ハイスクールD×D ~神殺しの王は赤き龍の帝王となりて王道を征く~ 作:ガーネイル
さぁ、今回もご都合主義というかつっこみどころが多いかもしれません。特に型月ファンの方にはそう映るかもしれません。作者はFGOしか知らないためそこのところはご容赦ください。
今回もお楽しみに頂けたらな、と思います。
リアスたちとの話が終わり、家に帰り、夕飯等々自分のことを済ませた後、和希は自分の部屋で龍の手を出現させる。和希は龍の手に意識を集中させる。すると龍の手は赤く光りだし、和希の手を包み込み始める。そして籠手のようだったものは龍の手そのものに姿を変える。和希はそれに気付かない。何故なら意識はより深いところにあるからだ。
そこで和希は赤き龍と対峙する。
「今回の宿主は今までと違うようだな」
「赤き龍。……ウェールズを象徴する赤いドラゴン、ウェルシュドラゴン」
「俺のことを知っているのか……。その通り、俺は赤き龍の帝王。赤龍帝・ドライグ。これからよろしく頼むぞ、相棒」
「あぁ。よろしく頼む」
短い会話を終え、和希の意識は浮上していく。和希が目を開けると龍の手の変化していることにようやく気付く。
「これが本当の姿だったのか」
『相棒が俺に気付いたことにより、龍の手も本来の姿へと姿を変えたのだ』
和希はドライグから籠手に関する情報を得る。
和希が装着している龍の手の正式名称は『
ちなみに赤龍帝の籠手が持つ効果は基本的な龍の手と同じだが、赤龍帝の籠手は持ち主の力を十秒事に倍化させていくという能力を持っている。さらに神器は宿主の想いに応え進化するらしい。
「色々教えてくれてありがとな。また分からないことがあったら教えてくれ」
『それくらいお安い御用だ』
和希は赤龍帝の籠手を解除し、眠りについた。
*************
翌日の朝。さすがに昨日の今日で隣にリアスがいるということはなかった。朝食を食べに下に降りると既に支度が完了しているアティがいる。普段は朝食を一緒に食べるのだが、今日は違うらしい。
そのアティ自身、いつになく機嫌がよさそうである。アティの機嫌がいいのは今日から教師として働けるということも一つの理由である。
さらに奥にある本音のところは和希が普段生活しているところを見られるのが、教師と生徒という差があれど、一緒に過ごせるのが嬉しいのである。
とにかく、今日は教師として初日であるため、和希より少し早めに家を出なければならないのである。
というわけで和希が下に降りた時にアティは支度が終わっていてちょうど家を出るところだった。
「それじゃあ、和希くん。私は先に行きますね。ちゃんと遅刻しないで来ないとダメですよ」
「大丈夫、分かってるよ」
「それでは行ってきますね」
「あぁ、いってらっしゃい」
和希はアティを見送った後、リビングで朝食を食べてから諸々の支度を始める。
家を出て学校に向かう途中で見かけない少女を見かけた。
ブロンドの髪で修道着を着ている。コスプレとかではなさそうだ。どちらかというか本職の人な気がする。佇まいというか雰囲気が本職のそれに近いのではないかと思う。その少女は何か困っているように見える。
そして基本いい人で困っている人を見かけたらなかなか放っておけない和希は少女に声をかける。
「大丈夫か?」
カンピオーネである和希にとって言葉の違いは大した問題にならない。カンピオーネとは便利なもので異国の言葉は全て自動翻訳して耳に入る。よって、話している本人同士のコミュニケーションで困ることはないのである。
「この町の教会に赴任することになったのですが少し道に迷ってしまったので……」
遅いが、少女の手には大きめの旅行用のバッグを持っていることに気付く。やはり本職の人だったようだ。和希は学校と逆にある教会に案内するか悩んだが、走ればいいと答えを出して案内することにした。
「なるほど、だからシスターの格好をしてるのか。そういうことなら案内するよ」
和希は案内ついでにシスターの持っているバッグを空いている手で持つ。
「重いだろ? 着くまで俺が持っていくよ」
公道を歩いている時に今まで喋ろうとしなかった少女が口を開く。
「親切な方に出会えてよかった。これも主のお導きでございますね」
「きっと君の行いが良いからだよ」
何も知らないシスターだとしてもまさか、自分に神殺しなどといえるわけがない。それに神殺しをしたというのに神に導かれるというのは何とも言えない気持ちになる。
公園の入り口に差し掛かった時、男の子の泣き声が聞こえてきた。
それを聞いた彼女は真っ先に大元のほうへと走っていく。
その後を追いかけるとシスターが少年の傷口に手をかざしていた。彼女の指輪が光だし、傷口をどんどん塞いでいく。その時、赤龍帝の籠手がある部分が疼きだす。だが、それは一瞬のことだった。
さっきまで少年の膝にあったそれはまるで嘘のように消えている。通常ではありえない奇蹟を起こしたあれが神器であることは理解できた。
「はい、傷は無くなりましたよ。もう大丈夫。……すいません、つい」
傷を治した後、チロッと舌を出して謝る。が、和希はそこまで気にしていなかった。
再び二人は教会に向かって歩き出す。
「驚いたでしょう?」
「あ、あぁ。すごい力を持っているんだな、とても優しい力を」
「神様から頂いた素晴らしい力です。……そう、素晴らしい」
前方にある山の麓に建っている教会が見えてきた。
「あ、あそこですね」
「おう。この町の教会はあそこにしかないからな。でもあそこに人がいるのは見たことないぞ」
「できればお礼がしたいのですが……」
「ごめん、これから行かなきゃいけないところがあるから」
お礼をしたいシスターとこれから学校に行かなくてはいけない和希。これ以上ここに留まっていると学校に遅刻してしまう。それに今朝、アティに遅刻するなと言われている。和希としてもアティが教師生活を送る一日目に遅刻する気はない。
「そうですか……。私はアーシア。アーシア・アルジェントと申します。アーシアと呼んでください」
「そういえば、自己紹介してなかったな。俺は風峰和希。まぁ、呼びやすい呼び方でいいよ」
「なら、カズキさんとお呼びしますね。私、日本に来てすぐにカズキさんみたいな親切な方に出会えて私は幸せです! ぜひお時間がある時は教会にいらしてください。約束ですよ」
ここでアーシアと別れ、真逆に位置する駒皇学園まで走って向かう。神殺しの体になってから和希の基礎体力や基礎的な身体能力は上昇している。
そのおかげというべきか何とか学校に到着した。教室に着くと周りは新しく赴任してきた先生の話でもちきりになっていた。
そんな先生の関係者でもある彼は昨日の今日でよくここまで情報が出回っているなと情報を入手した人に脱帽している。だが、そう思うのも最もである。アティがこのクラスの副担任として、また、世界史の教員として働くことになったのは昨日の夕方以降だ。その上、彼らはリアスたちがいる旧校舎にいたのだから。
そんな周りをおいて担任とアティが入ってくる。
「さて、今日から君たちの副担任となる先生を紹介する。自己紹介をお願いします」
「はい。今日から副担任として一緒に生活させていただく、アティです。世界史を担当させていただきます。授業で分からないところがあったら遠慮なく聞きに来てください。またこんな時期からですが、仲よくしてくれると嬉しいです。一年間よろしくお願いします」
いつもと違うアティの姿に和希は魅入っていた。
アティはいつものような朱色の服ではなく、黒いスーツを着ていたからである。それに普段と違うところといえば眼鏡を着けているところだろうか。今でこそ、眼鏡をかけていないが、昔はかけていた。和希はその頃のアティを見ていないから余計そう感じるのだろう。
松田、元浜に関しては血涙を流しながら天を仰いでいる。周りの女子はその光景に少し引き気味である。
朝礼後、たくさんの生徒がアティの元に集まり話をしている。和希はその様子を席から少し嬉しそうな表情を浮かべながらそれを見ていた。
胸中どんな思いでそれを見ているのかは分からない。でもそれは自分のことのように嬉しいのであろう。だからこそ、微笑んでいるのだ。
そんな彼の周りにいる女子生徒は今まで見たことのない和希の表情に顔を赤くしていたが、それに気付くことはないのだろう。
*************************
そんなことがあって今は昼休み。和希は一人で昼食をとっていた。だが、それはいつものこと。時間をかけずに昼食を取った後、珍しく寝ていた。
そして神殺しになった時とは違う夢を見る。
荒れた大地の上にいた。空には歯車が回っている。だが、辺りは砂嵐で見えない。生き物が住んでいける環境ではない。
砂嵐が晴れる。辺りには無限の剣がまるで墓標のように刺さっていた。強いて言うならウルスラグナ・戦士の化身は相手を殺すための処刑台のように見えなくもない。だが、ここは少し違う。剣の一つ一つがまるで墓標のように、または主を待つ兵士のように。
そんな荒れ果てた場所に一人の男性がいる。紅い外套に身を包み、浅黒い肌と白い髪はオールバック。目つきはまるで獲物を捕らえんとする鷹のようだった。
その男に見覚えがあった。それはこの世界に転生する際に見た王となった少女と正義の味方を目指した少年の記憶。両方の記憶に存在した男であり、少年の末路。
男が和希に近づいてくる。
「こんなところに客人とは珍しいものだ。小僧とあり方は似ているが異なる存在。して、このような場所に何ようだ」
「気付いたらここにいたとしか言えないよ。エミヤシロウ」
「どこでその名を?」
自分の名を当てられ、静かに警戒の度合いを上げていくエミヤ。一方、言い当てたほうの和希はどのように説明するか悩んでいる。
信じるかはあなたに任せる。そう言って彼は言葉を紡いでいく。
「俺は一度死んだ転生者。転生する前に二つの記憶を見たんだ。選定の剣を抜き王となった少女が少年と出会い、恋をして、自分は間違えていなかったと認識できた。そんな少女の記憶。正義の味方になりたい少年がその少女と出会い、同じように恋をして、大きくなってボロボロになりながらも前に進み続けた男の記憶。そしてその少年はあなたのことだ。俺がいる世界であなたが錬鉄の英雄としての話が存在している。だからあなたのこと。そしてあなたの相棒であった少女の名を知っている。……信じるか?」
和希は自分の知っていることは全て話した。もう話すことはないとエミヤの目を見る。
お互い、目を逸らさず見合っている。先に折れたのはエミヤだった。エミヤは一度溜息を吐いた後、口を開く。
「君が今ここで嘘を言うメリットはあるまい。その話は信じよう。にしてもそろそろ名前を教えてくれてもいいのではないか? 一方的に知られているのはあまりいい気がしないのでな」
「あぁ、すまん。俺は風峰和希だ」
「では、和希。早速だが、聞きたいことがある。というより、君の話をしてくれないか? こんなところに人が来るのは初めてのことでな。それに私が知らない世界の話を聞くのは面白そうだ」
これはいくつもある可能性の一つ。ただ、本来なら実現しない可能性の方が圧倒的に多い。何故なら基本的に風峰和希という人間が転生者であることを前提に存在するのは難しい。それこそ神の意向とでもいえばいいのだろう。そして、このエミヤシロウがこのような対応をするのも可能性の一つだろう。本来だったら邪険にされたり、疑われたりしても何も不思議ではない。初対面の男を信用するほど彼は簡単ではないはずだ。故に無限に存在する存在する僅かな可能性がここだった。それだけの話である。
和希は自分の過去を話した。争いを止めるために戦場を駆け回ったこと、その最期。 転生して神話系の本を読んで育ち、異世界の人と出会い、神殺しに成功したこと。堕天使や悪魔が実在していること。最近知った神器のこと。
特につい最近のことは事細かに話す。
エミヤが抑止の守護者とはいえ英霊の末端だ。神殺しが無謀でただの人間では成しえないことを知っている。だからこそ彼は驚いた。いくら前世の記憶もあるとはいえ、認識的には人間と変わらないのだから。そこに白馬の化身が封印された石板とメルカルトがあったとしても、それだけで勝てるほど神というのは甘くない。運が良かったのもあるだろうがそれだけで片づけられるものじゃない。
だからエミヤとしては気になった。和希が持っている力が。
「そうか。神殺しに成功した君の力を見せてもらいたいのだがいいか?」
「英雄相手にどこまでできるか分からないが、努力しよう」
「私は正義の味方のなれの果て、英雄などではない」
荒れた大地で距離を置いて向かい合う。
エミヤが両手に作り出すのは
一方、和希が作り出すのは自分の記憶でもっとも長く愛用していた剣。それを見たエミヤは少し驚いた表情を浮かべた後、納得した顔をする。
エミヤはまるで弓の弦を引いているような構えを取る。一方、和希は構えない。あくまえでも自然体である。和希が使うのは無想剣という特別な剣術。一見ただ立っているように見えるが、和希はそこから自由に剣を振るう。
同時に地面を蹴り接近する。この戦いは互いを知るための戦い。英霊と神殺しの戦いが始まった。
*************************
先の戦いはお互いの得物を首元に突き付けたところで引き分けとなった。
二人は背中合わせで座っている。するとエミヤから会話を持ちかける。
「君のその作り出す力に覚えは?」
「分からない。神器ではないと言われたからな」
「そうか、それなら教えよう。その力は私と同じものだ。だからこの世界に来ることが出来た。いいものを見せてくれたお礼だ。私の知っている宝具を全て君に送ろう。
そう言い切ると和希の体が薄くなる。
「もう会うこともないだろう。君と出会えたのは私にとっていい経験となった。神殺しと戦うなど滅多に出来ない体験だからな」
「それならよかった。そうだ、聞きたいことがあった。セイバーさん。……アルトリアさんのことはどう思ってた?」
「そうだな、愛していると言っても違いない。だが、私なんかでは釣り合わないさ」
「そっか。でもそれを聞けて安心した」
その言葉を残して和希は完全に姿を消す。そのあと、エミヤは誰にも聞こえないような声で呟く。
「彼のところに召喚されたら楽しい時間が過ごせそうだ。そう思わないかね、なぁ、セイバー?」
*************************
和希が目を覚ましたのは授業が始まる5分前だった。そして目を覚ました時、視界に入ったのは教室内にいる男女が問わずほのぼのとした雰囲気になっているところ。何故こうなっているのか分からず、首を傾げながら後頭部を掻く。
普段、イケメンの部類に入る和希だが、寝ている時は何故か年齢より幼く見える。中学校の頃からそう見えるようになり、先生にでさえ、それが効いていた。さしずめ、魅了(EX)というところだろうか。
そうこうしているうちにチャイムが鳴り、次の授業が始まるのであった。
放課後になり、日も暮れて各部活動が終わりを迎える頃。部室にいると朱乃がリアスに向かってこう告げる。
「先程大公より連絡が」
「大公から?」
「はぐれ悪魔討伐の依頼が届きました」
リアスたちは陽が沈んだ後の薄暗い森の中にいた。なんでも森の中にある廃墟にはぐれ悪魔がいるとのこと。
その廃墟に向かう途中ではぐれ悪魔がどういう存在なのかを教えてもらう。
「元々は下僕悪魔だったんだ。でもたまに、主を裏切り、または殺して好き勝手しようとする連中がいるんだよ。それがはぐれ悪魔さ」
悪魔側だけでなく、天使や堕天使側もはぐれ悪魔が見つけた次第、殺すようにしている。と告げる。
それもそうだろう。自ら主に裏切り働き、最悪殺しも働く。その上、好き勝手しながら生きる。これほど危険な存在はいない。見つけ次第、主人や他の悪魔が殺す。それが悪魔のルールであるようだ。
「そのはぐれ悪魔さんはこの先の廃屋でおびき寄せた人間を食べていると報告がありました」
廃屋に到着し、そのまま木場が扉を開け、朱乃が先行して中に入っていく。中を歩いきながらリアスが和希に呼びかける。
「あなた、チェスは分かるかしら?」
「いいえ、その手のゲームは少し疎いですね。駒くらいは何とかって感じです。アティは?」
「私もこの世界に来て浅いので分かりません。ですが、名前は聞いたことがあります」
「主の私が王。そこから、『
リアスが悪魔の駒に対する概要を教え終わり、広間に着いた時、和希は敵意と殺意を感じ取ることが出来た。体の調子がより良くなっていく。アティも警戒心を露わにし、少しのことも見逃さないよう辺りに目を凝らす。
その中で広間中に低く声が響き渡る。
「人間の美味そうな匂いがするぞ。でも不味そうな臭いもするぞ。甘いのか? 苦いのか? どんな味がするんだ?」
広間の奥。隣の部屋に行けるところから声の主がその姿を現す。上半身は女性のもの。だが、下半身は化け物といえる異形の姿。その醜悪さはまさに悪魔といえるものだ。
木場、子猫、朱乃がリアスを守るように囲う。木場の手には黒い直剣が握られている。
リアスはそのはぐれ悪魔に向かい、声を上げる。
「はぐれ悪魔バイザー。主の下を逃げ、自分の欲求を満たすために暴れまわる不貞の輩。その罪、万死に値するわ。グレモリー侯爵の名においてあなたを消し飛ばしてあげる!」
「小賢しい小娘だこと。その紅い髪のようにあなたを鮮血で染めてあげましょうか?」
「雑魚ほど洒落たセリフを吐くものね」
これが、はぐれ悪魔というものか。それが和希の認識だった。異形の体や自身の欲に溺れた瞳。悪魔というものを全く知らない人が見ても悪魔だと認識できる。化け物ではなく、これは悪魔だと、そう思えるほどに彼女は欲に溺れている。バイザーは笑いながら自分の胸を揉みしだく。女性を象徴する二つの双丘。その頂点から魔法陣が現れる。それは敵を攻撃するためのもの。その攻撃が弾丸のようにこの場にいるものを襲う。
グレモリー眷属はそれを危なげなく回避する。だが、それは和希とアティも同じこと。二人はこの場にいる誰よりも戦いを知っている。自分たちより遥かに格上の相手と戦うこともあった。このような攻撃は児戯にも等しい。
空を切った攻撃は屋敷の壁に当たる。壁は熱で溶かされたように当たった場所だけ溶けて消えている。
「これからさっき言った駒の特性を見てもらうわ。祐斗!」
リアスの声に応え、木場が動き出す。それと同時に姿を消す。だが、これは姿を消したわけではない。ものすごい速さで移動しただけだ。その速さは鳳に及ばないまでもかなりの速さである。常人では反応できないスピードだが、二人はそれに反応する。この場で反応できないのはバイザーのみ。
「祐斗の役割は騎士。その特性はスピードよ。そして最大の持ち味は剣」
木場の攻撃により異形の腕は切り落とされ、床に落ちる。切り落とされ苦悶の声を上げる。そこに近付き何かしようとするのは子猫。その時、先ほどの苦悶の声から別種の声を上げ異形の上半身から出来たのは口のようなもの。バイザーは近くにいた子猫を食べる。
「塔上さん!」
アティは少し焦ったように声を荒げる。バイザーも勝ち誇ったような笑い声を上げているが、リアスの口元はうっすら口角が上がっていた。すると、子猫を捕食した口がミシミシと音を立てる。そして閉じられた口が再び開く。中にいた子猫に傷は一つもない。ただ彼女が着ていた制服が所々溶けて素肌や下着が露わになっている。
「子猫は戦車。その特性はシンプル。馬鹿げた防御力と攻撃力。あの程度なら何も問題ないわ」
「……ぶっとべ」
子猫がぼそりとそのまま内部を思い切り殴る。その際、押さえていた歯も一緒に破壊していく。内部からの衝撃は相当強かったらしく、バイザーは成す術なく、飛んでいく。飛んでいった先に立っていた柱も真っ二つにへし折れたことからどれだけの力があったのかが容易に想像できる。
朱乃が追い打ちをかけるように倒れている悪魔の元へ歩いて行く。その時、切り落とされたはずの腕が動き出し、リアスへと襲い掛かる。
「危ない!」
和希は瞬時に剣を造りだし、その腕を切り捨てる。
「ありがとう」
「気にしないでください。それより気を抜いちゃダメですよ」
「えぇ、そうね。朱乃」
和希の手を借りて立ち上がったあと、名だけを呼んで指示を出す。
「部長に手を出そうだなんてイケない子はお仕置きですわね」
何か少し危ない雰囲気を醸し出す朱乃。両手には雷がほとばしっている。
「彼女は女王。王以外の全ての駒の特性を兼ね備えた無敵の副部長よ。魔力を使った攻撃が得意なの、そのうえ彼女は究極のSよ」
最後の情報は本当に必要なのだろうか。
それが和希の感想だった。和希が軽く引いてる視界の隅で頬を赤く染めながら生き生きとバイザーに攻撃している朱乃を捉える。
一言で表すなら、とてもいい笑顔をしている。
これならどうかしら? まだまだいけますわよね? ウフフフフフなどなど、嬉々として攻撃を続ける。
しばらくしてようやくリアスがストップを入れる。雷撃を喰らっていたバイザーは真っ黒に焦げているがまだ息はある。
「朱乃、それくらいにしておきなさい」
「もう終わりだなんて、ちょっと残念ですわね」
本当に残念そうに言う朱乃をよそにリアスは倒れているバイザーの正面に立ち、言葉を投げる。
「何か言い残すことは?」
「こ……殺せ」
「なら、消し飛びなさい。
リアスの正面に大きめの魔法陣が浮かび上がり、そこから黒い魔力がバイザーへと襲い掛かる。黒い魔力は、グレモリー家が持つ滅びの魔力。大本は悪魔・バアルが持っていたとかいなかったとか。
消し飛ばしたあと、この場には黄緑の魔力光がほんの少し残った後に消え去り、さっきまでの暗闇へと戻る。
「これで全部終わったわ。帰るわよ」
「「「はい、部長」」」
はぐれ悪魔退治はこれで終わり。これからいつも通りの生活に戻る。ただ、一つだけ挙げるとするなら、運命の物語は徐々に動きだし始めていた。
なんかいつもより文章量が多くなったった。
それはそれとしてスーツに眼鏡をかけているアティさんは素晴らしいと思うんですが、どう思います? 他にはどんな服装が似合うんでしょうかね、気になります。頑張れ、俺の妄想力!
そんなこんなで、そろそろアティをヒロインさせてあげたい。……次回こそできると思いたいです。予定は未定とよく言ったものですね。
あ、本作とは全く関係ないんですけどアルカも可愛いですよね。
色々と脱線しましたが、これからも作者、作品共々よろしくお願いします。