【改正前】海外移住したら人外に好かれる件について   作:宮野花

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※だいぶユリちゃんが壊れてます。
そのせいで見にくいにも程がある。

※途中不可解な文字列があります。読めなくても問題ない箇所なので気にしないでください。
一応意味はあるので、次話投稿の歳解読バージョンのせますね!







Complex_13

意識が、戻る。とてもぼんやりしてるけれど。

起き上がる。ここはどこだろう。硬いベットに、消毒液の匂い。……医務室?

もしかして、全て夢だったのだろうか。

そうか。やけに趣味の悪い夢だった。魔弾の射手から受け取った銃で、みんなを撃つなんて。

 

酷い夢。でも、夢でよかった。

 

ふぅ、と息を着いた。顔にかかる髪が鬱陶しくて耳にかける。

すると何故か、手から煙の匂いがした。

……え?

夢、夢だったんだよね?全部なかった事だったんだよね?違うよね?

辺りを見渡す。私だけじゃない。並んだベッドに、多くの人が横たわっている。

 

「ぁ……。」

『夢じゃないよ?』

 

声が聞こえて、身体が跳ねた。

ベットの縁から小さな女の子が顔を出している。

私だ。

 

『貴女が撃ったの。』

 

幼い私がよいしょ、とベットに登ってくる。膝を立てて、私との距離がとても近くなる。

丸いふっくらとした頬。にっこりと口端を上げて、私とそっくりな顔は笑った。

 

『お前が悪いんだよ。』

 

私の手が赤くなっていることに気が付く。

その赤は泉のように広がって、滴って、布団の白を赤く染める。

 

そうだ、撃てば撃つほど赤は広がった。

悲鳴が。叫びが。

夢じゃ、ない。

 

恐くなって私は俯く。身体が震える。寒い。

小刻みに肺が動いて、息が短くなる。はっ、はっと。

吐く度に胸が詰まる感覚がした。苦しい。上手く、息が吸えない。

小さな私は俯く私をつまらなそうに見た後、くるりと身体を反転させてベットに腰掛けた。

短い足では床に届かない。ブラブラと足を持て余す。

 

『どうするの?』

 

まるまるの瞳が私を見つめる。

 

「どう、しよう。」

『どうしよも出来ないよね?』

「……。」

『ちちんぷいぷい!!痛いの痛いの飛ん行けー!!』

 

幼い私が大袈裟に腕を動かして、周りの皆に叫んだ。しかし何も起こらない。

当たり前だ。そんなので治るわけがない。

 

『治ればよかったのにね。あぁ、無理か。だって貴方はお兄ちゃんでもお姉ちゃんでもない。』

 

『無能だもんね?』

 

その言葉が、私の頭にぶつかってグラグラと頭痛がする。

涙が、溢れてくる。胸が苦しい。

ごめんなさい。

ごめんなさい。こんな、こんなつもりじゃなかった。私はただ強くなりたかった。このまま弱いなんて嫌で、そんな自分でいたくなくて。だから。

 

『だから私達を撃ったの?』

「ぇ……。」

『だから力が欲しかったの?』

「ぁ、ぁ。」

 

周りから、色んな声が聞こえる。

ベットのみんなは起き上がっていない。でも起き上がれないだけなのかもしれない。

彼らは私を、恨んでいる。

声が、重なって。私に降ってくる。

 

『痛い』

 

「ご、ごめんなさ、」

 

『痛いよ!!』『痛い!!!』

『助けて!』

『やめて!!』

『うわぁぁぁあ!!』

『死にたくない死にたくない!!』

 

「ぁ……あぁ……。」

 

『苦しいよぉ、』

『こないで!!』

『やめてくれ!!』『やめて』

 

「ごめんなさいっ!ごめんなさいっ……!!」

 

『酷い』『どうしてくれるの。』

『私達、貴方のせいで死んじゃった。』

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!どうしよう、どうしよう……!!」

 

私、人を撃ってしまった。傷つけてしまった。殺してしまった。

どうしようも無いことをしてしまった。

ちがう、ちがうの。魔弾の射手から銃を受け取ったら、頭がぼんやりして。それで。

 

『でもその銃を手に取ったのは貴女。』

「それはっ……。」

『責任転嫁?最低。』

「ちがうっ!!そんなつもりない!!本当にっ!!信じてっ……!」

「本当……本当なのっ……。」

 

私の頭にいくつもの声が響く。全てが明確な悪意と嫌悪を持って私にふりかかってくる。

全て私が悪い。わかってる。

涙は気がついたら流れていて、顔はぐちゃぐちゃになっているのだろう。頬が湿り、目が熱くなるのがわかった。

そんな私を慰めるように、誰かが私の手を握る。

はっとして顔を上げると、優しく笑う姉の姿。ゆっくりと形のいい唇が、形よく動く。

 

『ユリ。大丈夫だよ。』

「お姉ちゃん……?」

 

姉の声は、記憶のまま優しくて、美しかった。

この人はお人好しだから、いつだって私を許す。

私はまた泣いてしまう。大丈夫なんて言わないで。大丈夫じゃあない。大丈夫じゃないの。

私のせいなの。

 

『じゃあ、死んじゃおうよ。』

 

その言葉に私は目を見開いた。

しかし否定するような考えは生まれずに、するりと身体の奥深くに染みていく。

心地よく入っていくそれは、透明な血液となり私の身体を巡る。

死んじゃ、おうよ。死んじゃおうよ。

 

『もう苦しまなくていいの。』

「お姉ちゃん……。」

『ユリ、もう絶望するだけの明日なんて捨てていいのよ。』

「で、も。」

 

死ぬのは、怖いの。

そんな言葉が頭に生まれる。だって死ぬのは怖い。どうなるかわからない。私はまだ、生きていたい。

 

『どうして?』

「だって、こわい。」

『それよりも?』

「え……。」

 

姉は私の後ろを指差す。それを辿って振り返る。

目に入ったそれに私は悲鳴をあげた。

なんだ、これは。とんでもなく恐ろしい姿のそれは。

逃げたくてベットを降りようとする。でもそれは絡みついてくる。私と繋がっている。離れることは無い。

 

『貴女のコンプレックスよ。』

「やだ!とって!!とって!!あああっ!!恐い!!離して!!やだぁっ!やだぁっ!!」

『無理よ。育てたのは貴女。貴女は一生それに苦しめられて、付きまとわれて生きるの。』

「やだよっ、やだよ!!嫌だぁっ!助けて助けて!!」

 

それは形を器用に変えて。私の中に入ってくる。黒く心が染まるのを感じて、それは酷く苦しくて。

胸の辺りを掻きむしる。バリバリ。バリバリ。

でも赤くなるだけ。剥がれた皮膚が私の爪につくだけ。

ごしょごしょと何かが聞こえる。明確ではない。けれどとても嫌な何かだ。人の声に思える。人の足音にも聞こえる。

 

誰かの言う私の111001111011110101010101。

 

e5bdb9e7ab8be3819fe3819a、

e784a1e883bd!

 

百合、e381a9e38186e38197e381a6e38182e38293e381aae38193e381a8e8a880e381a3e3819fe381ae

、?

 

階段上る音がする

 

のに

 

下る音がしない

何度も何度も。

 

「あああああああああぁぁぁっ!!」

 

e4b880e4babae381abe38197e381aae38184e381a7e5af82e38197e38184e7bdaee38184e381a6e38184e3818be381aae38184e381a7

 

やe38281e381a6。

 

e38284めe381a6。

 

e38284e38281て。

 

e6adbbe38293e38198e38283e38186efbc81

 

『死ねばいいじゃあない。』

 

e38193e381aee7979be381bfe3818c苦しみe3818ce38193e381aee58588e3819ae381a3e381a8e7b69aくなんてe7a781e381afe3818de381a3e381a8e88090e38188e38289e3828cない。

 

e381a0e3818be38289私は死ぬ。

きっと、e3819de3828ce3818c一番いい。

 

そうだね!

そうだね!

e3819dうだね!

 

『e3819ae381a3e381a8e6adbbe381ade381b0e38184e38184e381a3e381a6e6809de381a3e381a6e381aee38288。』

 

「……おねぇ、ちゃん。」

 

姉の言葉に私は服のポケットを漁る。

白い錠剤の並ぶそれ。プチンプチンと一つ一つ出していく。

手のひらに山になったそれを。

 

「……お母さん、お父さん、お兄ちゃん、お姉ちゃん……。ダニーさん、アネッサさん、リナリアさん。……オーケストラさん、アイ。みんな。ごめんね……。」

 

こんな私にみんな優しくしてくれた。

何も返せない。私は無力だから。

どうしようも無い。

でももう、これから先こんな自分で生きていて何があるの。

希望なんて持てない。明日が恐い。

 

だから、私はe6adbbe381ac。

死e381aae381aae38191e3828ce381b0e381aae38289e381aae38184。

 

でも、本当は。

 

死にたくなんて、ないんだよ。

 

 

 

──なら死ななくていい。

 

 

 

薬を持つ手が掴まれて、動けなくなる。

私は顔を上げる。

……どうして。

 

「オーケストラ、さん。」

 

 

 

 

 

 

 

 






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16進数と2進数を使ってました。

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