テンプレ転生!~転生したのは、色々とおかしいダンまちの世界~   作:ねむねむお布団

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(前書きのネタを求めた結果、FGOのガチャの成果を報告する作者)
「……な、んで……何でッ!?五十連が、五十連がゴミになってるんだよッッ!?金鯖が……一人も居ないじゃないか……ッ!?返せ、返せよ……ッ!呼符と、石を……ッ、返せェェェェェエッッッ!!」

絶望したその数日後、槍の頼光さんが来て御満悦。それと初の福袋ガチャはマーリンが来ました。やったぜ。

あ、FGOを知らない人は、是非「Fate/Grand Order」で検索してからダウンロードして始めてみよう!やればやるほど楽しいよ!みんなやってるし、止めたかったら直ぐ止められるし……やってみたらどうかな?ボクは、やって欲しいな……(広告)。

尚、前の話(前書きを含む)を読んだ人は分かると思うけど続きです。そう、二万字の半分……俺の数週間の結晶だ!受け取ってくれッ!ジョジョーッ!



戦闘を終えてからツンデレ狼系美女(TS)と出会ったよと言うお話。

 「_____。」

 

 瞬間、俺は己のみに宿している異能の一つを発動させる。代償は要らず、その効果は指定するだけで能力が力を示す。

 ただ、『属性』を指定して『効果』をその場に起こすだけ。余りにも幅広く、応用性が高過ぎる異能を発動させる。

 

 その異能の能力は、『属性を操る能力』。俺が神様特典として望んだ、三つの内の一つ目の異能。

 

 「(『木属性』)」

 

 脳裏で使用する『属性』を指定し、その属性に属す効果を空想して発現させるだけ。今回使うのは『木属性』、その『属性』から具体的な効果をイメージして……創造。

 考えたのは、木刀。木属性=木=木刀、と言う安易な連想からその『木属性』の『効果』を呼び出した。

 何せこの能力は、『属性を操る』モノだ。属性であれば何であろうと操り、例え『無属性』と言う曖昧かつ非具体的なモノも支配出来る。『無属性』と言うモノからイメージ出来る、『探知』や『消滅』と言った効果を呼び出し扱う事も可能だ。

 

 「_____ッ」

 

 軽く開いていた右手に、木刀を創り出す。そして出現と同時に握り、鋭い吐息と共にブンと振る。軽い牽制程度にはなるだろう。

 真っ直ぐと跳んで来た二人の女冒険者の軌道を読み、その直線的な動きに合わせて振るった……のだが。やはりは冒険者と言うべきか、神の恩恵からなる身体能力は空中でもその力を発揮した。

 

 「なん……ッ!?」

 

 「ウッソだろお前!?」

 

 驚きの声を上げ、二人は身を捻って軌道を無理矢理変更して攻撃を回避した。雑な動きだが、回避には成功した。……変態の癖に、妙に良い動きをしやがる。

 俺の両横を過ぎて行く二人の動きを横目に、俺は前方に飛び出して跳んで行く二人から距離を置く。俺からして後方に跳んで行く二人は、その跳躍から荒くも着地を決めて此方に視線を向ける。

 ……仕切り直し、か?いや、またあのように飛び掛るとは限らないが。

 

 「……ねえ、木刀なんて持ってた?」

 

 「いや、持ってなかった筈……だけど、いつの間に……?」

 

 「……何の手品かしらね」

 

 怪訝に思う女冒険者達の呟きを耳にしながら、俺は深く息を吸う。右手の木刀に左手を添え、両手で確りと握る。膝を軽く曲げ、何時でも動けるように姿勢を取る。

 同時、脳裏で『属性を操る能力』を発動。指定するのは『雷属性』……そして使用する効果は、『麻痺』。

 木刀にその『麻痺』の効果を付与し、即席のスタンガンモドキを製作する。一瞬木刀にバチリと紫電が走り、刀身の部分にぽうっと僅かな光が灯る。……帯電、と言うには些か物騒だが。

 だが、効果は絶大だ。この木刀に掠りでもすれば暫くは動けない。……尚、実体験である為に威力は保証する。

 

 「まあ、細けぇ事ぁいいんだよ」

 

 「そうね……そんな手品なんかより」

 

 「「セックスの方が大事だッッ!」」

 

 _____最低だコイツら。

 やる気スイッチを入れている俺の思考にそんな無駄な感想を抱かせる程に、この変態の女達は欲に塗れていた。どうせなら死ねばいいのに。

 そう思った直後、今度は突進して来る女冒険者達。無手な所を見ると、俺の身体を高い身体能力で取り押さえてそのまま行為に及ぶ腹積もりなのだろう。……一般人は余裕で拘束が可能な程のステイタス、と言う事を言外に告げている。成程、やはり変態でも冒険者な事には変わりないか。

 観察しながら、俺は目を細めて二人の動きを見切る。……やはり素早いが、技術は甘いように見える。相手が一般人であり、尚且つ男である事が重なって油断しているのだろう。フェイントも入れず、直線的なゴリ押しで襲い掛かって来ている。

 まあ、確かに普通の男にならばそれは通用するのだろう。

 

 「(だが_____)」

 

 俺は其処で全身に再び異能を発動し、望んだ効果を巡らせる。今度は『無属性』を指定し、数多くの実験の上で身に付いた『強化』の効果を自身に付与する。

 普段の特別な力の無い一般人の身体から、強化された力強い強靭な身体へと変化する。

 まるで神の恩恵を受けた冒険者のような力を得て、俺は麻痺木刀を踏み込みと共に振るう。

 

 「(_____其処が命取り)」

 

 油断大敵。一般人と侮ったお前達の負けだ。

 普段の何倍にも強化された俺の身体能力は、先程の牽制攻撃よりも何段階も鋭い攻撃となった。速度も威力も高められたその一撃に、女冒険者達は大きく目を見開かせた。

 初撃の一刀に比べ、次撃の刀が余りにも違っていたからだろう。驚愕は表情だけでなく、突進していた身体も硬直させた。

 其処を突き、俺は難無く麻痺木刀を一人目の女冒険者に当てる事が出来た。バシリと音が鳴り、その身体に木刀が直撃し。

 

 バリバリバリィッ!!

 

 紫電が飛び散り、その雷撃……正確には麻痺である効果が絶大な影響を女冒険者の身に及ぼす。

 電流が全身に走り、ビクビクッと身を震わせた後に女冒険者は力無く倒れる。身体中に強力な電撃が走り、電流をマトモに喰らった相手は暫くの間、ピクピクと身を跳ねさせる事しか出来ない。最小で数秒、最大で数分。耐性が無い場合は、一分以上は身動き出来ないだろう。

 

 「あ……が……ッ……?」

 

 当の本人は何をされたか理解出来ないようだ。……まあ、そうそう理解出来る筈は無いのだが。何せ、全身に気絶寸前の電流を流す事なんて有る筈が無い。ただ電気が目の前に見えた、ぐらいにしか感じないだろう。

 俺は木刀を降ろし、その光景を見て動きを止めたもう一人の女冒険者に視線を向ける。

 ……状況を把握して、既に距離を取っている。俺の持つ木刀が普通では無いと気付いて、様子見の為に距離を置いたのだろう。

 先の一人と比べネタ発言の多い巫山戯た奴だったが、真面目になるとそれなりにマトモな判断が出来る冒険者なのだろう。正体不明の攻撃に対して、恥を忍ばず逃げを選択する事が出来るのは良い判断だ。

 ……しかしまあ、残念ながら。

 俺はその『麻痺』の攻撃が、木刀を介してでしか出来ないと言う道理は無いのだが。

 

 「おま……ッ、何を_____」

 

 二度目の『雷属性』の指定、そして『麻痺』の効果を呼び出す。今度の『麻痺』の雷撃は付与では無く、魔法のような光線だ。

 木刀を向け、照準を合わせて発射。思念によってその雷撃を木刀から放ち、直線上に飛行させる。

 バチバチと音を放ちながら、闇夜を裂いて雷光が走る。

 

 「それの正体は、雷かッ!」

 

 その雷撃が飛んで来るのを見て、その女冒険者は相棒の被害から正体を言い当てた。それだけでなく、直線上に飛翔した雷光を身を逸らして回避した。

 ……成程、それなりに優秀な冒険者なのか。相手の能力の正体を推測し、次発の攻撃は見切ったように回避したのは評価に値する。

 しかし、まあ。

 内心俺は、謝罪する。すまない、俺の異能が優秀過ぎてすまない、と。

 _____言ってしまうと、その程度で俺の能力を攻略は出来ない。俺と同等の異能を持って出直して来い。

 

 「がぁッッ……!?」

 

 次の瞬間には、避けた筈の雷撃を喰らって麻痺している女冒険者の姿。力の抜けた身体を、理解出来ないと言った驚愕の表情でドサリと落下させる彼女の姿が落下する。

 

 ……すまないが、放った『雷』の操作が出来ないとは言っていない。

 

 確かに先程、女冒険者は雷撃を回避した。身を逸らして、その雷撃は彼女の背後へと走った。……しかし、その直後に雷撃は旋回して背中から攻撃を直撃させた。詰まりはホーミングしたのだ。

 

 これについては、そもそもその雷撃の元が『属性を操る能力』によって創られたモノなのだから、放出して飛ばしたモノであろうと俺が創った『属性』なのだから操作出来るのは当然だ。……こうして自在に操作出来る辺りも、やはりチートだと思う要因だ。

 それと、効果を『麻痺』にしているから相手は回避出来たのかもしれないが……本来の『雷属性』の攻撃はもっと速い。殺傷の可能性が有るからこの程度の威力に抑えているだけで、無力化用の『麻痺』でなければ身体を焼き焦がす程の雷撃は容易く放てる。何なら回避出来ない程の速度と物量で放ち続け、身体が真っ黒に丸焦げにならせる事も可能だ。

 ……やはりチートだな、俺の異能は。思わず苦笑いが浮かんでしまう。

 

 ……まあ、何はともあれ。

 

 「無力化、終了」

 

 

 ● → ╬ → ○

 

 

 「……ふう……」

 

 一息吐き、極度の集中を解く。思考速度を緩やかに落とし、削いでいた普段の思考を取り戻して行く。

 フザケの無かった無駄にクールな思考から、何時もお巫山戯たっぷりのおちゃらけた思考へと。

 

 「あ”ー……凄い疲れた」

 

 酷使した頭が痛み始めるのを感じながら、そう呟く。……マジで疲れた。と言うかやる気スイッチ入れた俺ってば無駄にクール過ぎない?普段との落差が凄すぎるんじゃが。もしかして別人格なのかと疑うレベル。

 やっぱり何時もの自分が落ち着くネ!俺はこんなおちゃらけた巫山戯てる自分の思考が大好きだぜ!

 それに、あの異能は最強だけど、全部の操作を担うのもクソ疲れるから嫌なんすよねぇ……。いや、まあ『属性を操る能力』だから仕方ないけどさ?無駄なお巫山戯を削いで、操作に集中して思考を回さないといけないからなぁ……。

 思いながら、瞼を閉じて気休めの休息を取る。『属性』を全て操っていた自分の頭を労り、俺は深呼吸を繰り返して披露した身体を回復させる。既に能力は全て解除し、『強化』も『麻痺』の付与も止めている。……うん、ずっと『属性』の維持も辛いからね。主に思考的な意味で。

 

 俺の一つ目の異能、『属性を操る能力』は確かにチートだ。必要な代償は無く、魔力消費も存在しないエコで便利な最強の能力だ。

 しかし、その代わりに能力の使用には『思考』を必要とする。発動には『属性』と『効果』の指定が必要で、その後は自分の頭で好きなように操れる。……そう、自分で操るのだ。

 例えば『火属性』。ソレで手元に火を創り出したとしても、『思考』を続けないと直ぐに消える。更にはその後の使用も『思考』によって操作するのだから、本当に頭を使うクソ疲れる異能なのだ。

 一つの例として、『火属性』を指定してから相手に炎を飛ばすまでを仮定しよう。

 その場合、先ずは指定してから炎を創り出してからその存在を意識して維持し続ける。此処で意識が途切れれば炎は消える。

 続いて相手に炎を飛ばすまでだが、その途中でも『思考』は続ける。空中をどのように飛ぶのか、相手に真っ直ぐ飛ぶのか曲がりなから飛ぶのか等も意識して操作する。此処で操作を怠ると暴発してその場で爆散したり、暴走して何処かに飛んで行ってしまう。

 で、着弾してからも『思考』は続く。炎なら、炎自体が消えてしまうまで……水等で消されない限り……維持をする。炎の勢いが弱まり、消えてしまうまで維持の『思考』も必要だ。着弾したと同時に『思考』を途切れさせると、ただ目の前でフッと消えると言う結果になる。盛大な猫騙しなだけなのだ。

 

 ……詰まりは、ずっと『思考』を続ける。ね?クソ頭使うでしょ?凄い疲れるんすよコレ。

 更にはそれの『思考』を続けながら、身体の操作もしなきゃいけない。『属性』の操作だけに意識を集中させていると、相手が物理攻撃して来た時に相手の攻撃を躱せなくなったり、何かの行動に対しての対応が致命的に遅れてしまうのだ。

 だから、俺は戦闘時に異能を使用する場合は、常に並列思考だ。近接戦闘の思考と、異能操作の思考。其れ等を、戦闘中は途切れさせる事無く常に回しているのだ。そりゃあ疲れる。

 ダンまちの並列詠唱と同じ位の難易度だろうか……それだったら、ダンまちの原作五巻のリューさんのゴライアス戦って凄かったんだね。俺には真似出来ねぇよ……。いや、魔法がどんな仕組みかは分からないけどさ。

 

 「しっかし……ヤバイ、凄い疲れたぞコレ」

 

 恐らくは初の対人戦であったからだろうか、想定以上の頭の酷使の具合に苦笑いしてしまう。並列思考の疲労が過去最高だぞ、クソッタレ……と言うか忘れてたけど此処屋根の上じゃねえか。気抜いて膝抜かしたら転がり落ちて大変な事になるじゃんか……。

 やれやれとこめかみを揉んで、俺は深呼吸を続ける。……うん、やっぱり思った以上に疲れるなコレ。ロクに思考纏まらねぇよ。

 こんな屋根の上じゃ、倒れる事も気安く出来な…………ん?

 

 「…………ちょっと待て」

 

 ふと気付き、冷や汗が流れる。閉じていた瞼を開き、震え始めた視界の中を探る。……アレ、コレ……かなり不味くない?

 確かに、今の俺が居る場所は屋根の上だ。所々平面が有るが、大体は斜めに坂になっていて……倒れたら転がって落ちて行きそうな場所だ。身体が動かせるなら問題無いが……動かせない人なら、そのまま落下するだろう……。

 ……例えるなら、身体が痺れて動けない人だとか。

 

 「……不味い……ッ!?」

 

 つい先程俺が無力化した、『麻痺』で身体を痺れさせた女冒険者達が倒れたのは屋根の上だ。それも、坂になっている場所で麻痺させたのだから……詰まりは、屋根から転げ落ちた!?

 チッ、考えが足りなかった!もっと場所考えろよ俺!お馬鹿さん!本当にお馬鹿さん!

 

 「クソ……ッ」

 

 舌打ちをしながら、未だに痛む頭を再度使って思考を回す。正面の視界の中には既に女冒険者の姿は無い。と言う事は、既に二人共屋根から落下していると言う事だ。クソ、冒険者でも高所からの落下はキツイだろ……!

 ……多分もう落ちているだろうから、落下中の奴等を助けると言う選択肢は消えた。今から行って出来る事は、『回復属性』で治癒をする事……!よーし!癒してやるぞこの女郎!全快させて古傷ごと回復させてやんよ!

 考え、俺は身体を再起させる。頭は未だにズキズキと痛むが、また能力を使うしか無い……ッ!仕方無い!

 俺は即座に救助に向かう為、再びクソ疲れる能力を使う。取り敢えずは、『無属性』の『強化』を____!

 

 と、その時。

 

 「何を焦ってやがる」

 

 後方から、そんな女の声が聞こえた。

 

 「……え?」

 

 異能の発動を中断させ、俺は声が聞こえた方向へそのまま振り返る。クールでありながらも綺麗な美声……さてはこの声の主は、美女だな!?俺には分かるぞ!

 そうして振り返ると、俺より上方の屋根に立っている女の姿……夜だからかハッキリとは見えないが、シルエットから獣耳的なサムシングか見える。後は長身でスリムで有る事ぐらいだろうか。……獣耳!ケモミミ美女ですってよプロデューサー!尻尾がゆらゆらとしてますよプロデューサーッ!

 

 「ったく……探してんのはコイツらか?」

 

 「……!」

 

 屋根の頂点に立っている謎の美女が荒々しく言いながら顎を差し向けたのは、彼女の傍らの足元。其処には……雑に積まれた二人の女冒険者達の姿。既に屋根から落ちていたと思っていた、二人だ。

 彼女からの問いに対して、俺はコクコクと頷く。……もしかして、この人があの二人を助けてくれたのか?

 思いながら、俺は闇に紛れて姿の見えない謎の美女に視線を向ける。

 

 「……こんな男も居るのか」

 

 「え?」

 

 「……何でも無ェ」

 

 何かを呟いたようだが、此処からだとよく聞こえない。……いや、身体を酷使し過ぎたからか?『強化』はやり過ぎると身体を壊すからな。聴覚も鈍くなってるんだろう。

 ……って、別にそんな事はどうでもいいんだよ。取り敢えず……と言うかほぼそうだろうが、この人があの二人を助けたのか訊かないと。

 

 「あの。……貴女が、二人を助けたんですか?」

 

 「……まぁな。目の前で人が死なれたら目覚めが悪いしな」

 

 俺の問いにぶっきらぼうに肯定する謎の美女は、フンも鼻を鳴らして空に視線を投げた。……尻尾のシルエットが揺れているのだが、コレって照れているのだろうか。自分が他人に助けた事を知られるのが恥ずかしい、とか?

 もしやツンデレ要員か……!?良い事をしたのにそれを知られたくないとか、なんか可愛らしい人だな!初対面なのに俺に対して好感触だよ謎の美女さん!

 ……しかし、ケモミミでツンデレか……ソレ何処のベートさんだよ?あ、因みに原作のベートさんは俺結構好きだよ。ツンデレとかあんまり好きじゃないけど、あのツンデレは良いツンデレ。暴力を無意味に振るわないし、何だかんだ優しいし。

 多分ベートさんだったら、目の前で人が屋根から落ちてたらブツクサ言いながら助けるんだろうなぁ。だって実は優しいし。死んだ人の墓には本人の好きな花の束を供えるしね。まあその後実は生きていたって分かって凄い憤ってたけど。ソード・オラトリアのあの話は大好き。

 

 「……ありがとうございます。その、二人を助けてくれて」

 

 「……気にすんな。礼を言われる程の事をした訳じゃねぇ」

 

 「貴女がそうだとしても、俺からすれば助かったんです。……本当に、ありがとうございます」

 

 「っ……、……そうか」

 

 お礼は大事。ちゃんとお礼を言える人は相手に好感触らしいしね。ソースはインターネット。本当にそうかは知らない。

 いやあ、でも本当に拾ってくれて助かったよ……また異能を使うのも疲れるし、身体を動かすのも怠いし。手間が省けて良かったよ。死んでた場合も有るし、この人には感謝の念しか無いよ。

 少し照れた様子の謎の美女は、コホンと咳払いをした後に俺に視線を向けた。……相変わらず姿は見えない。アレか、今夜は月光が雲に隠れてるからか?チッ、なんで月隠れてるんだよ!雲晴れろよ!

 

 「……ところで、テメェは何処のファミリアのヤツだ?途中から戦闘を見てたが、お前みたいな男は見た事無ェ」

 

 「あー……」

 

 アンタ見てたのかよ。偶然落ちて来る所を拾った訳じゃなくて、途中から見てて落ちたのを拾ったんですね。……やっぱり良い人じゃないか。

 少し驚くが、直ぐに落ち着く。……うーん、詰まりは俺が二人を無力化したのを見られたのか……”感知”を切ってたからこの人の事に気付かなかった。異能を使う所を見られるのはあまり宜しくないんだが……えー?この人覗き魔?

 ……いや、違うか。この人は一部始終を見てたから直ぐに助けに入れたのか。何だよ覗き魔かと思ったけどただの良い人じゃねぇか(手の平返し)。

 覗いてたけど良い事したし覗き魔じゃないね。うん、そうしよう。

 

 「……えっと、まだファミリアには入ってません。今日オラリオに来たばかりで」

 

 「……はァッ!?」

 

 投げられた問いに答えると、彼女は驚愕した反応を見せた。

 ……あ、そっか。俺がファミリアに入ってないって事は、神の恩恵を受けてない一般人が冒険者を無力化したって事になるのか。……ヤバイ、しくじった!?俺正直過ぎィ!色々とマズイですよ!

 

 先ずファミリアに未加入の男って事で一つ、次に恩恵無しで冒険者を無傷で倒した事で二つ、他にも色々と不味い。

 その力は何かと訊かれたら答えようが無いし、ファミリアも無理矢理望まない所に入れられたくは無い。けれど、自惚れる訳では無いが、素で冒険者を圧倒出来る人材である俺を目の前にして、そうそう見逃す人が居る筈が無い。あと俺男だし。男だし。

 ……やだ、俺ってば割と危機?

 突然現れた危機に冷や汗を流していると、驚いた様子だった謎の美女は少ししてはあと深く息を吐いた。そして、その後の発言が何かと俺は身構え……。

 

 「……まあ、いい。詮索はしないで置く」

 

 「……えっ?」

 

 しかし、予想に反して相手は深く訊かなかった。……えっ!?何もしないの!?ウッソだろお前!?

 目を見開いて彼女を見つめると、その謎の美女はフンと鼻を鳴らしてぶっきらぼうに言った。

 

 「訊かれたく無ェ事は誰にだって有るだろ。そんな事を訊く程、オレは腐ってない。それにテメェも男だ、此処に来たって事は訳アリだろ」

 

 「……。」

 

 「野蛮な奴等が無茶苦茶居るこの都市に、旅行で来る馬鹿な男は居ねェ。大体は事情が有って冒険者になるんだろうし、そんなお前に嫌な事を無理に訊く事はしねェよ」

 

 「…………。」

 

 「確かにその『力』に興味は有るが……無理矢理訊く事はしない。恩恵無しでも強いからって、無理矢理ファミリアに入れるなんて真似もしねェよ」

 

 「………………。」

 

 「だから……何て言うか、だな。……安心しろ。テメェに変な事はしねェよ」

 

 ちょっと待って。この人良い人過ぎて泣きそう。

 何だよこの人、凄い良い人だよ……惚れそう。ヤダ素敵!謎の美女さん抱いて!そう口走りそうになる程に感動してる。

 だってファミリアに誘う事もせず、俺の意思を尊重してくれるんだよ?男だからって興奮した様子も無いし、寧ろ紳士的……いや、淑女的?な対応をしてくれてるし。ベルが居なかったら惚れてるよっ!

 俺は胸をキュンキュンさせながら、この最高に淑女的な謎の美女に熱い視線を送る。……謎の美女さん……ッ、貴女って人は……ッ!

 もうさ、性別が入れ替わってたら完全に乙女ゲーだよねコレ。性別反転したら、紳士的な獣人と訳アリな少女……完全に恋が始まる一歩手前じゃないですかヤダー!

 

 「……優しいんですね」

 

 漏れ出るように、俺は微笑みながらそう言った。いやだって、思わず言ってしまうだろコレは。感動が溢れちゃった。

 すると、その言葉に驚いたように耳のシルエットが跳ねた。そして、「ば……ッ、馬鹿じゃねぇのか!?」と恥ずかしさを隠すように謎の美女さんは叫ぶ。

 

 「オレなんか優しくねェ!?コイツらを拾ったのも気まぐれで、テメェの事を深く訊かねぇのも気まぐれだ!勘違いすんじゃねェ!」

 

 ツンデレキター!ツンデレキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

 この「勘違いしないでよねっ!」ベクトルが、この人のツンデレが、メッチャ胸にクルぞ……ッ!良い事をしたのにそれを認めようとしないで、「勘違いするな」とツンツンしているこの感じ……ッ!イイ!

 ヤバイ、ツンデレにハマりそうだコレ……!

 ……ふう。オッケィ、落ち着いた。

 

 「……分かりましたよ、勘違いしないです」

 

 「……ならイイんだよ」

 

 勘違いしないで優しいと思ってるんで大丈夫ですよね?(ニッコリ)

 と、続けて言おうと思ったが止めて置く。多分延々と会話が続いて、最終的に肉体言語で教えられる事になりそうだ。暴力は勘弁。

 ……しかし、何時になったら姿を見れるんだ。円盤になると謎の白い光が取れるの?それ何処のラッキースケベアニメ。トラブルっちゃうの?

 まあ、姿を見れないのは残念だが……最悪でも名前は聞けないだろうか。ほら、何時までも謎の美女って呼ぶのもアレだし。何ならお名前はお伺いしたいじゃないですか。

 

 と言う事で、俺は彼女の名前を訊く事にした。

 

 「俺は、ユキハ・スノウリィって言います。……貴女の名前は?」

 

 名前を聞くなら先ずは自分が名乗らんかィッ!と言われる前に、自己紹介してから名前を訊く。よく居るよね、自分の名前を言わないで相手の名前を訊く人。

 で、後は謎の美女さんの名前が明かされるのを待つだけだが……果たして。

 「テメェに言う名前なんて無い」とか「名乗る程の者じゃねェ」とか言われるのだろうか。出来れば普通に自己紹介して欲しいのだが。

 ……と、俺がそう思うと。

 

 「……ベート」

 

 「……はい?」

 

 少し、耳がおかしくなったのだろうか。

 俺は首を傾げて、「わんもあぷりーず?」と内心動揺して聞き返す。いや、俺が疲労で耳が可笑しくなっているのかもしれないが……もし、正常であったのなら。

 

 ……今、ベートって言ったか?

 

 「ベートだ。ロキ・ファミリア所属、ベート・ローガ」

 

 そうしてフルネームと所属のファミリアが明かされると同時、偶然なのか雲が晴れる。

 空から月の光が差し、辺りが微かに照らされ……今まで見えなかった彼女の姿が晒される。

 

 雑に一つに結ばれた銀の髪に、鋭さと荒々しさを見せる琥珀色の瞳。

 左頬には稲妻模様の刺青が刻まれている。しかしその痛々しい刺青に反して顔立ちは整っており、美貌からはクールな印象を与える。

 頭部からは銀狼の獣耳、尻からは同色のフサフサとした狼の尻尾。一目で見える武装は金属の靴と篭手だろうか。

 

 「……えっ」

 

 声を漏らし、驚愕した。

 ……「ベート・ローガ」と言う名前には、心当たりが有る。と言うか、このダンまちの世界に存在するキャラクターなのだから知っているのは当然だ。

 ロキ・ファミリア所属、獣人(ウェアウルフ)のLv.5の第一級冒険者。二つ名は【凶狼(ヴァナルガンド)】。

 

 そして……原作では、男であった筈の存在だ。

 

 しかし、知識の中の彼と同名の彼女、ベート・ローガは……今目の前に居る。容姿の特徴はそのままに、美男子から美女へと変化しているベート・ローガが。ツンデレで、実は優しいベート・ローガが。ふむ、それが、女に……。

 ……成る程、察した。

 

 「……ベートさんとお呼びしても?」

 

 「……構わねぇが」

 

 「はい。……では、これから偶にでも仲良くして下さいね、ベートさん」

 

 「……、……ああ」

 

 つまりベート・ローガは、この世界でTSしたのだ。ベル・クラネルと同じように。

 

 ……ふむ、成る程……。

 

 コレを考えたのが神だと言うのなら……俺は声高らかに叫ぼう。今この胸の内を占める感情を、想いを……力強く、叫ぼうじゃないか。

 時々殺意しか感じない神様だが、今回に関しては全力で感謝しよう。嗚呼、神よ!その意向は最善であり最高であったぞ!

 

 サンキューカッミ。ありがとうッ!!

 

 

 ↑ → ← ↓ ♪

 

 




ベートさんツンデレ可愛いヤッター!(新たな挨拶)

この作品では、ベートさん(TS)は良い人です。性格こそ変わりませんが、温厚でマトモな人には基本的に優しいです。その辺りはまた後日。……ツンデレ美女、良いなぁ……。

はい、と言う事でストック切れです。また書き溜めて投稿するまでお待ちして下さい。……うん、暫くはアイデアが思い付かないと思うので、また数週間位お待ち下さい。今度は一万字も行かないと思います。

次回は多分原作開始かなぁ……告白して犯人退治してベートさんに出会って、今のやりたい事は終えましたし。あ、変態冒険者達はその後ベートさんに連れてかれました(何があったかは本人達のみぞ知る)。
……うーん、原作ようやく開始させられますね……今で八話……でしたよね。確か。プロローグで八話掛かるとか何なんだよこの作品(呆れ)。

取り敢えずは、また長期間空くと思いますが……どうか忘れずに、次回をお待ち下さい!
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