ロウきゅーぶ!短編集   作:gajun

48 / 51
耳掃除

「それじゃ、ジッとしててね」

「は、はい。……少しだけ……ううん、すごくドキドキします……」

 幽かに火照らせた顔からも彼女が緊張している様子が窺える。

 俺の言葉に従うように静かに体を横たわらせ、俺がよく見えるように彼女の大切な小さな穴を向けてくれる。

 俺と智花は今まさにお互いの初体験を迎えようとしているのだ。

 

「こんなにマジマジと見せてもらったのは初めてなんだけど……智花のはとても綺麗な形だね」

「ふぇぇ!? は、恥ずかしいので……あまり見ないで頂けると……」

 思わず零れ出てしまった俺の素直な感想に一層頬を染めてしまい手で覆い隠されてしまった。

 

「恥ずかしがらせちゃったのは悪かったけどさ、手をどけてくれないと始められないよ? それにしっかり見せてくれないと俺もちゃんとできるか不安だしさ」

「はぅぅ……それは、そうですけど……やっぱりちょっと恥ずかしいですよぅ……」

 どうやら俺の余計なひと言で決意が鈍ってしまったのだろう。

 確かに普段はあまり注視して見ることがないような場所を俺にじっくり見られてしまっているのだから、変に緊張もしてしまっているのだろう。

 

「ほら。俺の方はもう準備できてるんだし、智花だって早くすっきりしたいだろ? 大丈夫だよ、ちゃんと痛くないように優しくするから。……俺を信じて欲しい」

 なかなか覚悟を決められず申し訳なさそうな表情をしながら、小刻みに震えている少女に優しく声を掛けつつ、安心させるように頭を撫でてやる。

 手触りのいいミドルショートの髪に指を絡めるように優しく撫で続けていると、彼女の方もその感触が心地よいのか、徐々に表情を緩ませ、身体の余計な力も抜けてきているように感じられた。

 やがて、意を決したのだろう。彼女の小さな手によって覆い隠されていた少女の大切な穴が再び俺の目の前に曝け出された。

 やはり何度見てもすごく綺麗な形だと思ったが、また声に出してしまうと再び彼女が恥ずかしがらせてしまうな。と、その想いは胸の中に留めておくことにした。

 

「あ、あまり見ててもいいものではないといいますか……お見苦しいものですので、その……」

 ……この反応は羞恥心や緊張ではなく遠慮だな。相変わらず慎み深い礼儀正しい子だけど、俺の前ではもっと遠慮なんかしなくていいのに。

 

「智花の体で見苦しい部分なんてあるわけないだろ。もっとよく見せてもらうよ」

 俺たちが出会ってから過ぎた時間なんてまだ一年にも満たないが、それでもこれまでの付き合いから彼女がどんな性格なのかは少しは理解できているつもりだ。

 彼女が気にしているようなことを俺は全然気にしてないということを伝える意味で多少強引な行動をさせてもらう。

 少女の小さな穴の近くに指を当て、軽く動かしながら良く見えやすいよう位置を調整させてもらった。うん、これならすごくよく見えるな。

 

「それじゃ、入れるからね。もし痛かったり、怖かったらすぐ教えてね」

「は、はいっ。お、お願いしまふ……」

 緊張のあまり思わず噛んでしまった少女を可愛らしく思いながら、ゆっくりと彼女の穴に棒を挿入していく。

 大丈夫だよ。始めちゃえばすぐに気持ち良くなれるんだ。

 それに俺だってあんなのを見ちゃったんだから、早く智花の中に入れたくてたまらないんだ。

 

 

「んぅ……はぅぅ…………んっ」

「ご、ごめんっ。痛かった!?」

 中に入れてすぐの浅い場所の壁を擦っていたら、一瞬彼女の体がびくりとわずかに跳ねたので、慌てて動きを止め声をかける。

 

「い、いえ……その……今の場所……すごく気持ち良かったので…………も、もう少しして頂けますか?」

「あぁ、そういうことか。俺も擦られるとすごく気持ちいいからわかるよ。それじゃ、もうちょっと動かしていくよ」

 苦痛を与えたわけではないことがわかり安堵すると同時に、智花の気持ちいい場所を知れたことに喜びを感じつつ、棒を上下に動かす行為を再開する。

 彼女の表情を確かめながら、強く擦り過ぎないようにだけ気をつけ、何度も智花のイイ場所に棒を擦りつけるように往復させる。

 

「ふぁうぅぅ……んっ…………はぁぅぅぅ……き、気持ち…………いいですよぉ……」

 とはいえ、いくら智花の気持ちい良い場所でも、あまり同じ場所を擦りすぎると痛めてしまうかもしれないな。

 始める前の最初の緊張もだいぶ和らいだみたいだし、そろそろ次のステップへ。

 重点的に攻めていた場所から、もう少しだけ深い場所に入り込み、こちらも目的を果たすための動きへと変化を始める。

 

「と、智花、そのままちょっとジッとしててね……も、もう少しで……出そうなんだ…………」

「は……はいっ。……んぁ……は、恥ずかしいですけど……昴さんに……し、しっかり出して頂けると…………私も嬉しいですっ」

 彼女の中で小刻みに動かしながら、あと少しで得ることができるであろう最高の達成感が徐々に込み上げてくる。

 智花。君を悩ませ続けていた、この耐え難いまでの身体の疼きから解放してあげるからね。

 

「んぅ……ふぁ、ふぁうぅ…………だ、ダメ……気持ち良くて……へ、変な声出ちゃう…………」

「智花っ。外に出すよっ!」

「ん……ぁ……はああぁぁぁぁうぅぅぅっ!?」

 俺が出すのと同時に彼女も小さな体を仰け反らせている。

 必死に声を押し殺している様子に、何故か妙な色っぽさのようなものを感じてしまったが、間違ってもそんなことは口に出せないな。

 心の中で彼女に抱いてしまった不純な感情を詫びつつ、申し訳なさを感じたついでに少女の艶めかしさを感じてしまった少女の表情を速やかに記憶から消去する。

 何にしても智花も気持ち良く終わることができたのだから、これでミッションコンプリートだ。

 

「ふぅ……気になってたやつが取れて良かった」

「――!! あっ。わ、私がちゃんと捨てますので、耳かきを貸してくださいっ」

 智花にずっとむず痒い思いをさせていた元凶を無事耳かき棒で回収できて満足していると、膝枕をしていた彼女が慌てて飛び起きる。

 

「別に気にしなくていいって、ちゃんと捨てるまでが耳掃除だし――あっ……」

「はぁぁうぅぅっ!?」

 まるで奪い取るかのように飛び掛かってきた智花から反射的に耳かき棒を守るように大きく横に逃がしてしまったら、元凶がぽろっと床に落ちてしまった。

 

「ど、どこぉっ!? どこおぉっ!? 昴さんのお部屋を汚しちゃうなんてぇぇっ!!」

「べ、別に気にしなくていいって。後でちゃんと掃除するから」

 母さんが。ってか、ここまで取り乱す智花を見るなんて久しぶりだな。

 半狂乱になりながら、涙目で大慌てで落ちてしまったと思われる床の周辺をティッシュで拭きまくってる智花を宥めつつ、思わずそんなことを思ってしまった。

 とりあえずそんなに床を拭きまくってくれたんだったら、多分無事回収できたと思うよ。

 

「はぅぅ……本当にすみませんでした。せっかくの昴さんのお部屋を私のあんなもので汚してしまうなんて……」

「別にそんな汚いものじゃないって。それより、智花。ちゃんとすっきりできた? まだ耳が痒いとか違和感あったりとかは?」

「だ、大丈夫です……すみません、まさか昴さんにこんなことまでさせてしまうなんて……」

「いいって。俺からやろうか? って持ちかけたんだし。……実は俺も他人のなんて初めてだから少し緊張してたけど、大丈夫だった?」

「は、はい。昴さん、とてもお上手で……すごく気持ち良かったです……」

 恥ずかしそうに頬を真っ赤に染め俯きながらも、丁寧にお礼を告げてくれる少女を微笑ましく見つつ、やはり相当恥ずかしい想いをさせてしまったらしいことを悟る。

 確かにいくらそれなりに親しい関係になったとはいえ、男の膝に頭を乗せるのはやっぱ抵抗あったんだろうな。

 それでも大人しく俺に膝枕をされてくれて、最終的にはちゃんと智花もすっきりできたみたいだし、これで良かったよな。

 自分の選択に過ちはなかったに違いないと一人で勝手に頷きながら確信していると――、

 

「…………………………今度は私の番ですね」

「え?」

――気のせいか、なんかさらりととんでもないことを言われたような気が……

 

「もしご迷惑でなければ、私もお返しに昴さんの耳掃除をさせて頂きたい、です」

 それはとても嬉しい提案ではあるのだけれども……

 

「いいの?」

 俺の短い問いに小さくだが、しっかりと首を縦に振ると、

 

「ど、どうぞっ」

 綺麗な姿勢でしっかりと正座をしながら、片手には耳かき棒を携えて俺を待つ少女。

 本来なら彼女のご両親のために自重するべきなのかもしれないが、ここまで覚悟を決めてしまっている少女の好意を跳ね除けるような勇気は俺にはない。

 

「そ、それじゃ失礼するよ」

 言ってから気づいたが、今日の智花はミニスカートだった。

 間違っても俺の頭が彼女の素肌が露出している部分に触れてしまわないよう細心の注意を払わねばならない。

 前に自分の耳掃除をしたのいつだっけ? などと別のことに思考を回し智花への意識を誤魔化しながら目測を誤らないよう、智花と自分の距離を測りながらゆっくりと慎重に頭を下ろして行――

 

「はぁうっ!? す、すす昴さんっ!? こ、こっち向きですかぁっ!?」

「――!? ご、ごめんっ!? 反対だった!!」

 バカか俺は!! なんで智花の方を向いて膝枕されようとしてんだよっ!

 あろうことか考える限りで最悪な行動を取ってしまっていた。

 目の前まで迫っていた純白のブラウスの壁から、慌てて寝返りを打つように体を反転させる。

 

「……こ、ここは大丈夫?」

「んぅ!? す、すみません……も、もう少し奥の方まで……ひゃうんっ!? ご、ごめんなさいっ! 反対ですっ!」

「ごめんっ!! こっちかなっ!?」

「ふぁう。……は、はい。そこなら……すみません、何度も細かく注文してしまって……」

 彼女の太腿に頭を乗せたまま動いてしまったせいで、彼女のスカートを太腿半ばまで捲り上げてしまいそうになったり、後頭部を小さく温かい腹部に押し当ててしまったりと、危険な状況に陥りかけてしまったが、

 何度も彼女の柔らかな太腿の上を俺の頭を何度も這いずり回った末に、ようやくお互いが安心できる定位置が見つかり心の底から安堵する。

 

 俺の初体験よりも智花の初体験の方が想像以上に難航してしまったな。

 やっぱ男なんかよりも女の子の方が色々と気に掛けないといけないことが多く大変なのだと身を持って実感できたし、今回の経験を今後に活かさないと。

 いや、別に他の子たちにもしてもらいたいなんて思ってないけど、好奇心旺盛な子が多いから、もし興味を持ってやりたい。って思っちゃった時に備えての心構えとしてね。

 

 

「え、えっと……そ、それでは失礼しますね。粗相がないよう気をつけますが、何かありましたら教えてくださいねっ」

「う、うん。簡単にざっとだけでいいからね。そこまで丁寧にしなくても」

 謝罪とか色々言いたいことはお互いにあるだろうが、とりあえずそれは今は保留だ。

 いつまでも彼女の膝枕を強いるわけにもいかない。

 少しでも早く目的を果たし、俺の頭の戒めから彼女の大切な体を解放しなくてはならない。

 終わった後で、今回の埋め合わせにはまるで足りないだろうけど、この後の行動でお返しをすればいい。

 そう思いながら、目の端にちらちらと入ってしまう少女の白く小さな膝から視線を外すために目を閉じ、彼女に身を委ねることにした。

 目を閉じると、今度は封じられた視覚を補うためか、他の感覚器官が研ぎ澄まされてしまった。

 頭を乗せている彼女の柔らかな太腿を通じて伝わってくる温かな体温やスカート生地のすべすべした感触。

 おそらく言葉通り粗相がないようにと緊張しているのであろう、少女の視線や呼吸。

 まるで俺の気持ちいい場所を理解し尽くしているかのような巧みな棒捌き。

 否応なく俺は智花を強く意識させられてしまっていた。

 

「うっ……く……」

「あっ。だ、大丈夫ですかっ?」

 彼女から送り続けられる快感に必死に耐えようとしても、快感混じりのくぐもった声が漏れたり、わずかに身じろぎしてしまう。

 そんな俺の様子に目敏く気づき、責任感の強い少女はすぐに自分に至らないところがあったのでは。と確認を求めてくる。

 

「だ、大丈夫。智花も初めてとは思えないくらいすごく上手だよ」

「えへへ。それなら良かったですっ。いっぱいすっきりしてくださいねっ」

 俺の言葉が嬉しかったのか、気を良くした少女はさらに素早く巧みな棒捌きを駆使して俺を攻め立ててくる。

 優しい手つきで上下に擦り上げられ、むず痒さやもっと強くして欲しいというもどかしさを感じていると、

 

「あっ。ここを、もうちょっと強く擦った方がいいですよね。……ふふ。こうされるのが気持ちいいんですか?」

「う、うん……よ、よくわかったね。めちゃくちゃ気持ちいいよ」

「えへへ。なんとなくですけど、ちょっとずつ昴さんの気持ちいい場所がわかってきましたっ。いっぱい気持ち良くして、たくさん出して綺麗にして上げますねっ」

 智花にこんなことをさせてしまうなんて、正直かなり気が引けてしまうんだけど、この際だ。

 この絶妙な刺激に抗うなんて無理だ。変に我慢するくらいなら、いっそ全て白状してしまおう。それだけ智花が上手すぎるんだ。

 

「ごめん、智花。本当に気持ち良すぎて……もしかしたら、すごくだらしない姿見せちゃうかもしれないけど………………げ、幻滅しないでくれると嬉しい……」

「ふぇ? そんなのするわけないですよっ。……わ、私だって、さっき昴さんにいっぱいして頂いちゃいましたし、恥ずかしかったけど、嬉しくて……とても気持ち良かったです……」

 それなら良かったな。せっかくだし俺もしばらく智花の膝枕を堪能させてもらうか。

 

「えへへ。昴さん、終わりましたよ……ふっ」

「――うわぁっ!?」

 不意に耳に息を吹きかけられ、夢見心地気分から一気に現実に引き戻される。現実も智花の膝の上という極楽世界なんだが。

 

「ご、ごごごめんなさいっ!! その……み、耳掃除が終わったら、ふ。って息を吹きかけるのが作法だ。と言われてたもので……変なことをしてしまってごめんなさいっ!!」

 俺のあまりの驚きように、智花が悪いことをしてしまったと罪悪感を感じさせてしまったようだ。

 気を抜いていたとはいえ、確かにちょっと驚きすぎちゃったよな。

 今もめちゃくちゃドキドキしてるけど……

 

「あぁ、いや。俺の方も驚きすぎちゃってごめんね。急だったから驚いただけで……別に変なことではない……と思うよ?」

 いや、実際はよくわからないが。まぁやられたことがないわけでもないし、作法かどうかはともかくとして。

 とりあえず、油断し切っていた状態で耳に智花の吐息を送り込まれるという行為には、ものすごい破壊力があったのは間違いなかった。

 

 

「ふぅ……智花のおかげですっきりさせてもらったけど、智花は大丈夫だった?」

 気づくとかなり長いこと彼女に膝枕をしてもらっているのだ、足が痺れてたり痛くなったりしていないだろうかと心配になる。

 

「はいっ。大丈夫ですよ。と、とても貴重な経験をさせて頂いて、すごく嬉しかったですっ。…………ま、まるで、恋び――いえっ。なんでもありませんっ!」

 何か言いかけたようだけど慌てて口を噤んでしまったが何を言おうとしていたのだろうか?

 少し気になったものの、彼女の言うように俺も小学生に耳掃除付きの膝枕をしてもらうなんて貴重な経験をさせてもらったことのインパクトが強すぎて、すぐにそのことも意識の奥深くへと沈んでしまっていた。

 また一つ俺なんかが智花に大切な初めての経験をしたり、させちゃったけど、本当に良かったのだろうか?

 一瞬そんな想いがよぎったが、二人ではにかみながら笑い合っている内に、そんな葛藤なんてすごく些細なことのように思えた。

 せっかくだし、また一つ彼女と大切な思い出を作ることができたことを素直に喜ばさせてもらうとしよう。

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。