もう一つのネフィリムーエルバハー   作:赤い変態

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大変お待たせしました(汗)
今回も、あまり進みません(汗)

それでは、どうぞ


ガングニール

学友と共にノイズに襲われたと思いきや、なんかノイズに触れても大丈夫な姿に変身しちゃったり、トップアーティストの風鳴翼がいきなり現れては変身してノイズを撃退したりとか、噂のゴキ―――電飾怪人の正体が一緒に逃げていた学友(奏音)の兄だった等々、立て続けに発生&発覚した事などで軽く脳内がパンクしかけた夜を超え、翌日。

 

立花響は何事もなく、親友の未来と共に授業を受け、学園での一日を過ごしていた。

特に周囲に怪しい人影があっただとか、誰かに後をつけられていただとかそういう怪しい事はまったく無く。

 

まあ気になる事があったとするなら精々、教えた覚えもないのに二課の司令だと言ってた人から「放課後迎えを寄越すので二課まで来てくれ」だとかいう内容のメールが、昼休み辺りに送られてきたことぐらいだろうか。

 

……たぶん、昨夜の検査結果や、私が変身した姿とかについての話とかなんだろうけど……。

 

「……ふぅ」

 

正直言って、後の事を考えると気が重い。

事前に昨日あった事は誰にも口外してはならないと釘を刺されていることから、親友の未来にも昨夜は何があったか等一切話せず只々心配させたというのに、今日も帰りが遅くなるとなれば、なんと説明すればよいのだろうか。

 

職員室への呼び出し……いや、今日は既に呼び出される程のやらかしは全部怒られ済みだし、却下。

 

他校の男子生徒に手紙で呼び出されて……何故だろう、未来が荒れる姿が目に浮かぶというか、架空の男子君が悲惨な事になりそうという想像が……。というかまず、高校生になってまだ一月も経ってないのに、他校の生徒と知り合ってそんな展開になるのは無理があるだろう、私よ。

 

では、補修があってとか……あぁうん、すっごく納得されそうで、返って一緒に居残って手伝うとか言われそうな予感が。

 

ノート等を鞄に詰め帰り支度を進める中、未来に一緒に帰ろうと言われた際どう乗り切ろうかと頭を悩ませていると、不意に視界の端で茶色い毛玉か何かが跳ねているのが見え、其方に目を向ける。

 

「随分と、わかりやすく、悩んで、ますなぁ、響ちゃんっ」

 

机の影になっていてわかり辛いが、幸いにもその光景は昨日もあったと覚えていたのですぐに相手はわかった。

その茶色の正体は、色々あり過ぎた昨夜を共に過ごした、奏音である。

しかしまあ、そうやって跳ねて真正面から話し掛けるよりも横に来て話せばいいのにと思うのは野暮だろうか?

そんな事を考えながら、響は身を乗り出してその跳ねながら声を掛けてきた存在(奏音ヘッド)に声をかけた。

 

「奏音ちゃん奏音ちゃん。取りあえず跳ねても頭頂部しか見えないから、まずはこっちに来よう?」

「うーん、逆に気遣われて辛い」

 

そう言いつつも跳ねるのを止めた奏音は、長いポニーテールを揺らしトコトコ歩きながら響の座る席の隣まで来ると、「それで? どうしたの」と改めて尋ねきた。

 

それがねー、と釣られるように口から出そうになった言葉を慌てて飲み込む。

二課の事は、もちろん昨夜逃亡劇を共にした仲である相手であっても言える訳がない。

結局何も言えないことに変わりないという事実に、どうすればいいのかと頭を抱えたくなった。

 

「いやー、その……昨日の夜の事関係でちょっと……」

 

せめて当たり障りのない程度にと手探りしながら言葉を紡ぐが、夜の、と呟いたところで奏音が「あー……昨日の夜の事で」と何かを察した表情で頷いた。

その様子を見て、響は少しほっとした。これなら詳しく話さなくても、この後の呼び出されている事について多少は相談しても大丈夫そうだ、と感じながら。

 

「まぁ、確かにあれはちょっとねー……」

「うん……それでちょっと、この後……」

「流石に兄さんの性癖暴露はやり過ぎたからねぇ……うん、変なものを聞かせちゃってごめんね? 一応尻とかスパッツだとか、変態的なのは避けてたつもりだけど、そこまで悩ませちゃうとは想像して無かったよ……」

 

……訂正、察していないどころか酷い方へ解釈してしまっている。いや確かにあれは衝撃的ではあったけれども、そっち方面ではなく……ッ。

あとさらっと言っているけど、お尻やスパッツも好きだとか言う新たな性癖情報は聞きたくなかったのですが、奏音ちゃん。

 

昨夜出会った噂の都市伝説『電飾怪人(イルミネイザー)』の正体である國次の性癖暴露が、本人の知らぬ処で更に進んでしまっている事に心の中で合掌しながらも響は、今度会った時はちょっと距離を置こうかなと考えた。

 

「ま、冗談はこの辺でやめとくとして」

「……冗談にしちゃ、奏音ちゃんのお兄さんの被害が増えているような気がするんだけど……?」

 

特に昨夜に続いての性癖暴露辺りが。

 

しかし響の意見など気にせず、一旦周囲を見渡し、まだ教室内に残っているクラスメイト達が此方に意識を向けてないことを確認しながら、奏音は顔を近付け小声で話しを続けた。

 

「気にしない気にしない。……で、悩んでたのは、大方昨日変身しちゃってたあの姿や、翼さんやあの黒服の人達関係なんでしょ?」

「あー……うん、詳しくは話せないけど、まあ合ってる、かな」

「で、多分だけどそのことでこの後呼び出しがあって、未来ちゃん辺りに先に帰って貰う為の良い言い訳が思い浮かばず、困り果てていたってところかな?」

「奏音ちゃんはテレパシーでも持ってるの……?」

 

どうしてそんなに言い当てられるのか、等と思ってると奏音が「似たような状況になってるであろう人が今朝ブツブツと台所で呟いていたからねぇ」と苦笑しながら肩を竦めていた。

 

似たような状況、と言われ先程性癖の追加暴露をされてしまった奏音の兄を思い浮かべ納得した。

昨夜あの場に居合わせたもので、自身と同じように特機部の二課に呼び出されているとされるであろう人物は彼位なものだろう。

 

「ま、これ以上詮索もしないし詳しく訊きもしないけど、昨日助けて貰ったことだし僕も一緒に考えるよ。さぁて、無難な居残りの理由を考えるとすれば……今日も授業中に何度も怒られていたから、その事での反省文書き終えるまで帰れない的なのはどう?」

「奏音ちゃん、一緒に考えてくれるのは嬉しいけど……私ってそんなに怒られてるイメージ?」

 

多分それ、未来も確実に信じてはくれそうだけど、それ以上に可哀そうなものを見るような目を向けられそうなんですが。

え? 日頃の行いを振り返れ? ……返す言葉もありません。

 

閑話休題(それはさておき)

 

 

 

「実際、どうしよう……」

「別の用事があるって伝えるにしてもねぇ……あ、そうだアレがあったな……」

 

ふと、何かを思い出したのか奏音は一旦自身の席に戻っていく。そして机の上に置いてあった鞄の中から紙切れらしきものを二枚取り出し、再び響の隣に戻って来るなり響の見せつける様にひらひらとそれを振る。

 

「なにそれ」

「ふふーふ、風鳴翼さんの初回特典付きCDの注文票だよ~、それもなんと二枚っ。これ持って受け取りに行くとか言えば誤魔化せるっしょ、昨日買えなかったことを考慮すれば未来ちゃんも納得するはず!」

 

あ、ちなみにだけど証拠品として片方はもちろん響ちゃんに譲るよー。と言いながらドヤ顔を決める奏音に、流石にそこまでして貰うのは気が引けるのか響は遠慮しようと両手を振った。

確かに無難ではあるが、流石に譲って貰うほどの事を自分はしていない。

 

「いやいやいや、さすがにそこまでして貰うのはちょっと……というかいいの? 初回特典だよ? ダブルだよ?」

「いいのいいの! それに昨日は助けて貰っちゃったし、お礼ってことでさ」

「……でも、殆どはつば―――あの二人がやった事だし、私はまぐれ当りでやったのは」

 

一体だけだし礼を貰うほどじゃ、そう言おうとしたところで唇に人差し指を押し付けられ、黙らされる。思わず抗議の視線を向けるも、その様子を見て奏音はやれやれと肩を揺らし、苦笑しながら口を開いた。

 

「それでもあの時、響ちゃんが居たから僕とあの女の子は助かった。助けて貰った。ならせめてこの位はお礼として渡しとかないと、バチ当たっちゃうよ」

 

だから卑下する事じゃないし、遠慮する必要もない。そんな言葉を感じさせる瞳を向けながら押し付けていた指を離し、ぴんっ、と響の鼻を軽く突く。

釈然としないものの、奏音の気がそれで済むならば、と響は了承するように頷いた。

それを見て奏音も満足そうに口元を緩め、目を細めるが……

 

「―――ほいっと、ノン捕獲~」

「ひょ!?」

 

するとそこへ、タイミングを見計らったかのように二人の元へ小日向未来を含んだ四人の生徒が近づいて来て、その内で一番長身の「安藤 創世」が奏音の背後から脇へ手を通し、軽々と持ち上げ(捕獲し)た。

 

ちなみに、創世はよく人の事を個性的なあだ名で呼び、響の場合はビッキー、未来の事をヒナ、奏音はノンと呼んでいたりする。

もっともその呼び方は、あまり周囲には広まってはいないようだが。

 

その様子を見て一緒に来た未来と、よく創世と行動を共にしている事が多い二人―――奏音ほどでは無いが小柄でツインテールがトレードマークな「板場 弓美」と長い金髪に白いカチューシャを付けた「寺島 詩織」が待て待てとストップをかける。

 

「いくらアニメみたいなロリっ子といえど、流石にその扱いはまたキレちゃうわよ」

「ぅ」

 

アニメみたい、と普段からよくする例えをした弓美の一言に、抱えられた奏音の頬が僅かに引き攣る。

 

「でもここまで容易に、女子の腕力でも持ち上がるほどだと、小さ過ぎるのが心配にもなりますね」

「……ぅぅ」

 

更に詩織からの一言(追撃)で、プルプルと震えはじめる。

確かにここまで軽く、小さいと色々と心配になってしまうのは確かだ、と響やその様子を見ていた未来はウンウンと頷いてしまった。 

 

一見すれば小学生高学年が中学年くらいにしか見えないその容姿。そのことを誰よりも気にしている奏音にとって彼女らの言葉は、悪気は無いとわかってはいてもスルー出来るものではない。

いつもならここで、「誰が豆だあぁ!」等と叫びながら速攻でキレるところをそれでも奏音は全身を震わせるだけに留め、湧き上がる感情を押さえつけながら「で、一体何さ急に」と自身を抱えている創世に笑みを浮かべながら訊ねた。

目は笑ってはいなかったが。

 

「うん、ノンとビッキー、ちょっとこの後暇なら『ふらわー』行ってみない?」

「ふらわー?」

「あー……秋都から近いとこにある駅前のお好み焼き屋だったかな、確か」

 

しかしそんな奏音の様子に対し、特に動ずる素振りも見せずに創世は奏音と響へ、一緒に「ふらわー」というお好み焼き屋へ行かないかと誘ってきた。

美味しい所だろうか、と響が想像している一方奏音は覚えがあるのか、店の場所を思い出していた。

 

「私は行く事にしたけど、二人も一緒に行かない?」と未来が告げてくるが、奏音が目配せを響に送ると、困ったような笑みを装いながら「ちょっとどうしても外せない用事があってさぁ……」と響が返事をする。

 

「ん、昨日ちょっと色々あって受け取りに行けなかった予約済みの初回特典付きCDを、ね。ふらわーとは真逆の方向にあるから、流石に途中で寄る事も出来ないし……また今度誘ってくれると嬉しいかな」

 

奏音の言い訳に、それじゃ仕方ないかぁと呟きながら四人は離れていった。

ただ、その際未来が浮かべていた寂しげな表情に気付いた響は罪悪感から俯き、未来が教室から出て行った直後に小さくゴメンと呟いた。

 

 

 

 

そして、未来達が去った後。

教室から他の生徒の姿が無くなった頃合で奏音が証拠品としてCDを受け取りに行くと言い、教室から姿を消し十数分ほど経ったくらいだろうか。

 

独り、夕日が差し込む教室で二課からの迎えが来るのを待っていた響が「ここ最近の私、ついてないなぁ……呪われてるのかなぁ……」と呟き、溜息と共に立ち上がると、ふいに後方のドアが開く音が聞こえ、振り返った。

 

「あ」

 

そこには、先日の夜に見た時の様に、愛想を感じさせない表情を張り付けた翼が、佇んでいた。

見たくもない、と言いたげな雰囲気を出している翼は、響へ視線を向ける事も無く、定例文のような内容の言葉を口にする。

 

「―――重要参考人として、再度本部へと同行して貰います」

 

 

◆■◆■

 

 

二課本部の一室へ案内され手錠を外された響は、しばらく待つように言われた。

部屋の中には翼と自分以外に、二課司令である弦十郎とオペレーター代表として藤尭朔也、友里あおいの二名の姿があり、昨日見たやたらテンションの高いイメージが強く残っている女性、櫻井了子やおそらくここへ呼ばれているであろうと思っていた國次(イルミネイザーの人)の姿は無かった。

 

ただ待つのも暇なのでオペレーター二人からの自己紹介を受けていると、スライド式のドアが開き、少しぐったりとした様子の國次を乗せた車椅子と、それを押す了子が室内に入ってきた。

 

「変身だけとはいえ……意外と、きついなぁ……」

「ハァイお待たせ~。ちょっと國次君の追加検査で手間取っちゃって遅れたけど、昨日のメディカルチェックの結果発表といきましょうかー!」

 

そして國次を乗せた車椅子を響の傍へ停めるや否や、指示棒を取り出し宙に浮かぶ画面を展開させる。そこには、響と國次の検査結果らしきものが映し出されていた。

 

「まずは響ちゃんの方ね。まず体の方にはハジメテによる負荷以外にこれといった異常はほぼ無し、健康そのものねー。で、次に國次君の方だけど……こちらもちょっと気になる点を除けば、体の大半は元気過ぎるくらいね」

「ほぼ……」

「大半……ですか」

 

何か引っかかる言い方に、眉を顰める二人。

その様子を見て了子は、「まあ二人が聞きたいのはそんな事じゃなくて、あの姿の事とかよね」と言いながら、部屋の隅にいた翼にアイコンタクトを送る。

それを受けて翼は、首にぶら下げていた赤いペンダントを二人へ見せつける様に掲げた。

 

「まず響君の方から説明する事になるが……今翼が手にしているのは第一号聖遺物『天羽々斬』。そして、響君。君が昨夜纏っていたモノは『ガングニール』、第三号聖遺物とされるものだ」

 

聖遺物と聞いて、所謂聖人などの遺品等が思い浮かぶが、天羽々斬やガングニールといったモノと結びつくようなものだったか? と首を傾げるが、とりあえず大体の概要を知る為にもとスルーする。

 

そして、後に控えている國次の事の説明なども考慮し、ある程度掻い摘んで説明されてゆく。

翼や響が纏っていたソレは、所謂聖人などが残したものを意味する聖遺物の事ではなく、世界各地の伝承や神話などに出てくる武具を始めとした道具などを指すモノ。

物の考えようによっては伝説の生物などもこれらに分類されるかもしれないらしい。

 

だがそれらが運用されていたのは遥か昔で、当然現代に残っている者の大半は経年劣化や破損などが多く、当時程の力を持っているものはごく僅か……完全聖遺物と呼ばれるものぐらいらしい。

自分や翼の纏っていたモノも、欠片程のモノだと言う。

 

だが、そんな欠片程のモノでもわずかに残っている力を増幅させる方法が、特定振幅の波動……つまり、『歌』だ。

 

 

そして歌により起動した聖遺物を、一度エネルギーに還元した後鎧の形に再構成したのモノをアンチノイズプロテクター……『シンフォギア』と呼ばれる翼や響が纏う鎧へとなるとのこと。

 

しかし、そこまで説明されたことで部屋の隅にいた翼が声を荒げる。

 

「だからとて、誰の歌、どんな歌にも……聖遺物を起動出来る力が備わっているわけではないッ!」

 

苛立つように口にした言葉に、室内が静まり返る。

國次は周囲を見て、響と自分以外が浮かべている表情等を見比べ、前に『それで(歌で)』何かがあったのだろうと察した。

 

()で、翼が声を荒げてしまい、他の皆の瞳に悲しみの色が浮かび上がってしまう、何かが。

 

そして、時間にしては数秒であるその静けさを最初に破ったのは、弦十郎だった。

 

「……聖遺物を起動させ、シンフォギアを起動させられる歌を歌える僅かな者の事を、我々は『適合者』と呼んでいる。それが翼と、そして君というわけだ」

 

出来るだけ明るめに、姪が言った事へフォローを入れた弦十郎に続くように、了子もあとに続こうと、表示されている画像をレントゲン写真へ切り替える。

 

「で、一番気になっている、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……その理由が、この影ね」

 

響の上半身のレントゲン写真、それは普通の人間と比べ、明らかにある筈のない影が、心臓付近に映っていた。

 

小さくて判り辛いが、何かの破片らしきものの影が幾つか、心臓辺りに存在するのが見て取れ、それを目にした國次は既視感を感じ、徐に自分の腹部に手を当てた。

 

そして響もそれを見て、驚きの表情を浮かべ胸に手を置く。

それは、二年前のライブ会場で起きた惨劇の際に、胸へ複雑に食い込み手術でも摘出不可能且つ一応残っていても問題は無いだろうという事で放置されていた、破片だった。

その時に負った胸の、音楽記号の『f(フォルテ)』にも似た傷跡がある辺りを制服の上から撫で、その時の事を弦十郎たちに説明していく。

 

―――ガングニール、聖遺物、シンフォギア、歌による起動、声を荒げる翼、二年前のライブ会場での出来事。まさか……。

 

それらを聞いて、点だったものが繋がっていき、國次の中である予想が浮かび上がってくる。

 

「二年前……ライブ会場……歌……ツヴァイウィング。……あの、まさかとは思うんですが……もしかして、立花さんが身に纏っていたガングニールの、前の持ち主って天羽奏さんだったりします?」

 

恐る恐る、確認を取るように呟いたそれを聞いて、弦十郎は頷き、翼は顔を俯かせた。

 

「―――あぁ。二年前、あのライブ会場でのノイズの大発生時……翼と共にシンフォギアを纏い、戦っていたものがもう一人いた。……君の言うとおり、ガングニールのシンフォギアを纏っていたのは、奏君だ」

「そして今回の調査の結果、この無数の破片の正体は……奏ちゃんが纏っていたガングニールの破片そのものと判明。あの時のノイズとの乱戦の際に、破片が飛び散ったか何かで食い込んだであろうそれを、今回響ちゃんが起動させ、再びシンフォギアの形を成した、ってことになるわね……」

 

憂いの表情を浮かべながらも、事実を認め、そして結果を伝える二人。

誰もが押し黙る中、戦慄とも、茫然ともとれる表情を翼は浮かべ、転びそうとまではいかないものの、体をふらつかせ、手をついた椅子を支えに倒れまいとする。

だが……今にも感情が爆発してしまいかねないのを抑えるように顔に手を当てる彼女へ、追い打ちをかけるように了子の口から、彼女の心を裂いてしまいかねない言葉が呟かれた。

 

「……奏ちゃんの、置き土産ね」

「―――っ」

 

悪気は無いであろうその言葉は、しかし確かに翼へ深く突き刺さってしまった。

大切な存在だった、片翼たる存在(天羽 奏)が残したそれを、今になって纏う者が目の前に現れた。

胸の奥底からこみ上げる、どうしようもない程に堪え切れそうにない感情の塊を、翼は吐き出すまいと口に手を当て、ふらつく体で部屋から出ていく。

 

その悲しみに暮れた後姿を見て、せめて今は一人にしておいてやるべきだろうと、見送る事しか國次達は出来なかった。

 




國次の検査結果は次回へ。

ただ、2年の間ほぼ毎回ノイズと戦い、そのたびに激痛に苛まれていた体はさて、無事と言えるのでしょうか
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