論者であるヤルが、オラリオのダンジョンで大活躍する話ですぞwww
異教徒はたくさんいますが、導く以外にあり得ないwww



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んんwww ヤル・ヤラネルですぞwww

 ポケットモンスター。縮めてポケモン。

 

 とある高名な賢者が作り挙げた、遊戯用魔道具の名称である。

 

 どんな遊戯かは簡単に説明できる。ボタンを押して画面に映る調教師(テイマー)を操作し、出てくるモンスターを携帯用捕獲魔道具、通称『モンスターボール』で捕獲し、モンスターに指示を出して戦うだけの遊戯だ。

 

 捕獲用魔道具がポケットに入る大きさなので、それで捕えられるモンスターをポケットモンスターと呼び、この魔道具の名前にもなっている。

 

 この遊戯、シンプルながらも奥が深い。

 

 ポケモンは数多くの種類があり、強さや特徴が異なる。それどころか同じ種類でも強さが微妙に異なる。更にスキルや魔法を四つまでしか覚えることができない故に、逆説的に吟味して習得せざるをえない。他にもポケモンには属性が設定されていて、相性があるなど、ポケットモンスターは知れば知るほど奥が深いのである。

 

 ベル・クラネルも幼少の頃から祖父と共にポケットモンスターで遊んでいた。ポケットモンスターは対戦機能もあり、ベルは祖父と戦ってはいつも負けていた。

 

「ああーーー! またおじいちゃんに負けたーーーー!!」

 

「はっはっはっ、まだまだ青いのう、ベル」

 

「せっかくウルガモスでナットレイを焼こうとしたのに、ギャラドスに交代するなんてずるいよ!」

 

「ポケモンで有利対面を狙うのは常識じゃぞ。ベルが単純過ぎるんじゃ」

 

「それだけじゃないよ! おじいちゃんのポケモンって、すっごく力や魔力が高くて、おまけに耐久も高いからなかなか倒せなくて、ずるいずるい!」

 

「火力と耐久は基本じゃ、基本」

 

 ベルの抗議を祖父はのらりくらりと躱し、むうーとベルは頬を膨らませた。

 

 可愛い孫の起こり方に頬を緩め、祖父はベルの頭を優しく撫でるとこう提案した。

 

「じゃったらベル、儂がポケモンでの上手な戦い方を教えてやろうかの?」

 

「え? ほんと?」

 

 ベルはさっきの怒りは何処へやら、期待に満ちた目で祖父を見つめる。

 

「ああ、本当じゃとも。儂の使っている戦法は最強の戦法じゃ。ベルもマスターすれば勝ちまくってモテまくるじゃぞ」

 

 そういいながら、祖父は笑顔を浮かべる。

 

「その名は『役割論理』という、ダメージレースを圧倒的に有利に制する、最強の論理ですぞwww」

 

 その笑顔は、いつもとは異なる『ぺゃっwww』という、胡散臭くも頼もしい笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

 それから数年後、祖父を亡くしたベルはオラリオのダンジョンで冒険者をやっていた。

 

 まだ駆け出しの冒険者であるベルは、浅い階層を探索している。しかし、彼の表情には緊張は一切ない。それどころか、笑みを浮かべていた。

 

 何故なら彼の胸の内には祖父の教えがあるからだ。

 

 冒険者として活躍して、女の子にモテモテになってハーレムを作ること。

 

 そして、役割論理を駆使して最強の(ヤー)険者になることですぞwww。

 

「んんwww。論者は笑顔を絶やさないのが基本ですぞwww」

 

 ベル・クラネル。――いや、ヤル・ヤラネルはそういいながら、ゴブリンをギルドに支給された安物のナイフで、一刀の内に葬り去った。一撃以外あり得ないwww。

 

 仲間を倒されたゴブリンは怒り狂い、ヤルに向かって攻撃を仕掛ける。しかしヤルは避けようともせずに、そのまま一撃をもらう。

 

 殺ったと、ゴブリンは確信した。しかし……。

 

「んんwww。ボブリン如きに傷を受けるなんてあり得ないwww」

 

 ヤルの言葉通り、血が出るどころか薄皮すら傷つけられないでいた。返す一刀でヤルはゴブリンを、いや簡単に倒せるボーナスモンスター、ボブリンを倒す。一撃以外あり得ないwww。

 

 役割論理を習得したその辺の(ボー)険者とは一線を画す(ヤー)険者であるヤルにとって、これくらいは朝飯前のことである。

 

「エイナ氏のアドバイス通り、浅い階層を探索していますが、ボケモンばかりで退屈ですぞwww。ここはもっと下の階層へといいたいところですが、エイナ氏に怒られるのは御免ですからなwww。異教徒とはいえ敬意を払う以外あり得ないwww」

 

 そういいながら探索を進めるヤルであったが、転機が訪れる。

 

「ぶもおおおおおおおっ!」

 

 突如ヤルの目の前に、牛の頭を持つ筋骨隆々のモンスター、ミノタウロスが現れたのだ。

 

 ミノタウロスは本来もっと下の中層にしか出現しないモンスターである。力は強く、耐久力も高い。そこらのボケモンとは格の違う、ヤケモンである!

 

「んんwww。ヤノタウロスにこんなところで出会えるとは、正に行幸ですぞ!www。(ヤー)険者として勝負しない以外あり得ないwww」

 

 そういって、ヤルはしょぼいナイフを片手にミノタウロスに向かって突っ込んだ。

 

 駆け出しの冒険者がミノタウロスに挑むなど、無謀を通り越してただの自殺行為である。現にミノタウロスは愚かな白兎をあざ笑い、斧のようなネイチャー・ウェポンを振りかざす。

 

 重たい一撃はヤルの頭部を直撃した! 哀れ、ヤルの頭はトマトの如く潰れ、血だまりの中に倒れこむ……。

 

「んんwww。なかなかの力ですなwww。さすが中層最強のヤケモンですぞwww」

 

 ――なんてあり得ないwww。

 

 駆け出しの冒険者ならいざ知らず、ヤルは(ヤー)険者なのである。たとえミノタウロスの一撃を受けても、少したんこぶができる程度である。

 

 驚きとまどうミノタウロスに、ヤルはナイフを突き立てる。ナイフは深く食い込み、ミノタウロスは血しぶきと悲鳴を上げた。

 

 しかし、安物のナイフであるが故、ぽっきりと折れてしまった。

 

「やはりゴミな持ち物はダメですなwww。現実にも三種の神器があればいいのですが、しかたありませんなwww」

 

 力いっぱい殴っても効いた様子もなく、不気味に笑うヤルに恐れをなしたミノタウロスが逃げ出そうとする。

 

 しかし、ヤルが見逃すはずもなかった。ヤルはその辺の壁をぶん殴り破壊する。いい感じに尖った岩を拾い上げると、ミノタウロスに向かって力いっぱい放り投げた。

 

「んんwww。ストーンエッジですぞwww」

 

 必然力の加護によって、必中する以外あり得ないwww。

 

 ミノタウロスは哀れ串刺しとなり、魔石を残して消滅した。

 

 レベル1、それも駆け出しの冒険者がミノタウロスを倒すという偉業を成し遂げたのだが、当人であるヤルは特に誇ることなく「予想以上に弱かったですなwww。これはボケモンに格下げですなwww」と変わらぬ笑顔を浮かべるばかりであった。

 

「……すごい」

 

 そんなヤルとミノタウロスの戦闘の一部始終を見ていた者がいた。

 

 アイズ・ヴァレンシュタイン。オラリオの中でもトップクラスの実力で【剣姫】の二つ名を持つレベル5の冒険者である。

 

 そんな遥か格上のアイズであるが、ヤルはアイズに気づくとなんとも気軽に挨拶をした。

 

「これはアイズ氏www。ヤケモーニングwww」

 

「ヤ、ヤケ? ヤケもーにんぐ?」

 

 意味不明の挨拶をされ、アイズが困惑する。しかし、アイズは自分たちがミノタウロスを取り逃したせいで、ヤルに迷惑をかけてしまったことを謝りたいがため、無理やり困惑を打ち消す。

 

「あの……ごめんなさい。そのミノタウロス、私たちが逃がしたもので、君に迷惑をかけて……」

 

「んんwww。我は全く気にしておりませんですぞwww。むしろ感謝以外あり得ないwww。おかげでヤノタウロスがボノタウロスだとわかる、貴重な経験ができましたぞwww」

 

「や、ヤノ? ボノ?」

 

 あっさりとヤルから許されるものの、意味の分からない単語を連発し、アイズの頭の中を疑問符が飛び交う。

 

「ヤケモンは耐久と超火力を兼ね備えた、役割を持てる最強のモンスターのことですぞwww。それ以外は簡単に倒せる、ボーナスモンスター、ボケモンですなwww」

 

 ヤルが懇切丁寧に説明(しているつもり)するが、アイズはますます理解不能と首を傾げる。そのまま説明を続けようとするヤルであったが、アイズは慌ててとめた。

 

 変わりに別の疑問を投げかける。

 

「君は見たところ、駆け出し冒険者だよね。なのにどうしてそんなに強いの?」

 

「それは我が論者であること以外あり得ないwww。そんな質問をするとは、貴殿、力をお求めですかなwww」

 

「……うん、私はまだ弱い。今より強くなりたい」

 

 他の冒険者が聞けば、即座に否定するような言葉を、ヤルは肯定する。

 

「たしかにアイズ氏は超火力をお持ちですが、レベル5にしても耐久は並でダメダメですなwww。これでは(ボー)険者と呼ばれても仕方ありませんですぞwww」

 

「あの、私は冒険者なんだけど。……でも、やっぱりまだ弱いよね」

 

 うなだれるアイズに、ヤルはかつての祖父と全く変わらない笑顔で、アイズの肩を叩く。

 

「よろしければこの論者、貴殿を一人前の(ヤー)険者にする『役割論理』をお教えしますぞwww」

 

「……いいの? 私は君とは違うファミリアに入ってるんだよ?」

 

「んんwww。ヤーティ神の加護はどなたにも与えられるものですぞwww。異教徒は導く以外あり得ないwwww」

 

 ヤルの胡散臭くも頼もしい笑顔に、アイズの胸が何故だか一瞬だけ跳ね上がる。

 

 アイズはヤルの差し出された手をおずおずと掴み、頬を染めながら返答した。

 

「じゃ、じゃあ、お願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日、ヤルとアイズが仲良く連れ添ってバベルから出ていくのを見ている者がいた。

 

 バベル最上階に住む、フレイヤ・ファミリアの主神、フレイアその方である。

 

 彼女はヤルをじっと見つめていた。

 

 ヤルの魂は綺麗で、透き通っていて――。

 

 大量のwwwwwwwwwwwww()が生えていた。

 

「…………ないわー」

 

 美の女神は、キャラクターが崩壊しそうななんともいえない顔をして、一言漏らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヘスティアは今日も元気に笑顔で帰ってきたヤルのステータスを更新していた。

 

 ヘスティアは祈っていた。今日こそは、今日こそは大丈夫だと。あれは見間違いだと。

 

 しかし、現実は非常であった。

 

 

 

 

 

 ヤル・ヤラネルですぞwww

 

 Lv.wwwwww

 

 力   : SSS9999www

 耐久  : SSS9999www

 器用  : C652www

 敏捷  : I0www

 魔力  : SSS9999www

 

 

≪魔法≫

【ヤーバーヒート】

 ・超火力の速攻魔法ですぞwww。

 ・役割放棄した詠唱(ため)がある魔法なんてあり得ないwww。

 ・使用後、魔力が一定期間下がってしまいますなwww。

 ・ファイアボルトなんて火力のない魔法はあり得ないwww。

 

≪スキル≫

【役割論理】

 ・超火力と耐久を実現し、役割を持たせる最強のスキルですぞwww。

 ・力、耐久、魔力をカンストするまで振る以外あり得ないwww。

 ・S振りはあり得ないwww。

 ・器用は命中率を70パーセントまで引き上げるためなら振るのはアリエールwww。

 

【必然力】

 ・命中70パーセント以上の攻撃は全て必中しますぞwww。

 ・一撃必殺技はゴミですなwww。

 

【ヤーティ神の加護】

 ・ヤーティ神の素晴らしい加護を受けられますぞwww。

 ・異教徒を導く力を与えられますなwww。

 

 

 

「なんでボクの初めての眷属が、こんな草生えたでたらめなステータスしてんだーーー!」

 

 夜の役割を持てる、ロリ巨乳の女神が悲鳴を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後もヤルの活躍は続いていき、仲間もどんどん増えていく。

 

 ある時は異教徒の小人族(ボゥルム)と出会い――。

 

「ふぇぇ、ぼうけんしゃさまにひつようなのは、あらゆるじょうきょうでたたかえる、はんようせいだよぅ。リリはやくわりろんりより、はんようりろんがいちばんだって、おもうんだよぉ」

 

「ぺゃっwww。笑止ですぞwww。汎用()なんていう異教徒は、夜の役割を持てる幼女に導く以外あり得ないwww 」

 

「うわあ、また変な眷属が増えて、ボク頭痛くなってきたぞー」

 

 またある時は異教徒のボューマンと出会い――。

 

「ぴゃっwww。ガロッゾの魔剣をぶっぱする以外がりえないwww。ヤーバーヒートなんてゴミでげすwww。やはり餓鬼論理が最強げすなwww」

 

「反動で動けなくなるガロッゾの魔剣こそあり得ないwww。役割を放棄するゴミですぞwww」

 

「…………ヘファイトス、君も苦労してたんだなあ」

 

 またある時は異教徒の別のボューマンと出会い――。

 

「攻撃しても通じない時は、相手に一回多く行動させてしまうだけでござるwww。防御を固め、毒などを駆使して安定した勝利をもたらす忍耐理論が最強の理論でござるなwww」

 

「補助技なんてあり得ないwww。(ボー)険者の極みですぞwww」

 

「タケが後悔してたよ。なんで命君に忍術を教えてしまったんだって」

 

 またある時は異教徒の狐人(ボナール)と出会い――。

 

「や、役割……論理ですか? わ、わかりました。ヤル様のために、一生懸命覚えます!」

 

「んんwww。貴殿はすでに夜の役割を覚えていますぞwww。役割論理もすぐに身に着く以外あり得ないwww」

 

「ファミリアの唯一の良心である春姫君を染めるのはやめろぉ!!!」

 

 論者であるヤルの冒険は続いていく!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけ

 

「あ、アイズたん!! なんやこの【役割論理】とかいう草生えたデタラメスキルは!! し、しかも【憧憬一途】(リアリス・フレーゼ)って。……アイズたんが、アイズたんがどこの馬の骨とも知れん奴に惚れ、惚れて~~~~~~っ!!!」

 

「んんwww。アイズではなくヤイズですぞ、ロキ氏www。我は素敵な論者に導かれ、とうとうヤーティ神の加護を得られたのですぞwww」

 

 

 

 

 

 おまけ2

 

「草が生い茂ってても、あの魂はやっぱり惜しいから、オッタルにどうにかするよう頼んだのだけど、上手くいったかしら」

 

「…………」

 

「あら、オッタル帰ってきたのね」

 

「…………んんwww」

 

「…………!?!?!?!?!? オッタルぅぅぅぅ!?!?!?!?!?」

 

 

 

 

 

 おまけ3

 

「……フェルズよ。お前が作ったポケットモンスターとかいう魔道具のせいで、おかしな冒険者がどんどんオラリオに湧いてきているのだが」

 

異端児(ゼノス)に少しでも親しみを持ってもらおうと作ったのに、どうしてこんなことになったんだ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




世界樹の迷宮クロスのダンまち小説を連載してる傍ら、ふと思いついたネタを投下しました。

酒を飲んだ勢いで書いて、酔いが覚めた後に見直して、どうしようかと思いましたが、まあいいやと投稿。


続きはないです(断言)。

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