ザ!鉄腕/fate! YARIOは世界を救えるか?   作:パトラッシュS
<< 前の話 次の話 >>

51 / 74
斧は悪くないよ

 

 さて、前回の鉄腕/fateでは、モーさんの刀の師匠を求めて幕末へ。

 

 師匠になるであろう死にかけの沖田総司をカタッシュ村の病院に運び込んだカタッシュ隊員達だったが今回の話は引き続きエジプトのピラミッド建築へと移る。

 

 ほぼ完成に近づいてきたピラミッドの仕上げに取り掛からなければいけないのである。

 

 

「ギル師匠、どうかなー?」

「順調だ、あと2日後にはこやつは宙に浮くぞ」

「うおー、ついにかー」

 

 

 ーーーー天空のピラミッドが完成間近。

 

 セミラミス師匠の空中庭園の技術に加えて、さらに内部にはなんと水上建築の技術を取り入れてみた。

 

 ついに長岡もエジプトに出来るのかと、一同は興奮気味だ。

 

 ギルガメッシュ師匠は建築の進行具合を彼らに説明しながら現在、必要なものについて話をしはじめる。

 

 

「あとは丈夫な丸太が不足していてな」

「丸太ですか、なるほど」

「丈夫な丸太がいるんですね、わかりました」

「用意出来そうか?」

「そりゃもう! 期待しといて下さいよ! 上質な丸太持ってきますんで!」

「ふっ…、貴様らなら心配はいらぬか、では頼んだぞ」

 

 

 そして、必要な物資を聞いた彼らはトラックに乗り、それらを補充に回ることに。

 

 果たして、上質な丸太は手に入れて来れるのだろうか? ギルガメッシュの要望を受けてベディとディルムッドの二人は丸太を探しに。

 

 その結果、彼らが見つけてきた丸太は。

 

 

「持ってきました!」

「いやーなかなか上質なマルタだと思いますよ!」

「……何これ」

 

 

 ーーーーなんと聖人だった。

 

 ベディの脇に抱えられた聖人、聖女マルタは状況がわからない今の状況に目をパチクリさせていた。

 

 確かに上質なマルタだが、丸太は丸太でもマルタ違いである。

 

 

「…聞くが、貴様らこやつを柱を立てるための支柱にできると思うか?」

「え!? 支柱に使うんですか!?」

「…って言われてますけど」

「いや無理無理!? あんた達聖女をなんだと思ってんのよ!?」

 

 

 当たり前に無理である。

 

 聖女といえど、何十キロ以上あるであろう石の柱を支えるなんて芸当ができるわけがない。

 

 しかし、何故だろうか、このマルタさんからはやれば出来そうな雰囲気があった。

 

 

「なんなのこの状況!? 私の力が必要だって言うから…」

「でも、ドラゴンを殴って大人しくさせたとか自信満々に言ってたじゃないっすかー」

「だから柱も持てる馬鹿力があるってか! そんなわけあるかーっ!」

 

 

 ベディの言葉に突っ込みを入れる聖女マルタ。

 

 まさか、彼らがこんな間違いを犯すとは珍し…くもないが、そういうわけで、仕方ないので聖女マルタさんもピラミッド作りに加わってもらうことに。

 

 

 ちなみに上質な丸太はメイヴちゃん達トラック班が持ってきてくれた。

 

 やはり、騎乗スキル持ちは仕事ができる。

 

 演歌が流れるトラックからサムズアップしてくるメイヴの笑顔は作業に加わっている皆には眩しかった。

 

 

「女トラック乗りってカッケーよなぁ」

「クーちゃんの為ならなんのそのよ!」

「だってよリーダー」

「いやぁ、流石メイヴちゃんやね」

「へっへーん、てやんでい」

 

 

 ーーーー大型トラックの運転ならお任せを。

 

 他にもユンボやクレーン車、建柱車などなんでもござれ、大型車全般ならばなんでも乗りこなしてみせます伊達女。

 

 それが、騎乗スキル持ちのコノートの農業アイドルメイヴちゃんなのである。

 

 ちなみに本業はコノートの女王なのでお忘れなく。

 

 さて、そういうわけで滞りなくピラミッド作りは再開。石を積み上げ、空中に浮かせる準備を急がせる。

 

 ローマの建築技術を取り入れた外観は今までのエジプトの建造物よりも鮮やかに、そして、文化的に仕上げられている。

 

 

「うむ! ざっとこんなものだな! 後は余のライブ会場があれば文句なしだ」

「そんなものはピラミッドに必要ありません、それにこれは私のピラミッドなのですよ?」

「良いではないかー、そんな器量だから婿から逃げられるのだ」

「な!? ななななな!? に、逃げられてなどおりません! 保留にされてるだけです! ファラオに対して不敬ですよ!」

「余も皇帝だからそんな事は知らぬ」

 

 

 そう言って、プイっとニトクリスにそっぽを向いて答えるネロ。

 

 確かにニトクリスもファラオとはいえどローマを支配した皇帝であるネロとの身分は大差ない。

 

 それどころか実績ではネロの方が上手であるので、思わず言葉に詰まってしまう。だが、ここでカルナは笑顔を浮かべたまま二人に近寄るとこう話をしはじめる。

 

 

「まぁまぁ、ライブは俺たちもするからねー、ライブ会場はあった方が助かるよ」

「えっ…!? お前達も歌うのか!?」

「ネロちゃん、俺たちの本業アイドルだよ? アイドル」

「なるほどアイドルはピラミッドも作れて当たり前なのですね!」

「…それは余も初耳なんだが」

 

 

 ーーーアイドルならピラミッドを作れて当然。

 

 アイドルという仕事は料理ができて、土地の開拓が出来て、橋も建築でき、川も復活させることができ、ピラミッドも作れ、病院も作れ、働く車も運転できるのは当然の事。

 

 それに歌って戦って世界を救ったりする事もあるとかないとか。

 

 今や世間はなんでもできるアイドルが一般的なのである。ただ歌うだけでは一流のアイドルにはなれない。

 

 アイドルの卵達が行う合宿でも、彼女達は無人島で木から自分たちが歌うステージ作りを始めるのが一般的だと誰が書いたのかわからない古事記にも書いてある。

 

 

「アイドルとはつまり農業から始めるものなんですね」

「俺たちの場合はバク転からはじめさせられたけどね」

「いやー、あん時は大変だった」

 

 

 そう言ってしみじみ昔を思い出すカタッシュ隊員達、今思えば下積み時代は大変だった。

 

 そんなこんなで、話はまとまり、とりあえず長岡ニトクリスにライブ会場を作ることになった。

 

 空中に浮かぶピラミッドで空中ライブ、これは間違いなく歌声がエジプト中に届くだろう。

 

 

「ふーん、アイドルって大変なのね」

「エリちゃんもいずれ分かるようになるよ」

「というかこの斧、全然使い物にならないんだけど!」

「斧は悪くないよ」

 

 

 ーーーー斧は悪くないよ。

 

 さて、いきなり登場し、使っている斧に対して文句を述べているこちらは領主経験者のエリザベート・バートリーちゃん。

 

 彼女もまた、駆け出しのアイドルであり、ヴラドと同じく領主として地域を治めていた経験を持つ経営経験豊富な匠である。

 

 何故、彼女がこの場にいるかというと、簡単に説明すると人手が足りないので彼らがまた連れてきたのである。

 

 というのも? 最近、病院ができ、ひとの人口もそれなりになってきたカタッシュ村だが、やはり人口が多くなればお役所仕事も増える。

 

 そんな中、人を纏める人材が必要という事で今回、エリザちゃんを連れてきた。

 

 ちなみにカタッシュ村にはフランスから処刑されそうになったアイドル、マリーアントワネットちゃんもなんと0円でベディ達が回収済みである。

 

 彼女達はまだまだアイドルの卵、これから伸びるであろう貴重な人材達である。

 

 

「まさか俺たち以外にもアイドルが居たなんてね」

「だねー」

「斧はね、こうして使うと刃が入って…」

「…すごく…勉強になるわ…」

 

 

 そう言って、カルナの斧の使い方に感心するエリザちゃん。

 

 斧は使い手次第で非常に変わってくる、その事を身に染みて感じた、まだまだトップアイドルには程遠い事を痛感させられる。

 

 というよりアイドルという職業を完全に履き違えているが、誰もその事について突っ込まないこの状況は異常だという事を誰か認識してほしいところである。

 

 

「という事は私もアイドルになれるという事だな」

「スカサハ師匠、今朝なんか悪いものでも食べましたか?」

「いやー、師匠は…というか若い娘に混じって短いスカートとか履いて歌えます?」

「おい、お前達、私に喧嘩を売っているのか」

 

 

 ーーー年齢がネック。

 

 流石に血迷った事を口走りはじめるスカサハ師匠にオブラートに包みながら話すカタッシュ隊員達だが、スカサハ師匠はどうやらそれを聞いてご立腹の様子。

 

 それはそうだろう、スカサハ師匠もまだまだスタイル抜群の美人、声も綺麗で需要はある筈。というのは本人談である。

 

 アイドルの格好をしたスカサハ師匠を見てみたい気もするが、ここは流石に止めるべきだろうか。

 

 と、ここでリーダーが。

 

 

「いや、いけるやろ、僕らもおっさんやけどアイドルやっとるし」

「うん、確かにそうだね」

「スカサハ師匠、声綺麗だしね」

「…しげちゃん…」

 

 

 そう言って、スカサハ師匠に優しいフォローを入れてあげた。

 

 それはそうだ、見た目はバリバリの現役でやれる、ならば年齢など関係ない。というより彼女もすでにカタッシュ隊員なのでアイドルのようなものである。

 

 リーダーをはじめとした皆から大丈夫だと言われて思わず嬉しそうに笑顔を溢すスカサハ師匠。

 

 だが、これを聞いていたモーさんは。

 

 

「いやキツイだろ、年齢的に」

 

 

 地雷を思いっきりぶち抜いていった。

 

 皆が敢えて、スカサハ師匠をその気にさせているにもかかわらずこれである、これにはスカサハ師匠も満面の笑みを浮かべながらモーさんの頭を片手でひっ摑んだ。

 

 

「いっぺん、死んでみる?」

「あだだだだだた!? ちょ! まっ!? ごめんなさい!! スカサハ師匠は若くて可愛いですっ!」

 

 

 スカサハ師匠のアイアンクローに悲鳴をあげるモーさん、だが、笑みを浮かべいるスカサハ師匠の眼光はギラリと光っていた。

 

 若いからといって調子に乗るなよと、そう言わんばかりの力加減だった、現にモーさんの頭からギシギシ何か軋む音が聞こえてきたのだからもはや恐怖である。

 

 しばらくして、モーさんを手放したスカサハ師匠はいじけたようにしゅんとしながら屈み地面に文字を書きながらこんな事を言っていた。

 

 

「…若いし、いけるし」

「スカサハ師匠、心配せんでもいけるで? 僕もそう思うよ?」

「そうだよ、俺たちと違って師匠バリバリ踊れるじゃん!」

「俺たちなんて楽器弾いて歌ってるだけだから! そしてたまに本番で歌詞間違えるし!」

「歌うのも最近、俺たち稀だしね」

 

 

 そう言って、いじけるスカサハ師匠をフォローするカタッシュ隊員達。

 

 

 ーーーーみんな暖かい。

 

 

 しかし、フォローの仕方が何というがアイドルがそれでいいのかと言いたくなるようなフォローの仕方である。

 

 これも彼らならではのやり方なのだろう、やはりベテランは年季が違う。

 

 という事で、落ち込んだ師匠を励ましたところで、ため息をついたエリちゃんがポツリと呟いた。

 

 

「アイドルって大変なのね」

 

 

 さて、ピラミッド作りもいよいよ完全間近。

 

 新たなカタッシュメンバーを加え、この先、どのような挑戦が彼らを待ち構えているのか!

 

 この続きは! 次回! 鉄腕/fateで!

 

 

 今日のYARIO。

 

 

 1.エジプトにライブ会場ができる。

 

 2.アイドルの定義がおかしい。

 

 3.騎乗スキル持ち大募集中。

 

 4.丸太とマルタを間違える。








※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。