正義の味方候補の魔術使い   作:ラグーン

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約半年も投稿をせず、fgoの新章で号泣した私が通ります((白目
投稿するモチベが上がらずふっと月日が半年も経ったことに驚いてますが安心してください、エタリはしませんので((真顔
ちなみに内容とサブタイトルについてはいつも通り期待しないでくださいネ!

あっ、前書きは後にして本文にどうぞ!


第27話 世界について

「っ!!急いでこの鎖をどうにかしないと恭介君が……!!」

 

恭介君が拘束具を応用した鎖をどうにかしないといけないのだが焦りが原因か思うように解けない。彼の実力については実際に対峙したこともあるから心配していなかった。……けど、今回恭介君が対峙している彼女は私が想像を絶する強さを持っていた。

 

(彼女から魔力を持っていて、使っているのはわかるんだけど魔術を使う気配は一切なかった。素人の私でもわかるけど恭介君の剣術がとても凄いのは私にだってわかる。……でも、彼よりも彼女の実力がもっと上。魔術なんて使わないで純粋に彼女の力で恭介君を圧倒してる。それに理由はわかんないんだけど……恭介君は今回は自分の実力を持って戦うことに固執してる)

 

素人の私が彼女と恭介君に差があるとわかってるんだから、彼女と対峙している当の本人が一番理解しているはず。けど、投影するものについては彼がいつも使っている干将・莫耶だけでそれ以外のモノを投影する気配が全く感じられない。剣以外の投影が膨大に魔力を消費するのはわかっているけど干将・莫耶以外にも保有している剣はいくらでもあると思うし……。

 

「あと少しで……よしっ、鎖が解けた!考えることについては今回が終わってからっ!今は考えることよりも体を動かすことが優先っ!」

 

恭介君の言った通り鎖はゆるく絞められていて脱出はできた。私が次にやらないといけないのは無謀にも等しい行動をとっている彼を止めること!この場に置き去りにしていった彼の愛用の黒の外套も回収して急いで彼の後を追う。静寂な森に似つかわしくない金属のぶつかり合う音が響く。この音が聞こえたということは……恭介君と彼女が再度剣を交えてるってことになる。音が聞こえてくる方を目指して走る。私が彼を次に見たのは満身創痍で膝をつく姿だった。

 

「駄目……それ以上は駄目、恭介君っ!!」

 

「――オォォォォォォ!!」

 

彼を止めるために必死に出した声は、満身創痍の身体を鼓舞をする雄叫びにかき消されてしまう。彼の両手にある干将・莫耶は今まで見たことがなく刀身を翼のように巨大な剣へと書き換え、そのまま見えない何かを構えている彼女にへと恭介君は疾走する。彼がそうすることを待ち望んでいたかのように彼女は彼以上の速さで疾走し、お互いにすれ違いざまに一閃、お互いに動きが止まり静寂が訪れる。

 

「――強くなりましたね、恭介」

 

「――ああ、そして俺の敗北だ」

 

最後に一言お互いに言葉を交われば恭介君は糸が切れた人形のように力が抜け前のめりに倒れる。彼が倒れる姿を見て私の頭の中は一瞬で真っ白になり彼の名前を悲鳴に近い声で呼びながら彼のそばに駆け寄る。

 

「――恭介君!恭介君!」

 

何度名前を呼んでも恭介君から返事は返ってこない。急いで体制をうつ伏せから仰向けに変えれば、その表情はまるで眠っているようでとても穏やかで微かにだけど呼吸はしてる。まだ生きていることに一先ず安堵はしたけど……鋭利な刃物によって付けられた傷口から大量の血が流れて頭が真っ白になる。

 

(……出血量が酷い。数秘術を応用すれば血は止められるけど血液を増やすのは無理。傷口を塞いだあとは恭介君の意志次第になる……)

 

最悪な未来を想像するだけで胸が締め付けられる。こうなったのは私が恭介君を止めれなかった私の責任だ。彼を止めるには魔術の使用を視野に入れておくべきだったのよ。それなのに私は――

 

「無理な話だと重々承知なのですが……彼の傷を治すつもりでしたらそれは私に任せてもらいませんでしょうか?」

 

「恭介君がこうなる直接的な原因を作った貴女を信用するほど私はお人好しじゃないわよ」

 

戦闘する意思はないと証明するかのように武装は解除しているけど私は信用する気はないわ。彼女と記憶を失う前の恭介君がどんな関係だったのかは知らないけど……彼がこうなった直接的な原因は彼女にある。私はメイガスモードになり彼女とは真逆で敵対の意思を見せる。

 

「貴女の行動は正しい。本当なら私の手でこれを彼に渡したかったのですが……これを彼の胸に置いてください。そうすれば傷は塞がります」

 

「これは、書庫……?」

 

彼女が私に渡してきたのは一冊の光り輝く書庫だった。どうして書庫を?という疑問が浮かぶんだけど、なにかしらの裏があるのでは疑いの目を向けると彼女は首を横に振りながら答える。

 

「それは私のではなく彼のものと言ってもおかしくはないでしょう。この書庫を彼の元に渡して異常が見れたその時はリーゼロッテ、貴女の手で私を討って構わない。その時は抵抗を一切しないと我が誇りに誓いましょう」

 

「……わかったわ。騙されたつもりでこの書庫についてだけは信用してあげる」

 

助かりますっと彼女は優しげに微笑む。あくまで私はこの書庫が恭介君の所有物だと聞きそれだけを信用しただけにすぎないわ。嘘だったその時は手加減なしに彼女の保有する魔力を一つ残らず搾り取らせてもらいましょう。

 

(……お願い、無事に戻ってきて恭介君)

 

書庫を彼の胸に置く前に私自身の想いを秘かにこめる。この繰り返しが行われているこの世界に私の居場所はあると示してくれた恩返しが一度もできていない。だから、誰でもいい……どうか彼を助けてください――

 

 

◇◇◇

酷く冷たく暗い中で底へとゆっくりと沈んでいく。ぼうっと上を眺めていれば微かにだが光が指しているようだがその光のもとへと向かう気力は漠然と湧かない。このまま沈んでいけば行き着く先がどこなのか興味がある。それに俺の辿り着く場所なんて初めから決まっているだろう。

 

――どうして手を伸ばさないの?あの光に向かって手を伸ばせば掴むことができるのに。

 

沈んでいく俺に問いかけるように幼い少女の声が聞こえてくる。その声をどこかで聞いたことがあった気がするが……恐らく気のせいだろう。少女の問いかけに答える必要はないがこのまま沈んでいくのも退屈だ。姿を見えない少女の問いかけに俺は静かに答える。

 

『単純な話、手を伸ばす理由がないからだよ。あの戦いで死んでも後悔はないし本望なんだ』

 

あの光に手を伸ばせばきっと俺は助かる。なにかしらの根拠があるわけがないのにそう確信めいたなにかがあるのは間違いない。でも、俺にはあの光を掴むような理由がどこにもないんだ。

 

――理由がないって……あー、もう本当に自分のことになると淡白になるんだからぁ。そこに彼女に殺されるのが本望だって本能的に覚えてるのも拍車がかかってるのが原因ねぇ。そこら辺が若干腹立つわぁ

 

『……そんなことを言われてもなぁ』

 

苛立ちがこめられたため息を吐かれるが俺はそれに困惑するしかなくなる。どうやらこの声の持ち主は俺のことについて色々と知っているようではあるが今はどうも話が聞ける気がしない。

 

  ――はぁ、貴方が自分自身に薄情なのは前から変わってないし、なんならそこら辺が更に悪化してるから期待はしないんだけど……得得たいものを見つけることなく、あの場所に戻ろうとするのはアラヤが許そうが私が許さないわよ。

 

『……それはなんとなくだが嫌だな。アラヤというのは知らんがそれの思うがままになるのは癪だ』

 

  ――アラヤに反応するのは私としては釈然としないんだけど……まぁ、本人に少し生き残る意欲が出たのならよしとするわ。……このまま返しちゃうとどうせ前と変わらない正義の味方ムーブするからアドバイスの一つや、二つしてあげる。

 

アドバイスの一つや二つと少女は言うものの今までのことを思えばその倍以上は口にしそうな気がする。どうもこの声の持ち主からのお説教じみたものは堪えるものがあり個人の意見としてはやめてほしいんだがなぁ。

 

  ――いい、まずは自分の感情には正直でいること。自分の心を押し殺して偽って行動するのは絶対にダメ。それで行動するということは貴方が1番嫌っている結末になると思いなさい。貴方は機械なんかじゃなくて1人の人間なんだから、たまには自分の気持ちに正直になって行動しなさい。

 

『……ああ、努力はする』

 

――そして2つめ。どうしても1人ではどうにでもできない直面にぶつかったら誰かに相談すること。大抵のことは今の貴方でなら単独で行動してもどうにかできる力を持っているけど、それでもどうにもできない時は素直に言葉にすること。抱え込んで1人で背負っていくのがカッコイイとか思ってたら大間違いなのはいい加減に覚えなさい。

 

『酷い言われようだな俺……それに関してもなるべくの努力はしてみよう』

 

あまりにも酷い言われようだったので流石に苦笑を浮かべてしまう。だがこの少女の言葉はかなり的を得ていてぐうの音もでない。まず自分が器用かと問われればそうでもないのはわかっているし、大人しく少女の言葉を胸に刻んでおく。

 

――さてっと、そろそろ意識を取り戻さないと同行してる子が泣いちゃうわよ?女の子を泣かせたらあとが怖いわよぉ?

 

『……確かにこれ以上リーゼロッテに心配をかけるのは悪いしな。今日は彼女に余分な負担をかけすぎた』

 

――周りの人に不安をさせるのは元から貴方の専売特許じゃない。まぁ、これで懲りたのなら少しは抑えることね。……この忠告が無駄なのはとっくの前からわかっているんだけど、言わないと不安にされる側も気がすまないのよ。

 

本当にどうしようもない癖ねっと呆れながらため息を吐かれてすまないっと呟けばしょうがないなっと嬉しそうに笑う声が聞こえる。すると背後から強く抱きしめられている感覚がすると耳元で少女の声が聞こえてくる。

 

   ――この後に目を覚ましたらきっと記憶を思い出す思うの。それは貴方とってはつらいことで、どうしようもなく自分のことが嫌いになって、正義の味方を嫌悪するぐらいに。……だから、これはお姉ちゃんからのお願いよ、少しでもいいからそんな自分のことを許せるようになって。いいえ、自分のことを許せないとしても幸せになってちょうだい。

 

『……ああ』

 

少女の願いに俺はただ小さく返事をするのがやっとだった。少女のこの願いはどうも俺自身が到底叶えられないような気がしてならないのだが無理だと答えることが憚れる。最後に少女から愛おしいように何度も俺の頭を撫でてくるがそれが妙に懐かしいような気がして悪い気はしなかった。

 

『……そろそろ行ってくるよ。また、今度も会えるのだろうか?』

 

――もちろんよ。だから、頑張ってきなさい。お姉ちゃんはずっと見守っておくからね

 

『ああ、ありがとう。姉さん』

 

スッと口から自然に出た言葉を聞いて少女の嬉しそうな笑い声が聞こえ背中をそっと押される。少女の姿は気になるのだがここでの光から目を離してはいけない気がして背後を振り返ることはできない。だからこそこの少女とまた再度会えることを強く願いながらその光を掴んだ―――

 

◇◇◇

 

「―――君っ!恭介君っ!」

 

聞き慣れた少女の声が必死に俺の名を何度も呼びかけてくる。今すぐにでも泣き出しそうな声で珍しいと思うが彼女がそうなった理由は俺が原因であるのを思い出す。瞼をゆっくりとあけると涙を溜めたリーゼロッテがそこにいた。

 

「恭介君っ!恭介君っ!」

 

意識を取り戻すとそれに気づいた彼女は俺を強く抱きしめる。思いがけない突然なことに驚くが彼女の身体が震えていることに気づく。彼女を少しでも安心させるために背中を優しく叩く。

 

「かなり心配させてしまったようだな。でも、もう俺は大丈夫だ」

 

「……もう、本当に心配したんだから。言いたいことは沢山あるけど……目を覚ましてくれて本当によかった」

 

溜まっていた涙を拭いながら彼女は俺が目を覚ましたことに心の奥底から安堵した表情を浮かべる。リーゼロッテをそれほど不安にさせてしまったことに罪悪感を感じ、また後できちんと彼女に謝罪しなければな。彼女に上半身を起こすことを伝えれば名残惜しそうにしながらも離れ、そのまま俺が上半身を起こすのをサポートしてくれる。

 

「貴方なら必ず目を覚ますと信じていましたよ」

 

「目を覚ますように仕組んだのは君だろうに。とんだ荒治療をするようになったものだな、セイバー」

 

「荒治療なのは認めますが、ああでもしないかぎり貴方は止まることを知らないじゃありませんか。……それにその様子だと思い出したようですね」

 

「……ああ、おかげさまでな」

 

俺は隠すことなく嫌な表情を浮かべながら答え、セイバーはそんな俺を見て哀しそうに微笑む。思い出して真っ先に湧き上がった感情が綺麗事を目指したいと口にした自分への憎悪、そして記憶をなぜ失くしていたという苛立ちだ。

 

(今は自分のことなどどうだっていい。……それにしても彼女と顔を合わせることになるとはな……)

 

彼女はわからないが俺はどのようにして話をすればいいのか内心戸惑っていた。彼女の方は知らないが俺はセイバーとの記憶は殆ど摩耗しているし、それ以外のものだってもはや覚えていない。ここにいるのは果てに辿り着き、理想に裏切られ、自身の存在意義さえも見失っている男だ。

 

「えっと、2人がどんな関係を少しでもいいから私にも教えてくれると助かるんだけど……」

 

肩身が狭そうにリーゼロッテは手を挙げる。彼女と俺の関係については悪いが俺に答える術はなく肩を竦め、セイバーに返答を任せると合図をする。セイバーは俺の意図を汲み少しだけ表情を曇らせるがすぐに凛とした表情に戻りリーゼロッテに俺との関係性を説明する。

 

「そうですね。私と彼の関係で近しいのは戦友と言ったところでしょうか……?」

 

「どうしてそこで本人が疑問形なのよ……」

 

呆れた様子でリーゼロッテはセイバーを見るものの、セイバーがそれ以上のことを話すことがないと分かり納得はしてなさそうだがそれ以上の追求はしなかった。

 

「それで?俺がどうして記憶失っていたのか説明してもらおうか。摩耗していたとしても俺がどんな存在なのかは忘れることはないはずだからな」

 

「わかりました。説明をすると言いましたがそこまで複雑な話ではなく、至ってシンプルな話だったりします。……抑止力、特にアラヤが動くタイミングについて、貴方には説明はいりませんよね?」

 

「えーっと、私は説明してもらえるとありがたいかなぁ……」

 

「抑止力というのは世界を今ある存続させるために破滅の要因を排除する存在だと思ってくれれば構わない。アラヤというのはその抑止力の一部で、人類を守るのを担っている存在とでも覚えていてくれて構わない」

 

リーゼロッテに抑止力のことを軽く説明すれば興味深々で話を聞く。彼女がトリニティセブンに到達したのは知的探究心が高いのも一つの理由なんだろう。そんなリーゼロッテに説明をしていれば僅かに引っ掛かりを感じてしまう。彼女は俺がどんな存在だと把握しているんだったら、なぜこのタイミングで抑止力の話をしたんだ。

 

(……待てよ。これは俺の知っている抑止力についてであって、この世界の抑止力についてではない。まさかだと思うがこの世界の抑止力は―――)

 

そんな物騒な考えが脳裏によぎるがありえない話ではない。俺は記憶は確かに摩耗したが自分の存在について忘れることは絶対にない。候補についてはいくつかの心当たりはあるものの……可能性が高いのは抑止力関連なんだろうな。

 

「……リーゼロッテ、君はこれ以上話を聞かない方がいいと思う。こればかりは話を聞かない方が身のためだ」

 

「……あー、うん、恭介君がこれから言おうとするのってこの世界についてでしょ?それなら大丈夫、その点について私もわかってるから。私が福音探究会(イシュ・カリオテ)に所属するようになった理由はこの世界がどうしようもなく『未来』がないってことを知ってしまったから。……それを知った私が選んだ道はありのままの姿で『停滞』をすることを選んだ……それが私が悪い魔道士になった理由よ」

 

「ですがリーゼロッテ、貴女は今ここにいるではありませんか」

 

「あははっ、それはもちろん私のことを本気で心配してくれたり、怒ってくれたり、戻ってきてほしいって思ってくれる仲間がいたってことがわかっちゃったからかな。そしてなにより、帰る居場所を示してなかったら居場所を作るって言ってくれた恭介君の言葉で私が好きなのはやっぱり、ビブリア学園(こっち側)が好きだって思い出したの」

 

屈託のない笑顔でリーゼロッテは本心を口にする。セイバーはそんな彼女の笑顔を見てそうですかっとつられて同じように笑顔を浮かべる。そしてリーゼロッテは軽く深呼吸をして真剣な表情で視線を外すことなく俺とセイバー見ながら口にする。

 

「だからね、私にも話を聞かせて。知らないことが幸せなことがあるのはわかってる。……でも、知らないまま後悔はしたくないの」

 

「そうか、それならば何も言うまい。それに俺とセイバーがそれを止める権利はないだろうよ」

 

「そこまで言うことはないと思うんだけど……」

 

「そうでもない。この世界についてをセイバーから聞く前に先に伝えておくが……俺と彼女はこの世界の人間ではなく、別世界の人間だ。いや、この世界の存在ではないと言うべきか」

 

「……あー、えっと、それって冗談……?」

 

「残念ながら冗談でなくてな。証拠としてあげるのなら俺は魔術を使用する際に書庫やメイガスモードになるところは見せたことないだろう?なんなら投影魔術という魔術名は聞いたことはないはずだ」

 

確かにっと短く呟くリーゼロッテだが半信半疑で俺を見る。けれど彼女は俺がこんな状況下で冗談を言うようなことはないとわかっているだろうし、一回俺の魔術がどんなものなのかを理解していることもあるのか否定もできないようだ。

 

「……まぁ、うん、確かに書庫とか一度も見たことないし……メイガスモードになるところもない。そして私の知らない魔術名、なんなら贋作を投影できちゃうデタラメなもの。……別世界の魔術って言われた方が確かに納得できちゃう代物ねぇ」

 

「他にもあるが俺については後回しがいいだろう。セイバー、説明を頼む。俺はこの世界の抑止力について把握してないからな」

 

「ええ、わかりました。この世界の抑止力についてですが私と彼の知るものと真逆の存在とは言い過ぎになるかも知れませんが、少なくとも世界を守護するという点は肯定的ではないでしょう」

 

「まぁ、未来がないのにそれを容認してるのは、つまりそういうことなんでしょ?」

 

俺は自分の立場上のために深くこの抑止力について語る気はないが馬鹿げていると内心では思っている。崩壊現象を防ぐ気があるのならその要因になるものを全て消し去ればいい、抑止力は人類と世界の存続のためならばどんな手段も使う。

 

「んー、でも恭介君の記憶って2人の会話を聞いて察するにその抑止力が原因なんでしょ?……異なる世界の魔術を扱うものだから消されたとか?」

 

「いえ、単純に彼がこの世界の崩壊を阻止する可能性があると断定され記憶を改善されたのでしょう。彼は記憶が摩耗しているので自身の存在を一度誤認させれば、あとは記憶喪失だと思い込んでいる衛宮恭介になるのでしょう」

 

「冗談はやめてくれ。俺が世界を救うだと?記憶が改善されてなければ必要以上に干渉することなどなかった。そのまま世界の行末に抗う気などない、君は俺をいつまでもあの頃の俺と思っているのならばそれはとんだ勘違いだ」

 

記憶があれば俺この世界に必要以上に干渉する気などなかった。セイバーいつまでもかつての絵空事であり綺麗事を本気で目指している俺だと勘違いしている。それがどうしようもなく嫌で俺はセイバー睨むが彼女はそんな俺を見ながらも凛とした声ではっきりと答える。

 

「いいえ、貴方は記憶が改善されなかったとしてもきっと動いていたはずだ。姿や想いは確かに変わったのかも知れません。今の貴方の姿はまだ私の知っている頃に近しい、ですが本来の姿はきっとかつての面影すらないのでしょう。けれど貴方の根本的な部分に多少の変化はあれど、貴方自身が思っているより変わっていませんよ」

 

「……勝手にそう思っていればいいさ。これ以上の話は不毛でしかない」

 

「ええ、そうさせてもらいます。それに私ももう限界のようです」

 

「ちょ、セイバーさんの身体が消えてきてるだけどっ!?それって大丈夫なの!?」

 

「ええ、問題ありませんよ。私はあるべきところに帰るだけです。後の説明は恭介、貴方に任せます」

 

「……ああ、どうせ他の人にも説明せねばならないからな」

 

セイバーの身体は少しづつ光の粒子へと変わっていく。その姿は摩耗していながらも俺が数少なく覚えていた唯一の記憶を思い出す。あの時は彼女は一方的に言葉を伝えてきて、俺がその答えを言う暇も与えず消えていった。

 

「セイバー、君はどうして姿を現した?……俺は君を救えるような存在ではなかった。それに君が俺の身体の中に入れたのは君のモノじゃないか」

 

「いいえ、私は貴方に救われた。私は彼ではなく衛宮恭介という貴方に救われたんです。……だから次は貴方が救われる番だ。私はそのためだったら助力は惜しみません。その宝具は私からの餞別です。きっとまた貴方は無茶をするのでしょうから。そしてリーゼロッテ、貴女にお願いがあります」

 

「私に?特に頼まれるようなことは思い浮かばないんだけど……」

 

「もし、恭介が自分のことを顧みないほどの無茶をしようとしたその時は止めてください。やり方はどんな手段でも構いません」

 

「止められる自信は正直ないんだけど………ええ、わかったわ。無茶をしようとした時は止めることを約束する」

 

ありがとうございますっとセイバーはリーゼロッテに穏やかに微笑む。2人が俺が無茶をする前提で話を進めているのは不服なのだがこのタイミングで口を開けば2人に詰められるため大人しく黙っていることにする。

 

「ああ、それと最後に恭介に伝え忘れていることがありました」

 

「これ以上の小言や説教なら聞く気はないぞ」

 

「ふふっ、それもいいですがそれはまたの機会に。――私は貴方を今でも愛しています。彼ではなく衛宮恭介、貴方のことを私は今でも愛している」

 

「……っ!!」

 

くしくもあの戦いの終わった時と同じように微笑みながら彼女はまた一方的に言葉を伝えて消えていった。俺はそれをただ言葉を詰まらせ、せめてはと思い手を伸ばすが当然触れることなどできなかった。結局俺はあの時と同じで彼女に何一つ伝えることができず見送ることしかできなかった。

 

(……やはり俺では永遠に君に適いそうにない)

 

「さてっと!無事に恭介君が記憶が元に戻ったことだし、ビブリア学園に戻るとしましょう。セイバーさんの最後の言葉については色々と聞きたい気分なんだけど……」

 

「俺としては警戒どころかビブリア学園に戻ることを提案している君に驚きを隠せないんだが……普通は警戒ぐらいするだろ?」

 

「んー、私は恭介君を警戒する理由がないもの。もちろん今回のことは色々と驚いたし、まだ隠していることがあるのはわかってるけどそれだけじゃない。あっ、ちなみに私の意見であって他はもちろん違うわよ?恭介君が別世界の人間ってバレたらかなーりヤバいことになると思うから、そこら辺はもちろん気をつけてね、いつものメンバーにならバレても大丈夫だとは思うけど」

 

魔術が絡むと厄介ごとしかないのは既に経験済みなため、俺が別世界の人間云々については必要以上に話すつもりはない。流石に今後のことを考えると早期に学園長に報告はせねばならないだろうがな。ビブリア学園にいる以上はあの男の協力が必要不可欠だ。

 

「わかっていると思うが、いつものメンバーにも秘密にしてくれよ?近いうちにバレるとは思うがそれまでは話さないでくれ」

 

「もっちろん!その時までは誰にも話さないから安心して。私は恭介君の信頼を裏切るようなことは絶対にするつもりはないから」

 

「それほど言うのならば君を信頼するとしよう。これで安心してビブリア学園に戻ることができる。さて、少しばかり早めに戻るとしようか」

 

(……少しばかり嫌な予感がするしな。この予感が外れてくれるといいんだが)

 

セイバーとの戦闘後のため流石に一息つきたいがそれをする時間すら惜しい。先ほどから感じるこの嫌な予感が外れるのを願いながら俺とリーゼロッテはビブリア学園を目指すのだった。





はい、お久しぶりです!fgoで見事にカイニス出ずに爆死をして、ヴラド3世(槍)が出て控えめに言ってブチ切れた作者です。Apocryphaコラボの時にモーさん引き当てたのが原因なのか……?初めて約3年も経ち引き当ててアグニカカイエルムーブをしていたのが原因なのか……!?

ネタバレをあまりしないためストーリーについては口にしませんが、最新章をクリアしての感想はルーラーはやめようですね。私のカルデアに高レアの復讐者はいないので本当にやめてほしい……サリエリとアンリマユしかいないので本当につらい(吐血

そしてまたまた投稿を遅くなって申し訳ない!ですがモチベが低下するのは許してください……(切実
そしてやっと!次回にやっと彼女たちが出ます!本当にやっとだよっ!ここまでくるのにどれほどの時間がかかったんだ……!次回の更新も未定ですが気長に待ってくれると助かります!それではまた次回にお会いしましょう!

(ぐだぐだの復刻までに石貯めないと……魔王ノッブリベンジしないと……そして弓ノッブの復刻はどこ……?ここ……?)
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