正義の味方候補の魔術使い   作:ラグーン

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どうもっ!最近あと2話でこの小説も30話にいくのかも感傷に浸った作者です!まぁ、まだ現在進行中原作の半分もいってなかったりするんですけどね?なんなら10巻行くまでまだまだ時間がかかりそうです(白目

――――そして今回の回については私は後悔はしていない、ただ反省はします。いや、本当に(土下座

えっと、前書きはぐだぐだ書く場所じゃないんで、とりあえず本文にどうぞっ!


第28話 光輝剣士と嫉妬魔導士

(……これでとったと思いたいッスけどねっ!)

 

好機と見て一撃で仕留めるために相手の頭上に刀を振るうが、案の定自分が上空から攻めてくるのはお見通しだったようで自分と同じ獲物である刀で呆気なく防がれる。このまま追撃をするのは無謀だと判断をして、すぐに相手との距離を取ることに切り替える。……いやー、本当にちとやばいッスよ、これっ。

 

「やりますね、貴女」

 

「……いやー、高速で戦う『光輝術(イルダーナハ)」の使い手、ルーグさんにそこまで言われるのは光栄ッスね」

 

「そうですか?それならもっと当機は褒めますよ。素晴らしいですよ、貴女」

 

「いやー、どうもッス。自分これでも世界で三番目くらいに強いんで」

 

予期していなかった相手からの賞賛に乗っかりおちゃらけてみるものの実際の状況は最悪ッスよ、本当に。自分の右手は完治していないし、仮に完治していても五分五分で戦えるのがやっと、ってところッスか?相手の引き出しを全て出させるまでに自分の身が持つ気がしないッスよ。

 

「それでしたら当機は世界で2番目くらいに強いですね」

 

「そのようッスねー。右手が動けない状態ですと、とてもじゃないと勝てなさそうッス」

 

「当然です。せっかくですから当機も片手でした使わず相手をしているんですから」

 

「……いやー、本当に余裕見せられているッスもんねぇ」

 

自分が万全じゃないといえど相手からこうも余裕を見せられると表情を変わるのは許してほしいッスよ。自分が右手を使えずに戦っていれば、ルーグさんもそれを見抜き先ほどから片手しか使わず反応される。……勝算を考えてはいるッスけど自分たち側の手札が少ないのが難点ッスか。

 

「フレー!!フレー!!レヴィちゃーんっ!!頑張れー!!」

 

光輝術(イルダーナハ)の使い手、ルーグさんへの勝算を頭の中で懸命に考えていたら呑気な声でいつの間にか作り上げたのか自分の顔が入っている応援旗を振り回している学園長がそこにいた。……いやー、本当にこの人なにやってるんッスかねぇ?このことを後で恭介さんにでもやんわりと伝えておこうか悩ましいッス。

 

「……できれば学園長にも手伝ってもらえると非常に助かるんッスけど」

 

「僕の生徒である君が傷つく前に手を貸したいのはやまやまなんだけどねぇ……どうも、僕がデートの相手をしないといけないのはその奥にいるみたいなんだ」

 

「……まぁ、この状態を維持した方がいいのが明白ッスからねぇ」

 

ルーグさんの後ろにはフード付きのコートを着た人が腕を組んで立っており、フードを深くかぶっていることもあって表情などはわからないッスけどその身体は真っ直ぐと学園長に向けているのはわかっていた。学園長が自分とルーグさんの戦闘に手を出せないのは性別不明のフード付きのコートを着た存在が大きい。学園長が自分の戦闘に手を出した瞬間に恐らくあの奥にいる性別不明の人も戦闘に介入してくるだろう。だから学園長も迂闊には動けず、謎の人物と学園長はお互いに牽制をしている最中ッス。……まぁ、応援旗を作るぐらいなら自分が少しでも有利になれるような状態を作ってほしいッスけどね。

 

『レヴィちゃん!学園内のみんなを夢の中に避難させたよー!』

 

「おっ、学園長。どうやらユイさんが学園内にいる学生全員の避難を完了させたようッスよ」

 

「それは良かった。校舎はいくらでも立て直せるけど命は違うからね。死んでしまった命は2度と生き返ることはできないからね」

 

学園長は安堵して張り詰めていた空気を僅かに緩める。この人はもう少しそういったところを表に出せばみなさんからの雑に扱われるのも和らぐと思うッスけどねー。学園長が親しみやすく接しやすいようにしていると言われればそれ以上はなにも言えないッスけど。

 

『……レヴィちゃん本当に大丈夫?まだ右手完治してないし、あの人は間違いなくトリニティセブン以上の強さだよ』

 

「今の自分には時間稼ぎが限界なのはわかりきってるのでユイさんはそれほど心配しなくて大丈夫ッスよ。時間稼ぎをすればおそらくどちらかが戻ってきてくれるはずッスから」

 

今の自分ではルーグさんを時間稼ぎをするのが精一杯ッス。その時間稼ぎをしている内にアラタさんたち、または恭介さんのどちらかが戻ってくるまでが自分のお仕事ッス。そう言えば恭介さんの自室でテーマについて説明の時に騎士のような誓いを立てられたことをふっと思い出した。

 

(そう言えば自分が困った時や魔道士同士での戦闘でピンチな時は必ず自分を助けるって誓ってもらったのをすっかり忘れてたッスね……このタイミングで思い出したのかはわからないッスけど……その状況がこのタイミングだからッスか?)

 

まさかっと思いながら内心で自分はあの人の言葉を忘却する。自分のテーマは『期待』であり、恭介さんも信頼や信用はしていても”期待”はしてないッス。あの誓いの言葉に”期待”していない自分がいるのはいつものことッスけど……あの人ならという考えに頰を緩める。

 

『レヴィちゃん頑張って!お兄ちゃんとお兄さんたちがきっと帰ってきてくれるからっ!!』

 

「もちろんッスよ、ユイさん。自分忍者ッスからあの人たちが戻ってくるまで持ち堪えて見せるッスよ」

 

この場にいないトリニティセブンのメンバーと魔王候補であるアラタさん、そしてジョーカーである恭介さんが戻ってくると”期待”しながら巻物を口にくわえて刀を構える。自分の纏う空気が変わったことにより、ルーグさんも二刀の刀を構えて警戒しているようッス。

 

「その様子ですと、どうやら本気になったようですね」

 

「加減をしている余裕なんて自分にはないッスからね。それに時間稼ぎをすれば必ず駆けつけてくれる人に心当たりが少しあるんで、その人が来てくれることに”期待”してるッスよ」

 

「期待していると言葉にして言ってますが、貴女のその目は全く期待しているように当機は見えません。その人が来るわけがないと考えているのは当機は見抜いていますよ」

 

「だから信じるッスよっ!それが、自分の研究テーマッスからねっ!!忍法”夢幻隠れの術”!!」

 

自身の身体を覆い隠すように風に包まれ、次に自分の姿を見せたその時は自分が”3人“に増えルーグさんにと襲い掛かる。1人目は小細工も何もせず真正面からいかが呆気なく斬り伏せられるが、そこには斬ったという感触がなくに正面から挑んだ1人目の”風間レヴィ”の身体は霧のように消える。

 

「幻術の類、でしょうか……?」

 

「いや、実はこれ友情の合体魔術なんッス」

 

「……これはいったい?」

 

僅かに困惑しているルーグさんの背後に周り2人目の自分が首元を狙い忍者刀を振るうが流石光輝術(イルダーナハ)の使い手ルーグさん、防ぐことは無理と判断をして回避に専念をして呆気なく避けられるッス。ただ、自分とユイさんの合体魔術の力はこんなものではなく、ルーグさんが2人目の自分の姿を視界に入れた時にはすでにそこにはいない、なぜなら――――

 

「こういうことッスよっ!!」

 

3人目の”風間レヴィ”である自分は気配を消し空中からルーグさんの背後をとり身体を回しながらその勢いを生かし刀を振るうが自分が振り下ろした忍者刀は惜しくも外れてそのまま地面にへと叩きつける形になってしまった。

 

「あー……、さっきのは惜しかったね、レヴィちゃん」

 

「惜しい……?っ、これは、いつの間に当機に傷を……?」

 

「その”いつの間”を作り出すのがこの”夢幻隠れ”なんスよ」

 

ルーグさんは傷口ができた首元を触りながら驚いており、自分は笑みを浮かべながら答える。まぁ、余裕そうに答えたのはいいッスけど実はかなり痛手なんッスよねぇ。この”夢幻隠れの術”はユイさんの魔術の協力があってできるのであって自分1人ではできない技。相手にまるで人数が増えたと錯覚させ、そのそのありもしない分身に気を取られている隙に攻撃をするのがこの技のトリックでユイさんの力がなければ到底できない技ッス。本当ならこの技で止めを刺したかったッスけど動く相手ッスから隙を狙って攻撃するのも一苦労ッスよ……。

 

「なるほど。ですがどうやって高速で動く当機に追いつくことが出来ているのですか?」

 

「それは企業秘密ッスよ。ルーグさんに種明かしをできるほど自分は余裕ないッスから」

 

「そうですか。……正直に言えば当機は貴女のことを舐めていました。ですが認識を改めましょう、貴女はこの場で倒さなければ今後の障害の一つになるでしょう。なので当機の本気を持って惨殺させてもらいます」

 

「……ッ!?」

 

刀を構えたルーグさんの纏っていた雰囲気が一気に変わり反射的に忍者刀を構えるが、その瞬間に彼女は動いた。ルーグさんが初動動いた姿はなんとか捉えることができたッスけどそれ以外は目で追いかけることすらできず、次に自分を襲ってきたのは身体を斬られた痛みだった。自分の身に何が起きたのかは理解できたのは地面に倒れてからだった。

 

「貴女は確かに強い、流石世界で3番目の強さを持つ貴女です。ですがその貴女には足りないものが一つあります。それは速さ、貴女には圧倒的に速さが足りません」

 

倒れている自分を見下しながらルーグさんは淡々と言葉投げてくる。光輝術(イルダーナハ)の使い手に速さが足りないと言われるがそれに口を開いて反論をできる気力は持ち合わせてなかった。

 

(……圧倒的な速さには小細工すらも通用しない、これはお手上げッスかね……?)

 

身体中は痛く彼女と自分の相性は悪く絶望的で勝てるビジョンは浮かばないッス。相手が魔術を使う前に接近戦に挑んでも同じ結果になる、それでは別の手段を考えるがあの速さの前ではその方法の大半が通用しないと結論に至り内心で笑ってしまう。

 

(……けどここで諦めるわけには、いかないッスよね。自分が今ここで倒れたらルーグさんを止めるのはいったい誰なんッスかっ!)

 

ボロボロの身体に鞭を打ち倒れている体を持ち上げる。ビブリア学園に今いる生徒の中でルーグさんに対抗する力を持つのは自分だけッス。たった一回の攻撃をもらっただけでいつまでも地面に倒れているわけにはいかないッスよっ!

 

「ほぅ、まだ立ち上がれるのですね。先ほどの一撃は当機としても手を抜いていたつもりはないのですが」

 

「……あれぐらいなら、まだ自分はいけるッスよ……なんせ自分は忍者ッスから、忍耐も得意なんッスよ……!」

 

『っ、無理しないでレヴィちゃん!そんなボロボロの身体じゃ、あの人の相手をするのは無理だよっ!』

 

「……大丈夫ッスよ、ユイさん。これぐらいの傷は怪我には入らないッスから。それに傷跡が残ったその時はあの人に、責任をとってもらうつもりッスからね」

 

ユイさんを心配させないために軽口を叩くけれど正直に白状すれば撤退をして治療したいッス。ははっ、よく恭介さんに無茶や無理をしすぎだと言ってきたッスけど今回ばかりは自分も人のことを言えないッスね。これがバレたら恭介さんに怒られるッスかね?

 

「そんなボロボロの身体でよく立ち上がれますね。立ち上がるのもやったでしょうに」

 

「ははっ、正直に言えばつらいッスよ。けど自分の知り合いにこんなになるほどボロボロになっても、立ち上がる人がいるんッスよ。そんな人を知っている自分が今この状況で、立ち上がらなかったら顔負けなんてできなくなるッス」

 

「そうですか、当機には少しばかり理解し難いですね。勝てないと見込んだ相手には逃げるのが最善策と思いますが。私の速さに貴女の小細工が通用しないのはわかっていると思いますが?」

 

「それは、自分がわかってるッスよ。どんな小細工をしてもその圧倒的な速さで切り刻まれたら対抗できないッス」

 

「それをわかっていながらなぜ?」

 

理解ができないと首を傾げながらルーグさんは聞いてくるが、自分は静かに笑みを浮かべる。立ち上がった理由なんてごく単純なことで風間レヴィという自分の持つ意地、そしてこの学園を守るためッスよ。

 

「――――簡単ッスよ、忍者にだって意地があるんッスよ!忍者がいかにズルいかちゃんと見せてあげるッスよっ!!」

 

クナイの切っ先をルーグさんに向けて高らかに自分はそう宣言をする。いかに圧倒的な速さを持つ彼女の魔術にでも自分が忍者としていかにズルいかを。懐から巻物と一枚の“葉”を取り出し口に加える。―――見せてやるッスよ、これが自分の戦い方ッス!

 

「”嫉妬(インウィディア)”の書庫(アーカイブ)に再接続―――”テーマ”を”実行”するッス!!」

 

「……決死の覚悟ということですか。なるほど……ならば当機に見せてください。貴女のその覚悟を」

 

「行くッスよ……”嫉妬(インウィディア)”の"魔道極法(ラスト・クレスト)”――――混沌渦界(リヴァイア・サン)!!」

 

自分自身の持つ魔力を惜しみなく使い”魔道極法(ラスト・クレスト)”を発動し、ルーグさんへと悪魔の名を冠する魔術が襲う――――っというのはあくまで敵側から見た視点からッス。

 

「今のうちに校舎の中に逃げるよ、レヴィちゃん!」

 

「このまま自分も夢の世界に行きたいッスよ」

 

少しだけ弱音を吐きながら学園長と共に校舎の中へと撤退するッス。流石に外というのは相手が光輝術(イルダーナハ)である時点で自分に分が悪すぎるッスよ。いくらここが見知っているビブリア学園だろうとそれについては変わらないッス。学園長と保健室近くまで逃げてくれば自分は背に壁を預けて力なくそこに座る。これ以上の移動は自分が限界と察した学園長が術式を展開しているところ見ると恐らくその魔術は結界だろうッスね。

 

「まずはレヴィちゃんの作戦が大成功ってところかな?……とりあえず結界は張ったけど向こうが本気になったら見つかるのは時間の問題だろうね」

 

「時間稼ぎという意味では上手くいったようッスからなによりッスよ」

 

「ははは!まさか『魔法極法(ラスト・クレスト)』をダシにする魔導士がいるとは思わないだろうな」

 

「事前にユイさんに手伝ってもらって周囲に『重唱術(アーク・シンフォニー)』で周囲を幻惑しておいてもらってよかったッス」

 

事前にユイさんに手伝ってもらっていたこともありすんなりと敵を欺き撤退できたのはよかったものの、此方側がフリであるのは未だに変わらないッス。どうやってルーグさんに対抗するか悩むッスけど本当にどうするッスかね……?

 

『もしもーし?大丈夫、レヴィちゃん』

 

「流石にキツイッスね。やっぱりもう1人手助けが欲しいところッス」

 

『そう、だよね……忍法術(シャーマニック・スペル)重唱術(アーク・シンフォニー)だけじゃ……』

 

「魔王候補化して3つのテーマを同時に有している彼女には一歩及ばないだろうね」

 

「やっぱりそうなんスか?……アリンさんが向こうに呼ばれたのはやっぱり痛手ッスね」

 

『でも「だんな様!」とかシリアスに消えられたら仕方がないよ。あ兄さんのピンチなわけだし』

 

「ユイさんは心が広いッスねー」

 

『んふふー!ユイのお兄さんでもあるけど、みんなのお兄さんでもあるもんねっ!それにレヴィちゃんはお兄ちゃんさえ来てくれればどうにかなるって思ってるでしょ?』

 

「ルーグさんを真正面から止めれる可能性がある恭介さんと絶対に止めれるリーゼさんの2人が来てくれれば自分の役目は終わりッスよ」

 

あの2人が戻ってきてくれれば今の現状から変わり五分以上は巻き返してくれるはずッス。相手と真正面から戦える人がいるだけでリーゼさんは動きやすくなると思いますし、なんなら自分も動きやすくなるッス。

 

「まぁ、あの2人、またはアラタさん達が戻ってくるまでは自分が必ず時間稼ぎはするッスよ。外ならともかく学園内ならまだやりようはあるッスからね」

 

「その様子だともう次の手を考えたようだね。僕も手伝おうかい?」

 

「学園長が下手に動くと控えている相手が動くことになるッスから大丈夫ッス。学園長に手伝ってもらうよりここの学園内部に罠を張っていいか許可が欲しいッスけど、大丈夫ッスかね?即席なんで、軽めのトラップしか作れないのでそこまで大事になることはないッス」

 

「んっ、もちろん大丈夫だよ。僕は現状手伝えないしレヴィちゃんが倒れてしまえば僕たちは要するに詰みだからね。君の生存率が上がるのならどんな罠でも構わないよ」

 

「こういったときの気前のいい学園長のこと割と自分好きッスよ」

 

「ははっ、それは嬉しいね。アラタ君のモテ期が少しばかり僕にも分けてもらったようだ」

 

元から生徒には慕われてるッスよっと口にしようかと迷ったがそれを言ってしまえば調子に乗るのはわかっているので黙っていることにするッス。さてっと、これ以上のこの場への滞在は危険ッスからそろそろ移動しないと。罠を仕掛ける場所は狭すぎても広すぎても駄目ッスから……あそこがいいッスかね?あと、少なくとも自分の身体はリーゼさんとの戦闘した時ぐらいには戻さないといけないッスね。少しでも足止めの可能性を上げなければルーグさんには太刀打ちできないッスから――――

 

◇◇◇◇

 

 

「これは目眩しですか。これほどの大きな煙を起こすということは貴女は追い込まれているということですね」

 

真正面から立ち向かうというのが危険なのがわかっている以上は小細工の出し惜しみをするつもりはないッス。ルーグさんが煙の中にいるとはいえ油断するわけにはいかないッス。逃亡劇の中で調達しておいたクナイを彼女に”数本”を投擲する。金属がぶつかり合う音が聞こえたからクナイは弾かれたようッスけど予想内なので問題ないッス。

 

「……どうやらこれが貴女の最後の姿となりそうですね」

 

「いやー、勝ちを確信するにはもう少し早いんじゃないッスかねー?」

 

煙が張れれば自分とルーグさんは真正面から対峙をしお互いの得物でる刀を構える。すると自分の姿に疑問を感じたルーグさんは首を傾げる。

 

「姿が見えなかったうちに傷口が塞がってしまったようですね。あの時は手を抜いていたつもりはないので簡単に治るものではないはずですが」

 

「それについては隠れている間に学園長の癒しの術で治してもらったッスよ。ついでに左手も少し動くようになったッスからさっきまでとは少しばかり違うッスよ?」

 

「そうだとしても貴女が動く前に当機が動いてしまえばいい話です」

 

「そうはさせないッスよ!」

 

指に巻いていたワイヤーを引き、ピンッと張ることでルーグさんの周囲を取り囲むように無数のワイヤーがそこにある。一瞬何がと呆然としていたッスけど流石と褒めるべきか、自分の周りにありながら気づかなかったのか理解したルーグさんは真っ直ぐと自分を見てくる。僅かに睨まれてるような気がするのは気のせいじゃないッスよね、多分。

 

「先ほどのクナイを投げていたのはそういうことですか。私に向け投げられた数と音が一致しないのが不思議に思っていましたがこれで納得しました。普通はこれほどのワイヤーを張らせていれば気づくはずなのに、気づかなかったのは一度姿を眩ませた時と同じ原理ですね」

 

「すぐにネタを割られるのは悔しいッスけど、これでルーグさんの動きを止めることはできたッスよ。『忍法・影糸縛鎖』ッス、いくら高速でも少しでも動けば斬れるッスよ?」

 

「両手が使えるようになればよりトリッキーになるのですね。……いいでしょう、"嫉妬(インウィディア)"の書庫(アーカイブ)に接続――――テーマを実行いたします」

 

ルーグさんの魔力の増量がわかったその瞬間にゾクリと自分の背筋が凍った。まだ奥の手を残していたのかと冷や汗を流すッスけど彼方はそんなことはお構いなしに書庫(アーカイブ)の接続を続ける。

 

「『勇気武装(ヴァータスアーム)』”光穿槍ブリューナク”『誠意武装(フェイスアーム)』”光斬剣フラガラッハ”『開放武装(ソルヴォアーム)』”光剣翼クラウソラス”――――」

 

「……うわっ、なるほど”トリニティ”の資格習得にはその手があったッスか……」

 

「どれもこれも伝説級の宝具だねぇ。そのテーマを極めた者しか手にできない至高の宝具が同時に三つとは……」

 

”トリニティ”に達する方法でルーグさんがやった方法は裏技にも等しいッスよ、アレ。ただ彼女があの三つの宝具を展開しているのは彼女の実力でもあるはずッス。間違いなく仕掛けてくるだろうっとルーグさんの姿を凝視していたがその瞬間に姿を消し、次に声が聞こえてきたのは自分の背後だった。

 

「当機は魔王因子を得たことにより魔王候補にもなりましたので……使えば危険である『魔道極法(ラスト・クレスト)』など不要と判断したのです」

 

「『レヴィちゃん!!』」

 

なにがあったと理解したその時は全身から激痛に襲われてそのまま力なく地面に倒れる。自分の血が溢れていて血の水たまりができるのは時間の問題ッスね……。

 

◇◇◇

 

 

「ううっ!こうなったらユイが行くしか……っ!!」

 

「だ、ダメですよ!ユイさんが行ってしまったらここの皆さんが大変ですっ!」

 

ボロボロになって倒れているレヴィさんの姿を見てユイさんは涙を溜めながら今すぐにでも彼女の元に行こうとする彼女を必死に止める。ユイさんが助けに行けば夢の世界にいるこの場にいるビブリア学園の全生徒が大変なことになるのは私でもわかりきっていたことだ。

 

「でもでもっ!せめてあと1人くらいトリニティセブンがいれば……っ!それにこれ以上レヴィちゃん一人に預けるのは嫌なんだもんっ!!」

 

「……っ!それでもいけないです!今のユイさんとっても心が乱れていてこの夢の姿も保たないくらいじゃないですかっ!?」

 

「でもでもっ……!」

 

ユイさんがずっと我慢しているのは私にもわかる。それにユイさんとレヴィさんは”友達”だ。それもとびっきりな特別で大切な。ユイさんのレヴィさんを想う気持ちは本物で、彼女の気持ちは少しばかりは理解できていると思ってる。私は状況は違ったけど……大切な人を想う気持ちについては少しばかりわかっているからっ!

 

「わ、私が行きますから!!私だってトリニティセブンの一人、リーゼロッテ・シャルロックの妹……!ずっと一緒に勉強してきた成績優良生なんですから……っ!!」

 

「セリナちゃん……」

 

自分を鼓舞するかのように口にした言葉は震えていて頼りのないものだって自分でもわかる。ユイさんは心配して私の顔を窺うけどレヴィさんのあの傷や、ユイさんの我慢しているものに比べれば小さいものなんだ。一度目を閉じて深く深呼吸をして頬を両手で叩いて覚悟を決める。

 

「―――そりゃー!!」

 

勢いよく夢の世界から飛び出したのは良かったけど、勢いが強すぎて何度か地面で回転してしまい敵であるルーグさんの側でなんとか止まる。あんなに派手に転がってしまったこともあるから彼女には私の存在は呆気なくバレていて視線だけ捧げられるものの突然の乱入に頭の上にクエスチョンマークでも浮かんでいるかのように私の存在に疑問を持っていて、私と彼女に不思議な間が生まれる。

 

「あ、えっと、い、いただきですっ!!」

 

「こんなもの、っと思いましたがなんと動けません」

 

私が何のためにこの場に来たのかを思い出し、彼女にカメラを使い束縛の魔術を使い動きを封じて急いでレヴィさんの元に向かう。相手はあのトリニティセブンであるレヴィさんを倒した魔導士だから恐らく脱出するまでそう時間がかからないのはわかってる。

 

「レヴィさん大丈夫ですか!?今回復の術式(マクロ)で傷口を束縛して血を止めますからっ!」

 

急いで応急処置を取らないとレヴィさんが危ないのは素人の私でもわかる。だから急いで血を止めないと――――

 

「……とてもよくできている、大変丁寧な術式(マクロ)です。とても勉強し励んでいるのがわかりますが―――”トリニティ”に達した魔導士には敵うはずがありません」

 

「っ、嘘……」

 

「残念な援軍と共に滅びたください。”嫉妬(インウィディア)”のトリニティセブン!!」

 

私がレヴィさんを倒した魔導士に敵わないのはわかっていた。でも足止めぐらいならと、僅かな希望を持って行った私の魔術は呆気なく解除されて私は呆然となり唇が震える。次の私の姿を想像して身体が凍る。けれどとせめての抵抗としてレヴィさんの身を守るため彼女に覆いかぶさる。私を襲ってくるだろう痛みを耐えるために目を瞑るけど、その恐怖は誤魔化すことが出来なくて涙が溢れ出てしまう。それを少しでも消し去るために、いるはずもなく届かないはずの私にとって”特別”な二人に想いを馳せる。

 

(……助けて、お姉ちゃん!―――衛宮さんっ!)

 

「よーく頑張ったわね、セリナ」

 

「……えっ?」

 

聞こえるわけがないはずの声に思わず声を漏らせば温もりも感じて凍っていた私の身体と恐怖を徐々に溶かしていく。恐る恐る顔を上げればそこにはリーゼロッテ・シャルロックである、私にとって大切な家族で大好きなお姉ちゃんがそこにいた。

 

「……お姉、ちゃん……?」

 

「そうよ、セリナが大好きなお姉ちゃんよ。忍者を守るためによく勇気を出して頑張ったわね。お姉ちゃん、とっても嬉しいわ」

 

お姉ちゃんからそっと身体を抱きしめられる。抱きしめられたことに数秒間わからなかったけど今はそれどころじゃないことに思い出してそれを伝えようとするけれど私がなにを話すのかわかっていたようで「だいじょーぶ」っとウィンクをしながら私の口に人差し指を当てて口を止める。

 

「セリナが言いたいことはわかってるから。それについては大丈夫よ、今は私達がやらないといけないことをやらなきゃ。流石に彼一人じゃ光輝術(イルダーナハ)はきついだろうしね」

 

「彼……?それって……!」

 

お姉ちゃんの言葉にハッとして私は敵であるルーグさんの方へと視線を向ければそこには眼帯をつけた女性の姿は見れず、その代わりに黒い外套を羽織りまるで私たちを守るように佇むその人がそこにいた。その人は私の視線に気づいたのか顔は見えなかったけどその人の声が私を励ますように静かに声を出す。

 

「―――よく頑張ったな、二人とも。あとはゆっくり休んでくれ、残りは俺がやる」

 

その背中を見た私は涙が止まらなくなりかろうじて返事をした。―――だとても頼りになって、私とお姉ちゃんの仲を取り戻してくれて、そして私とって”特別”である人である彼―――衛宮さんがそこにいた。





うん、そろそろタグを増やすべきかなっと決心をした作者です。しょうがないね、こうなることは皆さんも予測はしていたはずだ(白目
レヴィさん回でもあり、セリナちゃん回でもありました。レヴィさんボロボロになる前に救出すればいいと思ってましたが彼女の決心を無駄には私には出来なかった……。そしてやっとルーグさん登場……!本当に長かったっ!出すのに3年もかかったよ、こんちくしょう(コフッ

そういえばそろそろfgoも5周年ですねー。いったい何が来るのやらと悟りを開きながら待ちつつ、とりあえずメモリアルクエストがつらいのはわかりました、ヤッタネ!(吐血
前回の☆5配布は誰を貰いましたか?私は三蔵ちゃんです。欲しかったからもらったんですけどね、そのあとガチャで出てくるとかなんなんですかなぁ……カイニスくれよ……(吐血

グラブルやっていて誕生日ボイスを聞けばオイゲンのボイスは駄目だったよ……うん、涙腺が控えめに死にました……((

……うん、これ以上は色々と衝動的に書いてしまうのでやめておきます。とりあえず次回の更新は未定ですが、気長にお待ちしてもらえると助かります!誤字&脱字があればお手数ですが報告してもらえると助かります!

(あっ、ちなみに一番ルビを使ったのはこの回だったりします。そして元はここまで長く書くつもりはなかったり((吐血
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