問題児たちと白黒バカップルが異世界から来るそうですよ? 作:夢泉
遅くなりました。すみません!
やる気が出るのでコメント(誹謗中傷は除く)お待ちしております!
※「ここをこうした方が良い」等の前向きなご指摘は遠慮なさらずにバシバシ書いて下さい!より良い作品を目指して精進していきます!
「ジン坊っちゃーん!」
「お帰り、黒ウサギ」
黒ウサギが所属するコミュニティのホームへ向かい歩くこと十数分。空から見た無数の天幕の1つの近くまで来た。
黒ウサギは手を大きく振って誰かを呼ぶ。その声に、数メートル程離れた位置にいた少年が応えた。ジン坊っちゃん、と呼ばれたその少年は緑色の髪をした、十歳くらいの少年だった。
「そちらの女性二人が?」
「YES!こちらの方々が!…あれ?…女性二人…?」
黒ウサギが振り向くと、そこには二人の少女。すなわち、飛鳥と耀しかいなかった。黒ウサギは慌てた様子で二人の少女を問い詰める。
「あのお三方はどちらに行ったのでございますか!?」
「ゼレフ君とメイビスさんなら…」
応える飛鳥はそこで一旦言葉を区切り、ある方向に顔を向ける。黒ウサギがそちらに顔を向けると…
「見てくださいゼレフ!ちょうちょですよ!ちょうちょ!」
「どこだい?」
「あそこです!あそこ!」
「あぁ、いた。綺麗な蝶だね」
「えぇ!図鑑でも見たことありません!羽がキラキラして、まるで宝石みたいです!」
「…本当にすごいね…綺麗だ…」
「えぇ…」
「…でも…君の方が…」
「えっ…」
「・・・という感じで、いちゃついているわ」
「はぁ、左様でございますか…。…あのお二人はもういいです!それより、十六夜様はどうされたのですか!?」
「十六夜君なら、『ちょっと世界の果てを見てくるぜ』とか言って走っていっちゃったわ」
「えぇえぇぇぇぇ!!!
……あの問題児様ぁぁぁ……」
大きな声で叫んだ黒ウサギは、急に静かになり下を向く。何やらブツブツ言っているようだが、小さくて聞き取れない。気のせいだろうか、彼女の背に炎が上がっているように見える。
「フフッ…!」
「あの…黒ウサギさん…?」
下を向いて、何やらブツブツ言っていた黒ウサギは、急に顔を上げ、不気味に笑う。
「ジン坊っちゃん!こちらの四名様に箱庭を案内して差し上げてください!私は問題児を連れ戻してきます!
…箱庭の貴族たるこの黒ウサギをここまで怒らせて……許しません!!」
捲し立てるように一気に喋った黒ウサギは、鬼気迫る表情で駆け出していった。
「アハハ……じゃ、じゃあ、ご案内しますので、ついてきてもらえますか?」
ジンと呼ばれた少年の案内に従い、二人の問題児と一組のバカップルは巨大な天幕の中へと足を踏み入れた。
「ここが…箱庭…」
天幕の中に入った四人の眼前には、信じられない光景が広がっていた。上には空があり、下には街がある。数多くの美しい建物が立ち並び、道がある。多くの人が通りを行き交い、言葉を交わす。広がっていたのは「街」否、「国」、いやいやもっとずっと広い…そう、まさしく「世界」が広がっていた。
「天幕の中に入ったのに、太陽がある」
耀が呟き、ジンが説明をする。
「箱庭を覆う天幕は、内側に入ると不可視になるんです。そもそもあの巨大な天幕は、太陽の光を直接受けられない種族のために設置されたのですから」
「・・・吸血鬼でもいると言うのかしら?」
「え?いますけど?」
飛鳥は冗談半分で尋ねたのだが、ジンは、当たり前のように応えた。何故そんな当たり前のことを聞くのかわからないといった様子だ。
「ホントですか!聞きましたかゼレフ!吸血鬼ですよ!ヴァンパイアですよ!」
ジンの発言に、メイビスが食いつく。彼女は目をキラキラさせ、上ずった声で話す。
「メイビス…少し落ち着いて」
「イヤです!妖精に会えるかもしれないんですよ!」
「妖精?」
ゼレフが嗜めるも、全く止まらないメイビス。彼女がふと溢した言葉に、飛鳥が反応する。
「はい・・・妖精です・・・」
急におとなしくなったメイビスは、静かに応え、目を瞑った。何かを思い出しているかのような、そんな様子だった。
急にメイビスが、目を瞑ったまま口を開く。
「妖精に尻尾はあるのか無いのか。…そもそも本当に妖精はいるのか。故に永遠の謎、永遠の冒険」
紡がれていく言葉には妙な力が満ちているようだった。誰も言葉を発することが出来ず、その場で立ちすくみ、メイビスの言葉に耳を傾けた。この箱庭における「妖精」について説明しようとしていたジンも、何も言えなくなっていた。
メイビスは目を開けて、先を続けた。その目はどこを見ているのか。遠く遥か彼方を見ているようにも、とてもとても近いところ、自分の内に目を向けているようにも見えた。
「いつか、どこかで・・・そうですよね・・・」
(ゼーラ、私は遂にこんなとこまで来ちゃいました。0からAへ、無から先へ。それでも、まだ私の冒険は終わりません。永遠の冒険はまだ始まったばかりです。私と貴女の
異世界の太陽が、少女を照らす。彼女の顔は太陽よりも明るく眩しい笑顔に輝いていた。
ここに、
「この気配・・・間違いない・・・あの者達か・・・私に復讐でもしに来たのか・・・神たるこの私に・・・くくっ、面白い・・・面白いぞ・・・」