EBA~エーバ~   作:雪宮春夏

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 正直に警告します。



 描写を丁寧に書きすぎました。



 人によっては気持ち悪くなる要素があるかもしれません。
 警告タグでも警告しておりますので、その時点で嫌な予感がしている方はどうぞ閲覧をご遠慮下さい。


 それではEBA~エーバ~ ♯1

 どうぞご覧下さい。



♯1 変質した大空

 そもそものきっかけが何なのか、俺にはよく分からなかった。

 並盛高校に入学したばかりであったこの日、俺は珍しく一人で帰路についていた。

 山本は入ったばっかりの野球部で甲子園を目指し、日夜練習に励んでいる。中学生時代の実績もあってか、レギュラー入りはもう確実なのだそうだ。

 実力においては現レギュラー含む三年生全員を無失点で抑え、何本もホームランを打てる実力になっていた。リボーン曰く、中学の時にあれだけ(主にマフィア関連で)鍛えられていたら、単なる三年年上なだけの子供相手に後れをとるわけはないだろう、との事だ。

 獄寺君は高校に入ったものの、よく学校を休むようになった。どうやら九代目の勧めもあり、色々と将来の事を見越して見聞の為に世界を回っているのだそうだ。

 リボーンの話によると、その合間に、独学で情報網を構築しようと色々な所に足を踏み込んでいるらしい。

 時々しゃれにならないような危険の匂いのするお土産話をくれるが、そんな話を聞く度に、無茶をしすぎていないだろうかと心配になってしまう。

 他にもクロームや、京子ちゃん、ハルも同じ高校であったが、今日は皆都合がつかなかった。

(あれ? なんで今こんなこと、考えていたんだっけ?)

 そこまで思いおこしていた俺は、ようやく今の現状を分かっていない事に気がついた。

 しかしその疑問は直ぐに解消された。

 「当たり前の日常」だった今までをわざわざ思い返してしまったのは、その日常が既に「過去」となってしまった事実を己の直感が囁くからだ。

 単なる勘と、バカには出来ない。それは中学の間に、嫌になるほど思い知り……不本意であったが認めた事だからだ。

 己の中に宿る血の力。「ブラッド・オブ・ボンゴレ」。

 類い稀な強い大空の炎と、超直感と呼ばれる第六感。

 とりわけ後者は予言染みた精度を誇り、不本意ながらも己が現在身を置いているマフィアの世界では、良くも悪くも己が特別とされる理由となる。

 頭を叩くように鳴らされる直感の警鐘に覚悟を決めて、怖々と目を開けると、己が固いコンクリートに横たわっている事に気づいた。

「え?」

 だが、コンクリートに横たわっているという不自然な状況以上に、己を混乱に突き落としたのは、視界に入ったその景色だ。

 慌てて起き上がった己は今度こそ、それが霧の炎を用いた幻術の類でないと確信した。

 眼前に広がるのは、固いコンクリートから想像出来うる灰色ではなく、鮮やかな深紅。

 視線を動かすと己の掌も、ぐっしょりと同じ紅色に塗れていた。匂いをかごうとするまでもなく、辺りからは鉄が錆び付いているような酷い匂いが立ち込めている。

「うぐっ……!」

 喉から迫り上がるように感じた吐き気に思わず両手で口元を覆おうとすると、ポタポタとゆっくりとした流れでヌルリとした液体がそこら中に……既に深紅に染まっている地面の上に塗り広がっている。

(何だ……! これ……っ!? 何だよ!! これっ!!?)

 目の前に広がる信じられない光景に忙しなく視線が動く。

 その結果分かったのが、己の周りに、まるで己を囲い込むかのように何人もの黒いスーツの男……敵か味方かは分からないが、おそらくマフィアだろう。それが倒れていることだった。コンクリートをぬらす血痕……その量は既に血流と呼んでも良い程の物だが。それは彼らの物で間違いないだろう。中にはまだ乾ききっていないのか、体からコポコポと流れ続けている者もいる。

(何で……一体、どうなっているんだよ!?)

 ただ、分からないのが、彼らの体に残っている怪我が、明らかに人のものではなく……まるで動物に襲われたような爪痕や嚙み傷がほとんどだという事だ。何人かは肉を食いちぎられたような跡まである。

(獣に……襲われた? だったら……何で俺は無事なんだ……!!?)

 周りの悲惨な状況と一変、痛み一つ感じない己自身に、訳も分からない混乱と、恐怖から口腔に溜まった唾を飲み込み……その直後、口の中に広がった苦みに再び吐き気が迫り上がる。

(……!? ………!!?)

 正確には、苦みだけではない。喉にこびりつくような違和感。鼻を突く鉄の腐臭。血生臭いとでも言うのだろうか。最早、悪臭と言っても良いだろうそれを堪えきれずに嘔吐いた。

 苦しさに呻きながら吐き出そうとするが、唾液と胃液ぐらいしか出て来ることがない。

 最後にご飯を食べたのはいつだったか、思わずそんなことを考えてしまう。

 のろのろと口元を拭っても、そこに血がついているのか、既に掌が血まみれな己にはそもそも判別がつかない。

(どうしよう? ……どうすればいい? ……家に、()()()()()()()()??)

 目の前に広がる光景から、俺の中には一つの可能性が浮かんでこらざる負えない。

 俺を取り囲むようにして、しかし獣に襲われたような傷で血まみれになって倒れている……否、絶命している人々。

 彼らがマフィアだと仮定して、更に敵対者だとも仮定しよう。

 彼らを倒した……否、()()()のは何か。獣に襲われたような傷。しかし、俺の口の中に広がったもの。信じられない、信じたくは無い。

 しかし、悲しいかな、あり得ないと言い切る事は、今の俺には出来なかった。

 何より、その仮定を思い浮かべた瞬間、俺の直感が肯定したからこそ。

(何で……?! 俺に……何があったんだ!? 誰かに、相談……!!)

 脳裏に浮かんだのは今まで共に苦楽を共にしてきた仲間達。

(相談……して……大丈夫……なのか?)

 ゾクリと、体に這い上がったのは恐怖だった。

 様々な戦いを共に乗り越えてきた。

 大切な仲間の姿が、目の前に広がる光景と被った。

 血まみれになって、倒れる見知らぬ男達が……仲間の姿に変わっていた。

(そんな……違う! 俺は……そんなこと……っ!)

 しないと、言いきれるのかと、冷静な部分で俺が問いかける。

 不自然に途切れた記憶。

 高校から出て、帰路についていたはずの俺が、気が付いたら、こんな事になっていたのだ。

 同じ事が起こらないと、どうして言い切れる?

(気が付いたら……周り一面が赤く染まって……そこに血塗れの皆が倒れていたら……?)

 思い浮かべた光景に、血の気が引くのが、自分でもはっきりと分かった。

 そんなことには絶対にならないとは言えなかった。己自身の事が信じられなくなっていた。

 ガクガクと震える体をどうすることも出来ずに、その場から動けなくなった俺は、しかしバタバタと、やけに明確に聞こえる足音に悲鳴を上げた。

 この光景の異様さは指摘されるまでもなく自覚出来る。

 発見者にどのような反応をとられるか、想像に難しくない現状に後退ると、カランと、音を立てて、俺の足下に何かが落ちた。

「……ッ……!」

 そこに落ちた見慣れた二連のリング……自身の武器でもある大空のリングに、背中を押された気がした。

 咄嗟にリングを手の中に包み込んで、聞こえてくる足音とは逆方向へかけだした。

 日が沈んでどれくらい過ぎているのか、辺りは真っ暗だ。外灯と呼べる物も見あたらない。俺の進む方向は明らかに町中とは逆方向だった。

 それでも、湧き上がる恐怖に押されるように、俺は闇の中を走り続けた。

 視界も満足に得られないはずの暗闇の中、運動が苦手なはずの俺が、躓く事すら無く走り続けられた異様さに、俺は最後まで気付けなかった。

 

 目の前に広がる光景に、思わずその男……風紀副委員長、草壁哲矢は持っていた懐中電灯を落としそうになってしまった。

 咄嗟に掌で口元を押さえるも、目の前の異様な景色に眉が自然と険しくなる。

 猟奇殺人。用語としては知ってはいたが、雲雀の治める並盛では見たことも無かった景色に草壁は自然と後退る。

 雲雀を連れていなくて良かったと、一層吞気ともとれる思考を巡らせながら、草壁は改めて状況を把握しようと辺りを()()()()()()()()()

 日没から既に数時間が立ち、懐中電灯の明かりを頼らなければ、草壁にも周囲は何も見えなかったからだ。

 通常ならばこんな深夜にいくら風紀委員と言えども見回りなどはしていない。こんな町の外れならば尚更だ。

 娯楽も有る訳でも無し、暇を持てあました不良であっても、近付かないだろう地理的にも悪い。

 そこに、何故草壁が来ていたのかと言うと人を捜していたからである。

 放課後、山本武の話ではまっすぐ高校から帰った筈の沢田綱吉が、いつもの帰宅時間から一時間以上たったにも関わらず、帰ってきていないとその保護者、及び家庭教師から連絡があったからである。

 並盛中学よりは距離が離れているとは言え、雲雀が治める並盛の治安は決して悪くはない。

 現に並盛の警察機関に問い合わせてみた所、怪しげな動きをする者は見あたらないという報告を受けている。

 しかし、現実として彼は見つからず、在宅していた彼の家庭教師、リボーンと相談した結果、敵対マフィアの可能性も視野に入れて、風紀委員では綱吉の事情を詳しく聞かされている草壁と、雲雀で虱潰しに町中を探し回っていたのである。

 そこで発見したこの光景に、もしや沢田綱吉が関わっているのではないかと、草壁は懐中電灯で倒れ込んでいる男達の顔を一人一人と照らした。幸運にも沢田綱吉らしき顔は……というよりも、まず彼と同じ年頃の存在はいなかったと言って良い。

 無関係かと息をつきかけた草壁は、明かりに微かに照らされた何かに、思わず目を向け息を吞んだ。

 並盛高校指定の学生鞄が……そこには転がっていた。

 




 今月投稿一作目で新作が来ました、雪宮春夏です。
 かなり危険な代物になりました。
 ここまで読んだ方は上の警告や、タグは見ていると思うので割愛します。

 これのどこに原作の要素があるのかは、もうしばらくお待ち下さい。
 なるべく早く次も作れるように頑張ります。
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