聞こえるか、この鐘の音が()   作:首を出せ

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私は思いました。
いい加減、だらだらと引き延ばしをしていないでシーズン2を始めるかすっぱりやめるか決めるべきだと。しかし、なんとなくいい感じで終わった物を引き延ばしにすると駄作になるという経験ggg


あっ、ちなみに今回の話はこの物語の二大ヒロイン(白目)の話ですヨ!


番外編3 New!

 

 

 

 

 

 

――――1     感想欄(みんな)のヒロイン

 

 

 

 

 

 

 

 

「リィエル。この錬金術に関する魔術なんだが、もう少し効率よく運用したいんだ。何かいい方法を教えて欲しい」

 

「私は感覚で術を使っているから、そういうことは知らない」

 

「…………」

 

「諦めようギイブル。俺も似たようなことを言われた」

 

 もはや言うまでもなく場所はアルザーノ帝国魔術学院2学年2組。そこでは一人の少女に話を伺いに行った眼鏡の青年が項垂れる光景が目撃され、その友人である平々凡々の容姿を持つ青年が眼鏡の青年を慰めるように手を置いた。

 その三人とは説教女神を堕とした強者の雰囲気を出さないヤバイ奴ことサン・オールドマン。2組の孤高の眼鏡と陰ながらクラスで囁かれているギイブル・ウィズダン。そして、初日に様々な行動を起こして数多のインパクトを与えたにも関わらず、今ではマスコットとしての不動の地位を築き上げた少女、リィエル・レイフォードだった。

 

 ことの始まりは、錬金術に置いて絶対の自信を持っているギイブルが自身と同等――――いや、確実に自分以上の錬金術(物理)を使いこなすリィエルに対抗心を燃やしていたことから始まる。リィエルを目標として努力していた彼ではあるが元々彼は学年で上位に入るほどの秀才。教科書を読み解き、ひたすらに突き詰めるだけでは限界が訪れることは必然だっただろう。故に彼は自身が認めているリィエルに話を聞くことにした。前の彼であればそのようなことをしなかっただろう。しかし、クラス担任になった非常勤講師と、友人を自称するショック・ボルトキチに影響されこうして他人を頼ることを覚えたのだった。

 

 ―――まぁ、結果はこのように見事に玉砕したのだが。

 

「いや、ちょっと待とう。いくら何でも感覚だけであれらの術を発動させることが……」

 

「……正直、俺としてはリィエルが考えて術式を発動している、なんてことの方が信じられない上に想像できないんだけどね」

 

「サン。それは流石に失礼だと思う。……次の特訓は最初から本気で」

 

「藪蛇だったか………」

 

 そう呟いて、サンはリィエルのジト目の元に崩れ去った。後に残ったのは地面に四つん這いの状態で気落ちする青年二人。実にシュールな光景である。その二人を撃退したリィエルは彼らの行動を疑問に思った後、真似しようとして近くに居たルミアから止められていた。

 

 何とかorzの状態から立ち直ったギイブルはリィエルにお礼と謝罪をしてから自身の席に戻った。サンはそんな彼について行き、教科書を覗き込み、ショック・ボルトの時に鍛え上げた常識はずれの角度からの疑問や指摘をしてギイブルの助けになるようにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぶっちゃけ、別の系統の魔術式を組み込んでみたら?案外いけるかもしれないよ」

 

「ぶっ飛んでるのは頭の中だけにしてくれないかオールドマン。そんなことできるわけないだろう」

 

「相変わらず容赦のない罵倒。本気で泣けてくる。……それはともかく、できるわけがない―――その言葉を捨てないといい術式はできないよ?これは実体験ね」

 

 ギイブルはサンの言葉に眉を吊り上げた。

 確かにその通りだ。彼は確かに学年上位の秀才だが、それは学院が出題するテストの結果からであり、彼が行おうとしていることは教科書に載っていないとても常識はずれのことだ。

 

 サンは幼少のことからショック・ボルトの改変に着手していたという。常識という概念が出来上がっていないその時期に術式を覚えたことにより、今の彼のように豊富な改変魔術を使うことができるのかもしれないとギイブルは考え直した。

 であれば、彼の言うことも理にかなっている。これから自分が行おうとしていることは常識の範疇ではない。だからこそ、常識を前提としている知識は役に立たない。

 

「………取り合えず、試すだけ試してみるか」

 

「うん。試行錯誤は実際にやってみることが一番いい。百聞は一見に如かず。そして、百の観察よりも一の実践だ」

 

 サンの言葉にギイブルも頷く。そして、彼は自身が思い描く術式をとりあえず形にしてみるのだった。

 

 

 ちなみに結果は全滅だった。これには流石のギイブルもへこんだらしい。そして同時に改めてサン・オールドマンの異常性を理解したという。一方のサンはとりあえずギイブルが何故失敗したのかということを第三者目線からまとめたレポートを渡して、彼の心を引っ掻き回したことを此処に記しておく。

 

 

 

―――おまけ

 

 

 

「というよりもギイブル。グレン先生に相談しに行くという手もあったと思うんだけど、そこの所はどう?」

 

 サンのレポートを受けてギイブルが珍しく暴れまわり、そしてその全てをサンが翻しお互いに落ち着いたころ。学院内に存在する中庭のベンチにてギイブルにそう切り出すサン。

 

 問いかけられたギイブルは彼の質問に顔を顰め、そのまま視線をサンから外した。ギイブルの行動が読めなかったサンは首を傾げる。ギイブルは視線を合わせず、尚且つ顔を顰めたままでこう口にした。

 

「僕がグレン先生にそんなことを相談したら、絶対に何か言われるに違いないからだ」

 

 ギイブルの言葉にサンは考えを巡らせる。

 

 グレン・レーダスと言う男は基本的にろくでなしである。下手に出ている相手にはここぞとばかりに煽り立てる。自身の金もうけのために口八丁手八丁で生徒達を利用する。賭け事に限度を設けない。楽だと思うことに逃げ込む。etc.etc.

 

 そこまで思い至ったサンは更にギイブルがその普段のグレンに頼みに言った時の反応を予測する。

 

 

―――そっかー。孤独な俺かっKEEEEE!なギイブル君でもわからないかーwww。しょうがねぇな~。だったらこれから一か月ほど俺の昼食を奢り、俺のことをグレン大先生と敬ってもらわねえとなぁ?

 

 

 

 

「――――これはうざい」

 

「そうだろう」

 

 サンは想像上のグレンに心臓を停止させるショック・ボルトを放って消滅させた後にそう口に出した。ギイブルは何を想像していたのか大体予想できたのだろう。思いっきり同意した。

 もちろん、これは彼らの想像上の話であり、実際はグレンの真面目な部分が出現し、普通に教えてくれるかもしれないがそれは彼らにとってどうでもいいことである。重要なのは、そう言った可能性があるかもしれないということだけなのだ。

 

 結局彼らはそのまま二人で何とかすることを決めた。

 

 

 

 

 

――――――2   本編のヒロイン

 

 

 

 

 時刻は丁度太陽が真上に位置するかしないかという時間帯。主に通学路でよく通る噴水の前にシスティーナは立っていた。その恰好はいつものように制服(最早ただの(そっち系)コスプレ)ではなく、彼女の可愛らしさを引き立てるような私服。既にこの様子から普段とは違うことが伺えるだろうが、一番わかりやすいのは彼女がしきりに自身の髪の毛をいじりながら頬を赤く染めていることであった。

 すれ違えば十人中八人は振り返るであろう美少女である彼女の姿にその道を通りかかった人(男性)はついついその姿を視界に居れてしまう。中にはお近づきになりたいが故に声をかけようか迷う人物も居るほどだ。しかし、そんな彼らの葛藤は無意味に終わった。

 

「ごめん!お待たせ!」

 

「―――!」

 

 先程から男性たちの視線を釘付けにするシスティーナに一人の青年が駆け寄る。決して悪いわけではない、むしろ良いといってもいい容姿だがだからと言って印象に残るかと言われれば首を傾げるなんとも微妙な青年であった。だが、そんな彼が近づいた瞬間彼女は駆け出して青年―――サンの前まで行き、両手を腰に当ててこう言い放った。

 

「遅い!いくら何でも女性を待たせるのはどうかと思うわよ?」

 

「はい。言い訳の仕様がございません。本当に申し訳ありませんでした」

 

 明らかに怒っていますという風に青年を責めるシスティーナ。しかしそれは、もしかしてすっぽかされたかもしれないという不安から来るものだと、サン自身も察していた。伊達にクラスメイト達に察する男こそモテると豪語し、転生者として割と長い時間生きてきたわけではないのだ。……尤も、恋愛面でも勘の良さは彼女と一緒になってから培われたものである。

 ちなみに彼がこうして遅れたのは例の夢の中での特訓が原因である。普段通り目覚めたはいいもののあたり一面に飛び散る自身の血を処理するのに時間をかけすぎてしまい結果的に遅刻してしまったのだ。

 

「………けど、まぁ……来てくれたから許s――――やっぱり許さない」

 

「えっと、どうすれば?」

 

「て、手を繋いでくれたら許してあげる」

 

「――――――――クスッ。うん、それで許してくれるなら喜んで」

 

 システィーナも彼が寝坊などという理由で遅刻したなどとは思っていない。僅かに、本当に僅かに香る血液の匂いで今朝何があったのか、大体のことを察したからだ。今のはサンが予想を立てた通り、自身の不安を解消する為であり、やたらと包容力があるサンがそれを受け止めてくれると知っているからこその行動である。それでも、その負い目に付け込んで自分の欲望もちゃっかりかなえようとしてしまう。だがそれすらもサンにとっては把握済みであり………そこにはお互いがお互いを理解している、理解しようとしているからこそできるやり取りが確かに在った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「っかー!全く青春してんなアイツら。それにしても相手が察しているからこそのツンデレか……。中々レベルの高いなおい」

 

「それがいいんじゃないですか。いいなー、システィ。きゅんきゅんするよ」

 

「……またのぞき見?」

 

 

 ついでに、色々と話題な二人のデートを聞きつけた。自称二人を見守り隊と言う名のストーカー達のやり取りも、確かに在った。

 

 

 

 

✖✖✖

 

 

 

「この服はどう?」

 

「……うん、良く似合ってる。可愛いと思う」

 

「……さっきからそればっかりじゃない。結局どれが一番いいのよ」

 

「正直、何の服が流行とかは分からないんだよ。そう言ったことにはあまり興味がわかないから。でも、似合ってるのはホント」

 

「――――――言ってて恥ずかしくないの?」

 

「恥ずかしいに決まってるでしょうがぁ!」

 

 

 

 

「グレン。二人とも顔、まっか」

 

「そりゃあんなこと言えば顔の一つや二つ赤くなるだろうよ」

 

「でも恥ずかしいながらもはっきりと口にしてくれるのは意外と嬉しいものですよ?ちなみにグレン先生。この服はどう思いますか?」

 

「よく似合ってるじゃねえか」

 

「ありがとうございます♪」

 

「―――――(どっちもどっち?)」

 

 

 

 

✖✖✖

 

 

 

「あっ、ここのお店美味しい……」

 

「そうでしょう?ここは私が昔から来てる所で、色々美味しいの」

 

「――――すみません。あちらのお客様方からです」

 

「そんなハードボイルド系ドラマでありそうな展開が現実で起こり得るなんて……って、何ですかこれ!?」

 

「―――――――」

 

「あちらのお客様から入りました。『魅惑のラブラブジュース』でございます」

 

「なんというプロ根性!すみません店員さん、このメニューは何処からですか?」

 

「あちらのお客様からです」

 

「こんなことをするのはグレン先生しかいないわっ!――――って、誰!?」

 

「それではごゆっくりどうぞ」

 

「…………」

 

「…………」

 

「飲まなきゃ、駄目?」

 

「じゃないの?」

 

『(ゴクゴク)――――甘っ』

 

 

 

 

 

「ふぅ、セルフイリュージョンかけといてよかったぜ」

 

「きゃー!顔近いですね!」

 

「……もきゅもきゅ……ゴクン。……すみません、ここから此処まで、お願いします」

 

 

 

✖✖✖

 

 

 

 

「んーっ!結構回ったわね」

 

「慣れ親しんだ街だけど、こうして改めて遊んでみると新しい発見もあるもんだね」

 

 今日一日を彼らは一緒に消費した。服屋に行ったり、食事に行ったり、他にも公園を散歩したり、小物などが販売されている店を冷かしたりした。今日一日の行動を振り返り、サンはまさに実際にデートを体験したことのない人物が立てる創作物でよくありそうな内容だと小さく笑った。

 

「今日はありがとう。いい気分転換になったし、楽しかったわ」

 

「こちらこそどうもありがとう。……色々堪能させていただきました」

 

 その言葉にシスティーナは今日の一日を振り返り、そしてすぐに顔を赤くした。元々、彼女の髪は太陽の光を反射して輝くほどキレイな銀髪であり、肌もシミ一つないまるで雪の如き白さを誇っている。故に赤面がよく目立つのだ。その様子を見たサンは再び笑みをこぼす。

 

「……いじわる」

 

「ごめんね」

 

 赤さが引かず、熱を貯め込んでしまっている顔でシスティーナはサンを睨みつける。流石に揶揄いすぎたかと彼は謝罪するが、その表情は未だに笑顔だ。まるで反省していない。

 

 やられっぱなしは性に合わないと感じたのか、ここで顔を赤くしサンを睨みつけるだけだったシスティーナが行動を起こした。彼女は隣を歩くサンに素早く近づくと、そのまま小さい唇をサンの耳元に近づける。それは奇しくも彼らの関係の始まりと同じ。

 

「―――大好き」

 

「―――――ッ!?」

 

 今度はサンがその顔を赤くする番だった。耳元で囁かれた(放たれた)システィーナの言葉(一撃)は見事にサンに致命傷を与えた。最早一撃必殺と言ってもいいくらいである。サンは耳元に手を置いてバッと後ろに飛退いた。その反応を見たシスティーナはまるで悪戯が成功した子どものように無邪気に笑っている。

 手痛い反撃を受けたサンはテレからか暫く頬を掻くも、元々は自分が悪いということで納得し再び彼女の隣に立った。そしてそのまま自然な動作で手を握る。システィーナもサンの手を強く握り返した。それ以降、彼らの間に会話はなかったものの、二人の表情に気まずさはなく唯々満足そうにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ちなみに後日談であるが

 

 

 

「―――と、いうことが合ったんだよ。お前達!」

 

『ごちそうさまです!』

 

『このロクでなしぃぃぃ!!』

 

 

 ストーカー三人衆の一人、怠惰のレーダスことグレンがクラスの生徒達にサンとシスティーナのデート内容を赤裸々に言い放ち、二人から追いかけられることになったのだった。グレンはその日、尋常じゃない動きをするサンに捕まり、ただひたすら放課後まで時折痙攣をする肉の塊にされたという。

 

 




そもそもシーズン2を始めるための資料がないからね!是非もないよね!

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