時が過ぎ、昼休み終了のチャイムが鳴ると
絵里は慌てて教室に戻っていった。
もちろん、サボり魔こと奏は未だ屋上で
のんびり好き勝手だらだらしながら過ごしている。
時には演奏してみたり、
時には作曲してみたり、
時には昼寝をしてみたり、
時にはいたずらを考えたりと、
自由気ままに色々なことをしていたのだ。
そんなことをしていると、
あっという間に放課後へ突入。
奏はスクールアイドルに会いに行こうかと一瞬考えたが、面倒くさいから屋上で待ち伏せしてようと即決した。
…………っというか、
そもそも屋上に来るかすら微妙なのである。
それだというのに屋上で待ち伏せとは、
馬鹿と言うべきかアホと言うべきか…
絵里がいたら、奏を馬鹿だと罵っていたであろう。
そんな奏は愚策だということに気づかず、
ただただ上機嫌に演奏をしていた。
そんな時である。
ガチャっ
屋上の扉が開いた音がした。
それに気づかず、奏はノリノリで演奏していた。
_________________「わぁっ!!すごい……っ!」
「ん?」
下から声が聞こえ、下を見下ろすと、
そこには3人の少女がいた。
先程の声の正体はその内の目をキラキラと輝かせている少女であろう。
「あれ?珍しいお客さんだね~。
どったの?こんなところで」
「あっ!えっと、実は練習場所を探してて
そしたら綺麗な演奏が聞こえてきたから
屋上に来てみたんですっ!!」
明るい茶色の髪の毛にキラキラ輝く水色の瞳。
そんな特徴をもつ少女が笑顔でそう言った。
「ふーん。っということは、
もしかして噂のスクールアイドルちゃん達?」
「な、何でわかったんですかっ!!?」
「いやぁ~、今のこの時期にさ、
可愛い女の子達が練習場所を探してるって
言ったらこれしかないでしょ~」
へらっと笑って奏が言った。
相変わらず、チャラいとしか言いようがない。
「か、かかかかかわっ!!?/////」
「う、海未ちゃんっ!?」
「はぅ~//////」
青色のサラサラとした長い髪が特徴的な
THE・大和撫子という感じの女の子の顔から
プシューっと湯気がでている。
見事なまでに真っ赤である。
「あれまぁ~、ピュアピュアちゃんだね~」
まぁ、照れぐらいはこれからのことを考えれば、
徐々に直っていくという範囲内である。
後はカリスマ性と覚悟だ。
しかしそれにしたって何故屋上で待ち伏せという
愚策が成功したのだろうか。
只のまぐれであろうが、何という幸運か。
絵里がいたらギョッとして驚いていたことであろう。
「ねぇ、何でスクールアイドルをやろうと思ったの?」
「廃校を阻止するためですっ!!」
奏の質問に即答する少女。
その姿を見れば、
誰もが真っ直ぐで純粋な女の子だと思うだろう。
そう思わせるものが彼女にはあった。
「ほうほう。それはまぁ立派なこって。
でもスクールアイドルじゃなくても良くない?
他にもバンドを始めたりとか、
ダンスや演劇だって良いわけだし。
そもそも、それで廃校を阻止できるのかすら
分からないんだよ?」
「確かにそうかもしれません。
でもっ!A-RISEを見てこれだって思ったんですっ!
これからのことなんて分からないけど、
それでもやるって決めたからっ!
最後まで貫き通して廃校を阻止しますっ!!」
奏の意地悪な質問にもなんのその。
ここまで真っ直ぐに答えられる人はそう居ないだろう。
「ふむ。覚悟もカリスマ性も共に合格かな~。
後は鋼の精神と芯の強さだね………
誹謗中傷はあるかもしれない。
それを知った上でもやり抜ける?」
「やるったらやるっ!それが私ですからっ!」
「うんうん。良いね~。
私的には君たち良いと思うよ?
絵里ちゃんからは嫌われてるみたいだけどねっ」
「うっ!せ、生徒会長……」
奏が合格だと言わんばかりに頷かれる。
それに対して"?"を浮かべていた少女であったが、
次の絵里に嫌われている発言で顔をしかめる。
きっとなにかいざこざがあったのだろう。
「確かにね、絵里ちゃんは素直じゃなくて、
頑固で中々意思をすぐには変えられない、
そんな一面がある。
でも本当は優しくて芯が強くて良い子なんだよ?
今は廃校問題ってことで焦ってるせいか
かなりピリピリしてるけどねっ」
せっかく前半で格好良いことを言ったのに、
最後の最後で少しチャラけた。
何もかもがもったいない。
そう言わざるを得ないのが奏という人間だ。
「…………何故、生徒会長は私達を認めてくれないのでしょうか」
「行動あるのみ。自分達の気持ちと覚悟を証明して心を動かせば良い。ただそれだけだよ」
「……………気持ちと覚悟…」
奏恒例の格好良い情熱的な発言。
それは奏の長所であり、特徴でもある。
チャラけてるくせに情熱的で、
へらへらしてるくせに誰よりも周りを見てる。
よくわからない人だ。
あの絵里でさえ、奏が何を考えているのか
よくわからない時があるのだ。
奏という人間はブラックボックスに包まれている。
例に及ばず、目の前の少女も奏の言葉を呟いては
首をかしげるしぐさを見せている。
「絵里ちゃんだって氷に包まれてるだけだよ。
その氷を自分達の熱で溶かしてやれば良い。
ねっ?簡単でしょ?」
「うーーん。私、馬鹿だから良く分からないけど、
とにかく頑張りますっ!!」
「あはは。頼むよ?
珍しく真面目になったんだからさっ☆」
「い、いつもは真面目じゃないんですか」
「あったりまえっしょ☆
校内で一番の問題児だからね~」
「あ、あはは……
それは堂々と言って良いものなのかな…?」
もちろん、ダメである。
今の奏の発言を聞いたら、
絵里がキレるのは目に見えている。
堂々と宣言してどうする、っと。
奏という人間は決してめげない。
良くも悪くも、という言葉がつくが。
つまりは、絵里にキレられようが罵られようが
奏は決してめげずにまた馬鹿をやる。
っということだ。
【主人公設定】
左耳に銀色のピアス
首もとに格好いい黒色のチョーカー
銀色の二重チェーンネックレス
(外側のチェーンには銀色の指輪が通ってる)
右腕に複数のブレスレット