ハイスクールD×D ~神殺しの王は赤き龍の帝王となりて王道を征く~   作:ガーネイル

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 皆さんお久しぶりです。なんだかんだほぼ一年ぶりになってしまいました。
 一身上の都合によりなかなか執筆時間が取れなかったり、勝手な話ではあるのですがやる気が起きなかったりとなかなか安定せず、完成するまでに時間がかかってしまいました。
 相変わらず不定期ではありますが今後も投稿を続けていこうと思います。
 流れがおかしいなど指摘点が相変わらず多い作品だとは思いますが今後もよろしくお願いします。
 



11.新たな始まり

 ライザーとのゲームが終わってここ数日、女性陣三人による和希争奪戦が勃発することがある。だが、ほとんどが時間によって終了することの方が多い。

 今朝も発生していたが、例に漏れず時間切れで終わった。

 朝食を食べ終わってアティが家を出る前に思い出したように振り返る。

「そろそろ旧校舎全体の清掃が始まるので部活の活動場所をどこにするのか決めておいてくださいね」

 

 そう言い残して家を出て行く。それからしばらくして三人で家を後にする。

 学校に向かう途中でリアスが今朝の部活動をどこにするかということについて話ていた。

 

「カズキとアーシアに一つ相談が相談があるのだけれど、清掃が終わるまでオカルト研究部の活動を風峰家でやりたいと思っているのだけれどどうかしら?」

「私はカズキさんたちが良いのであればそうしたいです」

「俺は構いませんよ。なので家の人さえ大丈夫だったら構いません」

「そう。なら問題ないわね、今日の活動場所は無事に決まったわね」

 

 事前に和希の母である美奈には確認を取っているため、実質和希がOKサインを出せば決定だったのだ。和希があまり友人を家に招くということをしない為、美奈的には断る理由はない。なので嬉々として許可を下ろした

 最も断ったところでどうしてもと言われるだけなので回避しようもない。何十年人気を誇っている某RPGのような展開。いわゆる無限ループというのに足を突っ込むことになるだけなのである。 

 

 

 そんなこんなで迎えた放課後。放課後の活動があるとはいえ、アティは教員であるため学校で自分の作業を進めている最中だ。

 それはそれとしてだ。現在、和希の部屋に集まっているのだが、活動など行っていない。現状行われているのは何故か美奈によるアルバム展覧会。和希の幼少期を中心とした写真を中心に広げられている。

 リアスを始めとした女子部員全員がそれを見てキャッキャッしているのを傍目で見ながら頭を抱えている。

 

「何でこんなになってるんだよ。活動は一体どうしたんだ……」

「まぁまぁ。たまにはこういうのもいいじゃないか」

「やめろ、お前まで見るなよ!」

 

 和希を宥めながらも一緒になってアルバムを見ている祐斗。結局の所、オカルト研究部が知っているのは神殺しの和希なのである。今まで交流が無かったのは当然なのだが、和希が幼少の頃からどのような生活を過ごしてきたのか気になっているのである。

 そしてどの写真にも共通しているところをあげるとするならば、何故か女の子と一緒に写っているものが多いのだ。和希一人だけのものが圧倒的に少ない。男友達と思われる人物もいるのだが、それ以上に異性が多い。どうやら女殺しなところは幼少期の頃からのモノらしい。それらを見てリアスとアーシアは何とも言えない顔をしている。和希は女の人がしていい表情ではないことを伝えようと思ったが、飛び火する可能性を考慮した結果、離れたところで黙っていることにした。

 アルバムを見ていた祐斗が突如真剣な表情を浮かべ、ある一点を見つめている。

 

「ねぇ、和希くん。これに見覚えは?」

 

 そう言いながら写真を指さして和希に問う。考える人よろしく、顎に手を当てながら記憶を掘り返していく。

 

「悪ぃ、思い出せねぇや」

「そうなんだ。これは聖剣だよ」

 

 そう言った祐斗の声音は今までにないくらい真剣なモノ。

――聖剣……ねぇ。

 それに対し、和希はまた新たな厄介事が始まろうとしているのを朧気ながら感じ取り思わず天井を見上げるのであった。

 

 

 ****************

 

 

 来週には駒王学園球技大会が行われる。クラス対抗から始まり、男女別や部活対抗など多様にあり、一日かけて球技に括られる種目を楽しむ日なのだ。

 部活対抗は文化部運動部の区切りはなく入り乱れての戦いとなり、競技種目は当日発表となる。故にどんな種目でも戦えるように幅広く練習する必要があるのだ。

 元々体育会系な所もある和希が体育祭に続き楽しみにしている行事の一つなのである。だから練習も人一倍気合いが入っていた。

 リアスもこの手のイベントが好きなため、練習とはいえ鬼が二人いた。特に和希なのだが、基礎を教えるときは問題ないが実戦形式になった途端、男女問わず本気でやる。本番だったら勝ちに行くため、当然なのだが練習でも遠慮はしない。何という鬼畜ぶりだろうか。鬼のようなコーチはどこにでもいるが、ここまで鬼畜を体現した人間はそういない。

 それでも全体的に戦力向上となるため、文句が言えないのである。

 ライザーと一戦して以来、リアスはより勝利を求めるようになった。だが、この前写真を見て以来、祐斗は身が入っていないようだった。そんな祐斗を見て和希はどう対処するか頭の片隅で考えながら練習を続行した。

 

 翌日の昼休みは昼食後に部室に集まるということになっていた。リアス曰く、最終の打ち合わせだとか。

 昼食を食べ終えてすぐ、松田と元浜が話しかけてきた。

 普段からスケベな二人だが、よく三人でゲーセンに行くくらいには仲がいいのだ。

 

 

「なぁ、今日も部活なのか? 今日くらい前みたいにゲーセン行こうぜ? 早くお前にリベンジしたくて仕方ねぇんだよ」

「そうは言ってもしょうがねぇよ。リアス先輩は本気みたいだし、俺もこういうイベント好きだから手抜きしたくないしな」

「そうだ、お前はそういう男だったよな。ただ、夜道には気をつけろよ?」

 

 突如、眼鏡をくいっと押し上げて話し始める。和希は「何言ってんだ、こいつ?」みたいな表情をしている。

 

「何でも最近、変な噂が流れているからな。裏でリアス先輩や姫島先輩の秘密を握り、放課後は毎日鬼畜エロプレイ三昧の日々。それだけに飽き足らずアティ先生やアーシアちゃんを爛れた性行為の果てに導く淫欲の日々……。二大王子と呼ばれる男が隠している裏には秘めた獣性が隠れていた。みたいな感じのやつ」

「誰だよ、そんなの流したやつ」

 

 ――殺されるぞ、誰にとは言わないが。

 それを言葉にはせず、心の内に秘めておく。何故なら絞めるのは和希本人だからということもある。

 最もそんな噂も普段寡黙な和希の隠された一面として殆どの女子からは何故か好意的に解釈され、一部の界隈ではナニとは言わないがネタになっている。一言加えるとするなら主にBから始まる薄い本が中心である。

 

「ま、俺らが流したんだけどな」

「おう」

 

 犯人はすぐ目の前にいた。

 

「死にやがれ!」

 

 一応長い付き合いであるため、鉄拳制裁でスケベ二人を黙らせる。という方向性に変える。周りもある意味、いつもの光景であることを理解しているので誰一人として関与しない。そして、制裁の方はかなりの威力があったようで床で伸びきっている。

 付き合っていられないといわんばかりにアーシアに声をかける。

 

 

「全く、こいつら本当に……。アーシア、そろそろ時間だけど部室に行けるか?」

「だって、彼氏がお呼びよ?」

 

 アーシアと一緒に昼食を取っている眼鏡女子。桐生藍華が人を弄る時特有のいやらしい表情を浮かべながらそう言う。

 それを聞いたアーシアは真っ赤になって沈没してしまった。

 そこまで赤くなるアーシアを和希は初めて見る。アーシアの予想外の反応に藍華は呆気にとられた表情に変わっていた。

 

「あれ? 二人とも付き合ってるんじゃないの?」

「そんな事実はどこにもない。それに俺よりいい人なんて世の中にはたくさんいるぞ」

「そう? 二人ともいつも一緒にいるから勘違いしちゃった。それこそ、毎日ヤることヤッてるカップルにしか見えないわ。少なくとも親公認で同居してるんでしょ。若い男女が一つ屋根の下ですることと言ったら……って思ったけどアティ先生もいるんじゃ無いわね。後、あんたより良い男なんてなかなかいないわよ。顔良し、器量良し、それに頭も良い。これほどの最良物件どこに転がっているのよ」

「そりゃ、うちにいるんだから仲悪い方が問題だろ。どこってそりゃ世界中だろ。そんなことよりアーシア。早く部室に行くぞ」

「は、はいぃぃ」

 

 後ろで藍華がつまらなそうにしているが特に気にせず教室から出て行く。

――気が動転しまくってるけど部室着くまでに治るのか?

 そう思いながら頭では別のことを想像していた。それがアーシアが彼女だったらというif。生まれ変わった二回目の生。新しい人生であるのだ。全くそういうことを考えたことが無いわけではない。事実としてアーシアは彼にとって守りたい存在であり大切な存在であることは確かだ。

 だが、彼女に好意を持っているのかというと分からない。というのが正直なところだった。なぜならそう言う存在はアーシア以外にもいるからだ。リアス、朱乃、子猫。そしてアティ。

 この中で和希という存在に一番近いところにいるのはアティでその次にアーシアとリアスであろうことは想像に難くない。自分の隣にいるのを想像出来るのはアティだった。それは共に戦場を駆けたからであろう。ほんの少し、他の皆より過ごした時間が長いから。それだけなのである。

 なんだかんだ和希が一番信頼しているのは現状アティなのである。ただその中で誰かと彼氏彼女の関係になることがあまり想像することが出来なかった。

 

 

 部室に到着して扉を開けるとそこには普段見ない人たちがいた。珍しく部室に来ていたのは生徒会長を筆頭にした生徒会のメンバーだった。

 ソファーに座っていたのは生徒会長である支取蒼那。なんでもリアスと朱乃に続いて三番目に人気の三年生だとか。学園内のことにはあまり興味の無いこと和希ではあるが、同級生が騒いでいる人たちのことは覚えている。

 滅多に感じない気配が中から感じたとはいえ、まさか生徒会も悪魔で構成されているようだ。

 朱乃が和希とアーシアに蒼那の裏について簡単に説明する。

 

「この学園の生徒会長、支取蒼那さまの真名はソーナ・シトリー。上級悪魔シトリー家の次期当主さまですわ」

 

 名前について色々とツッコミを入れたい和希だったが、それを棚に上げて以前読んだ悪魔関係の書物に書かれていたことを思い返し、それを確認するように話す。

 

「シトリーというとソロモン72柱の悪魔ですよね。確かゴエティアには60の軍団を支配する序列十二番で位は君主と記された悪魔……で合ってますかね?」

「先の大戦でその軍団は減ってしまわれましたが、その認識に大きな間違いはありません」

「というか蒼那先輩、なんで風峰が来たんですか? こいつ人間ですよね?」

 

 滅多に怒ることなど無い和希だが、ほぼ初対面の人間(あくま)にこいつ呼ばわりされたことにほんの少しだけイラッとした。遠回しにイヤミで返すことにしたが、その前に蒼那が制した。

 

「サジ、お止めなさい。今回は新しく悪魔になったアーシアさんと新入部員である風峰和希くん

と顔合わせするためです。私の眷属なら恥をかかせないこと。それに――」

 言葉を切った蒼那が初めて和希を視界に捉える。

「今のあなたでは風峰くんには勝てませんよ」

「ど、どうしてそう言い切れるんですか? 俺は悪魔で風峰は人間じゃないですか」

「彼が普通の人間でしたらね。彼は赤竜帝の籠手の所持者です。フェニックス家の三男相手に攻撃を全て完封し、勝利しているのですよ。今のサジと風峰くんとの間には少なくともそれだけ、いやそれ以上の差があるのです。どうあがいても勝ち目はありませんよ」

「こいつがフェニックス家の三男を……。俺はてっきり姫島先輩や木場がリアス先輩を助けたものだとばかり……。すまない、風峰。俺は(さじ) 元士郎(げんしろう)。二年で会長の『兵士(ポーン)』だ。よろしく」

「あぁ、よろしく頼む。まぁ、神話の時代ならともかく現代で異形を相手に出来る人間なんて普通はいないだろうからな」

 

 確かに神代にもいたかもしれないがそんなに多く居たわけでは無いだろう。ましてやそれから時代が変わり続け現代へと至った今。和希の言葉通りそれを実行出来る者はまず存在しないだろう。ただ、その言い分だと自分は普通の人間ではないと言っているようなものだった。

 だが、幸いというべきか匙がその発言に対し大きく疑問を持たなかった。

 そんなこんながありつつも無事に新人同士の顔合わせが終了した。

 

 

 ****************

 

 

 閉会直後に雨が降り始めたが、なんとか球技大会そのものは無事終了を迎えた。が、問題が起きたのはその後。最近気の抜けたような態度でいる祐斗に対し、ついにというべきか堪忍袋の緒が切れたようでリアスが叱咤する。だが、祐斗はそれを気にとめる様子は一切無い。少し間を開けて今までの笑顔を浮かべる。ただ、今その笑顔は貼り付けているものにしか見えない。その貼り付けた笑顔のまま言う。

 

「それではもう戻って良いですか? 球技大会も終わりましたし、最近の練習で疲れが溜まっているので夜まで休ませてもらって良いですか? あと、普段の活動も休ませてください。昼間はすいませんでした、どうにも調子が悪かったようです」

 

 そう言って出て行くと部室内を沈黙が支配する。誰も喋らず、動こうともしない。ようやく動き出したのはジャージから普段のスーツ姿に着替えたアティが部室に顔を出してからだった。

 そしリアスがポツポツと話し始めたのは木場祐斗という転生悪魔が生まれるきっかけとなった出来事だった。

 教会が秘密裏に行っていた因子が足りない人間でも聖剣を扱えるようにするための人体実験『聖剣計画』。

 祐斗はその失敗作で教会側が失敗作を全員殺処分することにして死にかけている祐斗をリアスが助けたのだ。

 

 

「それがあいつの原点なんですね」

「えぇ、そうよ。今はぶりかえした聖剣への思いでいっぱいでしょうからしばらく様子を見るわ」

「それでリアス先輩一つ聞いてもいいですか?」

 

 

 リアスが語った聖剣計画。その中にちょっとした聖剣の話もあった。そして祐斗が受けた実験は聖剣エクスカリバー。あの二人の記憶を垣間見てどちらの本も読んだからこそ知っている。

 

「何で約束された勝利の剣(エクスカリバー)が存在しているんですか?」

「それはどういう意味かしら?」

 

 うまく質問の意味が読み取れないのか聞き返すリアスと他の部員。だが、アティだけはその意味を理解し、和希の代わりにリアスの質問に対する答えを返す。だが、そこは教師らしくリアス達自身で答えにたどり着かせるやり方を取る。

 

「リアスさん。イギリス、しいてはブリテンにおいて最も有名な伝説とは何でしょう」

「そうね、アーサー王伝説になるのかしら」

「えぇ、そうです。全ては選定の剣を抜いたことで王となり、騎士王と称えられるようになった話ですね」

「それくらいは知っているわ。一度折れた後、湖の妖精から聖剣を承った。一本目をカリバーン、二本目がエクスカリバーとそう呼ばれ、区別されているのよね?」

「はい、それでは次が最後のヒントです。その伝説の最後、ランスロットと王妃グィネヴィアの関係が発覚し、内乱が起きます。アーサー王の最後はどうなっていますか?」

「内乱を終えた後、アーサー王はアヴァロンへと旅立ち、聖剣は騎士ベティヴィエールによって返還されている!?」

 

 ようやく答えにたどり着き、和希の聞きたいことにたどり着いたリアス達。

 和希はそれに頷き、気になる点を挙げる。

 

「返還されたはずの剣。なぜ、それがあるのか? ということです」

「そしてそれが、教会、もしくは天界の誰かが受け取ったのか? ということかしら」

 

 はい、という言葉と共に首肯する和希。

 

「ですが、理由がはっきりしない今は黙っていた方が良いと思います」

 

 祐斗の聖剣に対する復讐、そして教会サイドが失われた聖剣を所持している理由。

 今もなお、徐々に強く降り続ける雨は祐斗の悲痛な叫びを、またこれからに起こる事態の「」行き先を告げているようであった。





 原作とは少し違う感じで仕上げてみました。書きながらではあるのですが、色々模索中です。

 丁度一年くらい前にシャニマスを始めたんですが、千雪さんとめぐるがドストライク過ぎてやばいです。
 それぞれをヒロインにした作品も書きたい。徐々に書き溜めればいずれ投稿するかもしれません。

 さぁ、話を戻しまして次回はもう少しエクスカリバーについて掘り下げようと思います。それに従い教会の二人組が出てくる感じですかね。
 もうこのように一年も空けるようなことはないように気を付けますので皆さま、今後もよろしくお願いします
 それではまたお会いしましょう

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