ぼくのかんがえたわるいかんりきょくをヘイトする話   作:NonaIn

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日常つなぎパートその2
でも結構事態は大きく動いてます。





Chaptar.11 Disobey the coma light.

N.D.75.8

MID-CHILDA ;Administration bureau tower; Enterance

 

 

 その日、外回りと称して昼過ぎまで地上本部のパルスエコーを取る作業をしていたナナが帰って来て最初に見たのは、おそらくミッドで今彼女が最も見たくない組み合わせであった。

 まず目立つのは、子供であるがゆえに背丈の差で判別しやすいヴィヴィオだ。そしてその保護責任者に()()()()()()()()なのはとフェイト。その次に、数人との間に割って入るか仲裁するように立っている、あまり接点の無かった男性執務官――クロノ・ハラオウンだったか。

 

 そして現実逃避も兼ねて認めたくなかったが、クーベン・ブリスクを筆頭とした数人も居る。細身の男と、がっしりした女。

 

『個人情報を照合、特定しました。細身の男性は"バイパー"、恵躯の女性は"スローン"、共にパイロットです』

 

「……まあ、ケインやリヒターを連れて来ないだけ、理性的かな」

 

 名前だけ挙げた二人と、ここに来ている二人の差は、その犯罪歴と精神性の傾向くらいである。まだ一般人的と言うか、異常性が少ない人員を連れて来たと言う事なのだろう。

 ケインは薬物中毒者であり、リヒターは蛮族風精神性の持ち主である。

 

 ナナは暫く彼らの様子を眺める事にする。――武器を抜かない限りは割って入る気はない。

 何を話しているかはわからないが、見る限りはまず、ヴィヴィオの怯え方が目についた。ひっしとなのはの服を掴んで離そうとしていない。そしてなのはとフェイトはヴィヴィオをかばおうと、あるいは守ろうとするかのように立っている。気が立ってないだけまだマシだが、意志の強さは感じられるのが厄介な所だ。

 そしてそれと対立するようにして立っているブリスクら3人は、いくつもの書類を見せつけるように差し出している。今頃になってやってきてああしているところを見る限り、公式な管理局の書類であり、内容としては保護責任の所在を明らかにする――あるいは親権者が誰であるかを証明する書類だろう。

 そしてブリスクらがしていた(少なくともヴィヴィオにレリックを括りつけていた)事を欠片とは言え知っているなのは達が引き渡しを拒否し、話が長引いたので知り合いでもあるクロノが間に入って説得をしようとしている。

 

 そんなところだろう。概ね見立ては合っているはずだ。

 確かに保護責任者として適役であるのはなのは達の方である、とナナも考えはする。しかし"保護責任者"と言う立場は比較的()()ものだ。

 迷子を保護したらそれだけで保護責任者として法律上は扱われるが、だからと言って親権者あるいはその代理人からの引き渡しを拒否すれば明らかに法律違反であると思われる程度のもの。

 

 ゆえに今割って入って、結果的に犯罪の片棒を担ぐ訳には行かない。

 

 と、不意にヘルメット内無線ではなく民生用個人端末のナナのアドレスにメールが届く。その場で指をちょいちょいと動かしてヘルメットにリンクさせ、拡張現実(AR)で視界にウィンドウを展開。

 内容は単純なもので、蓑亀からのお茶(不定期報告)のお誘いだった。つまり何かしら知らせたい事があると言う事だろう、と判断する。

 一応、私用で外に居る、とだけ六課のメールリンクにメッセージを残して、ナナはあっさりとヴィヴィオ絡みの諍いから立ち去る事にした。

 

 

Few minutes later.

MID-CHILDA ;Open terrace cafe

 

 

 そうしてこちらにやってきた。とオープンテラスカフェの店外席の一つで珍しくヘルメットを外しているナナが語ると、蓑亀は呆れと諦めと納得を足して2で割ったような表情で頷いた。

 天候は曇り。雨の気配も遠く感じると言う事で、店外席はほとんど空いており、道行く人々は足早である。しかし彼女らの周囲は仄かで微かな金色の光に包まれていた。

 

「まあ致し方ないといえば致し方ないが、流石に非情に過ぎはせんか。……その、()()()()()()()()だったのだろう?」

 

「……言われてみれば」

 

「全く、お前はいつでもそうだな。とは言え涅槃(コレ)があれば乗せた時にタイタンは動かんかったはずだ、似てはいても違う……まあ急ぐ事もあるまい」

 

 涅槃。本尊(人造人間)である蓑亀がその身の内に押し込まれた、概念的な異世界。その片鱗を"微か"を通じて投射する事で現実を書き換える程の、驚異的な"理想世界"。

 もしそれを理解したうえでヴィヴィオを誰か――恐らく管理局最高評議会、あるいは更にその上のTSL(いしのようなぶったい)が回収に動き出したとすれば。それは、何かそれを使う前提の"何か"が整いつつあると言う事であり、それが"何"であれ、マトモな事にはならないだろう。

 

 しかしその一方で、わざわざ傭兵を用いて回収していると言う事は緊急性を持っていないと言う事でもある。もしかすると予備プランか、あるいは本当に単にこちらの勘違いの可能性もあるわけであり。

 

 いずれにせよ情報が足りない。足りなさすぎる。

 

「蓑亀。これ、地上本部の三次元音波反響データ」

 

「ん、そうだな、先にそっちを見る方がいいか。こっちでやっていた"外回り"は特に成果があったとは思えん――おい」

 

 転送ではなくマイクロチップを介した物理的な受け渡し。蓑亀は話ながらポケットから取り出した個人端末にそれを刺し、一目見ただけで険しい表情となった。

 

()()()()()()()()()()()

 

「え……?」

 

 きょとん、としてしまう。ナナには何も思い当るモノがなく、そういった構造を持った建造物だってあるのだろうな、としか思わずに見ていたからだ。

 

 円柱形の芯軸と、それを支える外軸の多軸構造なぞ、他にない訳ではないのだし。

 

「これは――()()()()だ。折れてはいるがな」

 

車軸(シャフト)?」

 

「ああ。祈り手(PRAYER)の無限再生機関などこそここには無いが、どこかには在るのだろう。空を飛び、瀝青と鉄と石でできた存在――見た事があるはずだ。ミッドチルダ(このあたり)でな」

 

「え、……いや、まさか、」

 

 ――()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 回答と、答え合わせがピッタリ一致する。

 

「本来ならばシャフトは『護るべき存在』と『人柱』によって機能する遺産だが……人柱は立てられているな」

 

「『護るべき存在』はヒトでなければならない?」

 

「――いや。なるほど、稼働条件がそろってしまっている」

 

「どうする?」

 

「どうしたものかな。大量虐殺が目的と言う訳でもなければ、侵略侵攻が目的でもないのだよ」

 

 そう言って蓑亀は、どうしようもないな、という雰囲気を醸しつつ珈琲に口を付けた。

 ナナはミネラルウォーターを注文していたが、それすら口にする気にはなれなかった。俯き気味にじっとその水面と、そこに映る曇り空を見つめるばかりである。

 

「そう焦るな、我々も戦力を持ってくる必要がある。折れたまま稼働する訳ではないからどこかに"片割れ"があるはずだし、それはすぐに用意できる代物でも無いだろうよ」

 

「……わかった。 それで、そっちからの報告は?」

 

 しぶしぶ納得したナナの返しに、今度は蓑亀がキョトンとする番であった。

 

「何だ、友と茶を嗜むのに何ぞ報告が無ければ呼んではいかんのか?」

 

「でも不定期報告って」

 

 不思議そうな顔をしているナナに、にまりと悪戯っぽく蓑亀は笑う。

 

「今、互いに元気である、と言う報告をしているじゃあないか。 んん?」






まーたチラ見せAPだよ……

主人公が関わろうとしてないからね、仕方ないね。
そしてウチの蓑亀さんは割と社交的なようです。
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