正義の味方候補の魔術使い   作:ラグーン

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レヴィさん視点をチラリっと書きましたが、どうしても受け付けない方は半分まで飛ばすか、この回を見ない方がいいと先に忠告しておきます((土下座
基本的には恭介視点で書いていきますが、今後はもしかしたらがっつりと各キャラ視点があるかもしれません。あくまでも予定ですbそしてキャラ視点の時は事前に前話の後書きか、その時の回の前書きに書いておきます。

そして今回は割とはじめての戦闘回です。下手なのに書いてしまったことには後悔はしてます、はい。頑張って精進しないと!無駄に長い前書きは無視をして本文にどうぞ!


第15話 幻想種の頂点ーー必殺の一撃

私たちは目的地であるユイさんの部屋を目指して走っていた。ほんの数分前までは聞こえてきた戦闘音も耳をすませても聞こえない。あの人のことだ、崩壊現象にも自身で突き刺した足の痛みにも耐えながら、足止めに徹していることが容易に想像できる。彼から攻めることはさほどしてないのだろう。それに足止めを引き受けるさいにいつも白と黒の双剣作り出していた、白と黒の双剣を巧みに使い捌いているはずだ。

 

「なあ、レヴィ。本当に恭介のやつは大丈夫なのか?」

 

割と落ち着いた様子でアラタさんは私に聞いてくる。こうった適応力の高さは素直に褒めることができることッスね。そう言えば彼の実力について知っているのは自分と学園長だけであるのを思い出す。

 

「恭介さんなら大丈夫ッスよ。崩壊現象に耐えながらも足止めに徹してくれてることは間違いなさそうなので」

 

「その根拠はなんなのかしら?」

 

「根拠でスか。……そうッスね。誰かの為に戦う人だからじゃないッスか?」

 

「……誰かの為に戦う人?もしかして、あの強引な手段もそのためなんですか?」

 

浅見先生は恭介さんのことを気にしているのだろう。先ほどから少し険しい顔をしている。あの強引な手段はきっと自分自身の足に向かって剣を突き刺したことだ。あの手段は崩壊現象に呑み込まれないようにするためとはいえ、自分としても複雑な感情はある。けど、その動きをしたことで私の感じていた違和感を確信に近いものを得た。

 

「……きっと浅見先生の言うとおりだと思うッスよ。あの強引な崩壊現象への抵抗も誰かの為にやったことだと思います」

 

浅見先生は気づいたようでハッとした表情になる。自分は恭介さん本人ではないため答えはわからないけど、憶測を立てて考えた結果はこれしか思いつかなかった。

 

「もしかして……ユイさんを助けるためにですか?」

 

「恐らくッスけどね。そして自分とも知り合い、そうでなくても関係があることを察したから崩壊現象に呑み込まれるわけにはいかなかったが真相じゃないスか?」

 

それかいま眠っている生徒たちのためだろう。自己保身に入るならあんなことはするはずないのだ。崩壊現象に呑み込まれて、まだ眠りにつくだけですむのだから。つまり、彼があんな行動に出たのは誰かの為であって自分のためではない。そして先程は自分の知り合いだからと言ったけれど、彼はきっとユイさんが自分と無関係でもきっとあのような行動をするだろう。……私が知ってるかぎりでは彼はそういう人ッスから。

 

「恭介があんな行動をした理由はわかったんだけど、恭介の強さがどう繋がるんだ?」

 

「誰かの為ならどんな状況でも恭介さんは動くことを先に知ってほしかったんッスよ。自分がいつも側にいるわけじゃないので……恭介さんの強さについてッスけど、万全の状態なら、間違いなくトリニティセブンと同等、もしくはそれ以上なんじゃないッスかね?」

 

みんなは中々面白い反応で返してくれた。恭介さんもこれぐらい反応してくれたら嬉しいッスけど、あの人は常に冷静に対処するから少し不満なんッスよねー。もう少しリアクションが欲しいッスよ、本当に。

 

「……トリニティセブンと同等、もしくはそれ以上ですか?」

 

「少なくともいまこの場にいない本人も『簡単に負けるつもりはない』って自負してたッスからねー。たとえそうじゃなくても、トリニティセブンに対抗できる力は持っていることは間違いないッス。信憑性を高めるなら、アラタさんの崩壊現象に向けて一撃を放ったのは恭介さんッスよ?」

 

「はぁ!?じゃあ、つまりあの時のこと混浴でミラたちが探してた人って恭介のことだったのか……?」

 

おや?意外にも皆さん気づいてなかったんッスね。自分があそこまで話したから案外気づいてたと思うッスけど。ここで謎の人物Xの正体をバラしたのは失敗したようッス☆

 

「まあ、さておき……恭介さんについても気にかけておいくださいッスね?恭介さんは少しでも目を離せば、何処かに行ってしまいそうな気がするので。ああ、それとその一撃については本人に聞いてくださいスよ?自分もそこまで把握できてはいないので」

 

(自分も聞かないといけないことがあるッスからねー。……あの時の記憶が回復した内容次第ッスけど、どうしてそこまで誰かの為に戦おうとするかわかる気がするッスから)

 

今までは自己保身のために戦っていると思っていた。初めて会ったあの時も、崩壊現象が起きてそれを止めるために動いたあの時も。けど今回のあの行動で少なからずわかったことがある。先ほど上げた二つについても彼は、きっと誰かの為に立ち上がったんだろう。この件が終われば彼に聞こう、だからその前にユイさんを助けることに全力を尽くすことにしようーーーーーー

 

 

◇◇◇

 

 

「そらっ!!」

 

 

胴体を狙ってきた前蹴りに咄嗟に干将・莫耶をクロスして受け止めるが威力を完全に防げたわけではなく後ろへと後退する。……それにしても受け止めていくほどに腕が悲鳴を上げているな。受け身だけではこちらが不利なのは明白、しかし俺が攻めに入る前にアキオは次の一撃を仕掛けてくる。壁を破壊することも造作もないところを見たためまさかっとは思っていたが……ここまで一撃、一撃が重いのは予想外だった。

 

「……足止めするのも楽じゃないな。流石に全力を出しすぎてないか?」

 

「はぅはっ!!それは私の自慢の一撃だからな。けど、それを受け止めてたり、力で相殺したりする恭介も大概だぜ?それに隙あれば反撃してこようとしてるくせによく言うよなぁ」

 

「俺は攻めるより防御の方が専売特許だ。そして今回は無理に攻めに転じる必要は余りないため、俺はこうやって君の一撃を受け流していけばいい。それにお互い時間との勝負だろう?」

 

俺は崩壊現象の影響について、アキオたちはここを通り抜け崩壊現象を破壊する。実際に俺は着実に睡魔が襲ってきており、割とこうやって話すだけでも辛かったりすがそこそこアキオの一撃を受け止めて壁に激突したりしているため眠気覚ましにはなっている。

 

「なあ、よく性格悪いってレヴィやあの兄ちゃんに言われてないか?」

 

「ふっ、すでにアラタ、レヴィ、そしてセリナから言われたさ。俺としては非常に納得いかないが何故かそう言われる」

 

全く俺のどこが性格が悪いのだろうか?俺はアラタの英気を養うために教えなかっただけだし、盗み聞きしている2人に巻き込まれないようにし、そして観察力を高めるためにアラタには俺の魔術を見て判断しろと言っただけじゃないか。それで性格が悪いと言われるのは非常に心外である。

 

「……衛宮恭介でしたか?貴方はいったい何者ですか」

 

僅かに驚いた表情で山奈ミラは俺を見ていた。ふむ、俺が何者か?残念ながらその質問に回答できないのが現在の俺なんだけどなぁ。

 

「すまないが君の質問に期待できるような答えは持ち合わせてないんだ」

 

「確か……記憶喪失でしたか?」

 

「ああ、だから君が満足になる答えはもっていない。先ほどの質問に答えるとしても、三流魔導士かへっぽこ魔導士としか……な」

 

そんな怪しい人みたいにみられても本当のことだからしょうがないんだ。俺自身が記憶を取り戻したいんだから、真っ当な答えは今のところ誰に対しても持ち合わせてない。

 

「恭介の魔術は見た感じ錬金術なのはわかるんだけど……どうも違うような気がするんだよなぁ」

 

「さて、どうだろうな?もしくは違う魔術かもしれないぞ?」

 

俺はシラをきり肩をすくめるが内心では焦っていたりする。あまりにも鋭すぎないか?錬金術ではないのがあっさりバレそうで本気で怖いんだが……レヴィ以外に錬金術ではないとバレるのはアキオかもしれないな。

 

「大将、恭介の魔術についてわかったことないか?」

 

「何度やっても……結果は解析不可っとなりわかりません」

 

……どうも命拾いしたようだ。魔術を解析できるなんて今初めて知ったぞ。アラタに念入りに聞いておくべきだったか……それにしても俺には相手の魔術解析を妨害する手段なんてない。身に覚えがない以上考えるだけ無駄か……俺は隠蔽している投影魔術をバレないように切実に願っているだけだからな。

 

「そろそろ引いてくれると助かるんだがな。俺としてはそろそろレヴィたちの元に合流したいんだが」

 

「その言葉をそのまま返しますよ。それに貴方もだいぶ辛そうですが?崩壊現象に呑み込まれないためにワザとアキオの攻撃を正面から受け止めて、痛みによって無理矢理意識を持たせてるんですから。その足の怪我も大方無理矢理意識を保つために行ったのでしょう?」

 

「くっくっ、見抜かれているのはわかってたがそこまで明確にバレているとはな、ご名答だよ。俺は既に割と限界でね。今でもこう話していないと眠りにつきそうだ」

 

既にいつ呑み込まれてもおかしくない。そんな俺がいまできることはこうやって話して時間稼ぎするか先ほどのように戦闘を繰り返すことだけ、そうやって意識を無理矢理保つことしかできないのだ。まあ、最悪また再度足に剣を突き刺せばいいが。

 

「だったら、この一撃で眠ってくれると嬉しいんだけど、なっ!!」

 

やはり話で時間稼ぎはしてもらえなさそうだ。アキオは俺に接近をしてそのまま胴体回し回転蹴りをしてくる。干将・莫耶で再度受け止めるが、受け止めた際に床が嫌な音をする。後退するさいに体制を既に立て直していたアキオから重い一撃が再度襲ってくるが辛うじて莫耶で打ち払うことができたが、何度も攻撃を防いでいた代償か莫耶にヒビが入る音が聞こえたことに俺は内心で舌打ちをしつつそのままアキオから一定の距離を置く。

 

(……彼女たちの前で投影を行うのは危険すぎる。莫耶にヒビが入ったところを見ると干将も長くは保つまい。さて、どうする?)

 

投影魔術を使うことに躊躇いがないわけではない。いっそのこと天井を破壊して壁を作るか?いや、それをしてもアキオが壊すのは造作もないか。……つまり、詰んでいるのは俺の方か。

 

「さっきの音の様子だとその黒い方の剣が限界ってところか?」

 

「そのようだ。莫耶にヒビが入った以上、干将の方も長くないだろうな」

 

「私の蹴りにこうも耐え抜いたのは恭介が初めてだぜ?こんな状況じゃなかったらもっと楽しめただろうな」

 

「それは同意だよ。こんな状況でなければもっと楽しめただろうに。さて、ならば次の一撃で決着をつけないか?お互いの全力でどちらが勝つか、それで充分だろう?」

 

「いいねー、実に私好みの終わらせ方だよ。意外と馬が合うのかもな私たち」

 

 

「歯を食いしばれよ恭介!!」

 

「全力でいかせてもらうぞっ!」

 

同じタイミングで床を蹴る。お互いの最高速度、そして最大の一撃をぶつかり合う時はただではすまないだろう。しかし、それはお互いに理解している。けれどこの高揚感は止める方はできなかった。そしてお互いのーーーー

 

「……どうやら、今回は引き分けとなるようだ」

 

「……不完全燃焼になるけど、そうした方が良さそうだからな」

 

お互いの全力の一撃がぶつかり合うことはなかった。アキオはギリギリ俺の頭側面に足を止めて、俺もギリギリでアキオの腹部辺りに莫耶を止めることになった。……残念ながら続けていたとしても俺が負けていただろうな。彼女の蹴りの重さは干将だけで完全に防ぐことは難しそうだ。我ながらなれないことをしたが……たまにはこういった終わり方もいいか。

 

「どうも、アラタ達が進んだ方向から嫌な気配を感じる。この気配……幻想竜か?」

 

「……もしかして''Dの幻魔(コードD)''と戦闘したことがあるんですか?」

 

「ん?ああ、一度だけだがな。それがどうかしたのか?」

 

「''Dの幻魔(コードD)''と戦闘をして生き残ってるのに、それで三流魔導士と名乗るのは間違ってます」

 

山奈ミラから呆れた視線で見られる。もしやそれほど強い種類の魔物だったのか?確かに厄介だったが、アキオの方が強かったぞ?そもそも竜ならそれに特化してる武器を投影すればすむのだから。そもそも知性がなく正面から突っ込んでくるだけだ。

 

「なぁ、大将。このまま恭介を勧誘するのはどうだ?私としては大歓迎だぜ」

 

「……王立図書館検閲官(グリモワールセキュリティ)か?」

 

「確かに彼の実力は確かのようですが……私たちが探してるの崩壊現象に一撃を放った人の勧誘が優先です」

 

……ふむぅ、どうするか。非常に心当たりがあることだし、まずその一撃を放ったのが俺だからなぁ。もう少し彼女達のことを把握してそのことについては話そう。アキオはだいぶ理解してきたが山奈ミラに関してはまだわからない。

 

「そういうことだ。俺も保留にしておくが……まあ、力になれる時は手を貸そう」

 

「お人好しなんですね。私達は先ほどまで敵対していたんですよ?」

 

「敵対はしていたが、同じ学園にいる生徒だ。今回はお互いに譲れないことがあったから衝突したのであって明確な敵意があったわけじゃない。それに勧誘を急いでいるということは人手が足りないんだろう?魔物退治程度なら俺でもできるからな、その程度のことなら手伝うよ」

 

「……考えてはおきます。それでは話を続けさせてもらいます。今から衛宮恭介と私達は一時休戦としますが異論はないですね?」

 

「おう、私は構わないぜ」

 

「同じく異論はない。まずは幻想種をどうにかする方が先のようだからな。再度ぶつかるとしてもその後でいいだろう」

 

幻想種をどうにかすることに関してはお互いに一致している。問題はその後なのだが……いや、きっと問題ないだろう。期待を押し付けているようだがアラタならば解決してくれる違いない。最悪の結果の時には俺が動けばいい、もとから異端者である俺の評価などゼロに等しい。それがマイナス方面になり、俺がビブリア学園を去ればいい話だ。……けれど、彼らからには拒絶されたくない気持ちはあるが責任は取ろう。足止めをした以上、この目の前にいる少女2人に押し付けることは間違いなのだから。

 

「それでは行きましょう。……崩壊現象に呑み込まれた時は置いて行きますのでそのつもりで」

 

「大丈夫だって、たとえそうなっても私が蹴り起こしてやるからよ」

 

「……どうも俺はここで死ぬかもしれないな」

 

「冗談だって。まあ、その時は大将と同じく置いていくことにするから許してくれよ」

 

構わないっと俺は言葉を返してアラタ達の元に向かう。こちらも元からその覚悟で2人を足止めしたんだ、この細道に捨てられてもしょうがないため怒る理由はない。その時はその時だと他人事に思いつつ、眠気覚まし用に莫耶を念のため俺は投影するのであったーーーー

 

 

 

「おー、やってるやってる!」

 

「……やはり顕現していましたか」

 

どうやら一足遅かったようでアラタたちは既に幻想種と戦闘をしていた。ようやくたどり着いた見た姿はアラタは苦しそうに膝をついて3人でアラタを庇うように立っている。アラタたちはアキオと山奈ミラの声を聞こえたことに振り向くき、俺の姿を見たことに安堵したのかほっと胸をなでおろした。

 

 

「恭介、無事だったのか……!」

 

「そういうアラタは辛そうだが……どうしたんだ?」

 

「……だんな様とあの竜の魔力が共鳴し合っているの。その様子だと一時休戦?」

 

「まあ、あんなのが現れた以上は遊んでる暇はないからなー。そのせいで不完全燃焼もいいところなんだよ」

 

……どうやらそれほど俺との戦闘を楽しんでくれていたことに少し心が痛くなるが、この埋め合わせは機会があれば行おう。しかし、今は集中するべき存在は……幻想種だろうな。

 

「……せめて、楽に終わらせよう。俺ができることはそれぐらいだ」

 

誰にも聞こえないように呟き、俺は幻想種に視線を向ける。あの幻想種も含めて魔物の元がなんなのかは理解している。だからこそせめて楽に終わらせてあげないといけない。魔力の暴走が原因で魔物の姿に変わり果ててもまだ生きていることには変わりないんだから。

 

「あの幻想種を倒せばいいのか?」

 

「それは自分もしては困るッスけど。……恭介さん少しいいッスか?」

 

どうやらそれほど重要な話なのか俺に関することについてなのかはわからないが、制服の袖を引っ張るように全員から距離を取り小声で話を続ける。

 

「……自分がこれから頼むことに関しては断っても構いません。あの幻想種を足止めすることはできるッスか?」

 

「可能と言えば可能だが……」

 

「……ユイさんを助けるにはアラタさんの力が必要不可欠ッス。これからリリス先生と自分がアラタさんにレクチャーをしまス。それが終わるまで……時間を稼いでくれないッスか?」

 

時間を稼ぐ?幻想種相手にして時間を稼ぐか……まったくあの時誓いを立てたじゃないか。俺の答えは初めから決まっている。つい笑みを漏らしてしまいレヴィはキョトンとした様子で俺を見る。

 

「君の頼みごとを断るわけないだろう。それに誓ったじゃないか、君が困っているときは全力で力の出し惜しみをしないと。それに言っただろ?君の期待に応えてみせると」

 

俺はレヴィの頭を優しく撫でる。なぜかこうしないといけない気がしたのだ。この目の前にいる少女の悲しむ姿は見たくないのだ。目の前いる少女には笑っている姿が一番似合っているのだから。

 

「アラタへのレクチャーが終わるまで、アレを君たちに指一つも触れさせない」

 

「……信じるッスよ?」

 

「ああ、君の信頼に応えてみせよう」

 

レヴィは少し笑顔を浮かべる。その表情が似合っているっと内心で思いつつ頭を撫でるのを止める。すると何故か少し名残惜しいような表情をレヴィは浮かべるがどうしたのだろうか?それも気になるが、どうしても言わないといけない気がしたため俺はレヴィに背を向けて不敵な笑みを見せながら口を開く。

 

「レヴィ、一つ確認するがいいかね?」

 

「……確認ッスか?」

 

「足止めをするのは構わんが別にーーーアレを倒してしまっても構わんのだろう?」

 

俺な言葉にこの場にいる全員の視線が俺に集まる。だが、俺が答えを待っているのはレヴィだけだ。レヴィはクスリっと笑みを浮かべて力強く頷き答える。

 

「ーーーはい、期待してるッスよ」

 

「了解した。君のその期待に信頼に全身全霊で応えよう」

 

彼女の信頼に期待に全てに応えよう。たとえ俺に期待していなくても信頼していなくても、今の俺はレヴィのために剣を振るおう。それが衛宮恭介のいまできることなのだから!!

 

「ーーー投影、開始(トレース・オン)!」

 

俺が魔力を使ったことにより幻想種は俺にへと視線を向ける。それは今にとっては好都合、餌と思って近寄るのならそれこそ理想的だ。やはり知能が低くなっているのか様子を見ることもなく大口を開き突っ込んでくる。理想的すぎる展開につい鼻で笑ってしまい、俺はそのまま投影した剣で真正面から突っ込んでくる幻想種を横一文字に薙ぎ払う。

 

「できれば感想をほしいのだが、幻想種の頂点であるドラゴンよ。先ほどの一撃は無傷ではないのだろう?」

 

薙ぎ払いで吹き飛ばしたドラゴンは態勢を立て直して俺を鋭い眼光で睨んでくる。どうやらあの一撃をもらったことにより、幻想種としてのドラゴンが本能的に察知したのだろう。なんせ貴様がくらった一撃は対竜の剣なのだから。

 

「さて、貴様が挑むのは竜殺しの剣でありファヴニールを討ち果たした魔剣であり聖剣だ。貴様にこの剣を突破できるか?」

 

あのドラゴンも馬鹿ではないようで先ほどよりも無闇に突っ込んでくることはなかった。明らかに俺のことを警戒しており、唸り声をあげながらも距離を保っている。そう、俺が投影した剣はバルムンク。邪竜ファヴニール討ち果たした男、ジークフリートが使用していた聖剣であり魔剣。しかし、これは贋作でありオリジナルには届かない。オリジナルであるのならば先ほどの一撃で致命傷だっただろう。

 

「ファヴァニール討ち果たした魔剣であり聖剣……まさか……バルムンク?」

 

どうやら山奈ミラは先ほどの少ない説明で気づいたようだった。竜殺しの剣でならバルムンクはマイナーではないからな。むしろ有名な方であるため気づく人は気づくのだろう。しかし、今は目の前にいるドラゴンは俺の隙を伺っているようでそのことに答えることはできない。いつか教えればいいだろうっと思考を切り替えて次は俺は瞬時にドラゴンへと接近する。

 

「……もらったぞ!」

 

室内が広いため躊躇うこともなく俺は剣を下から払い上げるように振るう。視界外から攻撃すればいくらなんでも反応はできまい。避けようとするがその努力は叶わず直撃したドラゴンの体制は崩れた。その瞬間俺ではない誰かが更に追撃を行いドラゴンは壁に勢いよくぶつかる。ドラゴンが吹き飛んだところを見るから誰かと大体予想できていたが、やはり追撃をした人物はアキオだった。

 

「流石にいいところ無しに終わるのは私も嫌だからな。不完全燃焼になった八つ当たりも含めて手伝うぜ」

 

「少しあの幻想種には同情するな……」

 

「相手もタフだから問題ないって」

 

声を高らかにアキオは笑うが流石にあのドラゴンに同情を感じてしまう。自慢ではないがバルムンクだけでも相手にとっては苦痛だというのにそれに更にアキオの一撃が加わるんだ。……いや、まだバルムンクの真名解放をしていないところを考えるとマシなのかもしれない。地下でもあるためバルムンクの真名解放を使った時には全員が生き埋めになること待ったなしだ。

 

「私もだんな様を守りたいから手伝うわ」

 

「……人手が多いことは困らないが、全力を出しすぎないでくれよ。あくまでも足止めだからな」

 

「ええ、頑張るわ」

 

アリンはコクリと無表情のまま頷く。アラタを守りたいことには嘘偽りがないことは確かのようだ。これで更に幻想種に同情の眼差しをつい送ってしまうが残念ながら俺も手を緩めるつもりはないため覚悟してもらう。

 

「……どうやら相手も先ほどで頭にきたようだ。気を引き締めていくぞ」

 

相当頭にきているのか先ほどより唸り声が低くなっている。やはり幻想種で最強の称号を持つのは伊達ではないらしくすぐに再生したようで原型は元に戻っている。しかし、そうでなければ期待外れもいいところだ。

 

「貴方は崩壊現象の影響を受けているようだけど大丈夫なの?」

 

「どうとでも言えないな。一瞬でも気が緩めば呑み込まれるが……今回はなにがなんでも倒れるつもりない。どんな手段をとろうが耐え抜いてみせる」

 

「そう……だんな様が悲しむから余り無理はしないで。だんな様は貴方のことを大切に思っているから」

 

「善処はするさ。俺としてはアラタの方が心配だが……」

 

全く俺の心配より今は自分自身の心配をしたまえ。アラタの方が状況的には辛いだろうに。さて、ここらで一旦休憩は終わりを迎えそうだ。今にも捕食しに来ようとドラゴンが構えているんだからな。

 

「さてと、いっちょ派手にやろうか。油断するなよ恭介、アリン」

 

「問題ないわ。だんな様を守ってみせるから」

 

「ふっ、油断するほどの強さなんて持っていない。俺はいつでも全力だよ」

 

俺たちの掛け合いが終わるのが合図にしたかのようにドラゴンは吠えて牙を剥いてきた。最強の称号を背負っているからこそのプライドなのだろう。しかし、残念だがその剥いてきた牙は一瞬で折られる結果が明白だった。アリンが俺とアキオに防御の術を掛けて物理防御を上げてもらい、あとは力による相殺でドラゴンの一撃を俺が止めて、その隙を見逃さずアキオの一撃でドラゴンを後退させる。そのまま攻防戦が繰り広げられる。

 

長いような短いような攻防戦の最中に背後から膨大な魔力を感じた。俺はそれを誰かを理解しているからこそ笑みを浮かべる。それはアキオとアリンも感じ取ったようで2人は後ろに下がる。最後になにもしないで後ろに下がるのは物足りないが……アラタは今回がデビュー戦であるため大人しく下がるとしよう。

 

『マスターなんかカッチョイイ必殺技名でぶちかましてやってくれよ!』

 

「おうよ!えー、えっと……崩壊現象を消し去れ!メテオパニッシャー!!」

 

激しい攻防戦で既に体がボロボロであるドラゴンは避けることすらも出来ずアラタの放った一撃に呑み込まれる。そしてドラゴンの気配が消滅したことを感じた俺はバルムンクを消滅させる。そして1人の少女が倒れてる姿が視界に確認したが遠目から見て無事のようだった。俺はそのまま壁に背中を預けみんながその少女の元に向かうのを眺める。やがてその少女は目を覚まし、アラタに抱きついていつも通りの騒がしさが戻ってきた。

 

「充実しているとはこういうことか……」

 

アラタに浅見先生が顔を真っ赤にして怒っている。その理由はあの少女の格好に問題があるのだろうが……俺はその光景を見て苦笑いを浮かべる。いつも通りに戻ってきた日常の風景を見て俺がどれほど充実しているかがわかる。するといつの間にかわからないが俺の横に立つようにレヴィがいた。

 

「混ざらないんッスか?」

 

「どちらかと言えば眺めてる方が好きだからな。それに変に巻き込まれて浅見先生からお説教は勘弁願いたい」

 

「それは同意ッスねー。けどリリス先生がいじられることがなくなることはないんじゃないッスか?」

 

「その原因は君も含まれてるんだからな?」

 

「そんなことないッスよー」

 

否定をしているが棒読みの時点で意味ないからな?しかし浅見先生の反応を見るからにアラタや学園長辺りからいじられ続けるのはように想像がつく。……苦労人すぎないか?

 

「……恭介さん。ありがとうッス」

 

「俺はあの少女を救えるようなことはしていない。俺が今回やったことは足止めくらいだ。一番の功績者はアラタなんだ。その言葉はアラタに伝えるべきだ」

 

「もちろんアラタさんには感謝してるッス。けど、恭介さんに真っ先に伝えたかったんッスよ。自分のワガママに答えてくれた恭介さんにご褒美ッス」

 

 

すると左手から温もりを感じた。どうやらレヴィが俺の左手を握っているようだ。ただ喋る事もなくお互いに無言でいる。けれどそれが心地よかった。長く感じてけれど数分後にレヴィは手を離す。そしてアラタたちの元に向かって行く。遠目から見ているとレヴィも笑っている姿があり俺はそれを見て安堵をする。

 

「……ああ、本当に充実しているようだな。だからこそなんだろうな」

 

レヴィが気づいたから左手を握ったのかはわからない。ほんの少し痛みが和らいだのは気のせいではないだろう。充実していると実感してから古傷の火傷の傷跡がある左腕から感じていたこの痛み。俺はこの傷の痛みとは永遠に向き合っていかないといかないのだろう。自分が充実しているからこそ感じるこの痛みに。それが唯一生き残った衛宮恭介の当然の報い、衛宮恭介が背負っていかないといけないことだから。

 

 

 

 

「案外侮れないのねこの世界の魔道士は」

 

殺風景な荒野に銀髪の少女が一人立っていた。その少女が見上げている空にはなにもない、あるのはただ広がる黒い空。一筋の光もない空を見上げながら銀髪の少女は呟く。

 

「恭介が願っていなかったら一瞬でバレちゃうところだったじゃない魔術について。今度会ったら注意しないと」

 

怒ってる様子はなくむしろ楽しそうな表情を浮かべながら鼻歌を歌い始める。人がいるならば幻想的で目を奪われるだろう。だが、この場にいるのこの少女一人で他にあるとしたら殺風景な荒野に突き刺さる無限にある剣だけだ。

 

「恭介は昔の自分が知りたいと思ってるけど……思い出さない方が恭介にとっては幸せなのよね。辿り着いた結果から、あんな願いが生まれたんだから」

 

全てを知っているからこそ少女は悲しげな表情を浮かべる。自分がいかに無力であることを呪うかのように少女の表情は暗くなる。

 

「悔やんでも仕方ないわね。私が出来ることなんて恭介を慰めることか、こうやって些細な願い事を叶えてあげることだけ」

 

気持ちを切り替えるように少女は歩き始める。鼻歌を歌いながら殺風景な荒野をただ歩き続ける。そして再度空を眺めてポツリと言葉を呟く。

 

「恭介の過去を知りたいだったかしら?うーん、ギリギリ叶えられる範囲だけど……機会を待つしかないわね。受け入れてくれるかはあの子次第だけど」

 

少しつまらなそうな表情を浮かべる。けれど誰か寄り添ってくれる人がいないと彼が記憶を取り戻してもまた同じ結果に辿り着くだけだから。それだけは避けないといけない彼には幸せになってほしいのだからーーーーー





必殺の一撃に関してはアラタ君なので詐欺ではないはず((震え声

ちなみにバルムンクを投影した今回ですが恭介君の場合は魔剣で投影しておりますb真エーテルの投影は流石に無理ですけどね……一応バルムンクを投影した時のステータスを…

幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)
ランクC+(竜相手にはB−)

彼が使用する場合は魔剣でしか投影不可であり、真エーテルの投影も不可。真エーテルがないためランクは大幅に下がり特攻対象が含まれない場合はランクC+が限界である。(特攻対象の場合はB−)バルムンク特有の宝具の連発は可能だが魔力を消費する量が多いため燃費が悪いようだ。竜殺しとしての能力も低下しているが竜が警戒するぐらいの能力はある様子だ。

聖剣の方はイマイチ投影ができるかわからないので、バルムンクに関しては魔剣でしか投影は不可としました。今後は他の宝具をチラホラと投影できたらなぁっと思っております。

え?最後についてとアキオの足止めについてですか?……アキオに関しては、ほら崩壊現象に耐えつつでしたから!負けたのはしょうがないですよ!((言い訳

たまにはチラッと恭介についても触れてあげないとと思い最後には再度登場してもらいました。崩壊現象に無駄に耐えていたのも恭介が無意識に耐えないとっと願っていたからなんですよねぇ。それとミラちゃんが解析不可って呟いたのも。彼女についてもきちんと回収していきたい。いつかはわかりませんが……

次回の更新は未定です。気長に待ってくれてくださると嬉しいです!!(誤字&脱字報告お待ちしております

(無駄な余談ですが沖田さんを召喚することできましたb去年の京まふガチャのリベンジを果たせました!)
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