正義の味方候補の魔術使い   作:ラグーン

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 ――――僕はね、桜と水着パライソちゃんを見たかったんだ。でもその二つは期間限定でね、時が経つと見る事が難しくなっちゃうんだ。

はい、どうもとりあえず桜と水着パライソちゃんを見る夢を引き継いだ作者です。はい、とりあえず開幕からなにを言いたいのかと言うと桜を見たい、の一言ですね。実物を見るからこそ価値があるんですよ……えっ、水着パライソちゃん?来年にはきっと、うん、ね?

はい、それではこんな煩悩まみれの前書きはともかく本文にどうぞっ!


第29話  反撃開始

「……やれやれ、どうもいない間に随分と物騒なことが起きているようだな」

 

倒れているレヴィの容態はハッキリ言って危うい状態だ。今すぐにでも治療でもするべきだろうが今は目の前にいる敵がいる以上は許してはくれまい。まぁ、俺よりも適任であるだろうリーゼロッテとセリナの2人に任せればおそらくは大丈夫だろう。

 

「驚きました。まだ当機の前に立つ人が現れるのは流石に予想外です。残念な援軍が増えることは考慮していませんでしたが」

 

「随分と余裕的な態度だな。少なくとも人数としてみれば貴様が不利であるのは明白だと思うがね」

 

「幾ら数を揃えようが当機の目の前では烏合の衆に等しいので。当機としては貴方よりもその後ろにいる、リーゼロッテ・シャルロックに用があります」

 

「あら、私は別にルーグに特別な用事なんて微塵もないんだけど。今忍者の治療とセリナのケアで忙しいから後にしてくれないかしら?」

 

興味のないのか、それとも単純に面倒だと思っているのかため息を吐きながらリーゼロッテは答える。そんな適当な返事に流石に腹が立ったのか無表情を貫いていた剣を纏っている少女は眉を僅かに動かす。

 

「酷い物言いですね。私は少なくとも貴女とは仲間だと思っていたのですが」

 

「そうね、私も仲間意識はあったと思うわ。けれど妹のセリナに手を出そうとした以上は元仲間でも許すわけにはいかないのよね」

 

「その言い方ではまるで”裏切った”と言っているように聞こえますが」

 

「その確認も含めて此処に襲撃をしにきたんじゃないかしら?私がビブリア学園側なのか、それとも福音探究会(イシュ・カリオテ)側なのか。ならこの際ハッキリと言っちゃうけど私こっち側についたから。裏切ったことについては素直に謝るわ」

 

「そうですか……彼女が知れば少なからず悲しみそうですが当機から特に言うことはありません。ただ残念の一言です」

 

リーゼロッテと彼女は面識があるのは間違いないのだろう。彼女たちの会話から予測するにリーゼロッテの所属していたと言っていた組織福音探究会(イシュ・カリオテ)についてだろう。しかし、気まずいというよりお互いに軽口を叩き合うのを見るに関係自体は良好だったのだろか?その辺は特に深入りはする気はないがリーゼロッテにもう少しその組織について聞いておく必要があるかも知れない。

 

「まぁ、私の裏切りについてはあくまでついでの一つでしょ?彼女が此処に居ないということは本命はアラタ君の方かしら?それとも他の目的があったりするのかしらぁ?」

 

「それについては黙秘します。貴女が裏切ったと言うのならばこれ以上の情報を与えるわけにはいきません。当機口は堅いので」

 

「黙秘の時点で答えは言っているようなものよ?もうちょっと舌戦を上手くなっておきなさい」

 

「その忠告は素直に受け取っておきます。……さて、それが最後の遺言と言うことでいいでしょうか?これ以上の時間のロスは当機は望んでいませんので」

 

「……知り合いということもあって黙っていれば随分と物騒な発言をするものだな」

 

これ以上黙っていれば2人でやり合う雰囲気になっていたこともあり会話に割り込む。リーゼロッテの実力は身に染みて分かってはいるが彼女はまだ万全ではないため無理をさせるわけにはいかない。

 

「どうもまず先に相手をする順番を正しく認識してないようだな。リーゼロッテに執着する前にまずは俺を倒してからにしてもらおうか」

 

「当機としては別に貴方は相手にする必要がないと判断をしていただけなのですが……それほど挑発をしてくるのならば相手をするのもやぶさかではありません」

 

「ふん、自身の腕に余程自身があるとみた。まだ相対して間もない相手を見下すのは勝手だがその慢心は仇となるぞ?」

 

「いいえ、仇になることはありませんよ。当機をこの場で抑えられることができる候補は2人しかおらず、その1人はもはや虫の息です。貴方が何者かどうかは知りませんが……当機の敵ではありません」

 

自身の腕に自信があるのは間違いないのだろう。トリニティセブンの1人であるレヴィを追い詰め、そして敗北させ重傷を負わせたと考えるにトリニティセブン同等または以上の力を持っている。ビブリア学園にたった2人で乗り込んできた相手は口先だけではないのは明らかだ。

 

「……学園長、これは事前に伝えておく。今回は”派手”にやらせてもらうぞ?」

 

「ああ、構わないとも。僕は僕であのフードの方と睨み合いをしないといけないからね。なんなら僕の代わりに見てくれても構わないんだよ?」

 

「悪いがそれは遠慮しておく。こちらもこちらで相手をしないといけない理由があるからな」

 

学園長が軽口を言い合える状況ではないのだが、あのフードの方は学園長が見ている以上は下手に動くことはないだろう。いや、お互い立場的に睨み合いに見せていると言い換えるべきか。……まぁ、どうにしろ今の俺には関係のないことだ。

 

「……さて、待たせてしまったかな?事前に我らの学園長に伝えておかないと後々面倒でね」

 

「当機としては別に待ってはいませんよ。むしろ最後の温情といったところです」

 

「温情か……まあ、いいだろう。そしてこれは確認なんだが君が彼女、風間レヴィに重傷を負わせ、セリナの殺そうとしたのは間違いないんだな?」

 

「ええ、そうですが?その確認にいったいなんの意味があるのですか。当機はイマイチ理解ができません」

 

「ああ、理解しなくていいとも。確認についてはただの俺の都合にすぎない」

 

両手に干将・莫耶を投影をすればそれを興味深そうに見てくるがそれだけに止めている様子だ。最後の確認は単純に俺の都合であるのは間違ってはいない。この学園には多少の愛着はあるし、レヴィやセリナに危害を加えたのを黙って見逃してやるほどお人好しではない。干渉をしないと口にはしていたが今回については非常事態にも等しいためノーカンだ。

 

「……その双剣、どうやら業物と見ました。それほどのものいったいどこで手に入れたのと、当機気になります」

 

「簡単に教えるとでも思っているのかね。敵に教えるほどお人好しではない。ましては襲撃してきた相手に教える阿呆がどこにいる?そんな奴がいるのならば是非顔を見てみたいものだ」

 

「……それは残念です。教えてくれたのならば見逃してあげてもよかったのですが」

 

よくもそのような嘘を吐くっと表情には出さないで内心で毒づく。目の前の敵が何故これほど余裕を保っている理由は自身の実力とその纏っているもの故なのか……だが俺にとってはそんな些細なことはどうだっていいことだ。

 

「……貴様が襲撃者という点に関してだけは今だけは都合が良かった」

 

「都合がいい……?当機ちょっと目の前の人が言っている言葉の意味がわからないのですが」

 

「初めから言っているだろう、理解しなくていいと。ただ単純に俺が今からやることは……ただの八つ当たりという話なだけだっ!」

 

なんの策略もなくしかし冷静に干将・莫耶を振り下げる。目の前に侮っていた男が自身の想像以上の強さに驚いたのか目の前の少女は目を少しばかり見開く。相手が動揺したところを一気に畳み掛けると踏み込むが自身の実力を過信していたのは嘘ではないようで体制を立て直しギリギリに持ち堪えられる。

 

「ほう、どうやら口先だけではなさそうだな。初撃を止めれる程度の実力はあるとみた」

 

「っ、そういう貴方こと当機の予想している以上の実力はあるようですね。少なくとも頼りない援軍である彼女よりも歯応えがあると見ました」

 

「悪いが貴様の目は濁っているようだな。確かに彼女はまだ未熟かも知れないが……少なくとも俺以上の魔導士にはなるだろうよ。人を見る目については多少の自信はあるのでなっ!」

 

セリナの実力を比喩として口にしてきた相手の言葉を俺は即座に切り捨てる。セリナ=シャルロックは魔導士としては間違いなく俺以上に伸びるだろう。彼女の魔導士としての実力はまだ未熟、だが成長をする見込みはある。彼女は誰よりも近くトリニティセブンの背中を見て、その背中を追いかけている。

 

「ならばその可能性の種は当機が刈り取ります。それがたとえ貴方の戯言だとしても」

 

「ならばその前に俺を突破するんだな。それができなければ彼女たちの元に向かうことすら不可能と思え」

 

挑発も含めて嘲笑えば流石に苛立ったようで一撃で殺せるであろう急所を狙ってきたが狙いが甘いの一言に尽きる。目の前にいる少女は確かに強い、だが脅威に入るほどではない。記憶を封じられていた頃ならばその脅威の対象であっただろうが。

 

「……あー、うん、ここに来る前の恭介君めちゃくちゃ機嫌悪かったからどうするんだろうって思ってたけど本当に八つ当たりしてるっぽい」

 

「やっぱりそうなの?なんというか衛宮さんいつもと違うような気がするし……ううん、変わらないけどこう雰囲気が違う気がする」

 

「色々とちょっとね。……まっ、私たちはやることやって早く手伝いましょうか。ニンジャの回復に手伝ってくれる、セリナ?」

 

「う、うん……」

 

後ろからの会話から予測するにレヴィの復帰はもう少しだろう。俺が敵を引きつけるのはあくまでも彼女の回復するまでであってした後はトリニティセブンである彼女たちの仕事だ。背後の会話が敵に聞こえていたのはわかってはいたので表情にも多少の焦りが浮かんできて攻撃が雑になってきた。

 

「っ、そろそろ当機は貴方の相手をしている暇がないのですが」

 

「ならばサッサっと俺を突破したらどうかね?よもや宝具を纏っていながら、トリニティセブンにすら至っていない魔導士を突破できないわけではあるまい?」

 

最後のこの一言が敵の琴線に触れたようで次の瞬間目の前にあった姿がかき消える。そして次に目に捉えることが出来たのは高速を超える速さで惨殺しようとする2本の剣だった。

 

(……ふむ、目の前に消えたことと生身の身では到底耐えられない速さで剣を振るうのは魔術を使ったようだな。初見では流石に全てを捌くことはできないか……)

 

だがこれで相手の魔術がわかったから上々だろうっと結論づけ致命傷だけは捌き他は甘んじてこの身で受け止める。無数に斬り付けられる痛みにくぐもった声を漏らすがあの時に比べれば何ということもない。

 

「ふぅ、純粋な接近戦では彼方が分があったかも知れませんが当機の速さではそれも無意味です。さて、次の当機の相手は貴女でしょうか?リーゼロッテ」

 

「別に私としてはそれでいいんだけどさ……それはもうちょっと早いんじゃない?私を相手するにはね」

 

「なぜ?貴女以外にもはや戦える人員など――――」

 

「仕留めたことすらも確認しないのは三流という証拠だぞ、戯け」

 

仕留めていたと思っていた相手が生きていたということに驚き振り向くがもう遅い。干将・莫耶はオーバエッジへと変わりそのまま左腕にある宝具に叩きつける。一撃で壊れるというのは流石になかったがヒビが入ったというところを見るとこの世界の宝具は存外脅威というものではないのかも知れない。動揺を隠せない証拠なのか即座に後退していく姿は先ほどとは想像もできないな。

 

「なぜ立っていられるのですか。当機の攻撃は捉えていましたし、間違いなく致命傷だったはずです」

 

「あの程度の攻撃で倒れるほど柔な鍛え方はしていない。速さは確かに警戒すべきものだが剣による一撃一撃は軽すぎる。それにここにくる前に、君よりも比べることはできないほどの重い一撃をお見舞いされてな。それに比べれば遥かにマシだよ」

 

彼女のもう一つの宝具である風王結界(インビジブルエア)を応用した風王鉄槌(ストライク・エア)を生身で受けた身としては遥かにマシで、それに彼女の一撃に比べれば全てにおいて劣っている。だからこそあの時に耐えてしまったことに腹が立つ。チッ……これ以上考えてしまえば少しばかりマシになっていた苛立ちがぶり返してしまうため思考を放棄する。

 

「……アレは私としてはめちゃくちゃ心臓に悪かったんだけど」

 

「あの程度で済んでしまったと思えば俺としては残念すぎる結果だがな……」

 

そして最後に俺には相応しくないモノを置き土産として残していったのを思い出せば苦い顔を浮かべてしまうのは悪くはあるまい。元から彼女は俺と斬り合うことを選んでも倒すという選択はしても殺すという選択はとる気がなかった。彼女は融通というものが効かない性格であるのは話している内に朧げながら思い出してはいるから彼女の選択が変わることを願うのはただの時間の無駄である。

 

「いやー、めちゃくちゃ恭介さん捻くれが加速してないッスか?」

 

「まさか、元からこれぐらいの対応だと思うがな。今機嫌が悪いという点については否定する気はないが」

 

「恭介君が機嫌が悪くなった理由の要因はわかってるんだけど、だからこそ私にとってもめちゃくちゃ複雑……」

 

「リーゼロッテが複雑になる理由はわからないがこの際は気にしないようにしよう。あとは君たち2人で充分だろう?俺は下がらせてもらう」

 

サラリと会話に入り込んできたレヴィは復活しており戦うことについては問題ないだろう。両手の干将・莫耶は消滅させれば警戒をしていた剣を纏っていた少女は怪訝な表情で俺の行動に疑問をぶつけてくる。

 

「なぜ当機を目の前にして貴方は下がるのですか。3人で相手をすれば当機を確実に倒すことができるはずですが」

 

「別に君の相手ならばこの2人で充分と判断したまでだよ。過剰に戦力をぶつける必要はないし、俺はもしもに備えて待機しておくだけだ」

 

正直な話セイバーとの戦闘の傷は癒えていても血を流しすぎてしまって貧血気味だ。早速血を流すことになっている以上は血が足りなくて倒れるという心底情けない結果になり得ないため素直に下がる選択肢をとる。それに必要以上に干渉をする気がないのは事実なためレヴィが復活した以上は俺の助力は不要だろう。

 

「私としては前衛2人いてくれたら相手を錯乱しやすいからとっても助かるんだけど……」

 

「敵を錯乱するという手段はレヴィ1人いれば充分だ。まず俺は君たちの連携を知らないし、突然と連携をとれと言われても俺はそこまで器用ではない。そう考えれば単純に2人だけで連携をした方が勝率自体は高いだろ。それにセリナの護衛はどうする?人質を取るという選択を相手が取ることも視野に入れるんだな」

 

「うわぁ、完全に理論武装ッスよこの人。どんな手を使っても参加する気はないと思うッスよ、リーゼさん」

 

「あのー、でしたら私がユイさんの夢の中に戻りましょうか……?そしたら安全ですし……」

 

セリナは気まずそうに手を上げながら提案をしてくる。確かにユイの夢の中ならば安全なのは間違いないがトリニティセブンの戦いを間近で見るというのは滅多にないことだ。はてさて、どうしたものかと考えていれば突然と強大な魔力がこの場で感じとる。それを気のせいと切り捨てるには無理そうで俺以外にも強大な魔力を感じ取ったようでその方向へと視線を向ければ黒いドレスの服を身に纏っている少女がそこに顕現していた。この場の空気を支配するという意味では突然と現れた少女は成功しており、その強大さは魔力を含めて一目でわかる。

 

(……磨耗していてもやはり覚えているものは覚えているか。”彼女”とは全くの別人だろうに)

 

抜け落ちたような白い髪に左頬にあるその血のように赤い線、そして身体の一部のように纏っているそのドレスは俺の記憶を酷く揺さぶる。雰囲気は似ているがアレは別物だと理解しているが”彼女”と重ねてしまい酷く憂鬱になる。

 

『――せん、ぱい、私を―――』

 

最後に彼女が口にした言葉がなんだったのかと思い出す前に外套の裾を引っ張られる感覚で現実へと戻される。引っ張ってきた正体はセリナで流石に突然と現れた少女の膨大な魔力に不安になったのだろう。確かにあの魔力量は尋常ではないためセリナが不安になるのは無理もない。

 

「遅くなりました、ルーグさん」

 

「いえ、ちょうどいいタイミングで当機的に助かりました。聖が来てくれたのでしたらどうとでもなるでしょう」

 

「あちゃー……このタイミングで来るなんて運がないと嘆くべきかしら……」

 

「このタイミングで増援は正直厳しいッスよ……しかも増援の人はどう見ても魔王クラスじゃないッスか」

 

「どうやらルーグさんの言うとおりベストタイミングだったようですね。……そしてリーゼさん貴方が敵対しているということは此方側ではなく、其方側についたと考えていいんですね?」

 

「そう睨まなくていいじゃない。もっと気楽に聞いてくれると助かるんだけど」

 

「そうできない状況だからこそ問い詰めているんですよ。この世界の行く末を知り貴女は”悪の魔導士”の道を選んだはずです。未来がないからこそ停滞の選択を取った、自身と妹さんの安全な場所を作るために」

 

「そうね、私が”悪の魔導士”についた理由はそうだったわ。聖にこの世界に未来はなく滅びは避けられないと教えられて……それを聞いた私は世界の滅びは防げなくとも自分と妹を守るために停滞するという選択を選んだ。その時選んだことには後悔はしてないわ。本音を言えば今でもその道を選んでしまいたいってちょっとだけ思ってたりする」

 

セイバーを交えてあの森の中で話していた中で彼女が何故悪の魔導士へと堕ちたか理由は俺は聞いていた。今はビブリア学園側へと戻ってきてくれたが彼女の答えた本音は仕方がないとものであり、俺はそれを糾弾するつもりはない。彼女の選んだその選択は一つの可能性なのだから。そんなリーゼロッテの真意を知った黒のドレスを纏った少女はさも理解できないと言うように眉を潜める。

 

「今でもそう思っているのならば何故裏切るのです。今からでも戻ってくるのならば遅くはありませんよ?」

 

「最後の慈悲ってやつかしら?それだったら答えはNOよ、聖。私はビブリア学園のことが大好きだってのを思い出したの。私がいてセリナがいてそしてみんながいる、ここビブリア学園がね!そ・れ・にっ!私に居場所を作ってくれるって約束してくれた彼がいるから私は此方側につく。だから悪いわね、聖。私はアンタたちを裏切るわ」

 

「……そう、残念です。トリニティセブンでありながら此方側についてくれた貴女は利己的だと評価していましたが。まぁ、いいでしょう。消滅させるトリニティセブンの数が元に戻っただけですから」

 

リーゼロッテは最後にウインクをしながら舌を出し挑発する様に答えれば相手はつまらなさそうに呆れた様子だった。そして2人の会話にかなり重要でぶっ飛んだ話の内容だったこともあり若干思考が止まっていた此方側はハッと今の状況を思い出す。

 

『今リーゼちゃんとあの人の話の中でかなり、ううん、とってもおかしなことが言ってる気がしたんだけどー!?』

 

「流石の自分も若干ついていけないッス……世界に未来がないとかどう言うことッスか……?」

 

「お姉ちゃんがとっても大切な話をしてるのはわかってたけどその話の内容の一部の情報がインパクト大きすぎないかな……衛宮さんは冷静だってことは知っていたり?」

 

「リーゼロッテが何故悪の魔導士になったのかは説明してもらっていたからな。その時についでに教えてもらったところだ」

 

『これって個人だけに教えていい情報じゃない気がするんだけど私……でもそれってなんで私たちを消滅させる理由になるの?』

 

「確か聖が見た未来によると私たちトリニティセブンと魔王候補ことアラタ君が世界を滅ぼすらしいわよ」

 

「なんか一気にオカルトチックな話になったッスねぇ……」

 

「魔導士の時点でオカルトもないと思うんですけど……」

 

リーゼロッテからの追加のカミングアウトに一気に空気が困惑を加速しておりなんとも言えない雰囲気である。元悪の魔導士側のリーゼロッテがそう言っている以上は確かな情報であるのは間違いない。今更彼女が嘘をつくメリットはどこにもないため信じてはいるだろうが……まぁ、どうせ後に他のメンバーと情報共有するためその時に話は纏まるだろう。

 

「さて、其方の話は終わりましたか?終わったのならば纏めて消滅させたいところですがまだ私にはやるべきことがあります。……そう、貴方ですよ、贋作者(フェイカー)さん」

 

「さて、俺の記憶違いでなければ君とはこれが初対面だと思われるが?」

 

先ほどとは打って変わり年相応に微笑みながら少女はその名を口にする。本来この場で聴くことがないはずの言葉に眉を動かせばそれが面白かったのかクスクスと笑いながらお辞儀をし自己紹介を始める。

 

「ええ、そうですね。なので先に自己紹介をさせてもらいます。私は春日聖、そうですね、春日アラタの従姉妹と覚えてもらえると幸いです」

 

「ほう、つまり君がアラタが魔導士の道を選んだ要因を作った少女か。その少女が悪の魔導士と名乗り上げられれば彼は困惑するだろうな。それで、自己紹介をされた以上は俺も名を名乗らなければならないのかな?」

 

「いえ、その必要はありませんよ。それに贋作者(フェイカー)さんはその名を心底嫌っているの私知ってるんですから。もしそうでなければ私も貴方のことを名で呼びますが……どうでしょうか?」

 

「……貴様それをいったいどこで情報を得た?」

 

本来知らないはずの言葉、そして知らないはずの情報をスラスラと言葉にした目の前にいる少女を睨む。そんなに睨まないでくださいっと困るように笑う姿はまるで俺には敵対する気はないとそう言っているようだった。俺と春日聖のやりとりに周囲は困惑するが彼女はそんなことはお構いなしにトントンと話を進めていく。

 

「秘密ですっと言いたいところですがお答えします。私は崩壊現象に飲み込まれたと言うのはアラタさんの口からお聞きになられましたか?」

 

「一応はな。それで君を救うために春日アラタは魔導士の道を選んだというのは聞いている。それで?その崩壊現象に飲み込まれたこと、それが俺のことを知っているということにどんな繋がりがある」

 

「はい、崩壊現象に飲み込まれ私は世界の外に飛ばされました。そして世界の”外”に飛ばされあることを私は知った、この世界は繰り返しの中で未来はない。魔王とトリニティセブンは揃い、世界はその手によって壊されていく。私はそれを何度も何度も繰り返され滅びゆく世界を見ていました。この世界に未来はなく、ここは全てを繰り返していく世界。完全に閉じられてた輪だったのです。……ですがそんな中でこの世界に一つの可能性が突如と生まれました。それが貴方です、贋作者(フェイカー)さん」

 

「滅びを繰り返すこの世界に突如と現れたちっぽけな存在が俺であり可能性だと?そんな馬鹿な冗談も休み休みにしたまえ」

 

「私の前でその誤魔化しは通用しませんよ。私は貴方がどのような存在なのかを知っています。理想の果てへと辿り着き、それに裏切られ、自身が”偽物”であるということを知り深く後悔し絶望したことを」

 

春日聖の口から出た言葉全て俺を指していることは明白で彼女が俺という存在を知っているのは確かだった。春日聖の言葉に間違いはない、俺は”偽物”だ。だからこそ救えない、救う事ができずこの道を愚かに進んでしまった。

 

「だから贋作者(フェイカー)さん、此方側に来ませんか?貴方が此方側に来てくれたら私が貴方の望みを叶えます。かの願望器で叶う事が出来なかったその願いを」

 

「……なに?」

 

先ほどまで沈黙を保っていた俺は春日聖のその言葉に声を漏らす。春日聖はそれを見て満足げに微笑むと対照的に彼女の言葉に喰らい付くと思っていなかった此方側は驚きの声を出す。

 

「貴方が望んでいることを私はできます。永劫に等しい地獄から解放する事が私にはできます。ですからその代わりに私に力を貸してください。贋作者(フェイカー)さんの望みである自身の――――』

 

『もらった書庫の調整が終わって意識を入れることに成功したからサプライズのつもりで表に早速来てみれば、私の大事な弟をなに誑かしてるのかしら?』

 

春日聖の言葉を遮ったのはトリニティセブンである3人でもなければセリナでもない。この場にいる誰よりも幼い声が聞こえ何処からと探ればいつの間にか見覚えのある色合いをした書庫が首にぶら下がっていた。だが俺が動揺しているのは本来ならばあり得ない声が聞こえた事であり、まさかっとただの幻聴であり気のせいだと否定をする前に再度その幼い声がこの場を支配する。

 

『ちょっと過去やら今の状態を覗いた程度で理解者のつもり?同情か哀れみか理由は知らないけれどその程度で私の大事な弟を誑かすのは止めてくれない。バーサーカーがこの場にいたら迷わず命じていたのに』

 

「……それは書庫?あの2人以外にも喋る書庫が存在するなんて思ってもいませんでしたが。いったい何者ですか?」

 

『何者だなんて本当は名乗りたくないけど……いいわ、ご要望に答えて上げる。恭介、魔力を少しだけ借りるわね。現界するには必要なの』

 

「あ、ああ……それは構わないが……」

 

ありがとうっと姿があれば嬉しそうに微笑む彼女の姿がチラつく。正直俺自身も困惑を隠せないが魔力が減ったことはわかり次の瞬間首にぶら下がっていた書庫は光り輝き、その輝きの中に1人の幼い少女の姿があった。次第に光が薄れればそこには彼女の姿がそこにあった。

 

「それじゃあ、ご要望に答えて上げる。私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。ここは初めましてっと言うべきかしら?そして久しぶりね、恭介」

 

一方的とも言える自己紹介をすまし、くるりと俺の方へと身体を向ければあの頃と何一つ変わらない雪の妖精のような少女がそこにいた。声にならない掠れた声で俺はかろうじてその名を呼んだ。

 

「………イリ、ヤ……?」

 

「ええ、本当に久しぶりね、恭介」

 

――――本来ならばあり得ないと、姿を見せることすらできないはずの少女イリヤが優しく微笑む彼女がそこにいた。




やっとここまで来ましたっ!前も言いましたが長かった……!ここまでくるのにっ!まっ、聖さんも登場したので次回で終わるはず襲撃回っ!終わったらちょっとしたオリジナル回を書いて某並行世界の魔王を降臨させないと((

そして劇場版Fate第3章の感想を言います。最高の一言です。現在自粛をせねばならないと分かってはいましたが我慢できずに映画館にダッシュしました。もうね、全てにおいて凄かったです、ネタバレ防止のため説明は致しませんが凄かったです(語彙力
きっと劇場版を見終わったら桜を見に行きたいと思うの一言でしょう。本当に見に行きたい……。

そして最近のfgoは水着ですね、水着。我カルデアに快楽天が来てもはや絶望ですがなかったことにしましょう。なぜ貴様が来て復讐者ノッブはきてくれないんだ……あと弓ノッブ……っ!そして水着パライソちゃんは何処……?此処……?私の知っている世界線では彼女の水着姿があったはずなのに……!!
今年は赤い弓兵の霊位開放で我慢します((真顔

次回の更新は未定ですが気長にお待ちになってもらえると助かります!誤字&脱字報告お待ちしてますっ!

(とりあえず水着パライソちゃんの実装をですね……えっ、ない?…………来年の第二ピックアップを信じるんだ((
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