海外移住したら人外に好かれる件について   作:宮野花

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皆さんコメント、本当にありがとうございます。
嬉しくてすぐ次話投稿してしまいました。大好きです。








Little Helper_3

……うらぎりもの。

彼はそう言っていた。ぶつぶつと沢山の恨み言を言いながら彼は機械を弄っていた。

遠目からだが少しだけ構造が見えた。ここに記す。

 

【ぐちゃぐちゃのいくつもの線と四角い箱の絵が鉛筆で書かれている】

 

彼は製品ナンバー■■■■だけ執拗に弄っている。特別なのかもしれない。

 

 

────製品説明書3ページ右端空白の落書きより

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペストさんへの作業を終えて、廊下に出た時。

目の前を何かが、通った。

というより、通り過ぎようとしたそれにぶつかった。

 

「うっわ!?」

「いった!?」

 

突進してきたそれに押されて床に倒れる。そのまま上に被さって相手も倒れてきたものだから身体が潰れるかと思った。

 

「ごめん!前見てなかった!」

「い、いいからどいてください……重い……。」

 

謝るより先にどいて欲しい。このままだと本当に潰れる。

なんとか耐えていると、重さがどいた。

痛みの余韻を味わいながら体を起こす。するとそこには見た事のある顔が。

 

「ユージーンさん!」

「あれ、ユリさんだったんだ。」

 

どうやらぶつかってきたのはユージーンのようだった。

そりゃあ重いはずだ。成人男性である上に下層エージェントの彼は筋肉もついているのだから。

 

「ごめんねユリさん。ちょっと急いでて前見てなくてさ。」

「……大丈夫です。そんな急いでどうしたんですか?」

「いや実はさ……、……あ、そうだ。」

「?」

「ユリさん、この後の作業ってなんの指示された?」

「まだ見てないです。ちょっと待ってくださいね。」

 

次の指示を確認しようとタブレットを取り出す。操作しようとしたのだが、腕を掴まれたことによってそれは叶わなかった。

 

「ユージーンさん?何するんですか?」

 

腕を掴んだのは他でもないユージーンさんだ。

ユージーンさんを見ると満面の笑顔。不自然な程のそれに嫌な予感が過ぎった。

 

「一緒に行こう。」

 

どこに?と開いた口はとてつもない力で腕を引かれたことにより舌を噛んでしまった。

そのままユージーンさんに引っぱられて廊下を進む。

 

「まっ、待ってください!行くってどこに!!私まだ作業指示見てないんですけど!!」

「見てないなら作業してなくても仕方ない!紹介したいアブノーマリティがいるから一緒に行こう!」

「全然仕方なくないですよね!?怒られるの私なんですけど!?」

 

振りほどきたいのに、そこは下層エージェント。力が強すぎてされるがままだ。

……何か、音が聞こえる。しかも移動するにつれて近付いてる。

機械音。例えるなら歯医者さんで聞こえるキュイーンという音に似てる。

嫌な音だ。こんな音、研究所の廊下で聞いたことない。

考えてみると、何故下層エージェントのユージーンさんがこの中層にいるの?しかもあんなに急いでいた理由をまだ聞いていない。え、まさか。

 

「ユージーンさん、あの、もしかしてそのアブノーマリティ、脱走してるとか。」

「そうだよ?さっき警報あったよね?あ、収容室内にいたから聞こえなかったのか。」

「本当にちょっと止まってくれません!?」

 

ユージーンさんの言葉に私は足を止めた。しかし依然として引っ張る力が強い。引きずられる。

廊下を滑る私の靴底はすり減って無くなってしまうかもしれない。そうしたらユージーンさんのせいだ。

なんて。くだらないことを考えている場合ではない。内心私の頭はパニックだった。

下層エージェントがわざわざ来るほどのアブノーマリティ。それが脱走しているという現状と、そこに向かっているという状況。危険しか感じないのは間違っていないだろう。

 

「待って!!本当に止まって!!怖い!!無理です!!」

「大丈夫!大丈夫なアブノーマリティだから!」

「大丈夫って……わっ、うっ……。」

 

急にユージーンが止まって、その背中に顔をぶつけた。変な声が出る。

さっきから引っ張られて連れていかれて。更には急に止まられてやられ放題だ。

流石に怒ろうと前のユージーンさんを睨んだ。が、声は出てこなかった。

声を出す前に見てしまったからである。

赤い、鎌。

ユージーンさんの背景にそれは見えている。

鎌には細長い鉄棒がくっついて、その棒の伸びる先には、白の球体。

その球体には鎌とは不釣り合いの可愛らしいスマイルフェイスがあった。

反射的に後ろに下がるも、腕はユージーンさんに捕まってる。

 

「あっ……あの、あの、ユージーンさん……。」

 

震える声でユージーンさんに助けを求めるも、彼はこちらを振り返らない。

 

「久しぶり。やっと会えたね……。ヘルパー。」

<周囲60%の汚染確認。クリーニングプロセスを続行します。>

「相変わらずだなぁ。今日は君に紹介したい人がいるんだ。」

「うわっ……!?」

 

ぐいっと引っ張られて、前に出された。

嘘でしょ。

目の前に、鎌がある。赤い鎌。違う。赤いのではない。あれは赤い何かがついているだけだ。

何かなんて、考えなくてもわかるわけで。

心臓が煩い。身体が変な熱を持つ。それなのに頬を流れる汗が冷たい。

恐怖で何も出来なくなる。

 

「あ……あっ……!」

 

鎌が、目の前に、ある。

 

「や、やだっ……。やめてっ……!助けてっ!!」

 

強く目をつむった。

次の瞬間、大きな音がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

休憩室に向かおうとダニーが廊下を歩いていると、前から見知った顔が歩いているのを見つけた。

しかしなんだか様子がおかしい。普通に歩いているように見えるが、明らかに足どりがおぼつかない。

顔色もいいとは言えないその人にダニーは駆け寄った。

 

「アネッサさん、どうしました?」

「ダ、ダニーさん……。」

 

アネッサの身体を支えようとダニーは手を伸ばしたが、それは軽く避けられてしまった。

不思議に思って彼女を見ると、にっこりと笑顔を向けられる。

 

「……ダニーさん、休憩時間ですか?」

「あ、はい。アネッサさん、どうしたんですか?」

「私も、休憩なんです。良かったら一緒に行きませんか。」

「……アネッサさん?」

「パスタの美味しいお店があるんです。一緒に外に行きましょう?」

 

噛み合わない会話にダニーは不自然さを覚える。

そんなダニーをお構い無しにアネッサはグイグイと腕を引っ張ってくる。

 

「……この間のお礼、させてください。話したいこと沢山あるんですよ。」

 

しかし彼女のその言葉で、ダニーは全てを察した。

 

「……お礼なんていいですよ。でも、美味しいパスタには興味あります。行きましょうか。」

 

 

 

※※※

 

 

 

 

堅苦しいスーツからわざわざ着替えた二人は、アネッサの言うお店へと向かっていた。

 

「こっちの道から行きましょう。」

 

アネッサは人気のない路地裏を指さした。

 

「近道なんですか?」

「いいえ。とんでもなく遠回りなんです。」

「それはいいですね。」

 

ダニーは楽しそうに笑った。そんなダニーの様子に対して、アネッサは少しも楽しくなさそうに口を動かす。

 

「ダニーさんに、聞きたいことが沢山あるんです。」

「おや、話してくれるのはアネッサさんなのでは?」

「ふざけないでください。言いたいこと、わかるでしょう。」

「怒らないでくださいよ。そうですね、まずお礼を言わなければ。携帯をハッキングしてくれて、ありがとうございました。」

 

ダニーはその場に立ち止まって深々とお辞儀をする。

その皮肉にアネッサは顔を顰めた。

 

「全部、計算されてたんですね。」

「アネッサさんの力を借りれたらとても助かりますから。俺なんかじゃ会社の企業データを探るなんて出来ないので。」

「私だって、無理ですよ。」

「ご謙遜を。」

「……やっぱり貴方は苦手だわ。」

「知ってますよ。入社当時から距離置かれてましたもんね。」

「あの時は後輩らしくない後輩が入ってきたものだと思ったわよ。」

「ははっ、その節はお世話になりました。」

「何もお世話なんてしてないわ。貴方の教育係は断ったもの。」

 

笑うダニーにアネッサはうんざりする。

 

「それで、聞きたいことってなんですか?」

 

ダニーの言葉に、アネッサは一度口を閉ざす。

聞きたいことが多すぎて、なにから言えばいいかわからない。

会社のことをどこまで知っているのか。何をしようとしているのか。自分に何をさせようとしているのか。

けれど、今一番気になっているのはやはり先程の事だった。

 

「……リリーっていう、社員を知ってる?」

「リリー?」

 

ダニーはアネッサに聞き返す。それは演技しているようには見えない。本当に知らないのだろうか。

 

「本当に、知らない?」

「……何があったんですか。」

「さっき、管理人室に行ったの。そこでリリーって社員に会ったのよ。その人……。」

 

言うのを迷って、アネッサはもごもごと口を動かす。

それをダニーはじれったく思って、アネッサを急かした。

 

「なんです?早く言ってください。」

「……その人、ユリさんだったの。」

「……は?」

「正確には、ユリさんと同じ顔で、体格で、声の女の子だったの。」

「そ、……それは、ユリさんだったのでは……。」

「有り得ない。だって私、その数分前に会社の外に行くユリさんに会ったのよ。」

 

ねぇ、とアネッサは言葉を続ける。真っ直ぐとダニーを見る。

 

「……何が、起こってるの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








前書きでも書きましたが、コメントありがとうございます。
あのただ思うんですけど
そんなに作者甘やかさなくてもいいですよ!?!いやすっごい嬉しかったけど本当に本当に皆さん優しすぎて……!!

皆さんが優しいのは知ってるので、「おかえりー」とか「やっと来たかー遅いわ笑!」とか言ってくれそうだなとかは予想してました。

そして前回のコメントで多かった「無理しなくてもいい」「待ってました!おかえりなさい!」「気が向いたらで投稿いいですよ」
えっ泣くんですけど。てかまじでうるっときたんだけど。
ありがとうございます……本当に。人に恵まれてるなって実感しました……。不定期更新はどうしても直りそうにありませんが、せめて今回の回はスピードよく投稿したいです。頑張る。



ここからはどうでもいいあとがき。

あの、LobotomyCorporationの会社さんから新作でるじゃないですか。新情報のバトル風景の動画見たのですが随分LobotomyCorporationから変わるんですね……なんかスマホゲーみたいになってて困惑。面白そうですが、なんか、あの、人外要素無くなってる……?(震え声)

困惑と言えばポケモンも新作でるじゃないですか。え?ポケモンめっちゃでかくなるんですか?今回。
モンスターボールもでかいんですか?

それもうポケットモンスターじゃなくてモンスターじゃない??

しかしでかいピカチュウにダイブしたいのは私だけじゃないよね?いやチルタリスがいいな。もふもふ。
あースイッチほしいです。ポケモンも牧場物語もやりたい……。

宝くじ3億当たらないかなー(´σ `) ホジホジ


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