___________あの衝撃ライブから時が過ぎ翌日。
いつものように屋上でのんびりしてる奏の元に
三人のスクールアイドル達が練習をしに来た。
実は奏はこの三人に頼まれ、
ちょっとした指導的なものをしているのだ。
とはいえ、プロではないため腕が下がってるとか
1テンポ遅れてるとか、動きがずれてるとか、
初歩的な注意しかしていない。
だから練習メニューの内容とか、
もっとこういう練習を取り入れた方がいいとか、
柔軟性がどうのとか、
本格的なダンスや歌については
全くわからないのである。
まぁそれでも無いよりはましなので、
現在は奏が軽く指導していた。
「1テンポ遅れてるよ~。
もうちょいスピードあげていこうか~」
「「「はいっ!!」」」
気が抜けるような指摘の仕方だが、
三人は真剣に返事をし、取り組んだ。
………………指導者がこんなんで良いのだろうか?
せっかく真剣に取り組んでいるのだから、
きちんとした指導者がほしいものである。
そんな時のこと。
____________バンッ!!
屋上の扉が音を張り上げて開いた。
奏達がそちらに注目すると、
そこにはどこか見知った3人の姿。
赤色の奏者と橙色の元気っ子が
ベージュ色の不安を抱える少女の腕を拘束して、
屋上にやって来た。
一体全体どうしたというのだろうか。
状況が不明である。
___________「つまりメンバーになるってこと?」
「はいっ!」
「へぇ~。μ'sメンバー増えるんだ~」
奏が興味深そうに相槌を打つ。
「かよちんはずっとずっと前から
アイドルやりたいと思っていたんですっ!!」
橙色の元気っ子がベージュ色の不安を抱える少女の
昔からの大きな夢を主張する。
「そんなことはどうでもよくてっ!
この子は結構歌唱力があるんですっ!!」
赤色の奏者がベージュの不安を抱える少女の
素晴らしい長所を主張する。
「どうでもいいってどういうことっ!!」
「言葉通りの意味よ!」
橙色の元気っ子と赤色の奏者の主張がぶつかり合う。
「私はまだ、なんていうか…」
ベージュ色の不安を抱える少女が自信なさげに言った。
「もうっ!いつまでそんなこと言ってるのっ!?
絶対にやった方がいいのっ!」
「それには賛成っ!
やってみたい気持ちがあるなら、
やってみた方が良いわっ!」
二人の意見がここで合わさる。
主張する内容が違えど、主張の題が同じだったのだ。
寧ろぶつかりあっていたのが謎である。
「で、でも……」
「さっきも言ったけど、声出すなんて簡単っ!
貴方だったら出来るわっ!」
それでもまだ不安を抱える少女に
赤色の奏者がここに来る前の事を振り返り励ました。
「凛は知ってるよっ!
かよちんがずっとずっとアイドルになりたいって
思ってたこと!」
橙色の元気っ子が不安を抱える少女の夢を
もう一度語り、励ました。
「凛ちゃん……」
いつも傍で支えてくれた橙色の元気っ子を見つめる。
「西木野さん……」
まだ出会ったばかりの自分を
優しく勇気づけてくれた赤色の奏者を見つめる。
「頑張って!ずっと凛がついててあげるからっ!」
「私も少しは応援してあげるって言ったでしょ?」
二人が一人の不安を抱える少女に笑いかける。
「えっと………私、小泉……」
まだ少しばかりの不安を抱える少女に
二人はそっと背中に手を添える。
そして勇気を授けるかのように、
背中をぽんっと優しく押した。
その反動で少しばかり不安を抱える少女が前に行く。
思わず後ろを振りかえると、
そこには笑いかけてくれる二人の友人。
ベージュ色の勇気を持った少女が勢いよく前を向く。
もう何も迷いはない。
_____________「私、小泉花陽といいますっ!」
ハッキリと自分の名前を言う。
そこから自信で満ちていることが見てとれる。
「一年生で、背も小さくて、声も小さくて、人見知りで、得意なものも何もないです!」
少々弱気になってしまうが、
それでも少女は最後には声をハッキリ出して
自身を勇気づけるように鼓舞した。
「でもっ!アイドルの想いだけは
誰にも負けないつもりですっ!」
きっぱりと言いきる。
そして……
「だから…………だからっ!!」
声を今までにないぐらい張り上げる。
「μ'sのメンバーにしてくださいっ!!」
ピシッとした姿勢で礼をした。
「こちらこそ」
優しげな声がかかる。
思わず頭をあげた少女に暖かい手が差し伸べられる。
「よろしくっ!」
そこには笑顔で告げる穂乃果がいた。
そしてそこで繋がれる感動の握手。
ここにて一人のスクールアイドルが誕生した。
「かよちん、偉いよ~」
「ふふっ。なに泣いてるのよ」
「だって~。って、西木野さんも泣いてるっ!?」
「だ、だだだ誰がっ!泣いてなんかないわよっ!」
二人の少女が友の勇気に涙した。
「それで二人はどうするの?」
思いがけない言葉が二人にかけられる。
「「えっ?どうするって?えぇっ!?」」
「まだまだメンバーは募集中ですよっ!」
二人は笑って差し伸べられた手を握った。
「青春だね~」
背後で老人化してる