テンプレ転生!~転生したのは、色々とおかしいダンまちの世界~   作:ねむねむお布団

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作者「えいえい(一ヶ月、二ヶ月放置)、怒った?」

読者「怒ってないよ♡」

作者「えいえいえい(三ヶ月、四ヶ月、五ヶ月放置)、怒った?」

読者「怒ってないよ♡」

作者「えいえ……(六ヶ月、七ヶ月放……)」

読者「怒っ……」

作者「…………」


ーーーーー

すんませんでしたァァァァァアッ!!(開幕土下座ァ!)
いや、もう、ホントすいません。弁明出来ないですゥ!いや理由とか居るんですけど、と言うか皆さんもうこの作品覚えてないですよねェ!すいませェん!すいませェェェェエん!!

さて。何故今回こんなに、半年も投稿を放置すると言う事態に至ったか……それを端的に説明させて頂きましょう。
──全部荒野行動とかアイマスとかFGOとかリアルが悪いんだ!!俺は悪くねぇ!!(悪い)

取り敢えず本編をどうぞ。いや、ほんと遅くなってすいません。多分皆忘れてるよねぇ……弁解とか理由は後書きで存分に語らせて頂きます。
あ、今回も詰まらないです。頑張って盛りましたけどやっぱり見所少ないです。すいません。




回想とか諸々交えて結局面白味無いんじゃないかってお話。

少女は走る。

 

「ッ……!ハァッ、ハァッ……ハァッ……ッ!」

 

 必死の形相で素早く迷宮内を駆け抜け、彼女は息を荒げて涙を滲ませながら命懸けで探し続ける。白髪赤目の少女は、きっと今もまだあの怪物と戦っているであろう恋人(ユキハ)を思い、誰かに助けを求めて……あの怪物を倒しうる存在を求めて。

 疾走する。

 

 右手には既に刃がボロボロになったナイフ、身体には傷だらけの戦闘装束(バトルクロス)。それは彼女が幾度も戦闘を経た事を事実として現していて、そんな何時倒れても可笑しくない程の満身創痍となった状態であろうとも、彼女を何かが突き動かしている様は必死の二文字に尽きる。

 

「ユキ、ハ……ッ!」

 

 少女は走る。愛しき存在の名を叫び、愛しき存在の為に走り、愛しき存在の為に戦い抜く。

 既に使い物にもならないナイフを何度も振るう。それが通用しなければ拳を。駄目ならば脚を。それも効かなければ全力での自身の身体による猛攻を。

 

「ユキハッ……ユキハァ……ッ……!!」

 

 己の無力さを呪いながら、自分には不可能であった存在を打ち倒し、助けてくれる存在を求めて。己の命を賭して、戦いを勝ち抜く。

 彼の名を失いたくない想いを共に叫びながら、恋人が自身を逃がしてくれた事実が不意に脳裏を過ぎり唇を噛む。力強く噛んだ唇からはジワリと血が流れ、彼女の口の中に吐き気のする血の味が広がる。

 だが、それを気にする暇は彼女に無い。味覚如きに気を配っている様では、彼を救えない。そんな事に意識を向けている様ならば、僅かでも疾走が加速出来る様に集中しろ。

 

 そうして彼女(ベル・クラネル)は魂を尽かせるかと思う勢いで、迷宮内を走り抜ける。

 

「ユキハ……ッッ!!」

 

 その名を口にする度、彼女はまた自分の弱さに苛立ちを覚えて疾走の速度を更に速める。

 

 汗は絶えず、涙も尽きず、足も止まらず、想いは溢れる。もしかしたらもう、彼は死んでいるのかもしれない……そんな思いが、何時倒れても仕方ない程に満身創痍の彼女を、未だに全力の状態で突き動かしていた。そんな「もしも」の考えが捨て切れない彼女は、恐怖と後悔と憤怒に心を彩られながら走る。

 

 そして。

 

「──お願いです……!助けてッ、助けて下さいッ!」

 

「──分かった、助けよう」

 

 漸く彼女は、希望を見つけた。

 

♀ → ♀ ⇒ ♀ 

 

 

 ──視界の中のモンスターが、片っ端から粉砕されていく。

 

『グギャッ!?』

 

『────!?』

 

 比喩抜きで、とある投擲物によってその身を砕け散らせる迷宮の魔物。その身を文字通り爆ぜさせる直前には、ヒュンッと言う風切り音とドゴォッ!ズドォン!と言う着弾音が鳴り響いているのが俺の耳にはよく届いた。痛いくらいに。と言うか真横から放たれてる。

 

 目の前の魔物は現れた瞬間に文字通り爆散して死んでいく。道行く先から「いっけなーい☆冒険者だ~♪抹殺抹殺~♡」とやってくるモンスター達がすぐさま瞬殺される光景は、「おっかしいなこの世界って無双要素こんなにあったっけ」と疑ってしまう。おっかしいなぁ。もっと熱い戦いとかに満ち溢れてた筈だよね、この世界(ダンまち)って。

 しかし俺の目に映るのは見るも無惨で無慈悲な無双シーン。どこぞのなろう系主人公の如く石を投げて(・・・・・)瞬殺している事が相まって、より俺TUEEEEE!的な意識が強くなってしまう。いや、投げてるのは原作キャラの美女・美少女二人組なんだけども。スマホ太郎やデスマ次郎と言った主人公とは似もしない方々なんだけどね?

 

 ……ところで全然関係無いけど、なろう系主人公(アニメ)がこんな感じに呼び名が付けられるなら、「孫三郎(賢者の孫)」「奈落四郎(ありふれた職業で世界最強)」「盾五郎(盾の勇者)」とかってなるのかな。

 

『ギギィ……ゲ、ギャ……グギャギャ?(まず此処さぁ……敵、居るんだけど……焼い(殺っ)てかない?)』

 

『グゥ^~ギャッギャ^~(あ^~いいっすね^~)』

 

「えい」ズドォン!

 

「オラ」ドゴォン!

 

『ギャッ!?(ファッ!?)』

 

『グギュ!?……ゥゥ……(ヌッ!?……ウーン)』

 

 現在はダンジョン内であり尚且つモンスターが襲撃していると言うのに、チラリと下らない事を考える余裕が有るのは隣でビュンビュンと石を拾っては投げている二人のお陰である。

敵が現れる度にスロー&デストロイを繰り返しているのは、ロキ・ファミリア所属の第一級冒険者、金髪美少女アイズ・ヴァレンシュタインさんと銀髪美女ベート・ローガさんである。

 

 一頻りモンスターの出現(ポップ)が収まったのか、二人は一息吐いてから俺へと視線を向けた。俺は石のみで魔物の群れを瞬殺し終えた二人に、「お疲れ様です」と礼を言う。二人は俺の言葉に手をヒラリと振り返しながら、微かに笑みを浮かべる。若干ドヤ顔成分の入った笑みである。まるで褒めてと言わんばかりの笑み、可愛いです。良い、笑顔です。

 ……俺の笑顔が若干引き攣っていないといいんだけど。投石による虐殺劇を見せられたからちょっと苦笑いになってるかもしれん。いやまあきっと大丈夫、いつもの笑みだよね。多分、きっと、メイビー。

 

「流石Lv.5、やりますね」

 

「まあ、こんくらい朝飯前だよな。なあアイズ」

 

「朝ご飯は食べたけど……うん。朝飯前」

 

「はは、心強いです」

 

 「やりますねぇ!」と称賛の言葉を送ると、やはり可愛らしいドヤ顔交じりの笑みで応えてくれる。ベートさんは「当然です」みたいな態度を取ってはいるが、少し耳と尻尾を跳ねさせている。如何に常識人と言えど、この世界の女である以上は男に褒められると嬉しいのか。

 ……むむむ。これ「やったねベートちゃん!経験値が増えるよ!」って頭撫でたらどうなんだろうね。それ以降「やったのですー!」「ご主人ー、褒めてー」と懐くのだろうか……ってそれダンまちのベートさんちゃう。デスマのポチ&タマや。

 

 なんて一瞬下らない事を考えながら、俺は脳裏に本日何度目か忘れた『属性を操る能力』を発動させる。「無属性・探知」っと。……んんん、しっかしステイタスには【属性支配(アブソリュート・ルール)】なんて厨二的なスキル名になってたが、あんまり慣れねぇなあ……発動法が変わってなかったから良いものの。どこぞの紅魔族が聞いたら興奮しそうなスキル名になりやがったと何度思った事か。

 ちゃんと脳内でも【属性支配(アブソリュート・ルール)】って呼ぶようにしないと……癖で『属性を操る能力』って呼称しちゃうんだよなぁ。変わったからには、そっちの方で呼んでやらんとな。もし擬人化したら「間違えないでください。つーん」って怒られちゃうかもしれないし(変態脳)。

ともかく、まずはベルが何処に居るかを探さねば……。

 

「にしても、無駄に多くなかったか?」

 

「……多分、ミノタウルスが此処まで来たから。弱いモンスターが逃げて来たんだと思う」

 

「ああ。……そりゃあ少ねェよな」

 

「その分、逃げて来た集団と遭遇(エンカウント)する可能性が──」

 

 と、二人がモンスターの数について話し始めたのを見て、俺はバレないように一つ溜息を吐く。

 

 その軽い吐息には今日起きた出来事からの疲労によるものも含まれていたが、他にも身体的な理由では無く精神的な理由も含まれていた。そう、精神的な理由……「どうしてこうなったんだっけ」と言う現在の状況に対する感情や思考が溜息を吐き出させたのだ。……いや、本当に……どうしてこうなった?

 つい数分前に起きた出来事……『悲惨!ミノタウロス惨殺事件!』から今も、俺の仮の護衛と言う形で行動を共にしているロキ・ファミリア二人に視線を向け、再度溜息が漏れ出そうになるがそれを抑える。いや、まあ美女・美少女と一緒に行動できるのはありがたいよ?うん、ありがたいけどさぁ?

 某笑顔大好き低音不審者的プロデューサーさんみたく、首元に手を遣る。

 

「ところでユキハ。男性のみに生えていると言うモノについて聞きたい事が」

 

「待ちやがれアイズゥ!これ以上コイツに迷惑を掛けさせんじゃねェぞ!?」

 

「……止めないでベートさん」

 

「いや止める!テメェが憲兵に爆発四散されるような案件は、出来る限り止めるってフィンの奴と決めてるからなァ!」

 

「……くっ。この場に居ないのに邪魔をするなんて……」

 

 現実逃避。

 

「…………」

 

 脳内で現実逃避気味に「おーねがいー♪シーンデレラー♪」とアイマスセラピーをしてしまう程に、未だ数分前の場所から全く動けていない事に困った困ったと頭を悩ませる。何で行動開始してから数分経ってるのに、未だに行動開始した場所が見えてるんですかね……。

 

 俺の相棒を探しに行くのを護衛するどころか、その行動を遮っている正直少し迷惑な方にチラリと視線を向け……今度は耐え切れず、クソデカい溜息を吐いてしまう。Lv.5の二人は護衛役を買って出てから既に何度も繰り返した口論と肉体言語のやり取りを交し合っていて、今は俺から意識が外れているようだった。溜息が聞かれなくて良かったと思うべきか、くんずほぐれつしてないで図書館に行こうよ!と思うべきか……。

 

 ……はあ。護衛が行進を遮るとか何なんですかね……と、何だか久しぶりに感じる逆転世界在住の女性によるストレスで目を腐らせる。千葉とマッ缶と天使(妹と男の娘)が大好きなとあるぼっちまでとは行かないながら、俺は不意にこうなるに至る以前の過程はなんだったかと思考を巡らせる。

 まるでやれやれ系主人公のようだ、ウッソーもしかして俺閉鎖空間に囚われちゃうのー?なんてふざけた思考を交え、俺はほんの数分前……ミノタウロスが貫かれた直後から現在の状況に至るまでの経緯を、俺は非日常に巻き込まれるに至る過程を回想するやれやれ系主人公の如く、思い返す。

 

「ベートさん、退いて」

 

「退かねェ」

 

「……ベートさんは、男の人のアレが実際はどんな形なのか……気になりませんか?」

 

「……………………そうやってオレに語り掛けようとしても無駄だぞアイズゥ!」

 

「結構揺れてるじゃないですか」

 

 ……現実逃避気味に、俺は回想を始めた。

 

 

***

 

 では回想を始めよう!

 

 現在、ダンジョン五階層。

 異常事態(イレギュラー)により上層域にも関わらずミノタウロスと遭遇(エンカウント)した初級冒険者の二人組……超絶最萌天使ベルとテンプレクソ転生者である俺は、そのミノタウロスのせいで現在別れてしまったのだ。ミノタウロス許すまじィ。

 その分断してしまった理由、と言うのは『ベルは川へ洗濯に、ユキハは山へ芝刈りに……』と言ったほのぼのとした理由からではない。……いやまあ、そんなほのぼのとした村での生活をベルと過ごすとなったら毎日が極楽最高超天国だろうと思った事はあるが、その妄想が現在の状況に繋がる理由では無い。あくまでそんな日常(イフストーリー)でもあったら素晴らしいだろうなと言うだけで……ウオッホン。早速話が逸れてしまった。

 

 俺達ヘスティア・ファミリアの二人がミノタウロスと遭遇した後に生き残ろうとライフカードを選択をした結果、『ヒロイン(ベル)は助けを求めに全力疾走を、主人公(ユキハ)は助けが来るまで全力戦闘を……』と言った展開になった。すっごいテンプレ的理由!うん!桃太郎も顔を顰める流れだね!(ほのぼのじゃない事や王道過ぎる展開に対して)。

 

 いやまあ、戦闘開始直前の最初は真面目なシーンが始まりそうになったんだよ?その雰囲気に「お?シリアス?」「全力戦闘来ちゃう?」とシリアス先輩が顔を出した程だし。……でもすぐさま「アイアムッ、シリアスブレイカーッ!」「圧倒的にギャグが足りないぜェ!」とばかりにギャグの神様が舞い降りたんだよねぇ。シリアス先輩は死んだのだ。南無。

 で。そのシリアス先輩が死に、ギャグ神様が誕生した時と言うのは、俺が「さあ、お前の罪を数えろ……!」と某二人で一人の仮面ライダーばりに格好良く対峙した瞬間。「最初からクライマックスだぜェ!」「行くぜ行くぜ行くぜェェェェエッ!」とばかりに全力戦闘が開始されようとした時に──。

 

 ──その馬面人体の中層域モンスターは、銀髪美女・金髪美少女に身体を貫かれると言う展開に陥ったのだ。

 

 「何それ?」「あ ほ く さ」「ギャグかな?」と誰もがきっとマジレスするよねコレ。女の子が化け物貫いて登場って何だよ……(困惑)。

 一応は敵であるモンスターであれど、唐突なるミノタウロスの死とその惨状は相対していた俺すら「嫌な、事件だったね……」と思ってしまう程に悲しいものだった。かなしいなあ……敵にすら哀れまれるミノタウロスは今頃、きっと天国で「止めてくれよ……(号泣)」とばかりに届かぬ言葉を悲しみと共に吐き出しているだろう。哀れなり迷宮の怪物、可哀そうに。

 

 ──……さて、そんな哀れな迷宮の化け物の事は放って置き。

 

 それからは、二人に今後の行動をどうするのかと聞かれた。ナンパかな?と冗談交じりの思考をしてしまったのはこの世界に染まった証拠だろう。悲しい。

 俺が「仲間と合流したい」と答えると、アイズさんがマトモそうな理由を挙げてから「護衛は如何かな?(要約)」と提案してきた。「ミノタウロスがまだ居るかもしれないし危ないさね!」「露払いにも役立ちますよ!」「変な事?しないよー何言ってるんですかヤダーあっはっは」と言った少しの本音が透ける諸々のアピール……当然それにベートさんが噛みつかない筈が無く、否定的なコメントをアイズさんに送った。「下心丸出しだろうが」、と。

 

 まあ普通に受け入れてお願いしたんですけどね!

 

 いや、実際この二人が護衛についてくれるのは(尚この二人と言うのはアイズさんが護衛にベートさんも許可無しにつかせようとしていた為)、とてもありがたいだろうと俺は考えた(あと結局常識人が問題児を一人で放って置く筈が無いだろうと言う考え)。

 未だにミノタウロスが残っていたとして、それの対処はレベル5の二人に任せた方が手っ取り早いし楽だ。もしミノタウロスがとっくに殲滅されていたとしても、他の雑魚の対処に俺が一人でやる時よりも時間は掛からない。ベルと早めに合流しておきたいと言う気持ちが、多重の思考の末にその選択をさせた。

 Q.E.D.証明終了!(それっぽい事を理由づけているだけ)

 

 しかし此処で、俺はこの時の選択がバッドテイクだった事を後に知る。回想だから「あっちゃー!俺やってんなあっちゃぁー!」とデコにペシンと手の平を叩き付ける程に、後悔している。やっぱりソロプレイこそが至高だったのか……『青春とは悪であり、嘘である』なんてぼっち大先輩の作文の一説が脳裏に過ぎってしまうよ。

 

 とは言え。

 

 まあその後悔とやらは事実軽いものではあったのだ。その後悔の原因はこの世界の問題児、アイズさんからのコミュニケーションと言う名のセクシャル・ハラスメント……それが俺達の更新を著しく停止させ、「クエスト:ベルと合流しよう」と言う俺の目的を阻害させやがったのだ。

 そう、始まりは「では護衛、お願いしますね!」「ああ」「うん」とクエストスタートした瞬間だった。アイズさんが護衛中の時間を退屈にさせない為か会話の種を蒔いたのが始まりだ。……「男の人のアレってどんな形なの?」だなんて変態的な質問だったがなァ!

 

 そんで。

 

 それからは、「Q.どんな形?」「A.……キノコ的なサムシング?」や「Q.固くなるって本当?」「A.あー……はい」とか「Q.見せてくれる?」「A.不味いですよ!?」なんて問答を繰り返した後に手を握られてしまった辺りに、「答えなくていいんだよテメェは!?」「アイズも止めやがれ!」「こんの……ッ!変態が!」……と。会話の種どころか口論の火種を撒き散らしたアイズさんと、それを止め抑え鎮めるベートさんとの、会話が始まった。

 

 ……うん。質問の辺りからの状況を詳しく説明しよう。ちょっと俺も自分で何言ってるか訳分かんなくなってきた。

 

 えーっと、会話が始まったばかりの状況を説明すれば、「美少女にあんな事やこんな事を訊かれているシチュエーション」と言うものだった。ふむ、転生する前の世界であれば、美しい少女に性癖や嗜好を根掘り葉掘りと聞かれると言う状況は「マジかよ最高だな」「もっと訊いてッ!何でも答えちゃう!」「やりますねぇ!」と男共が歓喜するシチュエーションだろう。俺も行動出来ない事に目を瞑れば「おほ^~」とはなる。そう、行動不可状態に目を瞑れば。

 

 うん。確かに世界線の異なる野郎共にとっては羨ましい状況となっていたのだけど……ベルと合流したいと考えている俺からすると、バインド状態なのは少々アレだ。例え金髪美少女に手を握られてほんの少しドキリとしていたとしても……身動きを取れなくさせ、こちらの意思を無視する程に暴走しているとなると思う所が出て来てしまう。少しドキドキしてるけど。役得とか思ってるけども。まあ多少はね?

 護衛を申し出てから直ぐにアイズさんが質問を始め、その騒動だけで行動出来ないままラーメン出来るんじゃないかなと思うほどに時間は経過してしまったと思う。いやそんなに行かなかったかも?……どっちにしろ、あの時は常識人ベートさんがアイズの口を閉じさせようと行動しなければもっと酷い事になっていたかもしれない。うん、常識人からすると色々と白目を剥きそうになる胃痛案件だものね(憲兵サン的な意味で)。お疲れ様ベートさん!そしてありがとう!

 まあそれでもアイズさんの舌は止まってないんだけどね!いつもの口数少ない少女(原作参照)とは思えない程に回りまくってるよね!別の世界線のアイズ・ヴァレンシュタインとは別人過ぎて、最早そっくりさんなだけかと疑うレベルだよ!

 

 で、そんな別人過ぎるアイズさんは、最初は変態的質問だけだった。が……少しして、遂には「ところで手は握ってもいいのかな」「男性の手は触れた事が無い」「いいよね。答えは聞いてない」とキャラ崩壊しまくりな感じに身体的接触まで始めた。好奇心の赴くままにし過ぎだろアイズさァん!どんだけ異性に興味ありまくりなんだよォ!キャラ崩壊し過ぎィ!

 しかし。憲兵出動案件を巻き起こすアイズさんを止めようと、逆にマトモになったベートさんは咄嗟に彼女を羽交い絞めにした。「恐ろしく速い羽交い絞めだ……俺でなきゃあ見逃しちゃうねぇ」とばかりに残像が見えるか見えないかのレベルで、「それはもっと駄目だ!?」とマトモな精神を持つベートさんはアイズさんの身体を拘束した!

 

 ……が、駄目……っ!一歩遅かった……っ!

 

 羽交い絞めされる前に唯一触った……と言うよりかはガッチリ掴んでいる手は全然離れなかったのだ。ベートさんは今にも抱擁まで突き進んでいってしまいそうな気がする様子のアイズさんを羽交い絞めして止めるのに必死で、その繋がれている手を放そうとする行動は取れない。俺が言葉でも身体でもその手を解くように訴えても、心身共に受け入れてくれなかった。アンタは本当にアイズさんなのか……(キャラ崩壊が激し過ぎるゆえの疑念)。

 ……因みに余談だが、女性が男性に接触した時点で同意の上で無いのなら憲兵=サンは正義執行する(らしい)。俺が訴えれば、明日のオラリオ新聞には「ロキ・ファミリア『剣姫』 強制猥褻!?」「団長語る、『いつかやると思ってました』」「ベート・ローガ 止め切れなかった自分への後悔を吐き出す!」等と紙面を飾るだろう。いややらないけども。

 

 そんなマスメディア騒動が起きる事は理解しているだろうに、やはり女は女なのか。男を前に本能と興味と好奇心は抑え切れなかったようである。…………あれ、今の発言自然なようですんごい不自然な気が。やっぱりこの世界に汚染されてない?(適応とも言う)

 常識人(ベートさん)はせめてとばかりに説得をしてはいるが、変態(アイズさん)は聞く耳を持たない。ベートさんが漏らす「クソォ!何で止まらねェ!?フィンの奴が居ないからか!」「せめてリヴェリアの奴でも──いや、あのババアは男の前だと役に立たねえな」などと言う言葉から察するに、いつものストッパーが居ない事が勢いを加速させているらしい。主に団長がストッパーとなっているらしいが、今は居ないからか止まる事無くアイズは進み続けている。恐らく何処かの鉄華団の団長もその止まらなさっぷりに「何やってんだミカァ!(違う)」と盛大に狼狽える程であろう。

 変な方向に道が続いてんじゃねえか!何やってんだよ団長ォ!

 

 で。

 

 そんな風に女二人男一人がもみくちゃしていると、ダンジョンの中でワイワイ騒いでいる俺達の元へと当然モンスター達は寄って来る。そりゃあ「私は……君に興味がある」「変態的な興味を抱かれても困るだけだろうなァ!ソイツの手を放せアイズゥ!」「嫌です」だなんて喧しく話し合っていたら寄って来るだろう。

 ……いや、もしかしたらそれが要因では無く、ミノタウロスがこの五階層に駆け上ってきた事が関係していたのかもしれないが。妙に魔物が……それも無駄に多く固まった連中が「逃ィげるんだよォォォォオ!!」「もう駄目だァ……おしまいだァ……逃げるんだァ……!」とばかりに全力疾走してきていた気がする。成程、そりゃあ束になって逃げるわな。こっちはクソ迷惑だけど。

 

 まあそんな感じに。

 

 モンスターは道行く先に居る俺達に「其処を退けェェェい!」「邪魔をするなら容赦せぬわァ!」「人じゃねェか殺さなきゃ!」とばかりに叫びながら段々と迫ってきたので、二人は流石に相手をしなければならないと察して意識を俺からモンスターの大群へと向けた。

 そして、其処から始まったのは……回想前にあった例の蹂躪劇。投石による集団抹殺である。

 俺の手を名残惜しそうに、いや本当に渋々と嫌々離したアイズさんから始まったソレは、「これは……詰みです……!」「マジ無理ゲー」「死ぬしかないじゃない!」と無念な悲鳴をモンスター達から迸らせ……少しして、その大群は全滅していた。その全てが足元に落ちていた石だったり、わざわざ壁を蹴り砕いてから手に入れた石によって即殺されてしまった。……なんで武器を使って殺さなかったんですかね?

 

 さてさて。

 

 そうして魔物の大群を一掃した後の場面が、回想に入る前の所……即ち「どうしてこうなった」とよくあるモノローグに入り始めた所である。回想は要点を纏めて言うと、『護衛をなのに全然進めないまま何だかんだ時間掛かり過ぎて、今も結局動けてないんだよ!』と言う事。恐らくアイズさんが大体の問題の元凶である。

 これにて回想で語れる部分は全て終わり。「閉廷!もう君達帰っていいよ!」となる訳であるが……ふむ。回想だけどこれで締めるのは何だがつまらない。自分の思考だが、そうだな……最後に一言言って面白く回想を終わらせよう。

 

 ………………ちくわ大明じ──

 

:::::

 

と、(ユキハ)が回想を終わらせる時を近しくして。

 

「ンー……ねえ、キミってLv.1って言ってたよね?」

 

「……そう、です……けど……っ?」

 

「……それにしては随分と速いような……愛の力が能力(ちから)を高めていたり……って、そんな冗談を言っている場合じゃなかったね」

 

「はい……!出来れば、もっと速く……ッ!」

 

「あはは、なんだか更に加速したねぇ不思議だなぁ」

 

 助けを求めに超速疾走したベル・クラネルは、その脅威(ミノタウロス)を退ける事が可能な存在を引き連れて再び限界を超えて走っていた。

 ベルは息も絶え絶えにしながら、必死の形相で先程来た道を引き返してユキハの元へ駆け抜ける。先程から一度も休む事無く、脚がいつ縺れて転んでしまっても仕方ない程に彼女は疲労していると言うのに、彼女は止まる事無く走り続けている。それも、限界を塗り替えて加速を重ねている状態で、だ。

 そんな白髪赤目の少女の走る姿に、助けに応えた人物……槍を携え並走をする小柄な女性は、思わず苦笑いをしてしまう。

 

「ユキ、ハ……ッ!!」

 

「…………(失礼だけど、しかしこれは、面白いな)」

 

 既に数え切れない程にひたすらその助けたい人の名を呼んでいる、彼女の意志。それを助けを求められた時から目の当たりにしたその槍使いは、折れず挫けず諦めず、ただ助けたいと言う一つの意思を以てここまで必死になれる彼女の事を、「面白い」と感じていた。

 話を端的に聞いた中でも、彼女が助けたい人間(ヒューマン)と言うのは同じくLv.1だと言う。その初級冒険者がミノタウロスと遭遇し、尚且つ助けを求めに彼女自身が走ってから既に分単位で時間が経過してしまっている。そう、格上の怪物と対峙して既に数分と言う時間が経ってしまっているのだ。

 中層域生息モンスター(ミノタウロス)Lv.1冒険者(その少年)が仮に逃げに徹したとしても、すぐさま瞬殺されるのが当然の結末だろう。秒殺、瞬殺されるのが当たり前だと言うのに……彼女は。

 少女(ベル・クラネル)は、この数分と経った現在(いま)でも「まだ生きている」「だから助ける」「絶対に諦めない」と絶望せずに、足を止めなかった。

 

「あと、どれくらいだい?」

 

「次の道を右に行ってから、後は真っ直ぐ……!」

 

「なら、此処からは(ボク)が担いでいった方が速いね」

 

「え……わっ?」

 

「道が解ればあとは進むだけだからね。行こうか、後の足は任せてくれ」

 

「……!お願い、します!」

 

「はは、心得た」

 

 故に、面白い。

 走る最中、彼女はずっと加速していた。それは能力(ステイタス)の限界ギリギリを出し切っていた……と言う意味では無く。その限界を超え、更に敏捷(はやさ)を上げてずっと疾走していたのだ。

 「助けたい」と言う彼女の想いが、意思が、心が。本気で、全力で、純粋であるから……こうして走っている最中、彼女はずっと加速(・・)して助けたい存在の元へ、走っていたのだろう。

 ……やはり、面白い。槍使い、第一級冒険者である彼女は滅多に見ない純粋な英雄の卵とも言える少女を見て、静かに微笑んだ。

 

「あの、そう言えば……」

 

「何だい?」

 

「名前、聞いてなかったなって……今更ですけど」

 

「……ああ、そう言えば自己紹介はしてなかったね。ごめんごめん、忘れてたよ」

 

 少女を抱えて走る中、息が整い必死だった表情が幾分和らいだ様子で、彼女が言ったその言葉に思わず笑ってしまう。そう言えば、確かに自己紹介はしていなかったと槍使いは初歩的な事の忘却に頬を綻ばせる。普段は自己紹介なんて事はしなくても、相手が既知である事が大半であるから自己紹介を忘れていてしまった……と内心でも苦笑いを重ねる。

 胸元の少女、意図せずお姫様抱っこ(プリンセスホールド)をしてしまっている兎を思わせる彼女は、疲労が滲んではいるものの可愛らしい笑顔で、自己紹介をした。

 

「僕、ベル・クラネルって言います。ヘスティア・ファミリア所属です。……貴女は?」

 

「……そうだね、(ボク)は──」

 

 僅かに迷う素振りをし。槍使いは胸元の少女から視線を外して、前方を見据えて「まだ(ボク)も有名に成り切れていなかったかな?」と内心肩を竦めて口を開く。

 

 その女性は、背中に槍を背負い、小人族(パルゥム)故の小柄な身体の金髪の女性である。見た目は幼げな少女だが、実際は更に歳を重ねているLv.6の第一級冒険者。迷宮都市(オラリオ)に居る者、いや都市外に住む者ですらも知っている有名な存在。

 

 【勇者(ブレイバー)】の二つ名を持つ、圧倒的強者。

 

「──ロキ・ファミリア団長、フィン・ディムナ」

 

「…………え」

 

 槍使い……もとい、フィン・ディムナは、彼女の息を呑んで驚愕する様子に笑みを零しながら。

 

「まあ、【勇者(ブレイバー)】だなんて呼ばれてる、小人族(パルゥム)さ」

 

 前方に確認出来た少女(ベル)の助けたいだろうと思われる白髪の少年と。

 

「え、あ、貴女が……ッ!?」

 

 何やらその少年に迷惑を掛けているっぽいウチのファミリアの問題児(アイズ)と、それを止めようと頑張っている常識人(ベート)を見つけ。

 

「……!フィン!やっと来たか!」

 

「えっ(嘘。何でフィンが此処に?)」

 

「えっ(ファッ!?いや、アレェ!?なんかロリっぽい人がベル抱えながら走ってるんだけどあれフィン団長なのォ!?またTSかァ!?)」

 

 取り敢えず。

 

「──お説教だよアイズゥ!」

 

「あっごめんなさいたたたたたた」

 

 少女(ベル)少年(ユキハ)の元へ丁寧に置いてから、思いっ切りヘッドロックをかました。

 




注意:長い

ーーーーー

で、放置するに至った理由ですね(謝罪会見)。

まあ、まず荒野行動。フレンドさんとVCしながら楽しくやってたら執筆出来なかった。
次に、執筆内容の吹っ飛び事件。「やっと終わったー!」と投稿しようとしたら何故か消えた。PC執筆に切り替えてから、操作に慣れず消してしまったと思われる。萎えて内容もロクに覚えておらず執筆出来なかった。
今度はアイマス。346も765も見たら止まらなかった。愛してるんだァ君達をォ!立派なプロデューサーになった為執筆不可。
それでFGO。イベントとかガチャが激熱だった。この半年間に星五がとても当たりハイテンションになって執筆に手が付かず(ry。
大きいのがリアルの事情。やっぱり逃れられないのでこれは俺のせいじゃねぇ。
その他諸々。

……まあ、色々あったんですよ(自業自得)。コメントで生存確認コメの後に催促あったのに数ヶ月空けるって言う……酷いなこの作者!もうこれは低評価確定ですね……。
ともかく、本当に長い間投稿期間を空けてしまって申し訳ありません。お詫びとして、これからは投稿を更に増やしますから……(投稿放置の予感)。
実際書きたいと思ってる作品は多くあって、色々と書き溜めてるので後に投稿すると思います。まあまた変態作品なんですけど。案の定。

結局は私の力量不足。感覚派の弊害を身を以て知りました。浮かばないとあんだけ難産になるのかと恐怖を抱きました。一日に百文字も書けないとホラー……!
本当に申し訳有りません。今後は半年は空けないように……最低でも他の何かでお茶濁しをしたりとするので、どうかお許し下さい。……お許し下さい!(チャー研並感)

既に読者は多く去ってしまったと思いますが、どうか今後もご贔屓にして頂けると嬉しいです。(贔屓にしようにも投稿されないとか言ってはいけない)
こんな風にグダグダで投稿期間ガバガバで下らない作品しか書けない作者ですが、どうか宜しくお願い致します。



追記、半年中に当たった星五鯖(FGO)。

・葛飾北斎(×二)
・エドモン
・スカサハ師匠
・武蔵ちゃん
・ナイチンゲール
・謎のヒロインX
・アルトリア・ペンドラゴン(青王)
・モードレッド

師匠とエドモンは正月の星五確定ガチャで、アルトリアさんはストーリーで何故か出て来ました。北斎二人が面白くて嬉しくて飛び跳ねてました。やっぱ引かないと当たらないんやね。
やったぜ。

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