ぼくのかんがえたわるいかんりきょくをヘイトする話 作:NonaIn
いつものつなぎ回。メインどこだって? さあ……?
N.D.75.7 +few days later
MID-CHILDA ;Task Force 6 Office
数日前に保護した幼女は、金色の髪に翠と赤の虹彩異色、と言う目立つ容姿をしている。本人申告では"ヴィヴィオ"と言う名らしく、何故か我らがエースオブエースなのは様
それだけならまあ、魔力持ち同士だから庇護を求めて強い魔力持ちに惹かれるのだろう、と納得できなくもない。
しかし、それが正体不明かつ控えめに見て不審者そのものであり、しかもフレームを隠密型ですらっとした男性タイプの【ロキ】から防衛型でがっしりした男性タイプの【フロスト・プライム】に変更したアリシアにも懐いている、となれば。
「……わざと、ここに……?」
ナナがそう訝しむのはそう不自然ではない。いや、ナナだけでなく懐かれたアリシア本人も訝しんではいる。この共通するのはどちらも単独任務をこなす事がおおい身の上であり、周囲が敵だらけである事も多い点だ。
もっともアリシアはそれを表に出す事はしていない。スパイに対するカウンターは、まるで潜入が成功していると思わせながら逆に探る事だからだ。――単にウォーフレームに顔らしい顔がついてないせいで表情が読み取られづらい事も成立している理由ではあった。
そして訝しむ理由はただそれだけではない。
スバルのタイタンであるマキアからの証言とAIログの提出により、彼女自身がある種の特殊な
――魔力に似ていながら、その性質は少々VOIDエネルギーに近い。TENNOであるアリシアとジョンは、データを各々のセファロンに解析させた結果をそう伝えていた。
それだけでなく、ナナも掠めとったデータをこっそりと6-4に送って解析を依頼しているが、ある古代遺産のデータと近似しているのではないかと考えている。
まず前提として。
魔力が個人によって独自の
細かい差異はあっても、どちらも無色のように見えて
そしてヴィヴィオの魔力光は
それが何を意味するかと言えば、魔力ではなく魔力の様態を持つ
であれば、それは非常に不確定で何が起きるか解ったモノでは無く。そうでなくとも出力を確保すれば
ナナがその推論・仮定から連想するのは。
「……アーク……
フォールドウェポン。
それはヴィヴィオがもつのと似た
かつて伝説となったパイロットが、同じく伝説となったヴァンガード級タイタンと共に破壊した代物。今ではその面影が微かに残る程度となった、旧い敵の置き土産。
今ではフロンティアの殆どの兵士が知る程に有名なそれだが、流石に人体にアークを押し込める事は無理だ、とナナは思考を切り止める。
今むしろ問題にすべきはヴィヴィオの魔力ではなく。
メンタリティの面で幼女そのものであるヴィヴィオ本人なのだ。
文字にすると邪魔な事この上ないためヘルメットの集音機能を切ってしまっていたが、丁度ナナの目の前には泣きじゃくるヴィヴィオが居る。別にナナやその周囲が何かをした訳ではない、ただただ彼女の面倒を見てほしいと頼まれて子供部屋と化した一室に入っただけだ。
強いて言えば、武装を最低限にしただけで装備を解いて居なかったくらいか。パルスブレードやデータナイフ、
ただそれだけで
ナナからしてみればマニュアル通りに動いてインシデント発生したようなものであった。ただ、誰かに助けを求める事も考えはしたがそこまでする必要も無いと割り切ってしまう。
彼女は不幸にも、真っ当な意味での子守りをした事が一度も無い。真っ当な子供をした事もない。
そもそもがスラム出身であり、そこでは泣き叫ぶ子供と言うのは殴り殺されるか、でなければ無視されて疲れ死ぬか。死体すら残るか怪しいような環境で――独り生き抜き、そして傭兵という命を売る商売に入ったのである。
要するに、泣き叫ぶ子供をどうにかする方法を知らずただ固まっているプロ傭兵、と言う何とも奇妙でお間抜けな光景が出来上がっているのであった。
「……ハァー。 レイ」
クソデカ溜息と共に相棒に通信を繋ぐ。しかし返ってくるのは無情な言葉だ。
『申し訳ありませんパイロット、現状を打破する方法は記録されていません。命の危険はなさそうです。上手くいったら教えてください』
四方塞がりである。
塞がってはいるが、打開する必要も無いと判断した。ゆえに部屋から逃げ出したり、危険な事になったりしないよう、それとなく見張っておけばよいと結論する。
扉の向こうではもっと知識のある人達が仕事にいそしんでいるのだと思うと、それはそれで"もにょ"っとした気分になるのは事実ではあるのだが、頼まれて引き受けた仕事は全うせねばなるまい。
ひとまずここに居るだけでもそれは何とかなる。飴でも食べながら未整理のデータを整理しようか、と考え――ああそうか、と思いついた。きっと唯一の冴えたやり方だ。
ジャンプキットのフェーズストレージから、包み紙で包装された飴玉を
それだけでも怯えたようにビクリとされたのは少なからず傷つくが、包装を解いて、彼女の目の前でヘルメットの前面を開いて、一つ口にする。そしてもう一つを掌に乗せて差し出した。
傍から見れば幼女誘拐の現場ではある。しかしそれでもナナは、じっとこちらを見つめるヴィヴィオにためらいがちに言葉をかけた。
「あげる。少し、ここに居ないといけない。酷い事はしない。 ……居ても良い?」
返事があるまで、じっと見つめる。ヴィヴィオも見つめ返す。
何秒、あるいは何分経っただろうか。下手なパイロットを敵に回すよりも緊張しながらも返事を待つナナの掌から飴玉をパッとひったくると、ヴィヴィオは部屋の隅に置かれた長椅子まで逃げてしまった。――少なくとも、泣くのはやめてくれたようだ。
とりあえずは嫌とも言われなかった、と安堵してヘルメットを閉じ、音響設定を元通りに戻す。そして部屋の中央にある長机に向い。
「すっぱい……」
そう呟いて口をすぼめているヴィヴィオを見て、そういえばレモン味を持ち歩いているのだったなあ、とナナは今更にして思い出したのだった。
いつの間にか、彼女を
YOJO IS ANGEL.
はっきりわかんだね。