手負いとはいえ、深海棲艦の抵抗は熾烈を極めるーーー。
「水偵、弾着観測の用意はいい?伊勢さんの砲撃もあるから間違いに気を付けてね。」
敵艦隊上空を旋回しながら触接を続けていた水偵へ由良が問う。
「いつでもいいよ、由良!戦艦の砲撃くらい、間違えないから心配ご無用!」
水偵は準備万端といった様子で、機体を左右に振って応えた。
「これより弾着観測射撃を実施します。由良と叢雲ちゃんは軽巡ホ級を、木曾さんと響ちゃんは左側の空母ヲ級を狙って!各艦、第1射用意!・・・・・・ってーーー!!」
「やるさ!」
「邪魔よっ!」
「水上機?いらねえなぁ、そんなモンは!」
由良の合図で敵艦隊へ向け、4隻が一斉に砲撃を行う。
「次弾装填、水偵からの修正を待ちます。」
「各艦の発砲を確認。着弾まで・・・・・・3、2、1・・・着弾!」
その着弾を水偵が観測し、各艦へ射撃緒元の修正を指示する。
「由良は左寄せ2、下げ1。響は右寄せ3、上げ2。叢雲は右寄せ1。木曾は至近弾、射撃緒元そのまま!流石だな・・・水上機をいらないと言うだけある・・・。」
「射撃緒元修正、第2射、よく狙って・・・ってーーー!!」
弾着観測が効果を発揮し、軽巡ホ級と空母ヲ級がたちまち撃沈する。
「nucbi・・・dR"]k,・・・」
「ejejdety]rS"m/・・・」
「次!重巡リ級をねらっtきゃあ!?」
残りの深海棲艦へと狙いを変えようとした由良を砲撃が襲った。
重巡リ級からの反撃だ。
「由良!?大丈夫か!」
「・・・負けないから!」
敵艦隊も残すは大破した空母ヲ級に中破した重巡リ級のみ。
しかし、最後の足掻きとばかりに重巡リ級が主砲を撃ちまくる。
「7o;wqj.t!」
「何よこいつ!中破してるはずなのに!」
「・・・敵ながら、ハラショーだ。」
その砲火は、とても中破しているとは思えないほど激しく、由良たちは回避するのに精一杯だ。
(中破でこの火力・・・このまま反撃の隙を掴めなければ、こちらが危険になる。・・・・・・なら!)
由良は数秒の思考の後、後ろに続く仲間に一瞬目をやり、覚悟を決めて指示をだす。
「残りは手負いのリ級とヲ級です。これより敵に肉薄し、至近からの魚雷で仕留めます!」
「いいねぇ、アリだな。」
「酸素魚雷を喰らわせてやるわ!」
「了解。派手にいこう。」
「伊勢さんに砲撃の中止要請を打電!牽制を加えつつ突撃します!主砲!ってーーー!」
艦娘たちはお互いに頷き合うと速度を上げて敵へと突き進む。
近付くにつれ、敵の砲火も激しさを増し、先頭を行く由良に襲いかかる。
砲弾が頬を掠め、艤装に傷を付けていくがそれでも足を止めることはしない。
(・・・予想よりも砲撃の精度がいいわね。このままだと由良が・・・。)
「・・・・・・由良、考えがあるのだけど。」
少しずつ傷ついていく由良の様子を見て、叢雲がある作戦を提案する。
「叢雲ちゃん・・・?」
ーーーーーーーーーー
叢雲の作戦が伝えられ、木曾が頷く。
「危険だが、やってみる価値はあるだろうな。」
「でも・・・それじゃあ叢雲ちゃんが!」
「私なら大丈夫よ。一体誰だと思ってるのかしら?」
「大丈夫、私たちならやれるさ。」
由良が抗議の声をあげるが、叢雲も響も、自分たちを信じろと言う。
再び何かを言おうとした由良だが、覚悟を決める。
(これ以上迷っている時間もない・・・やるしかない。)
そして真剣な表情で声を張り上げ、号令する。
「これより『焼き鳥作戦』を開始します!皆の命、由良が預かったよ!!」
ーーーーーーーーーー
「全艦、取り舵!敵の側面へ回り込みます!」
由良の号令で艦隊が左へ転舵する。
「iT"rt!」
転舵する瞬間には必ず隙が生まれる。
その隙を逃さず、リ級からの砲撃が集中する。
「くっ!ちっとばかし涼しくなったぜ!」
砲撃が木曾を捉えるが、木曾にとってはかすり傷のようだ。
「全砲門、連続撃ち方!当てなくていい、敵の視界を奪って!」
由良たちも負けじと砲撃する。
敵艦隊の周囲に無数の水柱がたち、視界を遮る。
「hc!bd'hu!」
水柱に視界を遮られ、リ級がこちらの姿を見失った。
その隙をついて艦隊が再び転舵する。
「ここよ!面舵!ここからならヲ級が邪魔になって敵の射線は通らない!」
「S"big5q!?」
ヲ級を盾にして全力で突撃しながら、由良は次の指示をだした。
「砲撃しつつ陣形を単横陣へ変更!各艦、魚雷発射管へ酸素魚雷装填!!叢雲ちゃん、タイミングは任せるね!」
「了解よ!見てなさい!!」
陣形を変更したことで、再び由良たちの姿がリ級に捕捉される。
だが、リ級はそこで違和感を覚えた。
ヲ級の影から飛び出してきた艦娘の数がさっきより少ないのだ。
「vslg5qQ"s!?eZqeS"bi!?」
狼狽えた様子を見せるリ級、そこへどこからか声が聞こえた。
「あら、深海棲艦も狼狽えたりするのね。でも、その隙が命取りよ!!」
その声は恐ろしい勢いで
何が起こっているのか、リ級が理解したときには、それはリ級の目前にまで迫っていた。
「纏めて串刺しになりなさい!!」
「4G"'####!!」
そして、ヲ級はリ級へ衝突した。
その腹は槍で串刺しにされ、まるで串焼きのようだ。
深海棲艦2隻を串刺しにした叢雲は、ヲ級を蹴り飛ばす反動を使って後方宙返りをしてその場から離れる。
そしてーーー。
「今よ!酸素魚雷を味わいなさい!!」
「全艦、魚雷発射!!」
空中にいる叢雲と、いつの間にか2隻を包囲していた全艦から、魚雷が発射される。
串刺しにされて身動きできないリ級とヲ級は酸素魚雷をまともにくらい、悲鳴を上げる間もなく撃沈する。
リ級が最後に見たのは、叢雲の勝ち誇ったような笑みだった。
ーーーーーーーーーー
敵の全滅を確認し終えると、由良が叢雲に抱きついた。
「叢雲ちゃん、すごい!かっこよかったよ!!」
興奮しているのか、頬擦りもしている。
「ま、当然の結果ね!・・・ってちょっと!頬擦りしないで!」
顔を真っ赤にした叢雲が抜け出そうともがく。
「顔、赤くなってるよ。叢雲。」
「なんだ叢雲、照れてるのか?」
叢雲が由良の頬擦りハグを受けていると、響たちが茶化してくる。
「そんなわけないでしょ!早く助けなさいよ!っていうかさっさと司令官に報告しなさいよおおお!!」
それに対してさらに顔を真っ赤にして叫ぶ叢雲であった。
ーーーーー南西諸島沖・14:05ーーーーー
「そうですか、分かりました。」
由良たちからの報告を聞いた安住が大きく溜め息をつく。
そして顔を上げると、第1、第2艦隊の全艦へ向けて宣言した。
「敵防衛主力艦隊の撃滅を確認。現時刻をもって作戦を終了、鎮守府へ帰投します。お疲れ様でした、作戦成功です!」
ーーーーーーーーーーつづく
第12話です。
いかがでしたでしょうか。
今回で南西諸島防衛線は終了となります。
次回は・・・どうしよう?w
何を書こうか、どれから書こうか、迷いますねw
とりあえず、次回をお楽しみに。
ちなみに、焼き鳥作戦の概要はこうです。
ヲ級の影に隠れた叢雲が、艤装の槍で串刺しにしたヲ級を盾にしながら全速で突撃。
リ級共々串刺しにして、最後に魚雷を撃ち込んで仕上げ。
というものでした。
作戦名は・・・焼き鳥みたいだなって思っただけですw
悪意は無いですが、加賀さんが聞いたら起こりそうですね(^_^;)