テンプレ転生!~転生したのは、色々とおかしいダンまちの世界~ 作:ねむねむお布団
お気に入り……1375
感想……83
総合評価……1693
しおり……306
評価:
調整平均☆7.05
平均評価☆6.75
「 _,,_
( ゜Д゜) ・・・
_,,_
( ´ Д ⊂ ゴシゴシ
_,,_
( ゜Д゜) ・・・」
ーーーーー
はい、どうも。何だか評価とか高くなってて「なぁにこれぇ」と困惑している私です。ねむねむお布団です。初期の頃に比べると考えられないなぁ……。
さて、突然ですかおたふく風邪にかかりました。
ええ、まあ、その、はい。
何か数日前に顎下痛いなぁ、とか思ったら腫れてて、ですね。触ってみると、ポッコリと……膨れて、痛いんですね。コレが。
最低でも学校とかだったら五日は休まないといけないんですね、おたふく風邪って。小学校の頃にかかった筈なんですけど、おかしいなぁ……病院の方で薬貰って、今もまだ休んでいる所ですね。薬無かったら死んでます。主に顎下の痛みで。
前回は風邪で休んでいる時に投稿、今回はおたふく風邪で休んでいる時に投稿……。この流れだと次回は事故で休んでいる時に投稿とかってなるんじゃないかなぁ。何だか怖くなってきた。
取り敢えずまあ、そんな感じで。作者のお話は終わりです。今回は大したネタも無い前書きです。詰まらなくてすまない……。
おたふくって辛いね!じゃあ本編どうぞ!
全速力で走る。
『ヴヴオォォォォォオッ!!』
「いやぁぁぁぁぁあッ!?」
「うおぉぉぉぉぉおッ!?」
背後から迫り来る破砕音と咆吼に身を震わせながら、一生懸命に走る。隣で並走する彼女と悲鳴を腹の中から捻り上げながら、万が一にも転んでしまったら死んでしまうような状況に心臓を(恐怖的な意味で)バクバクと高鳴らせながら必死に走る。
……うーん、胸を高鳴らせるのはラブコメの時だけで良いよ……。
と、割と絶体絶命的なシーンに対面している俺は内面で首を傾げて苦笑いする。身体は思いっ切り絶叫して逃走しているが、脳裏は冷静なのか普段通り巫山戯ている。
……あっれれー?おっかしいぞー?思ってたよりもコレ危ないなぁ……?流石Lv.2のモンスターって事かな?HAHAHA!!
笑えねぇよ馬鹿野郎。
内心愚痴りながら、存分に巫山戯た思考を垂れ流しながら走る。息は荒く繰り返され、汗は今もダラダラと垂れ、足は今にも縺れそうだ。身体が休みを求めて悲鳴を上げ、今すぐ足を止めて休んでしまいたい気持ちになる。
きっと、我が主神である紐神様の恩恵を受けていなかったら今頃俺は踏み潰されてミンチになっているか、神様特典を全力全開で駆使して真っ白な灰になる事だろう。結局負けるのかよ。
「ベルッ!絶対に転んだりするなよッ!」
「分かってるッ!けどッ、辛い……ッ!」
……だが、走らなければいけないのだ。何故なら、足を止めれば死がやって来るのだから。足を止めれば即ミンチになってあの世行きだろう。使命感とか義務とかそんなモンじゃねぇ、コレは命の危機がドタドタと足音盛大に立てながら傍に近寄ってるから走らなきゃいけないんだ……!
そう、詰まりは俺達は全力でミノタウロスから逃げる事を……強いられているんだ!!(集中線)
あ、状況的な意味でね!
脳内では巫山戯た思考を山程連ねながら、不意にチラリと背後へ視線を向ける。其処には馬面人体の化け物の姿……筋骨隆々とした巨大な肉体が目立つ、ミノタウロスが俺達を追って来ている。
うーん、この
さて。
現在俺達が居るのは、ダンジョン五階層……まだ低級の冒険者が彷徨くような場所である。上級冒険者やらが潜る深い階層に比べれば全然楽チンな難易度と危険度で、中層とか行ったらスペランカーの如く死ぬであろう底辺冒険者が通う階層である。
で、そんなクソザコナメクジな我々初心者冒険者共なんだが……不運に絡め取られでもしたの か、何故か中級冒険者が相手するような格上のモンスター、中層に住まう怪物ミノタウロスが目の前に現れていた。そう、ロクに格上の存在と闘えない雑魚冒険者の前に、である。
『』(思考停止)
『』(顔面蒼白)
その凄ぶる弱い俺達、【ヘスティア・ファミリア】のベル・クラネルとユキハ・スノウリィは当の化物と相対して各々の反応を示した。俺は「あっ……(察し)」とこの後の展開を察して目を死なせ、ベルは硬直してから涙目になって絶叫した。直後、ミノタウロスの咆哮が響くと共に逃走劇が開始された。
上層に中層のモンスターが現れると言う
……それでまあ、うん。その時に最善の選択したとしても……実際逃げ切れるとは言っていないんだけどね。現実は非情である。ゲーム風に言うなら、しかし回り込まれてしまった!って奴。わー悲しいー!
ずっと付いてくるとか何なの?ストーカーなの?某ホラゲの森に居るクソデカ白顔の人?それとも某料理アニメの相手の料理をコピーする人なの?もしくは某スマホゲームの安珍絶対焼き殺すウーマンなの?
……例えが多過ぎね?どんだけストーカーに溢れてるんだよ(マジレス)。
『ヴヴオォォォォォォォォォオッッ!!』
「ひっ……!?」
「怯むな!直ぐに追い付かれるぞ!」
背後から着実に迫り来る恐怖に、同じファミリアに属している俺のパートナー……ベルは涙を滲ませて小さく悲鳴を漏らす。直ぐ様に足を止めさせないように叱咤するが……見て明らかに分かってしまう程、現在彼女は恐怖心を抱いてしまっている。恐らく、直後に止むを得なく戦闘になったら萎縮してマトモに動けないだろう。……ふうむ、SAN値が足りてないのかな?\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!
……まあ、それも仕方ない事だけどね。ベルは原作主人公(TS)だが、まだ十四歳の少女なのだ。このような恐ろしい化物に追い回されて、マトモに動ける筈が無い。逃げる事が出来ている事すら凄いだろう。並の冒険者なら腰を抜かして失禁してそのまま殺されてしまうだろう。
つまりベルちゃんは凄い。後でたっぷり褒めてあげるよ!だから転んだりとかしないでね!
と、俺がそう心の中でお願いした瞬間。
「_____あっ」
ベルはコケた。それも見事にズルりと脚を縺れさせ、体勢を大きく崩して。成程!フラグと言う奴だね!分かるとも!
……巫山戯やがってぇ!?やっぱり俺を転生させた神様がこうした運命にしたんだな!?そうかそうか!つまり君はそういう奴なんだな!?ファック!
舌打ちと共に、脚を縺れさせて地に転がりそうになるベルの身体を抱き上げる。そのまま横抱きにし、逃走を継続する。やったねベルちゃん!お姫様抱っこだよ!役得ゥ!でも命の危機じゃない状況でしたかったな!
チラリとベルの顔を見れば、羞恥ではなく恐怖に感情が塗り潰されている。普段ならば「お、お姫様抱っこ……っ!?」と可愛らしく顔を真っ赤にして悶えてくれるのだが、どうにもそれ所では無いらしい。……うーん、やっぱりトラウマモノなのだろうか。恐らくより新鮮で深い命の危機に晒されて、心に恐怖が刻み込まれたんだろうけど……まあ無理も無いよな。だってムキムキのミノタウロスが叫びながら追ってくるんだもん。下手すりゃ失禁モノだ。俺もチビっちゃうかもしれないしね。今はチビってないけど!ヤハハ!
『ヴヴオォォォォォオッッ!!』
「ぁ……ぅ……っ……!?」
再度咆吼が響く。
臓腑まで響くその低く恐ろしい叫びは、中級冒険者であれど耐性の無い者は直ぐに意思を折られ硬直してしまうだろう。特に実力を伴わない初心者の冒険者なんて、戦う事も逃げる事も放棄して思考停止して呆然としてしまうだろう。
それぐらいの威圧を伴う咆哮に、胸の中のベルは身を震わせる。小さい悲鳴と共に、ガタガタと恐怖に身体をビクビクと震わせる。こう、ホラー映画の恐怖シーンで震える女の子を更に酷くしたみたいに。何それ可哀想。
……んー、コレは重症だな。心に深いトラウマが出来ちゃってる。きっと頭で逃げなきゃと思っても、心は完全に屈してるんだろうね。格上の敵わない化物の理不尽な姿に、もう勝てないと思い込んじゃってるんだろうなぁ……。まあ、原作ベル君もミノタウロスにはトラウマが出来たし、心の強度としては同等なのかな?TSしても強さとかはそんな変わらないっぽいし。ソースはベートさん。あの人TSしてもツンデレ属性は依然として存在するからね。サンキューカッミ。
『ヴヴォォォオッ!ヴヴオォォォォォオッ!!』
うるせぇっての。ギャーギャー喧しいな、発情期ですかこのヤロー?
思いながら、俺はベルを抱えながら全力で走る。既に息も絶え絶え、だが荒い呼吸で酸素を必死に取り入れてとにかく俺は走る。二十四時間マラソンよりも辛く走って行く。やだ、俺ってば今なら足の速さでギネス狙える程に速いかも!この世界にギネスとか無いけど!
現状がもしラノベとかのシーンとして視聴者が見ているのなら、きっと誰もが「異能使えよ」とマジレスするのだろう。「さっさと倒せよ」「何ドラマ作ってるんですかねぇ……」「ベルちゃん可愛すぎワロタ」とかってコメントが流れて、きっと作者の心に大きなダメージを与えるのだろう。
止めてあげて!作者のライフはもうゼロよ!ガラスメンタルなのにダイレクトアタックするのは止めてあげて!
『ヴヴ……ッ!ヴヴォォォオオオッ!』
「ッ、はあ……ッ!はあ……ッ!」
うーん、まあ確かに異能を使えと言う言葉は正論だ。何せ神様から貰ったチート、こう言う理不尽なシーンを打開してチーレム展開に持って行く為のように存在するオリ主のご都合主義能力なのだから、このミノタウロスには頑張れば対抗出来る。
そう、確かに俺は異能使えば正直勝てます(オリ主特有のウザ台詞)。
うん、調子乗ってると取られるかもしれないけど事実なんだ。慢心王の如く傲ってはいないけど、事実として頑張れば勝てるんだよね。俺の三つの異能……いや、戦闘向きとして使えるのは二つか。その二つをフルで使えば、格上の相手だろうと実は対等に戦える。事実として、この場は頑張れば何とか乗り切れるのだ。
けど。
「……ッ……!」
『ヴヴォォォォォオオッ!』
だけど俺は、こんな命の危機に晒されても見たいんだ。身勝手で横暴な望みかもしれないけど、突然降って湧いたこの機会を逃したくはない。俺がその展開を直ぐに潰してしまいたくは無い。
俺も予期していなかった現在のこの展開……もしかしたらと期待してしまう展開、俺がかつて小説とアニメでしか見ていなかった展開を。
_____原作開始の瞬間、このダンまちの世界が始まる時を。
そう。今俺が現在進行形で体験しているこの状況、コレは『ダンまち』の原作が開始されるシーンなのだ。
原作では、ベル・クラネルは調子に乗って五階層に進んだ結果、ミノタウロスと
そして、ベル・クラネルはその少女に一目惚れして_____。
と言う展開なんだ。うん、ラノベの原作通りならね?
ダンジョン五階層への進出、ミノタウロスとの遭遇、それから命からがらの逃走……此処まではまだ原作通りだ。……そう、此処までは。
今更ながらに思ったのが、もしかしたらこれから運命が変化する可能性があるなあ、と言う事。……その原因として、俺と言う
で。
多分だが、原作開始のパターンがある程度変わる可能性が有るだろうと言う事。普通に原作通りに進んでアイズたんが助けに来るかもしれないけど……その場合、ベルとアイズとの絡みがどうなるのかが予想出来ない時点で原作が改変されてる。
何故かと言うと、原作ではその時にベル君はアイズに惚れるが、この世界でのベルは女だ。詰まりは、アイズがTSでもしていない限りは……と言う本当に予想不可能な事態。どうなるんだろうなホント。
……もしかしたら、百合?レズ?同性愛?……キマシタワーが立っちゃうのかな?(目逸らし)
いやーん、そんなゆるゆりで桜がトリックしちゃうようなレズレズしい展開は嫌よー……と言うかベルちゃんは俺の嫁ですのでそんな寝盗られみたいなのは本当に嫌だよー……割と本当に(レイプ目)。
寝取りするのは何処かの円卓の騎士の一人だけでいいよ。俺には寝取られて興奮する嗜好は無いなら本当に止めて欲しいな……NTRとか俺一番嫌い。アレは滅するべきじゃないかな。
あー、まあ。
詰まりは、そう言った改変されるかもしれないだろうけど、俺が愛した作品の原作開始の瞬間を俺は見たいんだ。ともかく原作開始の瞬間を見たい。物凄く見たい。
まあ、コイツとパーティー組んでるから原作開始は一緒に居れば否が応でもやってくるんだけど……と言うか現に突然来たんだけどね。転生前はダンまちの時系列は把握出来てなかったんだよねぇ……ファミリア入ってから結構直ぐだったのね、原作開始って。ミノタウロスに会った瞬間、驚き過ぎて一瞬思考停止しちゃったよ。
……さて、長い長い閑話休題。
「……ハァ、ッ……ハァッ……!」
巫山戯た思考とは別に身体は真剣に動作をこなし、今では目の前の壁に止まり息荒く呼吸を繰り返すのみとなっている。ふむ、俺の頭が巫山戯ている間にどうやら原作開始の場所に来たようだ。原作にて、ベル君が絶望し壁に背を向けた場所……詰まり、絶体絶命の場所。下手すれば死んでしまう場面に。
行き止まりとなった目前の道、それを認知した直後に俺は振り返って追跡者の姿を捉える。後方に居た化物は、今は正面の目前に。
……正真正銘の絶体絶命。追い詰められ、今や逃走の選択肢は消えた。
『ヴヴオォォォォォオッ!!』
咆哮。
「漸く追い詰めたぞ」と言う叫びなのか、コイツは息荒く呼吸を繰り返しながらギラギラとした目付きで俺達の事を見詰める。……いや、睨むと言った方が正しいか。ふえぇ、そんなに鋭い目で睨まれると怖いよぅ……。
既に退路は絶たれた現状、俺は一息吐いてベルに声を掛ける。今も尚、俺の胸の中で震え嗚咽を漏らす彼女に、恐怖で身を震わせるベルの頭をポンと置きながら。
「……ベル。すまんが行き止まりだ。俺が囮になるからお前は逃げろ」
「……ぇ?」
まあ仕方無いよネ!と思いながら、俺はベルを強引に下ろして立たせる。少し足元がふらついているが、まあ逃げられるだろう。兎は逃げ足は早いって言うし、逃走コマンドぐらいなら平気だよな?
俺は溜息を吐きながら、腰元に携えていた我が武器を手に取る。……初心者冒険者の為にあまり強靭でも強力でも無いが、一応は凶器である刃物を。格上の相手、ミノタウロスと対峙するにはあまりにも頼りない武器を。
鞘に収まっていた安物の刀を抜き、俺は正中に構える。いやあ、正直コイツに当てたら一発で折れるけどその時はその時だよね!刀は切り裂く物だけど限度はあるもん!と言うかこんな武器で戦えとか無理ゲーだよねー!
「そ、れって……僕が、ユキハを見捨てろって事?」
「いや、違う。あくまで俺は時間稼ぎをして、その間にお前が他の冒険者を呼んで欲しいんだ」
ハッハッハ。そういや、原作開始のパターンが異なる場合があるって事は、そもそもこの場所に助けが来ないパターンも有るんだよね。今更にそれが思い至り、内心焦りながら俺は行動を起こしている。
うん、
「で、でも……!それだと、ユキハが……っ!」
「大丈夫だ、問題無い。俺は死なないさ、絶対にな」
「……ユキハ……ッ」
はい、自分でもアレだけど死亡フラグ入りましたー。何言ってんの俺。
内心苦笑いしながら、俺は段々と思考を早くして行く。そう、戦闘シーンになると凄くなると言うアレだな。自分でも驚く程に真面目な思考になる例のアレ。さっきまでは原作開始のシーンになるまで我慢してたけど、流石に死んでしまうので封印を解きます。卍解ッ(嘘)!
……まあ、俺としては正直あまりしたくないのだが、戦闘時はやはり巫山戯た思考を削いで真面目な思考にしなければならない。……全く、面倒な事だ。自分ながらに面倒だ。
原作開始でアイズが助けに来ないのはダンまちじゃないだろうに。何故まだ来ないんだ。労せずにこの場を切り抜けるならその方が良いと言うのに。……全く。
「行け、ベル」
「ッ……!分かった……ッ!」
そして、一息。
「ふう_____」
『ヴヴオォォォォォォォォオッ!』
ベルが駆け出すと同時にミノタウロスが吼える。俺に向かってドスドスと踏み込んで来て、地鳴らしと共に距離を詰めて来る。ベルと話している間に攻めて来なかったのは空気を読んだからだろうか。……それは無いか。何を未だに巫山戯た思考を残らせているんだ俺は。
再度息を吐き、完全に無駄に思考を無くす。
「_____ッ」
さて、それでは戦闘開始だ。
俺は目を見開いて、神様特典である例の力……『属性を操る能力』の用意をし、属性の指定・発動へと思考を回した所で。
ドンッ、と。
まるで地を踏み砕き飛び出すような、音が鳴った。それはミノタウロスの後方から聞こえ、それに続いて風切り音のような物も聞こえる。
……いや、それだけじゃない。声も聞こえる。
「はぁぁぁあ……ッ!」
「オラァァァアッ!」
直後、二人分の叫びと何かを貫くドシャリと言う音が響く。片や聞き覚えの有る女性の声、もう片方は聞き慣れない女性の声……?
その声の正体は直ぐには分からなかったが、生々しい音については視界に入ったその光景によって正体が分かった。
目の前で対峙していたミノタウロスの身体から、二人の美女が突き抜けて来たのだ。
片方は飛び蹴りの体勢で、もう片方は剣で突進して来た体勢で。両方共に勢い良くその筋骨隆々とした身体を突き抜け、俺の目の前に着地した。
……ん?
「…………ん?」
真面目な思考が止まり、俺は呟きを漏らす。……えっ、あの、アレ?ミノタウロスさん大丈夫?いや大丈夫じゃないよなコレ明らかに。と言うか魔石貫かれたと言うか何と言うかあの攻撃ってば恐ろし過ぎないか!?
身体をエグく貫かれ、ミノタウロスは「ヴォッ!?」と驚愕の表情を浮かべながら灰と化した。心做しか「えぇ……(困惑)」と理解出来ないような困惑の表情だった気がするが、そのままサラサラと身体が崩れて行き、その場から怪物の姿が消え失せる。……うーん、急展開に俺ってば理解が追い付かなぁい。
俺も散ってしまったミノタウロスと同様に「えぇ……(困惑)」と首を傾げると、目の前に着地した二人が「ふう」と同時に息を吐いた。
そのミノタウロスが消え去った場所に佇むのは、二人の美しい女性の姿。剣に付いた血を振り払う金髪美少女と、金属靴の調子を確かめるようにコツコツと地に爪先を突く銀髪美女。
「……ったく、嗅ぎ覚えの有る匂いだと思ったらやっぱりテメェか」
その片割れ、頬に稲妻の刺青が走っている銀狼が溜息混じりにそう呟く。俺に視線を寄越し、「大丈夫か」と声を掛けて来る。
その声とその姿、何より素っ気ない体を装いながらも心配気に視線を寄越すツンデレ具合……それに俺は「何だと……っ!?」と目を見開く。
俺は、この人を知っているッ!暫く前に会って、それからちょくちょく世間話をする仲であるこの人の事を知っているッ!(ジョジョ並感)
「ベートさん!?」
そう、ツンデレ獣耳美女のベート・ローガさんだ!ヤッター!ツンデレベートサンヤッター!
と、ぶっちぎり俺の好感度が高いベートさんの登場に内心狂喜乱舞しながら、ふと思う。……と言うかミノタウロスの身体を飛び蹴りで貫いて来たけどアンタどんだけ強いんだよ。体術スキルでも有るんですかね?流石Lv.5、【
俺は驚きの声を上げながら、慌ててベートさんの元へ駆け寄る。「どうして此処に?」と尋ねながら近付いて行くと、ベートさんは「フン」と鼻を鳴らしながら答えた。
「オレが此処に居るのは、前に言ったロキ・ファミリアの遠征の帰りだからだ。その途中、面倒な事にミノタウロスの群れに遭遇して戦闘になったんだよ」
「……成る程。つまりソイツらが逃げて来た結果、此処までは来たって事ですね?」
「ああ、そう言う事だ」
丁寧にも状況を説明してくれるベートさん。うん、端的な説明のお陰もあるけど原作知識があるからスムーズに理解出来る。わぁー、転生者ってこう言う所が楽だよね。
……ところで、やっぱりこの人は良いツンデレやね(唐突)。素っ気無い態度しながらも、気遣う雰囲気を醸し出すこの人は絶対良い人。結婚して。
説明してくれたベートさんに礼を言いながら、俺はチラリと視線をもう一人のミノタウロスを貫いた人へ向ける。……相手は知らないだろうが、俺は一方的に知っている。金髪金目の無表情、天然で女神にも匹敵する美貌を持つ美少女へと、視線を向ける。
「「…………。」」
知識の中に有る彼女の名前は、アイズ・ヴァレンシュタイン。Lv.5の、【剣姫】の二つ名を持つ原作ヒロイン。原作主人公ベル・クラネルがこの原作開始のシーンで惚れ、スキルを発現させる程に想いを抱く相手。……であるのは、知っている。ついでにステイタスについても多少は知っている。
……ふむ。感想としては超絶美少女……ううむ、コレはベル君が一目惚れするのも分かるなぁ……。
一つ頷き、俺はその美貌に感嘆の息を漏らす。端正に整った、完璧も言って差支えの無い美麗な容姿。顔立ちだけでなく、体付きも非常に魅力的で……っと、イカンイカン。何でエロい目つきしてるんだ俺は。
俺にはベルと言う恋人が居るだろうに……何を目移りしているんだ。確かにこの世界は一夫多妻が認められているが、流石にこのような浮気性的な思考と視線は宜しくないだろう。煩悩退散、悪霊退散……!
頭を振って思考を一度整理し、俺は改めて命の危機を救ってくれた事に感謝を気持ちを示す。頭を下げ、感謝の言葉を言って礼をする。
「ともかく、ありがとうございます。ベートさん」
「……気にすんな。元はと言えば、こっちの不手際だ」
「その、そちらの方も……ありがとうございます」
「……いい。寧ろ、迷惑を掛けてごめんね」
おお、此処で「じゃあ、たっぷり報酬を支払って貰おうか……!」とかって言わない辺りこの二人は凄い良い人だな。この世界の常識になると、荒くれ者が多いこの世界だと「男の礼=欲望の具現」とかって考える人がクソ多いからな……いや、割とマジで。何言ってんのって思うかもしれないけど、この世界だとそう言う阿呆な奴等が満ち溢れてるんだよねぇ……。
こんな風に良い人基準が前世と比べて狂って来てる辺り、俺はこの世界に毒されてると言うか慣れて来たんだろうなぁ……ううん複雑。
前世観点で今の状況を例えると、「助けた美少女がお礼を言ってきた」と言う状況であり、お馬鹿で考え足らずで短絡的な思考をする冒険者(女)は「お礼なら何を言ってもいいよなァ!ほら、脱げよあくしろよ!」みたいな結論に至るのだ。これだから下賎な冒険者風情は……(潔癖女騎士風)。
ほら、こう、よくラノベとかであるじゃない_____
『お礼に何かさせて下さい!』(美少女)
『お?そうだな……なら、その身体でお礼して貰おうか!』(冒険者A)
『オッスお願いしまーす』(冒険者B)
『そ、そんな……!それ以外で、どうか身体以外のお礼を……!』(美少女)
『やかましい!つべこべ言わずその股開きやがれ!』(冒険者A)
『そうだよ(便乗)』(冒険者B)
『そうだよそうだよ(大便乗)』(冒険者C)
_____みたいなイザコザ。因みにその後人公に助けられてテンプレ展開になるまでがワンパターン。
現在の状況を前世的に例えるとそうなるのだが、そんな野蛮で欲望に忠実な冒険者では無いこの人達は良い人だなあと言うお話。流石、原作重要キャラ……こんな狂った世界でも良い人であるとか最高かよ。ダンジョン探索初日に絡んで来た冒険者達とは格が違うね!すごーい!ベートさんとアイズさんすごーい!あっはっはー!
と、巫山戯た思考に一段落付け……一息吐く。
……それで、あの、ところで、あの。
さっきから気付いてはいたが、無視していた事に意識を向ける。考えたくないけど、流石に気になってきたので向き合う事にした。正直、何か嫌な予感がするから向き合いたくないのだけど……。
「……ええっと、そちらの方とは初対面……ですよね」
「……そう。初めまして」
「…………初めまして。俺は、ユキハ・スノウリィと申します」
「……アイズ・ヴァレンシュタイン。宜しく」
「…………ヴァレンシュタインさん、ですね。その、宜しくお願いします」
……えーっと、あのさ……?
そして、俺はその人と対面した時から抱いていた事と向き合う。理由は不明だが、異様に気になるその彼女の行動に。
ずっと俺へと向けられている、その視線の事について。
…………何で、アイズさんは俺の事をそんなにガン見してるの?
「アイズ」
「……はい?」
「……アイズって、呼んで?」
「えっ」
「呼んで?」
「あっ、はい、その、アイズさん」
「……それで良い」
更には初対面の相手に名前呼びを強請る。えぇ、
依然として無表情のまま、俺から視線を一瞬たりとも外さない金髪剣士の様子に俺は困惑する。何なのさ、もしかして男が珍しいの……?見慣れてないとか、初めて見たとかそんなんじゃないよな。貴女のファミリアに男が居なくて物珍しいって訳じゃ無いんだろうし………、…………え?まさか皆TSしてんの?冗談だろ?嘘でしょ?まさか?
一瞬脳裏を過ぎるクレイジー案件に関して白目を剥きかけるが、まあ流石に無いだろうと気を持ち直す。……流石に、あの酒飲みドワーフや
……これに関しては、まあ、後で考える事にしよう。と言うか考えても何も変わらないから、考えなくていいよな。そうだよな、俺。今後のTS案件の事を杞憂しても意味は無いもんな。
……そうだよ、そうだよな……。
だって(転生者だし)どうせ関わる事になるんだろうし、(ベルと一緒だから絶対会うだろうし)その時に色々と考えれば良いもんね。取り敢えず美少女と出会える事を期待しておこう。うん。……うん(白目)。
「……ねえ」
「……何ですか?アイズさん」
「ユキハって、恋人は居る?」
「えっ」
ちょっと待って。お願いちょっと待って。
戸惑い、困惑。クールフェイスに似合わぬ腑抜けた声を漏らすと同時、俺は思わず助けを求めるようにベートさんに視線を向ける。駄目だ、もう俺はこの人の対応をしっかり出来る気がしねぇ……!原作と違い過ぎるこの人の話の振り方に俺は追い付けねぇ……!
しかし、当の頼りになる
……えっ?助け舟も駄目とかコレどうなってるのん……神は死んだ。おう、じーざす。おーまいごっと。
「どうなの?」
「…………まあ、居ない……ですね」
「……へえ」
「…………。」
「……貞操は?」
「…………純潔、ですね」
「……ふうん」
「…………。」
待って。本当に待って。
あれ、アイズさんってこんなキャラだった?あと距離をジリジリ詰めてくるのは何で?ちょっ、近い近い。
……さて、一度落ち着こう。ビークール。ステイクール。
助け舟が現れない事を察して、俺はアイズさんの質問に対して一応答える事にした。会話はキャッチボールだからね、投げられたら投げ返さないとね。うんうん。
……先程の恋人の有無の質問に関しては、まあ、珍しい男への質問の興味って事で理解出来る。俺も相手が美少女だったら、「彼氏居る?」とか「LINEやってる?」とかって聞きに行くからな。理解出来る。
因みに、ベルが恋人であるのに何故答えが「居ない」となっているかと言うと、この
非リア関連の面倒事なんて嫌なので、予めこう言った問題には対策しているのだ!知っているのは、せいぜいウチの主神である紐神様ぐらいだろう!我がファミリアの誰かがフラフラ言い触らしたりしなければ、俺とベルか恋人関係であるとは誰にも気付かれまい!フハハハハ!
……まあ、それはさて置き……だ。
何で貞操に関して質問する必要があるんですかね?アンタ原作に比べてキャラ崩壊しすぎてない?
「因みに私も純潔」
「……は、はあ」
「上の方も、下の方も未体験」
「……俺も、ですね」
「……そうなんだ」
「……そうなんです」
何で貞操に関して会話をしてるんだ俺達は……(困惑)。
おかしいな、アイズさんってこんなキャラだったっけ……原作だとそう言う方面には疎くなかった?いや、前世のラノベの事だから正直よく覚えてないけどさ。
この世界だから少しおかしいの?TSしてないけど変態度は増したの?貞操観念とかおかしくなったから?いやいや、けどこの人ってそう言うモノとは関わりが無いような気が……。
……そうして、俺の脳内では延々とアイズさんの奇行と言うか、発言に関しての事について思考が回りに回り。
「……好きなタイプは?」
「……優しい人、ですかね。例えるなら天使とか精霊みたいな」
「……へえ」
……いつしか。
繰り返される変態的な振られた話題の会話の中で思考の動きが止まり、「もうこれ訳わかんねぇな」と理解を諦め対話に徹する俺が居た。
「……好きな胸のサイズは?」
「……相手が好きな人であれば、大きくても小さくても良いですね。強いて言うなら内面が良ければ」
「……ふうん」
若干目が死んでいた俺と、初対面にしては仲良さげかつ目をキラリとさせていたアイズさんとの会話は、硬直していたベートさんが「……はっ?いや、オイ、なあ……アイズ!?」と復帰するまで続いた
なんやかんや一万字超え。やったぜ。
因みに今回は増して主人公の内面が喧しくなってるけど、実はそれにも理由があったり(唐突な伏線)。いやあ、私の設定ガバガバ小説見ててコレについて分かる人は居ないだろうけどね。ハッハッハ!
ところで、最近新しい二次創作書きたいっす。ポケモン(擬人化)とか、ニセコイ(TS&逆転)とか。……読者が望むなら、シリアスマシマシの作品も……書ける、よ?
途中でエタるだろうけどなァ!
そう言えば前に言ったかも知れませんが、活動報告にてこの作品での「読者がTSして欲しいダンまちキャラ!」みたいなのやってます。気が向けばその活動報告でメッセージとか送って、どうぞ。待ってマース。