艦これif ~隻眼の鬼神~   作:にゃるし~

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天龍の危機を救ったのは、響と叢雲だった。
今、反撃の狼煙があがるーーー。

※注意
 今回は残酷な描写、グロテスクな表現が含まれます。
 以上の点に十分ご注意してご覧ください。

今回はBGMを聴きながら読んでいただけると、楽しめるかもです。
下記は書いてる時に思い浮かべてたBGMなので、あくまで推奨です。

推奨BMG:Fight → DECISIVE BATTLE → 運命の先へ
BGMを開始、停止、変更するタイミングで、印を書いておきます。
 BGM開始→★
 BGM停止→☆


今回のBGMはガンダム系です。
前の2曲が、ガンダムOO。
後の1曲が、ガンダムAGE。
となっております。


第19話「艦隊防衛戦・5」

★BGM開始:Fight★

 

 

 

「行くわよ!天龍!」

 

「おう!」

 

掛け声と共に二人が隻眼のル級目掛けて全速で動き出す。

天龍を先頭にして、後ろに叢雲が続く形だ。

 

「まずはこれでも喰らいなさいな!」

 

叢雲の意思に反応し、ブースターのミサイル発射管の蓋が一斉に開く。

 

「全弾発射!!」

 

目標と周囲の取り巻きへ向け、残っていたミサイルを全て発射する。

艤装から発射されたとはいえ、ミサイルは現用兵器。

深海棲艦たちへ命中するも、大きな損傷を与えるには至らない。

せいぜい、かすり傷をつける程度だ。

 

「bX"tde!」

 

しかし、その爆煙で視界を遮り足止めするには十分で、敵は叢雲たちの姿を見失う。

だがそれは叢雲たちも同じことで、下手に砲撃すればそれで位置がばれてしまう。

そのことが分かっているからこそ、叢雲も天龍も、隻眼のル級でさえも無闇に砲撃はしない。

 

「・・・!そこね!」

 

「オレは左をやる!」

 

そんな状況がわかっていない下級の深海棲艦が、やぶれかぶれに砲撃を始めた。

砲撃の出所から敵の位置をつかんだ二人が左右に別れ、いまだ漂う爆煙の中へと突入する。

 

 

 

叢雲は天龍と別れると槍を構え、ブースターの出力を上げて爆煙の中へ突進する。

敵の大体の場所は分かっている。

こちらの場所を悟られずに敵を始末するには、近接武器での接近戦しかない。

煙の壁を抜けると、予想通りの位置に軽巡ヘ級を発見する。

 

「アタリね!」

 

ブースターの出力をさらに上げ、突撃する。

その速度は高速艦の島風の比ではない。

ヘ級が叢雲に気づいたのは、槍の切っ先がその頭部を刺し貫く寸前であった。

 

「H"G"'!?」

 

身動きすることすらできず、ヘ級が頭部を貫かれて即死する。

叢雲はその勢いのまま、後ろに控えていた敵も貫いていく。

瞬く間に4体仕留めたところで、ブースターの制動装置を操作して速度を落とさないまま急旋回する。

 

「うっ・・・く!」

 

高速度のままの急旋回によって叢雲の身体に凄まじいGがかかる。

身体のあちこちが悲鳴をあげるが、お構い無しでさらに加速していく。

 

「纏めて沈んでいきなさい!!」

 

ブースターの生み出す速度を十分に発揮し、叢雲は深海棲艦の群れを駆逐していった。

 

 

 

「だらあああああ!!」

 

「!?」

 

爆煙の中から突然姿を現した天龍に驚くのは軽巡ホ級。

咄嗟に砲撃しようとするが間に合わない。

 

「おらぁ!」

 

すれ違い様に横一閃。

ホ級を両断し、その勢いのまま周囲の敵へと斬りかかっていく。

 

「uiT"6bZw・・・G"'3!?」

 

想定していなかった奇襲に深海棲艦たちは動揺し、天龍を全く捉えられない。

この絶好のチャンスを天龍が逃すはずもなく、次々と為す術無く沈められていく。

 

「フッ・・・フフフ・・・怖いか?恐怖をその身に刻んで、沈んじまいな!!」

 

立ちはだかる者に恐怖を与えながら、天龍は嵐の如き勢いで敵を殲滅していった。

 

 

 

☆BGM終了:Fight☆

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

叢雲と天龍が戦闘を開始した頃、響は未だ意識が戻らない二人の妹の容態を確認していた。

 

「島風。雷と電の容態を診ている間、周囲の警戒を頼めるかい?」

 

「おうっ!任せて!」

 

連装砲ちゃんを引き連れた島風は響の指示に従って周囲の警戒に向かった。

叢雲と天龍が暴れまわっているとはいえ、いつ敵がこちらに攻撃を仕掛けてくるかわからない。

手負いの仲間がいてこの場を動けない以上、ここを防衛地点とする他ないのだ。

 

「・・・さて。」

 

海上で倒れ伏し、ぐったりしている雷と電の前で響がひざまづき、持ってきていた物を取り出す。

 

「妖精さんたち、よろしく。」

 

響が取り出したのは、応急修理妖精が待機していた妖精輸送用コンテナだった。

コンテナの中から妖精たちが出てきて雷と電の身体によじ登っていく。

戦場での応急修理や応急処置に長けたこの妖精たちは、その力によって艦娘を轟沈の危機から救うことができる。

通信で二人の意識がないことを聞いていた響が独断で連れてきたのだった。

 

「・・・・・・これは後で始末書かな・・・。」

 

そんな呑気なことを呟いていても、響は内心では取り乱してた。

妖精たちが身体や艤装を調べているが、雷と電からの反応が全くないのだ。

呼吸はしているから、生きてはいる、というのは分かる。

 

(あたりどころが悪かった?それとも脳になにか・・・?)

 

響が色々と考えを巡らせていると、妖精から声がかかる。

 

「どうだい?二人の容態は・・・?」

 

声が震えるのをなんとか抑えて、妖精へ問う。

そしてその言葉に耳を傾ける。

 

「・・・・・・・・・そう、か。ありがとう、妖精さんたち。」

 

妖精からの報告を聞いた響がほっと胸を撫で下ろす。

 

(気を失っているだけだけど、怪我が酷い。すぐに命に関わることにはならないけど、あまり放ってはおけない、か。)

 

十分に助かる見込みがあることが分かり安堵したのも束の間、暁の叫び声が聞こえた。

 

「響!!こっちへきて!龍田さんが!」

 

暁の声色からよくない事態だと悟った響が妖精たちを連れて駆け寄る。

 

「龍田さんの出血が酷くて、止血しても全然止まらないの!」

 

龍田の身体は全身血まみれで、どこから出血しているのか分からない状態だ。

 

「龍田さん!聞こえるかい?傷の具合を診るよ!」

 

響が呼び掛けるが、聞こえていないのか虚ろな目で遠くを見ている。

 

「・・・天龍、ちゃんの・・・戦う、姿が見え、る・・・・・・よかっ、たぁ~・・・。」

 

(マズイ・・・!!)

 

うわ言を口にし始めた龍田に危険を感じて響が叫ぶ。

 

「妖精さんたち、すぐに応急処置を!!」

 

慌てて妖精たちが龍田の身体によじ登り、応急処置を始める。

 

「お願い、妖精さん・・・龍田さんを助けて・・・!」

 

暁が祈るように両手で龍田の手を握る。

その目には涙が浮かんでいた。

 

(天龍さん、叢雲・・・がんばってくれ。本隊が到着するまで耐えられれば・・・!)

 

天龍と叢雲が遠くで戦う姿を、響は眺めているしかなかった。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

「これで、雑魚はあらかた片付いたか。」

 

刀を一振りして刃に付いた血を払い、天龍が呟いた。

最初の叢雲の突撃で半壊していた敵の包囲網、その右翼は崩壊していた。

天龍の気迫に恐れをなして、途中から下級の深海棲艦たちが逃げ出したからだ。

 

「叢雲の方はどうなって・・・って、あいつ本当に駆逐艦かよ。」

 

叢雲が向かった左翼を見ると、あちらの包囲網も崩壊していた。

これを1隻の駆逐艦がやったというのだから、すごいものだ。

 

『天龍、そっちも終わったようね。なら、このまま一気に戦艦を潰すわよ!』

 

叢雲から通信が入り、戦艦を殲滅すると言う。

 

「了解だ。空母は鳳翔の航空隊が押さえてくれているし、あのル級を沈めればこの戦いは終わる。」

 

『そういうことよ。さあ、私に着いてらっしゃい!』

 

そう言い残して通信が切られ、叢雲が戦艦5隻の集団へ突っ込んでいくのが見えた。

 

「オイオイ、一人でやる気かよ・・・。まったく、援護くらい待てっての!」

 

合流を待たずに戦闘を開始した叢雲を援護すべく、天龍は速度を上げてル級の群れに向かっていった。

 

 

 

「はあっ!」

 

全速で手頃な位置に居たル級へ接近し、その頭を槍で斬り飛ばす。

速度を落とさないまま、一度敵艦隊から急速に離れる。

一撃離脱。

それが、機動力に特化したブースター『乙型一式』の理想的な戦い方だ。

後ろからル級たちの砲撃が襲いかかるが、速度の次元が違う的に掠りもしない。

 

「ちょろいものね!もう一撃!」

 

制動装置と姿勢制御スラスターを駆使して鋭角にターンする。

相変わらず身体が悲鳴をあげ、艤装が軋む音が聞こえるがそんなことに構っている余裕はない。

叢雲は龍田の様子を見て、かなり危険な状態だということに気づいていた。

そのため、一刻も早く敵の主力を無力化して安全に退避できる状態を作り出さなければならないのだ。

 

「纏めて貫いてあげるわ!」

 

角度を合わせ、ル級2隻の頭を貫き、もぎ取る。

さらにすれ違い様に魚雷を射出し、追撃を加えておく。

 

「G")oe!?」

 

魚雷は見事に命中し、ル級を大破させる。

 

(これで残りは右目の無いアイツだけ!)

 

後ろを振り返り、最後の敵の姿を捉える。

隻眼のル級と目が合った瞬間、その口がニヤリと笑った。

 

 

 

★BGM開始:DECISIVE BATTLE★

 

 

 

「ーーーーーっ!?」

 

その瞬間、叢雲は寒気を覚え、全身の鳥肌が立つのを感じる。

 

(何?この寒気は・・・何か嫌な予感が・・・。いや、気のせいよ!)

 

頭を左右に振って嫌な考えを追い出す。

十分に距離を稼ぎ、一撃必殺の速度で攻撃する準備は整った。

 

「・・・行くわよ!!」

 

そう叫ぶと叢雲は今度は緩やかに旋回し、加速を始める。

隻眼のル級へ狙いを定めようとした叢雲の目に、信じられない光景がとびこんできた。

 

「・・・なに、あれは・・・。」

 

先程魚雷で大破させたル級、それを隻眼のル級が()()()()()

それだけではない、首の無くなったル級3隻をも喰らっていたのだ。

 

「う・・・・・・。」

 

おぞましい光景に吐き気を催す。

追い詰められたからといって共食いをしてどうしようというのか。

だが、今さら何をしようと次の一撃で仕留めればいいことだ。

 

「気持ち悪い奴ね!」

 

槍を構え、さらに速度を上げる。

前方には共食いを終えた隻眼のル級がこちらを見て佇んでいる。

観念したのだろうか、砲撃すらしてくる気配がない。

そしてその口が再びニヤリと笑った時、それは起こった。

 

「!?」

 

隻眼のル級の身体がぐにゃぐにゃと不規則に蠢いたかと思うと、次の瞬間、脱皮するかのように()()()()()()()

その姿は今まで一度も見たことがないものへと変貌を遂げていた。

髪の色は肌と同じ白色へと変わり、衣服はセーラー服にマントを羽織ったような物になっている。

さらに一際目を引くのは、翡翠のような色を宿したその隻眼から迸る光だった。

 

「一体何だってのよ!!」

 

あまりに異様な状況に、思わず叢雲が叫ぶ。

そこへ天龍からの通信が入った。

 

『叢雲、あいつ何かおかしいぞ!一旦下がれ!』

 

「冗談でしょ!脱皮したのか知らないけど、叩くなら隙だらけの今しかない!」

 

『おい!待てって!!』

 

天龍の制止を無視し、叢雲が隻眼の敵へと突撃する。

そしてその咽に槍を突き立てーーーられなかった。

 

「なっ!?」

 

ソレは槍が届く寸前、身体をひらりと翻して叢雲の突進をかわした。

驚きに目を見開く叢雲を凄まじい衝撃が襲う。

 

「しまっ!きゃああああああああっ!?」

 

すれ違う瞬間、敵のマントの中から姿を現した全主砲による一斉砲撃を至近距離で喰らったのだ。

至近距離から戦艦の主砲全弾をまともに受けた叢雲は体勢を崩して海面を跳ねながら転がっていく。

海面に身体が叩きつけられる度に、ブースターや艤装が砕け、時には爆発を起こしながら吹き飛んでいく。

加速で限界をはるかに超えた速度に達していた叢雲は、そのまま70メートルほど転がり続けて止まった。

海面にうつ伏せになって転がっている叢雲はピクリとも動かない。

 

「叢雲!!クソったれが!!」

 

ちょうどその場にたどり着いた天龍が隻眼の敵へ斬りかかる。

その斬撃も、ひらりとかわされる。

敵が先程と同じように攻撃をかわし、すれ違う瞬間に主砲を向けるが、それを読んでいた天龍は主砲を刀で弾いて砲撃をかわす。

そして天龍も敵の体勢が崩れたのを見計らって攻撃をしかける。

 

「秘剣『瞬天』!」

 

必殺の抜刀術が炸裂する。

しかし、天龍の表情は苦いものになっていた。

 

「クソ・・・化け物め・・・。」

 

天龍の刀にヒビが入り、刀身の半ばから折れる。

危険を感じた天龍はすぐに距離をとって、狙いを定められないようにジグザグに移動し、敵へ砲撃を加える。

 

(こんなのとどうやって戦えばいんだよ!)

 

今の天龍に出来ることは、この敵を足止めしつつ逃げ回ることだけだった。

 

 

 

☆BGM終了:DECISIVE BATTLE☆

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

悲鳴が聞こえたような気がして目を覚ます。

 

「・・・・・・・・・うっ・・・。」

 

起き上がろうとして、全身を駆け巡る激痛で何が起こったのかを思い出した。

 

「・・・どう、なった・・・・・・の。」

 

なんとか顔を上げると、隻眼の敵の砲撃を喰らい、吹き飛ばされていく天龍の姿が目に入る。

かなり遠く、響たちの近くまで飛ばされていったようで、響が駆け寄るのが見える。

 

「ぐ・・・・・・。」

 

このままでは響たちが危ない。

激痛に悲鳴をあげる身体をなんとか動かして立ち上がろうとする。

しかし、うまく力が入らない。

全身を強く打ち付けたようで、右腕の感覚がなく、左足もおかしな方向に曲がっている気がする。

 

「・・・・・・はぁ、はぁ・・・ぅ、げほっ!がはっ!」

 

なんとか四つん這いになったところで強烈な吐き気に襲われる。

吐き出した物が海面に、海中に、黒い染みのように広がっていく・・・吐いたのは血だろうか。

視界が真っ赤に染まっていてよく分からない。

頭が割れるように痛み、意識も朦朧として、平衡感覚もおかしくて息もしづらい・・・あと耳鳴りがうるさい。

 

「はぁ・・・・・・はぁ・・・。」

 

目の前に槍が浮かんでいるのを見つけ、なんとか左手でそれを掴む。

再び視線を上げると、誰かが目の前に立っていた。

 

「・・・・・・・・・このっ、ばけ・・・ものめ・・・。」

 

隻眼の敵がこちらを見下ろし、そこに立っていた。

血を吐きながらなんとか声を絞り出す。

独り言のようなもので、返事は求めていない。

 

「・・・無様ネ。艦娘。」

 

今、何を言った?コイツは何て言った?

無様?艦娘?

なんでこいつは言葉を発している?

なんでこいつはーーー艦娘という言葉を知ってる?

分からない。わからない。ワカラナイ。

 

「・・・ア、ンtげほっ!・・・・・・なに、を、ぐぅっ!いっ、て・・・。」

 

「ワカラナイ?アナタノコトヨ。無様ナ艦娘。」

 

深海棲艦が人語を理解するなんて、ましてや話すだなんて。

今起こっていることは到底信じられるものじゃない。

でも、注意をこちらに向けてくれているのなら、それは好都合。

 

「はぁ、はぁ・・・・・・はなし、を・・・し、た・・・いの、かし、ら・・・?」

 

「フフフ、ソウネ。ココマデ私タチニ楯突イタゴ褒美ニ、ヒトツダケ質問ニ答エテアゲルワ。ナニヲ聞キタイ?」

 

余裕の態度で質問に答えてやると言う。

いいわ、なら少しでも情報を聞き出してやるわ。

 

「さっき・・・の、アレ・・・は・・・がはっ!・・・・・・はぁ、な、にを・・・したの・・・。」

 

「サッキノアレ?・・・・・・アア、ソンナコトデイイノ?オバカサンナノネ。」

 

いちいち人をイラつかせるやつめ。

苛立ちを表すように精一杯睨み付ける。

 

「ヤダ、コワイカオ。イイワ、教エテアゲル。私タチハネ、使エナクナッタ下僕ノ核ヲ摂取スルコトデ、進化スルノヨ。フフ、ウラヤマシイ?」

 

「だ、れがっ!ぐっ!!げほっげほっ!!」

 

思わず声を荒げかけて咳き込む。

共食いして進化・・・?ヘドが出る。

やはり深海棲艦は倒すべき敵だ。そう、倒さなければ・・・。

 

 

 

★BGM開始:運命の先へ★

 

 

 

「モウスコシ遊ンデアゲタイケド、ドウシヨウカシラ。」

 

「・・・な、ら・・・・・・。」

 

「ナァニ?」

 

「この・・・音の、しょうたいは、わかる、かし、ら・・・?」

 

「!?」

 

正直、私には音なんてほとんど聞こえていない。

それでも、響たちに背を向けているコイツは気づいていないことがある。

 

「ちょうどいい・・・じかん、かせぎが・・・・・・でき、たわ。・・・おばかさんね。」

 

ようやく到着した救援部隊ーーー総勢4艦隊からなる大部隊が、このうるさい敵へ向けて砲撃をしたのが、私には見えていた。

長距離からの砲撃、威嚇射撃だろう。

砲弾が空を切り飛来する、その風切り音が徐々に大きくなっていく。

その砲弾が敵の周囲に着弾して水飛沫をあげる。

砲撃の激しさに、敵が腕で顔を守るような仕草をした。

 

「ーーーーーっ!!」

 

(こいつはここで殺す!殺さないといけない!!)

 

この時を待っていた。

大きな隙を晒すこの瞬間を。

残った力を振り絞って身体を動かす。

右足の力だけで立ち上がり、そのまま踏み切って飛ぶ。

そしてありったけの力で左手に握った槍を敵の頭に向けて突き出す。

 

「うああああああああああああああああああああっ!!!」

 

「コイツ!?」

 

時間が止まったように感じる。

1秒が10秒になったかの如く、世界がゆっくりと動く。

最後の力を振り絞った捨て身の攻撃はーーー失敗に終わった。

槍は敵の右頬を掠め、小さな傷を作っただけだった。

 

(ちくしょう・・・!)

 

敵の右手が私の左腕を掴み、握りつぶす。

メキメキと骨が砕ける不快な音をたてて腕がひしゃげる。

力を失った手から槍がこぼれ落ちていくその光景すら、ゆっくり動いていく。

 

(ちくしょう・・・!!)

 

敵のマントの中から主砲が現れる。

この距離、しかも腕を捕まっている状態では避けようがない。

悔しさで自分の目に涙が浮かぶのがわかる。

目の前の敵が、愉快そうにニタリと笑う。

 

(ちくしょう・・・!!!)

 

 

 

☆BGM終了:運命の先へ☆

 

 

 

そして主砲が私の身体に密着しーーー。

 

「サヨウナラ。オバカサン。」

 

砲弾が、私を貫いたーーー。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーつづく




第19話です。

いかがでしたでしょうか。

かなり長くなってしまいました・・・。
まあ、戦闘回だし、仕方ないですよね。

初めてBGM推奨で書いてみました。
あくまで推奨なので、皆さんのお好みのBGMをあてていただくほうがいいかもですね。

隻眼のル級は、隻眼のタ級へと変貌しました。
共食いして進化とかありそうだなと思ってやりました。
後悔は・・・・・・・・・ちょっとあるかも。

叢雲の右腕は動かせないだけで、ちゃんとくっついてます。
火傷とか打撲とかが酷くて感覚がなくなってるだけです。
書いてて自分で泣きそうになったのは内緒です。

というわけで、グロ回になりましたが、今回で艦隊防衛戦は終了の予定です。
次回からの展開がどうなっていくのか、ご期待?ください。

では、また次回もお楽しみに。
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