艦これif ~隻眼の鬼神~   作:にゃるし~

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赤城から放たれた矢たちは姿を変え、3種類の艦載機となっていた。

航空戦の花形であり、攻撃隊の護衛や制空を担う、大空の覇者、艦戦。
零式艦上戦闘機21型。通称、零戦21型。

魚雷を搭載し、海面スレスレからの雷撃で敵艦を仕留める、低空の騎兵、艦攻。
九七式艦上攻撃機。通称、九七艦攻。

優雅に空を散歩し、高空からの急降下爆撃を得意とする、雲上の鉄槌、艦爆。
九九式艦上爆撃機。通称、九九艦爆。

これらを操る搭乗員妖精たちの熱い戦いの火蓋が、切って落とされようとしていたーーー。


第7話「南西諸島防衛線・2」

ーーーーー南西諸島沖 上空・11:50ーーーーー

 

 

 

「さあ、そろそろ敵航空隊との接触予想空域だ。久々の実戦で腕がなるな。深海棲艦機はどいつも爆戦みたいなもんだからな、少し逃がしただけでも大変なことになる。分かってるな、ヒヨッ子ども!」

 

零戦隊の隊長機から隊列各機へ通信がとぶ。

 

「わかってるっすよ~隊長~w」

 

「一機たりとも艦隊へは向かわせません!」

 

「この戦闘が終わったら、ご褒美で赤城に膝枕してもらうんだ・・・うひひ♪」

 

「初陣だぁ・・・緊張してきた・・・。」

 

気合い十分といった様子で応える数十機の隊列機たち。

約1名、言動がおかしいのがいるが、気にしないでおこう。

 

「おう最後尾の新入りヒヨッ子、お前はこれが初陣だったな。」

 

「ひゃ、ひゃい!」

 

「肩の力を抜いて、深呼吸しろ。そんなんじゃ一番先に落とされちまうぞ。」

 

「は、はい!すぅー・・・・・・はぁー・・・・・・ちょっと落ち着いてきました。」

 

深呼吸したことで、ガチガチに緊張している新入り妖精は、少し落ち着きを取り戻してきたようだ。

 

「普段の訓練を思い出して、その通りやればいいんだ。わかるな?」

 

「は、はい・・・訓練通り・・・。」

 

「そうだ、いつも訓練で言ってるだろう?零戦は機動性や運動性能がいいが、そのぶん繊細な部分を持っている機体(レディ)だ。だから、扱う時は初めてのオンナを抱く時のように、大胆かつ繊細に、だ。」

 

「大胆かつ繊細に・・・って、抱く時みたいにってなんですかそれ!?今初めて聞きましたよ!?」

 

「はっはっは!この前観たアニメとやらでちょっとな。・・・・・・落ち着いたか?」

 

「!」

 

隊長機からの冗談混じりの言葉に、ようやく新入りの緊張は解れたようだ。

 

「まー、敵機に追いかけ回されたら逃げ回ってろ。直ぐに助けに行ってやる。」

 

「ありがとうございます・・・隊長。」

 

感動して涙ぐむ新入り。

そこへ隊列機からのヤジが飛んだ。

 

「ひゅー!隊長イケメンっすねー!これは惚れるわ~w」

 

「やかましいわ!大体、初めての戦闘で敵に追いかけ回されて半ベソかいてたのは、どこのお調子者だっけな?」

 

「そいつは言わない約束っすよ~w」

 

「逃げ回ってれば、そうそう落とされやしないからね。諦めずに助けを待つんだよ。」

 

「うぅ・・・たいちょお・・・しぇんぱい・・・。」

 

まるで戦闘直前だとは思えない雰囲気で騒ぐ妖精たち。

そこへ、艦攻隊長機と艦爆隊長機から通信が入った。

 

「こちら艦攻隊長機!11時方向、敵攻撃隊とおぼしき編隊を視認!」

 

「艦爆隊長機だ。こちらも確認した。」

 

「おいでなすったか・・・。零戦隊了解。艦攻隊、艦爆隊は所定の高度へ退避。我々が敵機を引き付けてる間に敵艦隊へ向かってくれ!」

 

「「了解!また赤城で会おう!!」」

 

艦攻隊と艦爆隊がそれぞれ低空、高空へ退避していく。

敵もこちらに気づいたらしく、編隊を散開させ戦闘体勢に入ったようだ。

 

「各機散開!パーティーの始まりだ!落とされるなよ!!」

 

「「「「応!!」」」」

 

合図と共に散開し、赤城零戦隊は敵航空隊との戦闘に突入した。

 

 

 

ーーーーー南西諸島沖 第1艦隊・12:00ーーーーー

 

 

 

「・・・・・・赤城零戦隊、敵攻撃隊との戦闘を開始したようです。」

 

「了解です。頼みましたよ・・・妖精さんたち・・・。」

 

不安そうな顔で航空隊の飛び立った方向を見つめる安住。

声色からそれを察したのか、加賀から通信が入る。

 

「赤城さんの航空隊だもの、優秀な子たちだから心配はいらないわ。それよりも、こちらも行動を開始するわね。」

 

「はい、頼みます。第1艦隊は前進、航空攻撃の終了と同時に敵機動部隊へ砲雷撃戦を開始します!第2艦隊は先程伝えた指示通りに!」

 

「「了解!」」

 

 

 

ーーーーー南西諸島沖 上空・12:05ーーーーー

 

 

 

敵攻撃隊と接触してから数分、上空では激しい航空戦が繰り広げられていた。

 

「はっはーwまずは1機~w」

 

お調子者の零戦が正面から突撃してきた敵機をすれ違い様に撃ち墜とす。

 

「おれっちと正面反攻なんて早すぎたね~wお次はドイツかな~w」

 

お調子者は機体をクルクルと回転させ、次の敵機を探しに飛んでいった。

 

 

 

「お、編隊から遅れたカモがいるね。突入!」

 

真面目ちゃんの零戦が、艦隊に向かって低空を飛ぶ編隊を見つけた。

そして遅れた敵機を発見し、反転急降下。

機銃を撃ち込み、撃墜する。

 

「真下も危ないけど、真上も危ないって覚えておくといいよ。編隊も崩れたようだし、このまま残りをいただくとしようかな。」

 

真面目ちゃんは編隊の残りの敵機を撃墜しに向かった。

 

 

 

「す、すごい・・・!先輩たちに負けないようにがんばらないと!敵機発見、突入!」

 

新入りの零戦も単独で飛ぶ敵機に狙いを定め、背後から突撃する。

 

「喰らえ!」

 

敵機の背後を捉えて機銃を打ち込む。

だが、敵機は右に左に回避行動をとり、なかなか命中しない。

 

「くっそーー!うろちょろと逃げるんじゃないよ!カトンボみたいに!」

 

新入りが手こずっていると、敵機の横から機銃が掃射され撃墜される。

 

「えっ!?誰が横取りを!」

 

機銃弾の飛んできた方を見る新入り。

その目に飛び込んできたのは・・・。

 

「ウーウーw(^q^)イイレスw」

 

「・・・・・・。」

 

ちょっと発言のおかしかった零戦であった・・・さらにおかしくなっているが、気にしてはだめだ。

新入りが呆然としていると、おかしい妖精はすぐに次の敵機へ向かって飛んでいってしまった。

 

「イケーw(^q^)トツゲキーw」

 

(一応先輩だから何も言えないいいいいい!)

 

「・・・・・・はっ!隊長は?隊長はどこに・・・大丈夫かな・・・?」

 

 

 

「オレが大丈夫かだって・・・?」

 

どこからか聞こえてきた声と共に、敵機が撃墜される。

 

「隊長は一体何機撃墜したんだ!?の間違いじゃないのか?これで7機目!ビッグ7ならぬラッキー7だな!」

 

余裕の隊長である。

 

「さて、お次はどいt「ひぃぃぃぃぃ!助けてぇぇぇぇ!」

 

隊長が次の獲物を探していると、悲鳴が聞こえてきた。

悲鳴のした方を見ると、新入りが敵2機に追い回されていた。

 

「今行く!まってろ!」

 

それを確認した隊長はすぐさま機体を旋回させ、新入りを助けに向かった。

 

 

 

新入りは必死に逃げ続けていた。

 

「ひぇぇぇぇぇ!」

 

真後ろから機銃の弾が次々と飛んでくる。

それをなんとか機体を回転させてかわす。

しかし相手は2機、さすがに多勢に無勢で、少しづつ被弾し始めていた。

 

「ちょま!あたってるあたってる!?翼が穴だらけにぃぃぃ!!」

 

徐々に被弾が増え、機体の各所に穴が空いていく。

 

「もうむりぃぃぃぃぃ!「待たせたな!新入り!!」・・・え?」

 

その声と同時に前方から白い影が猛スピードで迫ってきた。

 

「隊長!?ちょ、ぶつかるーーーーーー!!」

 

隊長機が全速力で突っ込んできていたのだ。

新入りは正面衝突を覚悟し、目を瞑った。

しかし、衝突する寸前で隊長機がきりもみ回転し、衝突を避けた。

それと同時に機銃を撃ち、新入りを追い回していた敵機を2機共撃墜したのだった。

 

「い、生きてる・・・助かった?」

 

何が起こったのか、新入りが目を白黒させていると、いつの間にか隊長機が左側を並走して飛んでいた。

 

「無事か?」

 

「は、はい・・・助かりました、隊長・・・。」

 

「まったく、ヒヨッ子のくせして他人の心配なんぞするから後ろを取られるんだ。まだ飛べるな?」

 

「機体はボロボロですけど、なんとか・・・。」

 

実際、新入りの機体はもう飛んでいるのが不思議な程、穴だらけだった。

 

「ならお前は離脱して赤城に戻れ。残りはオレたちでやっておく。一人で帰れるな?」

 

「・・・・・・はい、了解です。離脱します・・・隊長、どうかご無事で。」

 

「おう。戻ったら赤城に泣きついとけ。」

 

新入りは隊長に敬礼すると機体を旋回させ、艦隊へと戻っていった。

 

 

 

「さて、なんとか艦隊や攻撃隊に向かう敵機は食い止めているが・・・すり抜けていったやつはいないよな?」

 

隊長は新入りが戻っていった、艦隊の方角をチラリとみたが、すぐに激しい空戦を続ける隊列機の援護に向かった。

 

「・・・・・・攻撃隊は上手くやれてるだろうか・・・。」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーつづく




第7話です。

いかがでしたでしょうか?
お楽しみ頂けたなら幸いです。

ついに始まりました、戦闘シーン。
今回は普段の艦これでは一瞬で終わる、航空戦です。
その中でも、制空権の争奪戦にフォーカスしております。
これはちょっとIL-2の動画を参考にしたところがあります・・・(-_-;)

ただ、これを毎回書くのはつらいので、こまごまと書くのはこの南西諸島防衛線だけかもしれないです。
次回は敵艦隊に向かった艦攻隊と艦爆隊の戦闘になります。


次回もお楽しみくださいませ。
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