___________「やっ!絵里ちゃんっ!元気~?」
「…………奏」
「いやぁ~。久しぶりに生徒会室に来ましたなぁ~」
そう、残念な天才こと神崎奏は生徒会室に訪れていた。
ちなみに時は放課後で校庭からは部活動の声が聞こえてきた。
あの穂乃果が振られた(?)事件から二週間の時が過ぎてる。
そしてその二週間たった今いつもはいるであろう副会長は今は何故かここには居ないらしく、
奏と絵里の二人きりの空間ができていた。
「それにしても二人きりだね~、絵里ちゃん」
どこかで企んでそうな目つきでにやにやとし始める奏。
「…………だから何よ」
そんな奏をジトーッと冷たく見やる絵里。
「むふふ~。私と絵里ちゃんのラブコメが始まるね~」
「それはないから安心しなさい、
「まーた、馬鹿って言った~。
絵里ちゃんってば本当にツンデレさんなんだから~」
「……」
まるで近所のおばさんかのように
体をくねりながら言う奏に対し、
ひたすら冷たい視線を送る絵里。
そんな絵里を気にも止めない奏は
「おっ!そうだ!」っと話を切り出した。
「ねぇ、絵里ちゃん。知ってる?
スクールアイドルえーっと、確かμ'sって名前だったっけ?
そのμ'sがこれからライブするんだってさ~」
この前、嬉しそうにグループ名が決まったことを
報告してきた穂乃果の顔を思い浮かべながら奏は言った。
ピクッ
「……………知ってるわよ……」
「絵里ちゃんはさ~、見に行く~?」
「…………………私は別に…」
「ならさ、私と見に行かない?」
「っ!!な、なんで……っ!!?」
「よく校門前でチラシを頑張って配ってるの
見たし面白そうじゃ~ん?
それにこれからのことを考えると
見ておいた方がいいんじゃないの~」
それを聞いて絵里は顔を歪める。
……………一理はある。そう思った。
しかし奏まで………
「…………あの子達の味方をするの?」
副会長を頭に浮かべながら、顔を歪めて絵里は言った。
「あれ?絵里ちゃんってば嫉妬してくれたのかな~?
大丈夫、私は絵里ちゃんのものだからさっ☆
私は絵里ちゃんの味方だよ~」
「っ!!ならなんで……っ!!!」
奏は目を細めて優しく微笑んだ。
そんな奏に食って掛かる絵里。
必死そうな苦しそうな切羽詰まった顔をしてる絵里を見て、奏は優しく抱き締めた。
「だからこそだって~。
今私がやってることは
何れ絵里ちゃんのためになることだからね~。
時が来れば絵里ちゃんもわかるよ~」
「………………わかったわよ。
今はそういうことにしといてあげる」
「あはは。ありがとっ☆えーりちゃんっ」
素直になれない絵里におちゃらけたように返す奏。
すると突然奏がにやけだした。
絵里がそれを不思議そうに見てる。
「それにしても絵里ちゃんは可愛いなぁ~。
嫉妬なんかしちゃってさ~」
奏はにやにやしながら絵里をからかう爆弾を落とした。
「なっ!!?わ、私は別に嫉妬とかしてないからっ!! 勘違いしないでよねっ!!
絵里は目を見開き頬を少し赤らめて、勢いよく否定する。
「そういうところも可愛いよっ☆」
それに対して奏は返すと、ウィンクをチャラめに決めた。
「う、うるさいわよっ!
「んふふ~。ツンデレちゃんめ~」
奏はまたにやけだす。
一見すると変態である。
「つ、ツンデレじゃないからっ!!」
「もう~。そんなに可愛いことしてると私が惚れるぞ~。
って、もう惚れてたか~。あちゃ~。
なら後は結婚するだけだねっ☆」
「う、うっさい!何言ってるのっ!ばかっ!」
……………完全に奏の手のひらである。
なんともまぁ珍しい光景だ。
いつもは絵里が上にいるのに、
今は奏が上にいき絵里をからかってる。
絵里も余裕がないのでなかなか奏の上に行けず、
完全に奏にからかわれていた。
すると突然、奏が時計に視線を向けた。
「おっ!そろそろ良い時間ですな~。
絵里ちゃんをからかうのも
可愛いくて楽しいけど今はもうお預けってことでっ!」
「お、お預けって何よっ!
もう金輪際、からかわせないんだからっ!」
「ん~?それはどうかな~。
ってことで、ライブ行ってみよーかっ!」
奏は絵里の手を握り、グイッと引っ張って走り出す。
「あっ!ちょっ!!急にっ!!?」
「あはは。出発しんこ~っ!」
「ちょっ!!ちょっとーっ!!?」
絵里の叫びは虚しく散り奏の楽しそうな笑い声の元、
ライブ会場こと講堂に連れていかれるのだった。