ハイスクールD×D ~神殺しの王は赤き龍の帝王となりて王道を征く~ 作:ガーネイル
プロデューサやらトレーナーやら人類最後のマスターやらをしていたり、モチベーションがなかったりVtuberの配信や切り抜きを見ていて失踪気味ですが、書きたいシーンやこうしてみたいなどのシーンは考えながら仕事して生きています。時間はかかると思いますがこの拙作にしばらくお付き合いください。
それでは続きです。
部室であれこれが終わった後、リアス達グレモリー眷属と一種の協力関係にある和希。そして教会から派遣された二人が場所を移す。
そこは先日行われた球技大会に備え、オカルト研究部が練習場所として使っていた場所だ。
全員を囲むように紅い結界が張られている。和希とイリナ。少し離れた所に祐斗とゼノヴィアが立っている。そして見守るように他の面々が立っている。教会の二人は白いローブを外し、体のラインがはっきり出た黒い戦闘服になっている。手には得物が握られている。
――どうしたもんかな……。勢いで口出した俺も悪いけどさ。
時間が経つにつれて冷静になり、どうするか悩む。彼が持つ神殺しとしての力は当然人間相手に使えるモノではない。ということは必然的に『赤龍帝の籠手』と魔術で解決するしかないのである。
こうなった事の発端は和希のせいでもあるが、その後に祐斗が売った喧嘩をゼノヴィアが買ったからだ。
「グレモリーの眷属、先輩とやらの力を試してみるのも面白い。それにそこの男も叩き斬ってやりたいからな」
ということだ。最もあくまでも私的なものとなるため、お互い上には報告しないということで落ち着いた。結果的に旧校舎の近くにある球技の練習場で行うことになったのである。
そして現在、周りのことを踏まえた結果、朱乃が結界を張ることにはなった。
リアスは二人に聞こえないように気を遣いながら和希に無茶は避けるように頼んだ後、どちらかが戦闘不能になったら終了ということで同意を得る。
離れたところで祐斗は既に魔剣を出現させ、いつでも戦えるという様子だった。
祐斗は不気味な笑みを浮かべている。薄ら寒ささえ覚える。それほどに聖剣が憎いのだろう。
「ようやくだ。倒したくて、壊したくて仕方のないモノが目の前にある。まさか、こんなに早く巡り会えるとは思わなかったよ」
「……『魔剣創造』か。神器所有者は頭の中で思い描いた魔剣を作り出す事が出来る。魔剣系神器の中でも特異なもの。……『聖剣計画』の被験者で処分を免れた者がいるかもしれないと聞いたことがある。……キミのことかな?」
ゼノヴィアの問いに答えることなく、代わりに殺気を返す。この私闘はあくまで試合であり、死闘――殺し合いではないのである。
――あいつ、勢い余って殺すなんてことないよな?
考え得る最悪のシナリオに思わず頭を抱える和希。
それを見ているイリナが心配そうに声をかける。
「えっと……カズ君?」
「あぁ、いや。何でもないんだ。というかこれ、戦わなきゃ駄目か?」
今までの自分の行動を全て棚に上げて和希からの提案。今ここで終わるならそれに越したことはないのだ。だが、そうは問屋が卸さなかった。
「そうしてあげたいのは山々なんだけどさっきの発言は私もちょっと見逃せないかな。だから大人しく斬られてね!」
イリナは持っている得物を上段から叩きつけるように振り下ろす。和希は咄嗟に籠手を出現させ、それで攻撃を受け止める。
「悪いが大人しく斬られるつもりはないんだ。抵抗させてもらう」
太刀筋に粗が目立つが、それなりに戦闘経験を積んでいると理解した和希は彼女の聖剣を籠手で流しつつ、イリナの胴体に蹴りを入れる。
それを回避するため彼女はバックステップで一度距離を取る。イリナとしては受け止めたところで弾かれると踏んでいた為、和希の技術に驚かされた。
「カズくん、もしかして結構戦いなれてる?」
「さて。それは想像にお任せする」
イリナの問いに対し、誤魔化すような返事をする。和希は右手に愛剣を投影し、あくまでも自然体で構える。
「なるべく早く終わらせたいからな。今度はこちらから行かせてもらう」
和希は大きく踏み込み左上へと振り上げる。あくまでも正面からの攻撃。最も本気の攻撃であればこの一太刀で終わっていただろう。だが、これはあくまでも人同士の戦い。だが、それでも身体能力が常人よりずばぬけて高いのは変わらない。
彼女は想定外の速さに虚を突かれ、反応が遅れる。ただ、それでも彼女は教会の戦士の一人。僅かに遅れながらも迎え撃つように聖剣を振り下ろす。通常ならイリナの方がいくらか有利である。
だが、それすら覆すのがこの男だ。力任せに振り抜く。そのまま腕力に物を言わせ振り下ろし、首元で止める。
「終了。この状況でもまだ続ける?」
「これは私の負けだね、降参」
愛剣を消し、もう二人の勝負の行方を見守る。ただ、決着がつくのにあまり時間はかからなかった。祐斗の敗北という形で片がついたのである。
結果的には一勝一敗。今回だけは痛み分けとしてこれ以上のことはしないとゼノヴィアが引き下がった。そして、彼女らは去り際に聞き流せないことを告げて去って行く。
「白い龍は既に目覚めているぞ」
ドライグとの会話で時々話題になり、赤き龍と対になる存在。
彼女たちの情報を鵜呑みにするのであれば、それが目覚めているということは顔を合わせる時はそう遠くない未来の話なのかもしれない。
*************
教会組とのあれこれが終わった後、研究部一同は部室に戻ってきていた。そして部室の中にはアティが青筋を立て椅子に座っている。アティは和希に座るように指示を出し、向かい合う。
「和希くん? あれほど喧嘩を売っては駄目だと昨日言いましたよね。見て無くても分かります。朱乃さんの魔力を感じ取ったので。それで、なんで争い事に発展しているんですか?」
「…………」
和希はアティの質問にはそっぽを向き、答えない。
初めて見る二人の状況にアーシアはオロオロしているが、事態は一向に進展しない。そんな中、もう一方のほう。リアスと祐斗の二人の会話に進展があったのか、リアスが声を荒げ、祐斗に制止を訴える。
「待ちなさい! 私の元を離れるなんて許さないわ。あなたはグレモリー眷属の『騎士』なのよ。『はぐれ』になってもらっては困るの。ここに留まりなさい」
「……僕は、同士達のおかげであそこから逃げ出せた。だからこそ、彼らの恨みを魔剣に込めないといけないんだ」
そう言い残して祐斗は部室から出て行く。
自分たちのことを棚に上げてそれを見ていた和希たち。だが、祐斗が部室から出て行くとアティは一度咳払いをしてもう一度和希に問い詰める。
「もう一度聞きます。どうして、彼女たちと争うようなことになったんですか? 貴方が意味も無くそんなことしないのは理解しています。だからこそ、その理由を聞いているんです」
和希はジッと見据えてくるアティの視線に耐えられなくなったのか、今は落ち着いているアーシアの方をちらっと見てから息を深くはいて言葉をこぼす。
「今にも泣き出しそうなアーシアを見てられなかった。ただそれだけ」
子供みたいな理由だから言いたくなかったんだよ。と小さく呟いて和希も部室から出て行く。その後、アーシアがアティに争いに至った経緯を話す。
イリナ達がアーシアの事を魔女と言った事から始まり、ゼノヴィアが断罪の名目で殺そうとしたときに自分を庇い、和希が割って入り、怒鳴りって口論したこと。そして、そこに祐斗が新たに加わり、争いにまで発展したこと。
「そうだったんですね。だから見てられなかった、そういうことだったんですね。相変わらず、言葉が足りないというか、なんというか……」
「でも、それがカズキさんなんです」
アーシアはこの場に居る中で二番目に一緒に居る時間が長い。だから分かっている。つい先日も見たのだから。
誰よりも平静を望みながらも何か諍いがあれば自分から真っ先に飛び込んでいく。そんな困った少年にちょっとした想いを馳せてほんの少し苦笑を浮かべるのであった。
そんなあれこれがあった後の夜。和希はリアス達に内緒でとあることをしようと思い、アティに相談を持ちかけた。
「珍しいですね、こんな時間にどうかしたんですか?」
「教会側の言っている聖剣の破壊をあの二人と協力しようと思うんだけど、どう思う?」
「理由から聞いてもよろしいでしょうか。アーシアちゃんのことがあるのに何故でしょうか」
「それは順番が違うんだ。本当はあの聖剣を見たその瞬間にでも壊したかった。あの
「……分かりました、リアスさんには黙っておきましょう。表立って協力は難しいと思いますが、私も協力させていただきます」
「……ありがとう。早速、明日接触を図ってみるよ」
*************
そんなこんなで翌日、和希は一人で町へと繰り出していた。とは言ってもどこにいるという当てもない。最初は付近にある教会を探していたが、手がかりも掴めない為、とりあえず人通りが多い場所へとやってきたのだ。
逆に人通りが多くて見つけることを諦めかけたが案外簡単に見つかった。何故なら先日と全く同じローブに身を包み、金銭を恵んでもらおうとしていれる少女二人組の姿がそこにはあった。
「迷える子羊にお恵みを~」
「どうか、天に代わって哀れな私たちにお慈悲をぉぉ!」
本人たちとしてはいたって真面目なのだろうが、和希本人からすればそんな姿は想像できなかったし、そんな姿見たくもなかった。何なら今、この場を見なかったことにしてどこかに去ろうとも思いもした。だが……。
「なんてことだ。これが超先進国であり、経済大国日本の実態か。これだから信仰心の匂いがしない国は嫌なんだ」
「路銀の尽きた私たちはこうやって慈悲をもらわなきゃ食事も取れないのよ」
「ふん、もとはと言えばお前がその詐欺まがいなその変な絵画を購入するからだろう」
そんな感じで言い合いがヒートアップしていく。先日ゼノヴィアとは敵対したいえ、流石に幼馴染のイリナのこんな残念な姿をこれ以上、世間に晒したくはなかった為、意を決して声をかけて、とりあえず近くにあるファミレスに入ることにした。
ある程度、予算があるから好きな量を頼んでいいとは言った和希にも非はある。だが、そうは言ってもだ。机がいっぱいになるほど頼むだろうか。
――いや、少しは遠慮ってモンを知らないのか。この二人は……。
「うまい! これはうまいぞ!」
「これよ! これが故郷の味よ!」
――せめて、親の料理を故郷にしてやれ。ファミレスの味を故郷にするなよ。
飯にがっつけるだけがっついて落ち着いたのか、一息ついてフォークとスプーンを置いた為、これでようやく本題に入る。
「単刀直入に言う。聖剣の破壊に協力したい」
和希とゼノヴィアが無言で見合い、沈黙の時間が続く。この三人がいる席が角でよかった。この席だけ異様な空気が漂う。
「一本くらいならいいだろう。君は秘密裏で悪魔と協力関係にあるだけで悪魔そのものというわけではない。上に君の協力がバレてもそこまでうるさく言われることはないだろう」
アーシアとのあれこれがあったとはいえ、こんな簡単に許可下りるとは思わなかった為、あっけに取られてしまう。イリナにとってもそれは予想外のリアクションだったのだろう。慌ててゼノヴィアに聞き返す。
「ちょっと! 本当にいいの、ゼノヴィア?」
「正直言って私たちだけでは聖剣三本の回収とコカビエルの戦闘は辛い」
「それは分かっているけど!」
「最低でもエクスカリバー3本を破壊。私たちの聖剣が奪われそうなその時は壊せばいい。奥の手を使ったとしても3割あれば良い。最悪の場合全滅もあり得る」
「それでも、それは低くない確率として覚悟して来たはずでしょう」
「そうでな。低くはない。でも高い確率というわけでもない。上層の方からは任務遂行してこいと送り出された。まさに自己犠牲だ」
「それがどうしたのよ、それこそ私たち信徒の本懐じゃない」
「気が変わったのさ。私の信仰は柔軟なものでね」
自己犠牲と言えば多少は聞こえだけはいいだろう。だが、それを平たく言うのであれば『最悪、死んでしまうのはやむなし。聖剣だけでも破壊してこい』ということだろう。
そしてそれを本懐と言えてしまう教えはどうなのだろう。信徒としてはイリナの言う通り、まさしく正しいのだろう。だが、それは『人』としての在り方としてはとても歪んだものだ。和希の他人本位なところも歪んでいるのだが、『主の意向』として命さえ惜しくないと思えるのも大概だ。だが、この様子だとゼノヴィアは違うようだ。事実、カトリックとプロテスタントでは違いが存在している。この二人は行動を共にしているようだが、所属している派閥がおそらく違うのだろう。
「別に悪魔側の力を借りようと言っているわけではない。ただ、ドラゴンの力を借りる。ただそれだけの話だ。上も別に他所から力を借りることを禁じているわけでもないだろう。こんな極東で赤龍帝に出会えたのは予想外だった。主をけなされたことは今でも許せない。昨日は頭に血が上ってしまい、冷静ではなかったが、かなり実力者であることは見れば分かる。それこそ、私とイリナが二人で戦ったところで相手になどなるものか。そんな人間から申し出ているのだ。ここは素直に協力してもらう方がいいだろう。しかも君の古い顔馴染みときている。これも主の導きに違いない」
「じゃあ、この協力関係は成立ってことで」
「あぁ、よろしく頼む。今代の赤龍帝」
ここで一つ話がひと段落したところで情報交換を切り出す。それは祐斗の生い立ちにかかわっている『聖剣計画』のことである。
どうやらその計画自体は教会側としても最大級に嫌悪される一件。その主謀者は現在、堕天使側と繋がりを持っているようで今ではそちら側の住人らしい。その主謀者の名は『バルパー・ガリレイ』。内部では皆殺しの大司教と呼ばれていたようだ。堕天使を追いかければそこにたどり着くことも分かった。和希はつい先日、アーシアとの一件で遭遇したイカレ神父フリード・ヒルゼンが堕天使と繋がりがあること、現在は不明だが先日までこの町の教会根城にしていたであろうことを教えた。
この場はこの辺でお開きにし、何かあった時の連絡先を教えようとしたらイリナがストップをかけ、先日家に来た時に美奈から教えてもらったことを告げる。
――いくら知人とはいえ、俺の個人情報ガバガバすぎねぇか!?
「今回は助かったぞ、赤龍帝の風峰和希。このお礼はいつか」
「ありがとうね、カズ君。この恩は絶対に忘れないわ」
そんな胸中の和希のことなど、気に取ることもせずゼノヴィアとイリナは席を立ち、そう言って去っていく。
和希はそれを見送ったあと携帯を取り出し、協力者であるアティに連絡を取る。
「とりあえず、OKは貰えた。後、木場のことなんだけど……」
和希はゼノヴィアに教えてもらったことを含めて現状を全て報告する。
『それなら、この件には木場君にも入ってもらいましょう。今回のことはあまりにも彼に因縁がありすぎです。聖剣保持者からの破壊承諾に対して思うところはあると思います。ですが、彼が前に進むためには避けて通れない道です。リアスさんたちには私から伝えときます。ですから、木場君のことはよろしくお願いしますよ。』
「分かった、木場のことは任せておけ。今回も誰一人欠けさせはしない」
和希は電話を切った後、祐斗に今回の詳細を伝える。本人からは言葉少なく、一言『分かったよ』とだけ返ってきた。
この聖剣破壊計画は
また続きが完成するのに時間はかかると思いますが今後ともよろしくお願いいたします。
それはそれとしてサイレンススズカって良いですよね。
それではまた。