ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか?   作:パトラッシュS

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ニトクリスのピラミッド作り(大詰め) その2

 

 

 

 

 さて、前回の鉄腕/fateでは空中庭園の達人、セミラミス師匠を建築にお呼びし、ニトクリスちゃんのピラミッドに長岡という名前を付けたカタッシュ隊員一同。

 

 そんな一同セミラミス師匠をエジプトで迎え盛大な歓迎会を開く事に。

 

 というのも?

 

 

「なんと! 今日はみなさん! メジェド様祭りですよ!」

「というわけなんですよ」

「何がどう、というわけなの?」

 

 

 そんなわけで、このメジェド様を讃える祭りをニトクリスちゃんが開きたいと希望するので致し方なく付き合ってあげることに。

 

 どうせなら盛大にやろうと、オジマンディアスも国を挙げて全力サポートしはじめるのでこれはもうせざるを得なくなってしまったわけである。

 

 さて、こうして、セミラミスを盛大にお迎えするために開かれる事になったメジェド様祭りだが、その概要はというと?

 

 

「ソウ ワタシ ガ メジェド サマニ ナリマス!」

「なるほど、それでそれで?」

「アシキ モノ ヲ タイジスベシ!」

 

 

 そう言って、ベディの質問に対して、初対面で彼女と出会った時のように珍妙なメジェド様の白布を被り、耳の様な癖毛をピコピコと動かすニトクリス。

 

 確かに愛嬌があり、可愛いのだが、これで悪しき者を倒すと意気込まれても正直な話、皆はピンとこない。

 

 

 

 そこで、カタッシュ隊員達は考えた、このメジェド様に対抗すべき好敵手を、そうして、考えついた結果がこちら。

 

 

「なんで俺がこんな格好…」

「いいじゃんいいじゃん」

「スッゲーかわいいよモーさん」

 

 

 そう、人間サイズのアヒル隊長。

 

 これをモーさんにやってもらう事にした。理由は特に無い、リーダー達の思いつきである。

 

 しかし、モーさんはカルナ達から可愛いと言われて満更でも無いのか、無表情のアヒル隊長のぬいぐるみを被ったまま照れくさそうな声を挙げていた。

 

 

「えへ、えへへ、そ、そうかぁ〜? な、なら仕方ねぇなぁ、俺がやるしか無いか! うん」

(チョロいな〜、モーさん)

(先が心配だなぁ、大丈夫かなぁ…)

 

 

 さんざん持ち上げておいて、天使の様な笑みを浮かべるモーさんに思わず心配になるカタッシュ隊員達。

 

 無表情なアヒル隊長の顔が相まってかなりシュールな光景である。

 

 さて、そんなアヒル隊長とメジェド様の姿を目撃しているセミラミスは目をまん丸くしながら指を差し、ヴラドにこう問いかける。

 

 

「なぁ、ヴラド、あれはなんなのだ?」

「アレですか? ウチのマスコットです、あと、この人達もその類ですね」

「うむ、そうだな、…うん? …ちょっと待て、何故、私もあれらと一緒の扱いなんだ!!」

「え! 僕マスコットやったん!?」

 

 

 そう言って、説明されるヴラドから指差されたリーダーとスカサハ師匠は思わず声を上げて突っ込む。

 

 ーーーーマスコット的なリーダーと師匠。

 

 確かにアヒル隊長やメジェド様みたいなシュールさは無いが、我らが愛すべきリーダーとスカサハ師匠は間違いなくマスコット的な存在である。

 

 

「愛されキャラで良いじゃんか」

「だって片方は魚類で片方はアヒルやで」

「そうだけども、似たようなもんでしょ」

「なんでやねん!」

「こら、刺すぞ、プスっていくぞプスって」

 

 

 2人の息の合った突っ込み。

 

 スカサハ師匠は頬を膨らませながらゲイボルクを構えて牽制している。

 

 しかしながら、普段から槍で鉱石を掘ったり木を槍で刺し倒したりしている師匠を見ているカタッシュ隊員達からしてみればあの珍妙なマスコットとなんら変わりがなく見えても仕方ないようにも思える。

 

 リーダーはリーダーで、もうみなさんはご存知の通りだと思われるので割愛してもらう事にしよう。

 

 というわけで、メジェド様とアヒル隊長のマスコット一騎打ち祭りが催される事に。

 

 

「さぁ、みんな! メジェド様とアヒル隊長を応援するんだぞー!」

「「はーい!」」

 

 

 そして、エジプトの子供達に応援を促すディルムッド。

 

 まるで、一種のヒーローショーのようだが、大人達も珍妙なマスコット対決を一目見ようと宮殿の近くは賑わいを見せていた。

 

 この祭りはこの催しをきっかけにエジプトでの伝統的な祭りとして後世に語り継がれる事になるのだが、その祭りの名前が別名…。

 

 

 長岡マスコット祭りである。

 

 

 早速、祭りは盛り上がりを見せる。神輿に担がれたニトクリスのメジェド様とモーさんの担がれた神輿が激突。

 

 このモデルとなっているのは日本伝統の喧嘩祭りである。

 

 日本の祭りにおいて、山車、行燈、曳山、神輿、太鼓台等でぶつかり合うように行う祭りでこうする事で神威を増すといわれている。

 

 新潟県の天津神社のけんか祭りでは、神輿のぶつかり合いは、神威をいや増すものであるが、男女神のぶつかり合いは神婚を意味し、五穀豊穣、大漁、子孫繁栄をあらわすと言われているのだ。

 

 つまり、互いの誇るマスコットをぶつけ合う事でお互いの土地が豊かになりますようにという意味で願いを込めた行事になっているのである。

 

 ここまで長々と説明があったが、ここは新潟県ではなくエジプトである。

 

 

「グッ… フフフ アヒル タイチョウ ナカナカ テゴワキ コウテキシュ デス!」

「グワー(てめーもな!)」

 

 

 ピコピコと頭の羽毛が動くメジェド様に呼応するように、アヒル隊長モーさんが羽を広げて威嚇を見せる。

 

 

 ーーーー互いに成りきっている。

 

 

 その余興を楽しむようにオジマンディアスとギルガメッシュの2人は酒盛りをしながら満喫していた。

 

 珍妙なマスコットの戦いはまだまだ始まったばかり、今年の長岡祭りを制するのは一体どちらのマスコットなのか!

 

 さて、それはさておき、時は過ぎ、祭りを眺めているセミラミス師匠は面白い光景に大変満足されている様子であった。

 

 

「こんなものを考えるとはなかなか面白い奴らよな、気に入った」

「え! それじゃあ…」

「あぁ、我が直々に空中庭園の技術を授けてやろう、どんなものが出来上がるのか見て見たくなった」

「やったー! ほんとですか!」

 

 

 こうして、なんとかセミラミス師匠から空中庭園の技術を学べる事が出来るようになった。

 

 これで、長岡も空中に浮かぶエジプトで一番大きなピラミッドにすることができる。それに空飛ぶ納屋、山城も作る事が可能に!

 

 さぁ、いよいよ、ピラミッド作りも大詰めだ。

 

 

 さて、そんなわけで、ピラミッド作りが順調に進んでいる最中。

 

 ひと段落ついた一同はこのマスコット長岡祭りを無事に終えて一度カタッシュ村に帰る事にした。

 

 というのもこれには理由があった。それは…。

 

 

「病院の人手が不足しています、これでは…助けられる命も…」

「そうですか…」

「ジャンヌさん達も作業の合間を使っていろいろと手伝ってはくれてるんですけどね」

 

 

 そう言って、深いため息を吐くのはこのカタッシュ村の病院の婦長、ナイチンゲール師匠である。

 

 病院という施設自体がこの場所にしか無いため、人が足りず、回らなくなってきているというのだ。

 

 それにこの時代の医術では病人を助けるにも限界がある。

 

 容易に霊草を使えば不老不死にはできるもののそれでは彼らに望んでいない苦しい生活をずっと強いる事につながってしまう。

 

 

「…どうにかなりませんかね?」

「うーん、そうだね、なんとかしなきゃだね、それは」

「医者も麻酔医も居ないから手術もできてないんだよね?」

「…はい、良くても切除かそのくらいの処置くらいでしょうか」

「若い命が無くなるのは僕らも見てられへんからなぁ」

 

 

 そう言って、ナイチンゲール師匠から病院の事情を聞いたカタッシュ隊員達は顔を見合わせてどうするか思案し始める。

 

 確かにこのまま、この状態にしておくのは良くない。

 

 なので、彼らはひとまずこの件に関してナイチンゲール師匠のお願いを聞き入れる事にした。

 

 

「まずはお医者さんだねー」

「あ、僕、1人心当たりあるわ!」

「え? リーダーそれほんと?」

 

 

 そう言って、リーダーの言葉に驚くヴラド。

 

 リーダーはにこやかな笑顔を浮べながら頷く。どうやら、医者に心当たりがあるようだ。

 

 ならば、それに越したことはない、あとは片っ端からだん吉で皆が散り散りにお医者さんに協力を求めに行かなければならないのは確定事項。

 

 心当たりがあるなら、それならそれでだいぶ助かる。

 

 というわけで一同はそれぞれ、お医者さんを求めてだん吉へ、リーダーはカルナと共に移動をすぐさま開始した。

 

 

「リーダー行き先は?」

「えーとな、現代のちょっとした紛争地域なんやけれども…医療支援団体の方に心当たりがあってなぁ…」

「えっ!? げ、現代!? マジで!」

「マジやでー」

 

 

 そう言って、だん吉に乗り医療支援団体が活動している地域へと赴く事になった2人。

 

 カルナもまさかの行き先が現代という事に驚きが隠せない、リーダーの心当たりがある人物とは一体誰なのだろうか?

 

 

「この人ならもしかしたらいけるんちゃうかなって…」

「いや…いくら医術が発展してるからって…個性強いあの人達に現代で馴染む方なんているのかなぁ」

「心臓手術なんかはやっぱり専門家しかわからんやろうし…外科医はやっぱり専門家がええよ」

 

 

 そう言って、カルナの言葉にもっともらしい事を述べるリーダー。

 

 果たして、カタッシュ村に呼ぼうと思うほど人材とはどんな人物なのだろうか? すると、リーダーは医療支援団体のテントを潜り抜けそこで患者と話をしている1人の人物に話掛けた。

 

 

「あのー…すいません、僕らYARIOという者なんですけども」

 

 

 それから、しばらく話すこと数分ほどで協力をしてもらえる事を承諾してもらうことができた。

 

 こんな紛争地域で患者を診る変わった外科医、果たして医術の匠とは一体どなたなのだろうか。

 

 

 それから数日。

 

 散り散りになったカタッシュ隊員達は医者の経験がある方を呼びにだん吉で走り回り、何人かの人材を確保する事に成功した。

 

 

「こちらパラケルススさん、錬金術と医療に精通してらしてる方でして」

「…助かりました。正直言ってどうしようかと思っていたので」

「いえ、私もお会い出来て嬉しいです」

 

 

 そう言って、ヴラドが紹介してくれたホーエンハイムと名乗る男性と握手を交わすナイチンゲール。

 

 医術と錬金術に精通してある方ならば患者さんもある程度は問診や診察ができ、怪我や病の様子なんかも把握できる。

 

 

 そして、続いて現れたのはベディと手を繋いで現れた可愛らしいワンピースを着た1人の幼女であった。

 

 

「私達は、ジャック・ザ・リッパーっていうの! よろしくね!」

「えーと、いろいろ聞きたいことがあるんだけども」

「この娘こう見えて外科手術ができるんだよ!」

「いや幼女じゃん! どっから連れて来たのよ! 事案だよ! これ!」

 

 

 そう言って、突っ込みを入れるヴラド。

 

 誘拐犯になってしまう! これは流石に不味い。

 

 しかし、ベディは至って冷静な口調でヴラドに事の経緯を話し始めた。そう、ベディが向かったのは産業革命期のロンドン。

 

 そこではなんと、娼婦による捨てられちゃう子供達がたくさんおり、悲惨な光景になっていたとか。

 

 せっかくの子供達の未来を大人の身勝手で奪うのは許せるわけが無い。

 

 そこで考えた。なら、貰ってしまえば良いのだと。

 

 

「ほら、カタッシュ村たくさんお母さん居るからさ、リーダー含めて」

「リーダー、一応、性別男なんだけどなぁ…」

 

 

 ーーーーオカンやから仕方ない。

 

 そう、メイヴちゃんだけでなく、大型車を運転できるのは小次郎さんもいる。

 

 それに、カタッシュ隊員なら大型車の運転もなんのその。

 

 ロンドンからわざわざ、大型バスに乗っけてカタッシュ村に連れて来たのである。

 

 

「そしたらなんかこの娘が解体も得意だって言うからさぁ、聞いたら外科手術なんかもできるみたいで」

「うん! 得意だよ! 解体!」

「そっかー、解体得意なら助かるねー、建物の立て直しとか船舶の分解の時におじさんお願いしちゃおっかなー」

「うん! 任せておいてね!」

 

 

 そう言って、にこやかに可愛らしい笑みを浮かべるジャックの頭を撫でるカルナ。しかし、幼女に家や船舶の解体なんかをさせても良いものだろうか?

 

 すると、そこでディルムッドがこんな提案を持ちかける。

 

 

「マグロでもいけるかな?」

「うん!」

「よし、この娘採用!」

「待って、その判断基準はおかしい」

 

 

 ーーー幼女によるマグロの解体ショー。

 

 確かに珍しいだろうが、それですぐさま採用する彼らも彼らである。ヴラドは呆れたようにため息を吐いた。

 

 そして、肝心のリーダー達だが…。

 

 すると、ナイチンゲール師匠は彼らの連れてきた人材についてこう質問を投げかけはじめる。

 

 

「そちらの方は?」

「あ、えーとですね、お医者さんって聞いたので…その、紛争地域から来ていただいたんですけど…」

 

 

 すると、カルナの紹介を見計らって、白衣を着た男性は鋭い眼差しを向けたままポケットに手を入れると自己紹介を自らしはじめる。

 

 そう、彼は現代医学において最高のバチスタチームを形成し、数々の困難な手術をやり遂げたプロフェッショナル。

 

 きっかけはリーダーがよくその雄姿を知っていたからという話から始まった。

 

 

「心臓外科医の朝田龍太郎だ。よろしく頼む」

「はい、というわけで来てもらいました」

 

 

 なんと、あの朝田龍太郎先生に来てもらう事に。

 

 その名前を聞いたヴラドはここで思わず、目を見開いたままこんな事を話しはじめる。

 

 

「ちょっと待って! なんか違う話が始まりそうなんだけど!」

 

 

 ーーーブリテンだけにTeamMedicalDragon(医龍)。

 

 なるほど、確かにアーサー王にちなんだ素晴らしいバチスタチームができそうな予感はする。

 

 しかしながら、手術チームが本当に凄腕ばかりである。

 

 内科医兼麻酔医にヴァン・ホーエンハイム・ パラケルスス師匠。

 

 手術の助手にはナイチンゲール師匠。

 

 そして、外科医には朝田龍太郎にジャック・ザ・リッパーちゃん。

 

 さらにこれからまだまだ朝田先生がツテを使って人材を呼んでくれるという話まで挙がり。

 

 ローマ、バビロニア、エジプトからも医術研究をさせてほしいとカタッシュ村に医者を派遣するという話にまで。

 

 さらに医療機器はメイヴちゃんと小次郎さんが部品を仕入れてくれるそうなので。

 

 

「つまり、医療機器を作れというわけですね、俺らに」

「人工心肺とか手作りできるかなぁ?」

「図面あればいけるいける! 作り方はまた教わり行ってもいいしね」

 

 

 そう言って、医療機器をまず部品から作るところから彼らはやる事になった。

 

 エミヤさんもいるので多分、大丈夫だろうがこれは神代で心臓バチスタチームができるという事になる。

 

 

「カタッシュ村に…帰るぜよ、みたいな?」

「そっちの方が良かったかな?」

「ヤメテ!?」

 

 

 こうして、ナイチンゲール師匠も安心して医療に専念できる環境は整った。

 

 後にこのカタッシュ村病院では医龍的な展開が繰り広げられるのだが、それはまた別の話である。

 

 さあ、ピラミッド完成ももう間もなくだ。

 

 

 今日のYARIO。

 

 

 1.世界最古の心臓バチスタチーム結成。

 

 2.ロンドンの捨て子を回収。

 

 3.マグロの解体ができる幼女を発見。

 

 4.エジプトに長岡祭りが開催される。

 

 5.エジプトにアヒル隊長が祀られる。


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