやったぞ!」

「なんと師匠初挑戦です」

「おー! ほんまに! 楽しみやわ!」

「ほう、カレーか…」

「俺らいなかったら多分、禍々しい何かが出来上がってだだろうけどね」

 

 

 そう言いながら、ドヤ顔のスカサハ師匠を横目に苦笑いを浮かべているヴラド。確かにカレー自体をわかっていないので、監督役が居なければ凄いものが出来上がっていただろう事は容易に想像がつく。

 

 というわけで、病院作りの方に向かっていたADフィンとナイチンゲール師匠、そして、牧場で羊の毛狩りをしていた小次郎、マーリン師匠を呼び食卓を囲む事に。

 

 

「あれ? かぐや姫ちゃんは?」

「いや…あの後、戻って月の使者さん達に身柄返したよ」

「まぁ、流石にお姫様に農作業させるわけにもいかないからね」

 

 

 そう言いながら、仕方ないとヴラドは訊ねてきたリーダーに説明をする。

 

 確かにかぐや姫をこんな場所に連れてきたまま、農作業をさせるわけにもいかない、それに元々帰る場所があるなら保護者さん達も心配するはずだ。

 

 すると、話を聞いていたメイヴとスカサハの二人は顔を見合わせると納得するカタッシュ隊員達にこう告げる。

 

 

「え? 私、女王なんだけど?」

「ん? 私も女王なんだが?」

「えっ?」

「えっ?」

「ちょ、えっ?」

 

 

 思わず、この2人の返答にカタッシュ隊員も顔を見合わせる。そう、実は何を隠そう、メイヴもスカサハも女王。

 

 か弱き女の子であるのだ、そう、それはあくまで自称であり、カタッシュ隊員は彼女達の逞しさを知っているのですっかり忘れている。

 

 

「あはははーまたまたご冗談を」

「そうだよ、槍突き刺して鉱物掘ったり平気でクソ重い石ぶん投げたりする人がまさかー」

よーし、お前らのカレーだけめちゃくちゃ辛口にしてやる!

「手伝うわ、スカサハ」

「ごめんなさい! 嘘です!」

 

 

 そう言いながら、涙目のスカサハにすぐさま謝罪に入るベディとヴラドの2人。

 

 それを見ていたクーフーリン達は思わず目をそらしながら苦笑いを浮かべていた。そう、何を隠そうこの人達もそう思っていたからである。

 

 こうして、笑い声が上がる中、賑やかな夕飯が始まる。

 

 明日は遂にそうめん流しの仕上げ、そして、病院作りもいよいよ最終段階に入る。

 

 スカサハとメイヴが作ったカレーで力をつけて立ち向かわねば!

 

 こうして、夜はゆっくりと更けていった。

 

 

 

 今日のYARIO。

 

 

 リーダーの川流れーーーーーーーーNEW!!

 

 モーさんの水着が流されるーーーーNEW!!

 

 かぐや姫送還ーーーーーーーーーーNEW!!

 

 メイヴとスカサハは女王だったーーNEW!!

 

 流れの速い川に支柱を建てれるーーNEW!!

 

 冷たい川で大寒の儀式ーーーーーーNEW!!








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