ハイスクールD×D ~神殺しの王は赤き龍の帝王となりて王道を征く~ 作:ガーネイル
GWという大型連休も終わって仕事、もしくは学校という憂鬱な日常の繰り返しに戻りした。
皆さんは有意義な休みは過ごせたでしょうか? 自分は小説漬けな日々でした。普段は仕事でそんな時間はないので自分にとってなかなかいい時間を過ごせたと思います。
今回も難産ものでしたので、文章的にも至らぬ点は多いですがよろしくお願いします。
それではどうぞ。
和希は先日の約束通り、アティとアーシアとの三人で買い物に出ていた。
外人である上に、容姿もいい。そんな女性陣は男女問わず視線を集め、注目の的になっている。真ん中にいる彼は、落ち着かない上に周りにいる人(主に男性)から嫉妬の視線を受けていた。
そんなことに気付かない女性二人は普段はあまり目にすることのない大きなショッピングモール内の所狭しと並んでいるお店に視線を行ったり来たりさせている。
店先にはとても大きな文字で春物セール! と書かれたポスターやら何やらが張られている。おそらくだが、後一ヵ月もすれば夏物の衣服が店頭に並び始めるだろう。
「和希くん!」
意識が少し冒険していたようだが、アティに呼ばれ引き戻す。少し辺りを見渡したらすぐに見つけることが出来た。
二人の手にはそれぞれが選んだと思われる衣服が握られている。アティの手には白いブラウスと青いロングスカート。アーシアの手には桜色のワンピース。
二人とも特徴的な髪色をしているから似合いそうな服と言われても難しい。本人が納得しているならいいか、と思いつつアティの服装に対し、声だけ聴くととある人物にしか聞こえない。声が似ていると言うのも考えものかもしれない。
「あの、似合っていますか?」
「素直に答えてください」
アーシアとアティで和希に問う。いつの間に試着したのか、アーシアがパステルピンクのワンピースに身を包んでいた。
手に持っている時はどうかと思ったが実際に着ているところを見てみると似合っていることが分かった。
アティの持っていた服は、和希にとってとある少年の相棒が着ていた服装という先入観もあり、色々と気がかりだったが、そんなことはない。大人の色気というべきか、本人の落ち着いた雰囲気。それに加え、服の清楚さもあり、どこかの貴婦人のようにも見える。
「えっと、とてもよく似合っていると思う」
人差し指で頬を掻きながら答える和希。どことなく、頬は少し紅い。そんな少年のリアクションを見て、褒めてもらうことができた二人は上機嫌になりながらカーテンを閉めて着替え始める。
ここは何といっても女性服を取り扱っているお店。店内にいる女性客の視線が和希に突き刺さる。居心地の悪さを感じるが二人が出てくるまで我慢する。出てきた二人は迷うことなく試着した服をレジに持っていく。
会計から戻ってくるのを待っている間に腕時計を見ると十三時二十五分を示していた。戻ってきたところで昼食を食べにファミリーレストランに向かう。
安いけどそれなりにお腹が膨れる学生の味方である某イタリアン料理店だ。某ハンバーガーの大人気チェーン店でもよかったが、メニューの豊富さではこちらの方が多い。理由としてはそれくらいだ。
一人一つずつ主食を頼み、その後、数人でつまめそうな食べ物を注文する。もちろん、頼む前にアティとアーシアの二人には信仰している宗教上食べてはいけないものがあるか否かは確認した。
丁度昼食時だったため、多少混んでいたが、思っていたより早く注文したものがくる。初めての体験にアーシアは困惑していたが、和希が教えながら楽しい時間を過ごした。
昼食後はみんなで楽しめそうな場所ということで和希はゲームセンターに案内した。今年になってから行ってないが、去年までは松田や元浜と共に遊びに来ていた。彼らと根本的な性格は違うが、ゲームなど遊びの面では多少近いところがあるため、時間つぶしも兼ねてたまに遊びに来ることもあったのだ。
今回は自分だけではなく三人で楽しめるものがメインになってくる。といっても基本的にこういう場所は多くても二人で出来るの対戦ゲームや音楽ゲームが中心になってくる。だが、和希にとってメインは女性陣だ。だから二人が興味を持ったものをやることにした。
アティとアーシアは初めて訪れた場所ということもあり、興味深そうに様々なゲームを見ながら店内を歩いて行く。アーシアはクレーンゲームと有名な配工管のおじさんなどキャラを選択してカーレースをするゲーム。アティはプリクラと音楽と難易度を選択し、液晶に映っているお手本と一緒に踊る得点型体感ゲーム。
クレーンゲーム→ダンスゲーム→レースゲーム→プリクラの順番で進むことにした。初めてのゲームに戸惑いながらプレイする二人に苦笑しながら隣で教えたり、交代で一緒に遊んだりする。
「こんな楽しい時間は生まれて初めてでした。アティさん、カズキさん。本当にありがとうございます!」
近くにある公園で休んでいる時にアーシアが二人にお礼の言葉を告げる。
そして、自分の生まれ、神器を得たきっかけ、何故この街に来たのか。ここに来るまで何があったのかをゆっくりと話す。
だが、この企画を考えたアティとしてはこの前、酷い目にあったアーシアを励ます、少しでも気を紛らわせることが目的だった。ついでに和希と出かける口実であったりもするがそれはこの際置いておく。
アーシアとしては語ったことに嘘はない。本当にそう感じたからこそ出たお礼の言葉であり、過去を話したのだ。三人で遊ぶと言うのは初めての体験だから尚更そうしたかったのである。 彼女にとって普通の友達と普通に出かけるのが彼女の夢だったのだ。誰もが持っている普通は彼女にとって普通ではなく、特別なものだった。何故なら彼女に友人はいなかったから。
持っている者と持たざる者の意識の差だ。持っている者はそれが当たり前だと、普通だとそう思ってしまうものだ。だが、持たざる者からするとそれは特別なことなのだ。あって当たり前、あるのが普通というわけではないのだ。
言葉を聞いたアティは微笑みながら言葉を返す。
「いいんですよ、アーシアちゃん。また三人でこうやって遊びましょう。わたしたちは友達なんですから」
アティにとってアーシアは和希以外に出来た最初の友人。アーシアにとっても和希とアーシアは人生で初めて出来た特別な友人なのだ。
「はい!」
「残念ながらそれは無理よ」
このまま行けば丸く収まるのだが、そうはいかない。この場に乱入してくる無粋な者によって妨害される。
「レイナーレ様……」
「あなたが……」
つい、先日不意打ちで和希を殺すことが出来た堕天使が、天野夕麻だった存在が公園の中央、水面の上に立っている。アティは改めて堕天使という存在を確認する。彼女はその上で話をするつもりだった。基本的にアティは争い事を良しとしない。だが、必要ならばする。それ以外は可能な限り話し合おうとする。
アティより早く和希が動き、二人を庇うように前へ出る。
「一体何の用だ?」
「あなた、生きていたのね。転生するわけでもない。神器の力かしら?」
「敵にそれを教えるとでも?」
「それもそうね。……アーシア、逃げても無駄なのよ」
「もうあの場所には戻りたくありません! すいません、私逃げ出してきたんです」
それはそうだろう。この前、ゴタゴタがあったばかりなのだ。フリードという男がいるなら、上に報告しないわけがない。その中心に居た人物を外に出すということなどしないだろう。来れないはずなのに来たというのはそういうことなのだ。
彼女の意思もあり、あの時は一度帰したが、二人の本音としては家で匿いたかった。もう過ぎた事を気にしてもどうしようもない。和希は目の前いる敵に意識を戻す。
「で、堕天使が一体何の用だ」
「悪魔とつるんでいる人間が気安く話しかけないでちょうだい。邪魔をするならあの時のように殺してあげるわ」
「もう殺られねぇよ。堕天使如きに負けるたらきっとあいつらに笑われるからな」
和希が脳裏に浮かべるのは二柱と一人。自身に敗北したウルスラグナとヌアザ。そして夢の中で戦ったエミヤシロウ。
神を殺すことに成功した者がたかが堕天使に敗北したとなれば笑いものだ。それこそ、ウルスラグナは大笑いするだろう。それに彼はアティに言われたばかりなのだ。自分が重症を負えば私が心配すると。ならば心配させるわけにはいかないのだ。
そしてアーシアは人間だ。神器なんてものは関係ない。人智を超える力を持っていたとしても。人間という存在は神殺しが守護するべき存在なのだ。
「投影、開始」
「魔剣創造? そんなもので私に勝てると思ってるの?」
和希は長年使ってきた愛刀を複製する。この三竦みの存在はほとんどが勘違いするだろう。実際グレモリー眷属もそうだが、目の前にいるレイナーレも勘違いしている。これは魔剣創造による力だと。
だが、本質は全くの別物。これは固有結界から零れ落ちたもの。いわば副産物だ。正義の味方がそうであったように。
彼のメインは固有結界。だが、和希はそれすらサブでしかない。メインは神の権能なのだ。彼は魔術師ではない。神の権能を以て神を殺す王なのだから。
「またあの時のように無様に死になさい」
「強化、開始」
レイナーレが光の槍を投擲する。この前は油断していたが今は違う。和希はこれより早く飛んでくる剣を知っている。
光の槍を弾くことなど容易いことだ。普通なら折れてしまいそうだが、強化された愛刀は堕天使の攻撃で折れるほど軟じゃない。
「ねぇ、アーシア。私と一緒に戻りなさい。あなたの持つ『聖母の微笑み』は魔剣創造と比べものにならないくらい希少価値があるの」
「黙れよ。そんなに彼女を戻したいなら俺を殺しきってからにしろ。出来るもんなら、だけどな」
「このクソガキ、もう二度とその舐めた口を聞けないようにしてやるわ!」
レイナーレが先ほどとは比べ物にならないほど大きな槍を作り出す。先程と同様なら問題なかったが今のそれを受けるには強化の魔術だけでは足りない可能性があった。ならばどうすればいいか。彼女がこの変哲もない剣を魔剣と言っていた。ならば文字通り魔剣にしてやればいい。
「ならやってみろよ。俺は俺に斬れないものの存在を許さない。ここに誓おう、この刃は全てを切り裂く無敵の刃だと!」
和希の左腕が銀色へと変わって行く。切り裂く銀の腕によりこの場において愛刀は全てを切り裂く魔剣へと昇華をした。
威力がどんなにあろうと、どんなに壁が厚かろうとこの魔剣の前では紙切れ同然。容易く切り裂く。
「な、何なの! その力は!? ……あら?」
「さっきも言ったはずだ。敵には教えないと。攻撃はこれで終わりか? なら――」
「そこを動かないことをお勧めするわ」
自分の力を容易く切り捨てられ動揺したレイナーレだが、一瞬でそれから回復した。 それは何故か。それは何よりも簡単だった。この場にいなかったはずの一般人がそこにいた。
今一度槍を作ったレイナーレが挑戦的な笑みを浮かべる。
「そこからあなたが攻撃するのと、私が無関係の一般人を攻撃するのと。どっちの方が早いかしら?」
彼女が取った方法は人質だ。和希が動けば先に人質を殺すとそう言っている。
ウルスラグナの鳳を使えば簡単に行ける。だが、あれは自分に対する攻撃でないと発動しない。風の化身も和希の名を呼ばないと作用しない。それ以前にまだ昼なのだ。まだ半日ある。今、化身を使ったらあと半日は同じ化身を使えない。どの化身も一日一回しか使えないのだから。この後、もしもがあったらを考えると容易に使えないのだ。
和希は思わず舌打ちする。どうすればいいのかを考える。どちらかを守れば一方を失う。和希にとってこの状況は詰みだ。アティがいても変わらない。人質という存在が大きすぎるのだ。
膠着状態に入った時にアーシアが口を開く。
「レイナーレ様、一般の方を狙うのはやめてください。そちらに行きますから」
「アーシア!」
「和希さん、アティさん。私、今日は本当に楽しかったです。ありがとうございました」
アーシアは優しい。人が死ぬことは良しとしない女の子だ。だから瀕死の悪魔であろうと関係なく救った。その反面で例え、その後に自分に辛いことが降りかかってもそのことを後悔しない。一種の自己犠牲に近いものを持っている。
アーシアはアティと和希を追い越し、堕天使の元へと歩みを進める。
「いい子ね、アーシア。儀式が終わる頃には悩みや苦しみ、全てから解放されるわ。……それじゃあね、和希くん」
アーシアが連れていかれた日の夜。和希は一人で旧校舎に来ていた。アーシアについて話をしに来たのだ。
「リアス先輩。今から堕天使に喧嘩売ってきます」
「何言ってるの!? そんなのダメに決まっているでしょう。あなたは私たちオカルト研究部の身内よ。身内にそんな危険な真似させるわけにはいかないわ」
「死に行きますと言っているわけじゃないんです。救えなかった友人を取り戻しに行くだけなんですから」
「あなたは人間とはいえ悪魔と繋がりを持っている。それは向こうも知っているはずよ。隙を見せれば簡単に殺される。それにその子は元々神側の子。堕天使側にいっただけで私たち悪魔とは相いれないの。分かるでしょう?」
「それくらい分かってます。ですが俺は人間ですが神殺しです。勝手にそう思ってるだけですが、悪魔や堕天使、神という理不尽な力を持った存在から対抗できる俺が人という種を守る。それも神殺しのとしての責務です」
両者一歩も譲らない。いや、譲れないのだ。和希はアーシアの為に。リアスは部員である和希の為に。
見あってる中、朱乃がやってきてリアスに耳打ちする。朱乃の表情が少し険しい。それを聞いたリアスも同様だ。
「大事な用事が出来たわ。私と朱乃は少し外に出るわね」
「ちょっと待ってください、話はまだ……」
「カズキ。あなたに一つ教えておくわ。神器というのは想いの力で動かすの。その力が強ければ強いほど神器はあなたに応えてくれるわ」
リアスはそう言い残して部室から出ていく。結局先ほどの会話は終わらなかった。ならば仕方ない。やはり勝手に行くしかないようだ。だがそれを呼び止めるものがいた。
「一人で行くのかい?」
「あぁ、一人でも行くさ」
「確かに君一人でも行けるだろう。だが、無謀だ。君の土台が人間である以上基礎体力を含め全て向こうが上だ。だから僕も行く。部室を出る前に僕たちを見たのは君のフォローをしろという指示も含まれていたからね」
「二人では不安なので私も行きます」
祐斗と子猫もアーシアの救出に参加する意思を見せた。和希は少し懐かしい感覚に襲われる。それはこの世界に来る前の話だ。
――あぁ、共に戦う仲間がいるってこんな感じだったな。
決してアティを共に戦う仲間として見ていないわけではない。ウルスラグナと戦った時からずっとともにいる。和希にとってアティがいるのは当たり前のことなのだ。
ずっと二人きりだった戦場。そこに新しく二人入ってきてくれた。今回は三人での戦場。一人多いだけだが、仲間がいる。それだけでも心強いのだ。結局のところ人は一人で生きることなど出来ないのだ。
昼間の敗因は一人で何とかしようとしたから。あの時、アティに人払いなりをお願いしておけばよかったのだ。
和希は小さく笑みを浮かべる。
「さて、ささっとアーシアを助けて終わらせるか」
三人はアーシアがいる教会へと足を向けた。
和希達は協会の入り口が見える位置で近辺の様子を窺っていた。人が出入りする様子は全くない。だが堕天使がいるのは分かる。体質が機能し始めたからだ。体の調子が良くなっていくのが分かる。トラップがないのも何となく感じ取っていた。
「罠とかなさそうだし。じゃ、堂々と正面から行きますか」
「分かりやすくていいね」
「だろ?」
子猫が協会の扉を蹴り破る。中に入るが異様な静けさがあった。
祭壇へと進んでいくと手を叩く音が鳴り響く。
「やあやあ。感動の再会ですなぁ」
暗闇から出てきたのははぐれ祓魔師、フリード・ヒルゼンだった。
アーシアは原作・アニメ共に一誠に自分の夢?願い?を吐露しました。
作中でも触れましたが、友人と普通に遊ぶことです。今回、自分なりにかみ砕いて文章にしました。自分なりに普通、当たり前を考えてみました。いまいちちゃんとした答えは出なかったんですけどね。
そこで少し作者から皆さんへ質問です。
ぶっちゃけ、自分としてはあまり綺麗事すぎるのは言いたくないんですが、明日が来るのは当然だとそう思っていませんか?
当たり前のように学校に行く。会社に行く。でもそれって本当に当たり前のことなのでしょうか?
当たり前の日々、普通の日々。それは環境によって変わってきます。何故なら、紛争地域に行けば戦うのが、もしくは避難するのが当たり前なのですから。そこに住む者は危険が当たり前。平和が特別なんです。明日がくれば万々歳なんです。
答えを聞かせてほしいとは言いません。
ただ自分なりに、ほんの少しでもいいから今の当たり前、普通に対して少し考えていてほしいなとそう思いました。
何にせよ、今日という日はもう二度と来ません。なら一日を後悔しないような楽しい時間を過ごしてみましょう。
何か、学校の授業みたくなってしまいましたね。正直自分で質問しておいてあれですが、テンションが下降気味になってきましたので話を変えようと思います。
さて、ようやく一巻の終わりが見えてきました。後はフリードとレイナーレをホームランすれば終わりですね。きっと一、二話くらいで終わると思います、きっと、多分。
これが終わったらようやくフェニックス編です。
焼き鳥なんてメッタメタにしてやんよ。どんな公開処刑にするかはまだ未定ですけどね。
アティさんもいつから本格的に原作介入させるか改めて考える必要がありますね。
さ、次回も時間がかかるかもしれませんが、出来るだけ早く投稿したいと思うのでこれからも応援よろしくお願いします。