仮面ライダーAP   作:オリーブドラブ

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◆今話の主な登場ライダー

◆マウンス・シーバード/仮面ライダーSPR-27スナイパースパルタン現地改修型
 エンデバーランドの激戦区でシェードを相手に抗戦し続けていた陸軍中尉。どんな戦場からも必ず生き残る「死神」と呼ばれた狙撃手であり、アレクシスやガルス達の元同期でもある。すでに大破しているスパルタンシリーズの残骸を掻き集め、スナイパースパルタンの外骨格を応急処置的に現地改修していた。当時の年齢は26歳。
 ※原案はX2愛好家先生。
 ※12年後を舞台とするX2愛好家先生の3次作品「仮面ライダーAP外伝 Imitated Devil(https://syosetu.org/novel/316771/)」にも登場。



黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第29話

 

 ――マルコシアン隊のスパルタンライダー達が、グールズ・ブリアレオスとの死闘に臨んでいた頃。パンツァースパルタンことシュタインから「生還」を命じられていた心堂一芯をはじめとする4人の日本人兵士は、死の街と化したエンデバーランドの街道を懸命に進んでいた。

 

 だが、息を荒げて必死に歩いている4人の負傷兵達は、あまりに無防備であり。その姿を発見したシェードの一般戦闘員達は、彼らを嘲笑うようにゆっくりと背後から距離を詰め始めている。その手に握られた小銃の銃口が、非力な兵士達の背中を捉えていた。

 

「はぁ、はぁっ……!」

「……明智、上杉、武田。もういい、もういいんだ。俺は置いて……お前達だけでも逃げろ。生き残るんだ、何としても」

「心堂隊長、そういうわけには行きませんッ! これはシュタイン少佐から課せられた、絶対に果たさねばならない命令なんですッ!」

 

 背後からにじり寄る、2人のシェード戦闘員。その気配を足音の「反響」で察知していた心堂一芯は、両眼を失いながらも部下達だけは逃がそうとしている。そんな隊長に肩を貸している明智天峯は、自分達の窮地を頭で理解しつつも、悲痛な面持ちで首を横に振っていた。

 

「くそッ、あいつら……! その気になれば簡単に撃ち殺せるくせに、わざと俺達を泳がせて楽しんでいやがるッ……!」

「そうだとしても……諦めるわけには行かないッ! 俺達は託されたんだ、彼らに……マルコシアン隊にッ……!」

 

 盲目となった心堂の背中を押している上杉蛮児と武田禍継は、後方から迫るシェード戦闘員を睨み付けながら、必死に前に進もうとしていた。全ては、マルコシアン隊から託された命令を遂行するため。そんな若き兵士達の奮闘を、シェード戦闘員達は嘲笑うように静観している。

 

「……ふっ、笑えてくるほど哀れな小僧共だ。この期に及んで、まだあんな眼をしている。もう助からないことなど、分かり切っているだろうに」

「なら、そんな夢見がちな弱者共に現実を見せてやるとしよう。……あの両眼が潰れた死にかけの男から殺るぞ」

 

 自分達の存在に気付かせた上で、敢えてすぐには襲わず逃げ惑う姿を楽しむ。そんな外道極まりない方法で心堂達を翻弄していた2人の戦闘員は、「余興」は終わりと言わんばかりに引き金に指を掛ける。

 

 すでに、外す方が難しいほどの近距離だ。彼らが引き金を引けばその瞬間、狙われた心堂の背中は蜂の巣となるだろう。しかし全員が負傷している上、身動きが取れない心堂を抱えている天峯達では、遮蔽物に飛び込むことも出来ない。緩慢に足を動かすことしか出来ない、鈍い的でしかない。

 

 そんな天峯達を嘲笑う戦闘員達が、ついに引き金を引こうとした――その時だった。

 

「……がッ!?」

 

 そのうちの1人が突如、頭から血を噴き出して倒れてしまう。銃声は聞こえない。かなりの遠距離からの「狙撃」だ。

 

「なッ……狙撃ッ!? しかも、俺達の頭部を貫通する威力だと……!?」

 

 予期せぬ事態に瞠目するもう1人の戦闘員は咄嗟に遮蔽物に身を隠し、強化された視覚を活かして周囲の索敵を開始する。改造人間の頭部を破壊出来る威力の狙撃銃ともなれば、発砲の際の反動も桁違いとなる。生身の人間が扱えるはずがない。

 

 ならば、グールベレーが対処に向かったという陸軍製の強化外骨格(スパルタンシリーズ)を使った兵士の仕業か。しかし、その外骨格を保有しているマルコシアン隊は、この区域には居ないはず。

 

(……! あれは……スコープの反射光か!)

 

 そんな思考を巡らせながら辺りを見渡していた戦闘員は、狙撃銃のスコープが放つ反射光を発見する。その輝きを辿り、同胞を仕留めた狙撃手を発見した彼は――思わず眼を剥いた。

 

「……ッ!? 馬鹿な、奴はッ……!」

 

 遥か遠方に聳え立つ、ビルの廃墟。その屋上に居たのは、自分が殺害したはずのスパルタンライダーだったのだ。対改造人間用の大型狙撃銃を携行していた、遠距離戦仕様の蒼いスパルタン。その厄介な機体は間違いなく、自分が真っ先にこの手で撃破したはず。

 

 しかし確かに、そのスパルタンライダーはそこに居た。見間違いではない。その真相に辿り着く暇もなく――咄嗟に顔を出していた戦闘員は、眉間を撃ち抜かれてしまうのだった。

 

「ゴッ……ゴーストめッ……!」

 

 ふざけるな。あれは、この戦場に蘇った幽霊(ゴースト)だとでもいうのか。そんな恨みを込めた遺言を呟き、戦闘員は事切れてしまう。一方、戦闘員達が立て続けに狙撃された瞬間を目の当たりにした天峯達は、互いに動揺した様子で目を見合わせていた。

 

「な、なんだ……!? 味方の狙撃……!?」

「いや、そんなのあり得ねえだろ……! 通常の銃火器がシェードの戦闘員に通じるわけがねぇ! それに、対改造人間用の武器を扱えるマルコシアン隊は皆、もうこの区域を離れているはずだ……!」

「ならば考えられるのは、シェード隊員同士の誤射……か? 何にせよ、立ち止まってはいられない! 早く隊長を安全なところに運び出すんだッ!」

「そ、そうだなッ……!」

 

 すでに死んでいるはずのスパルタンライダーの仕業。そうとは知らない天峯達は、この狙撃をシェード隊員同士の誤射と認識していた。彼らはこの機に乗じて速やかに離脱するべきだと判断し、心堂の身体を引き摺りながら足早にその場を後にして行く。

 

 そんな負傷兵達の姿をスコープ越しに遠方から観測していた狙撃手は、ゆっくりと狙撃銃の銃身を下ろす。大型のボルトアクション式狙撃銃を抱えた彼は、どこか憂いを帯びた眼差しで天峯達を見送っていた。

 

「……どうやら、また死に損ねたらしいな。俺も……お前達も」

 

 継ぎ接ぎだらけの鉄仮面の下で、彼がそう呟いた瞬間。ガラクタ同士を無理矢理繋ぎ合わせたような青と黒の外骨格が、崩れ落ちるように大破してしまう。緑色の右眼と、スコープ状に飛び出ている赤色の左眼。その双眸を持つアンバランスな鉄仮面も、瞬く間に瓦解していた。

 

 どうやら先ほどの狙撃の反動に耐え切れず、自壊してしまったようだ。この継ぎ接ぎだらけの外骨格――スパルタンシリーズ第27号機「SPR-27スナイパースパルタン」は、すでに一度「大破」した機体だったのである。

 

 先ほど死亡した戦闘員にスーツを破壊され、本来の装着者が殺害された後。その残骸を発見したこの狙撃兵が、現場に残っていた他のスパルタンシリーズの残骸と組み合わせ、即興の現地改修機を組み立てていたのだ。

 とはいえこの機体は、マルコシアン隊の隊員でもない「死に損ない」の狙撃兵が、応急処置的に拵えた急造機に過ぎない。それ故、たった2発の狙撃の反動にも耐えられず、自壊してしまったのである。そんな「相棒」の短い生涯に、狙撃兵はため息を吐いていた。

 

「しっかしまぁ……こんなスクラップ同然のガラクタが、よくぞここまで持ち堪えてくれたもんだ。さすがは我が軍の威信を懸けた傑作と噂されてる、スパルタンシリーズ……ってか」

 

 どんな戦場からも必ず生き残ることから、いつしか「死神」と呼ばれるようになっていた不死身の狙撃兵――マウンス・シーバード中尉。その異名に嫌気が差していた彼は、またもや(・・・・)自分が生き残ってしまった事実に独り嘆息する。彼が所属していた部隊はすでに、彼だけを残して全滅しているのだ。

 

 そんな彼は、激しい轟音が響いて来る方角へと視線を移し、静かに目を細めていた。それは、マルコシアン隊とブリアレオスが激突している孤児院跡地の方向であった。

 

「……こんなイイ装備(モノ)使っておいて、くたばりやがったら承知しねぇぞ。文句があるなら、生きて帰って来やがれってんだ……」

 

 かつての「同期」であるアレクシスやガルス達も居る、マルコシアン隊。その勝利と生還を静かに願い、マウンスもゆっくりとこの場を後にしていた――。

 

 ◆

 

 ――そして、その孤児院跡地では。ブリアレオスに向けられたパンツァースパルタンの砲口が、電光を帯びた火を噴いていた。

 

「おおぉおおぉおぉおーッ!」

 

 残された力を最後の最後まで振り絞るように放たれた、眩い電光を纏う巨大な熱光線。その閃光――「サンダーボルト・ギガブラスター」はブリアレオスの脇腹に炸裂し、そこにあった「穴」を大きく広げていた。サンダーボルトスパルタンとパンツァースパルタンの合体技が、ついに突破口を作り出したのだ。

 

「奴の体内が……開いた……!」

「これなら、行けるかも知れませんね……!」

 

 パンツァースパルタンの一撃によって広がった「穴」は再生が遅々として進んでおらず、ブリアレオスの肉体に「異常」が発生している事実を雄弁に物語っていた。激しく苦しみ、のたうち回る死骸の巨人は片膝を着き、息を荒げている。その様子を目の当たりにしたオウガスパルタンとガンブレイドスパルタンは、ついに状況が動いたことに拳を震わせていた。

 

「……どうやら、この巨人形態を形成する前に死体(パーツ)が欠ける事態は想定されていなかったようだな。不測の事態に備えた設計を怠るから、こういうバグが起きる……」

 

 並の幹部怪人よりもさらに手強いグールベレーの隊員が、死体も残さずに消滅するケースは想定されていなかったのだろう。その想定外の事態が引き起こした「バグ」が、ブリアレオスの再生能力を阻害しているのだ。目の前の現象からその「原因」を看破していたリペアスパルタンは、仮面の下で不敵な笑みを溢している。

 

 高火力の一閃を直接(・・)体内に叩き込まれた死骸の巨人は、自身の「核」を傷付けられ、悶え苦しんでいる。いかに優れた再生能力があろうとも、その生命の根源である「核」を破壊されては、さしものブリアレオスも己の巨体を維持出来ないのだ。

 

「今の一撃は確かに効いている……! だ、だが、俺達のスーツも……もう限界だッ……! 誰か、あの剥き出しの体内にもう1発デカいのをブチ込める奴は居ないか……!?」

「ダメだ……! 俺達全員、最大火力の一撃はもう出し尽くしちまってる……! 奴の巨体を吹っ飛ばせるほどの威力はもう……!」

 

 しかし、ブリアレオスの「核」に攻撃を届かせられる、千載一遇の好機だというのに。これまでの死闘でエネルギーや弾薬を使い果たしていたスザクスパルタンやゾルダスパルタン達は、最大火力の一撃を繰り出せないほどにまで消耗し切っている。このままではブリアレオスの再生もいずれ完了し、今度こそ最後の勝機が潰えてしまう。

 

「……いや、ある。たった一つだけ……俺達の全スーツに共通している、『最期の切り札』がある」

「……!」

 

 そんな中、独り意を決したように立ち上がった者が居た。リペアスパルタンだ。彼は決意に満ちた貌を仮面に隠したまま、周囲の仲間達を見渡し、「最期の切り札」の存在を口にする。

 

「俺達全員の外骨格に内蔵されている『切り札』を、奴の体内で繰り出せば……この戦いは、確実に終わる。俺は独りでも行くが……乗るか? 皆」

 

 それは、全員の命を犠牲にする最期の「自爆技」のことであった。生還の可能性を自ら投げ捨てる、事実上の「玉砕」。それを承知の上で、リペアスパルタンは敢えて仲間達に問い掛ける。この国の、この世界の人々のために、「命」を使い尽くす覚悟はあるか――と。

 

「……へっ、何を今さら日和ったこと言ってるんですか。やるに決まってるでしょう。今まさに、主任と同じことを言おうと思ってたところですぜ。あんたに預けてたこの命……ようやく使う時が来たってわけですなァ」

「ハッ、何お前1人でカッコ付けてんだよガーベッジ。そんなの、お前だけじゃねぇだろ。結局考えてることは、全員一緒……なんだからよ」

 

 事実上の「死」の宣告だというのに。軽口を叩いているラビッシュスパルタンやアサルトスパルタン達は、砕かれた仮面の下で不敵な薄ら笑いすら浮かべている。

 

「やっぱ、それ(・・)しかないってことですからね。……主任。俺達は最初から、この命を捨てる覚悟でここに来てるんです。改めて問うまでもない。……そうでしょう? 皆」

 

 死ぬことなどとうの昔に「覚悟」しているバレットスパルタン達にとって、リペアスパルタンの呼び掛けを拒む理由など一つも無いのだ。バレットスパルタンの言葉に、周囲のスパルタンライダー達も深く頷いている。

 

 この戦いで先に逝った、大勢の戦友達。彼らに逢えるというのなら、楽しみですらある。狂気にも似た蛮勇に身を委ねる彼らは、躊躇うことなく最期の力を振り絞り、続々と立ち上がって行く。

 

「……あぁ、ありがとう皆。俺達の覚悟……ランバルツァー大佐に見せてやろう」

「それと……あいつら(・・・・)にも、ですね」

 

 研ぎ澄まされた眼光で、死骸の巨人を射抜くリペアスパルタンやブロウスパルタン達。彼らの脳裏には、マルコシアン隊の仲間達だけでなく――雌雄を決したグールベレーの戦士達の姿も過っていた。

 死んだ後ならばもはや、敵も味方も関係ない。死力を尽くして殺し合った宿敵(とも)を眠らせるためにも、彼らは立ち上がっているのだ。

 

「……ならば行くぞ、皆ッ! これがサンダーランス作戦の正念場……最期の突撃だッ!」

「了解ッ!」

 

 やがてスパルタンハリケーンに跨ったリペアスパルタン達は、一斉にエンジンを全開にすると――ブリアレオス目掛けて、最期(・・)の突撃を敢行する。

 凄まじい急加速で一斉に走り出す無数のバイクが、猛煙の軌跡を描いて死骸の巨人に群がろうとしていた。まるで、バイクの形状をしている誘導ミサイルだ。

 

「トォオオオッ!」

「トォイヤッ!」

 

 彼らを乗せたスパルタンハリケーンは全く減速することなく、ブリアレオスに肉薄して行く。スパルタンライダー達は激突寸前のところで続々と愛車から跳び上がり、巨人の「穴」に飛び込んで行った。

 

 そして無人となった無数のスパルタンハリケーンはそのままブリアレオスに衝突し、激しい炎と共に爆散して行く。愛車すらミサイルのように扱う彼らの無謀な突撃に、死骸の巨人は苦悶の雄叫びを上げていた。

 

「よし……奴の『体内』に入り込んだッ!」

「皆、フォーメーションを組め! 最期の切り札は……ここで発動させるッ!」

「了解です、主任ッ!」

 

 各々の愛車を犠牲に、ブリアレオスの「体内」への突入を果たしたバレットスパルタン達。リペアスパルタンからの呼び掛けに応えたライダー達は迅速に円陣を組み、互いの肩に腕を回す。持てる最大の火力を引き出す「自爆技」の発動には、このフォーメーションが不可欠なのだ。

 

「……あー、ダメだ。ここに来るまでに辞世の句でも考えとこうって思ってたのに、やっぱり何も思い付かん」

「いらねーよそんなもん、第一誰も記録出来ねぇだろ」

「道連れなら周りにいっぱいだけどね」

「ハッ、こりゃあ良い。全員纏めて、あの世行きの片道ツアーってわけですかい」

 

 いよいよ自分達の「最期」だというのに。スザクスパルタンやアサルトスパルタン、ソニックスパルタン達の双眸には恐怖の色が微塵も無い。ラビッシュスパルタンに至っては、この自爆を片道ツアーなどと称している。彼らは、自分達の周囲に広がるグールベレー達の「残骸」を見渡しながら、不敵な微笑を浮かべていた。

 

「これから地獄が騒がしくなるわね」

「全くです、天国の皆様には良い迷惑だ」

冥府の番犬(ケルベロス)も、この数の死霊には目を丸くするだろうよ」

 

 ノイジースパルタン、ハッカペルスパルタン、そしてガトリングスパルタン。ため息混じりに軽口を叩き合う彼らも、これから死のうとしている者だとは思えないほどに落ち着き払っている。ただ「その時」が来ただけなのだと、彼らの眼が語っていた。それは、互いに顔を見合わせている他のスパルタンライダー達も変わらない。

 

「……バイル。やるぞ」

「はい……! 皆、終わらせよう! 全て!」

「おうッ!」

 

 そんな仲間達の様子を見渡し、その「覚悟」を確かめたリペアスパルタンの言葉に、バレットスパルタンも深く頷く。彼の叫びに応えた戦士達は円陣を組みながら、全員同時に片腕を天に翳していた。

 

 すると次の瞬間、全員の外骨格が眩い閃光に包まれて行く。その輝きはスパルタンライダー達の全身を飲み込み、さらに大きく、際限なく――ブリアレオスの体内で広がっていた。

 

 ――例え全世界が絶望したとしても、お前達だけは最後まで諦めるな。

 

 全てを飲み込んで行く閃光の中で。かつての師が遺した教えが、戦士達の脳裏を過ぎる。例え袂を分かったとしても決して揺らぐことのない、マルコシアン隊としての根幹。その教えを胸に、戦士達は声を揃えて叫ぶ。

 

 ――スパルタン・シンドローム!

 

 彼が揃えたその雄叫びが、ブリアレオスの体内で轟く瞬間。各隊員の外骨格に内蔵された自爆装置が、同時に作動する。

 

 命と引き換えに絶大な火力を齎す、スパルタンシリーズの自爆。その猛火を一点に集中させるこの「玉砕」こそが、ブリアレオスの「核」を確実に破壊し得る唯一の一手だったのだ。

 

 ――ランバルツァー大佐。あんたの教育は……間違ってなんかいなかったよ。

 

 仲間と共に、光の彼方に消え行く中で。爆炎に仮面を消し飛ばされたバイル達は、憑き物が落ちたような微笑を浮かべていた。敬愛していた師の教え。その正しさを、最期に証明出来たこと。それこそが、彼らにとって最大の意義だったのかも知れない。

 

 ◆

 

 やがて、孤児院跡地に巨大な火柱が上がる。暗雲を貫いたその閃光は天を覆う闇を穿ち、その一帯のみに陽光の輝きを齎していた。

 

 暴れ狂っていた死骸の巨人も、その巨悪と戦っていた仮面の戦鬼達も、跡形もなく消え去っている。まるで全てが幻だったかのように、何もかもが消え失せていた。

 

 ただそこには、火柱により開かれた陽差しの光だけが残されている。その一条の輝きは、戦士達の魂を導く天国への道のようであった。

 





 今回は夜戦編以来となるスナイパースパルタン回。そしてグールベレー戦のラストを飾る、グールズ・ブリアレオスとの最終決戦。読者応募ライダー達の事実上の退場回となりました。あくまで生死不明という形ではありますが、本章における彼らの活躍はこれにて終了となりますm(_ _)m
 始祖怪人(本作におけるラスボス級怪人の総称)にも匹敵し得るブリアレオスをスパルタンシリーズで倒すには、これしかなかったのでしょう。皆、よく頑張ってくれました……( ̄^ ̄)ゞ

 しかし、戦いはまだ終わってはおりません。次回からは、読者応募ライダー達に道を切り開いてもらったジークフリート達の戦いが描かれて行きます。果たして彼らは仲間達から貰ったチャンスに応え、この街を守り抜けるのか。最後までどうぞお楽しみに!٩( 'ω' )و

 さてさて、それではここで大事なお知らせ。現在、X2愛好家先生が本作の3次創作作品「仮面ライダーAP外伝 Imitated Devil(https://syosetu.org/novel/316771/)」を連載されております。本章から約10年後の物語である外伝(https://syosetu.org/novel/128200/44.html)から登場した「仮面ライダーオルバス」こと忠義・ウェルフリットが主人公を務めております!
 こちらの作品の舞台は、本章から約12年後に当たる2021年7月頃のアメリカ。悪魔の力を秘めたベルトを使う、ジャスティアライダー達の活躍に焦点を当てた物語となっております。さらに今話に登場したマウンス・シーバードもハンサムなイケおじとして活躍しておりますので、気になる方々は是非ともご一読くださいませ〜!(*≧∀≦*)

 さらに現在は、ダス・ライヒ先生の3次創作作品「仮面ライダーAP アナザーメモリ(https://syosetu.org/novel/313018/)」も公開されております! 本章から約11年後に当たる2020年8月頃を舞台としており、こちらの作品では数多くの読者応募キャラ達が所狭しと大活躍しております。
 多種多様なオリジナルライダーやオリジナル怪人達が大暴れしている大変賑やかな作品となっており、さらには本章の主役であるジークフリート・マルコシアン大佐も登場しております。皆様も機会がありましたら是非ご一読ください〜(*^▽^*)

Ps
 ブリアレオスのモチーフは「仮面ライダーストロンガー」のラスボスだった岩石大首領。スパルタンシンドロームも含め、今話は特に昭和ライダーオマージュ多めとなっております(*'ω'*)
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