あと、前回ホウエン編最終回と言ったな、あれは嘘だ。
このペースで行ったら余裕で20000字超えそうだったのでいい感じに区切りました。
あ、Twitter始めました。色々この作品のことやらなんやら呟いてるのでよければフォローよろです()
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それでは……
ーーーーあれからまた何日か経った。
俺は特にやることもなくソファーに腰掛け、普段通りのんびりとテレビを見ていた。
「………なぁ。」
「ひゃっ、ひゃい!?」
呼びかけると突拍子も無いような声が上がる。何故か隣で俺にくっつくようにして座っているのは先日伝説二人に召されたグラードンである。さっきからチラチラとこちらを見て様子をびくびくと伺っているようだ。
「別に無理しなくてもいいんだぞ?あいつらに無理やり捕まったんだし、ここにいるのが辛いなら逃してあげるからさ。」
「いっ、いえ!そ、その、私はだ、大丈夫です。だってハルトさんと一緒にいたいし……///」
「そ、そうか…」
グラードンは視線を合わせずもじもじしながら言った。なんだろう、どう見ても無理してるようにしか見えない……。
「あっ!そ、そうです、ハルトさんに渡したいもの、があったんです。」
グラードンは懐から何か丸いものを取り出した。
「は、はい!どうぞ!う、受け取ってくださいっ!」
グラードンはその赤い水晶のようなものを俺に差し出してきた。
「これは……?」
「べ、
べにいろのたま、それはグラードンを眠りから覚まさせるのに必要(のはず)なものである。また、カイオーガのようにゲンシカイキをすることも可能でグラードンだけの為にあるような貴重なアイテムなのだ。
「いいのか?こんな大事なもの俺なんかに渡して」
「……は、ハルトさんなら安心して渡せます。きっと正しく使ってくれますでしょうし…………あっ、ちがいますね、ハルトさんが使えば
「どうしてそうなる。」
なんだこの家、全部俺中心で回ってるのかよ……末恐ろしいな。グラードンも既にあいつらに毒されてる気がするのは俺だけだろうか?
「わ、私をひとりの女の子として見てくれたのは……ハルトさんだけですから……。」
グラードンは胸元につけてある赤いブローチをそっと握りしめた。
***
三日前
それはその日の夕飯の買い物を二人でしていてその帰り道でのことだった。
「なぁ、グラードン。」
「はっ……はい…?」
「ここの暮らしには慣れたか?」
ハルトさんは私にそう問いかけてきた。正直なところ慣れるわけがない。普段からずっと一人で火山に篭っていたのだ。急に環境が一変してしまって正直追いつけていないのだ。
「……。」
私はしまったと思った。うまく返事ができなかったのだ。
「……そっか。」
ハルトさんが深刻そうな表情をしていた。これから何かされるのかと思うと怖くて仕方がなかった。ハルトさんのことは正直信じていなかった。あのレックウザとカイオーガを丸め込み、かつ、あそこまで狂愛させてしまっている。どんな手を使って洗脳したのか疑問でならなかったのだ。私も同じ方法で洗脳されてしまうと考えると怖かったのだ。警戒するあまり、ハルトさんとはうまく話せていなかった。
「いきなりこんなところに無理やり連れてこられてもやっぱり辛いよな…。」
「………はい。」
私は正直に答えた。
「わ、わからないんです、ポケモンである私がニンゲンたちの生活をしていけるのかなって不安になるんです……。私は何千年も生きてきました。それでも出会ったニンゲンなんて指で数えるほどくらいしかいないんですよ。だから……その……」
うまく言葉で言い表せなかった。自分でもなにを言いたかったのかわからなくなってしまったのだ。
「……ハ、ハルトさんは私の事どう思ってますか?私はその気になればホウエンを滅ぼすことだってできるんです。こわい……とか思わないんですか?」
「そうだな……別に本人にその気が無いなら怖くはないぞ?」
「……えっ?」
予想外の答えが返ってきた。私が……怖くない……?
「まぁ、あの時は熱中症でぶっ倒れたけどさ。別に自己管理ができてない自分が悪いってだけでお前は悪くないと思うよ?そういう特性なんだからさ。」
ハルトさん………
「それに今はちゃんと制御できてこんな普通の空の下を歩いてるんだ。きっとお前の見てる世界は広がったはずだ。……俺はお前のことを怖がったりなんかしないさ、だってそうだろ?お前はこんなに可愛い女の子なんだ。逆に俺が守ってやるくらいの気持ちがないとカッコ悪いだろ?」
そう言ってハルトさんは笑った。
……そっか。やっと私は気づいた気がした。どうしてあの二人がここまで彼を愛しているのか………。
「お、このブローチいいな!」
気づけばそこに1つの小さな屋台みたいなものがあり、いろんなアクセサリーを売っていた。私はアクセサリーなんて初めて見たのでよくわからなかった。でも、ハルトさんはお気に入りを見つけたのかそのブローチ?というものを買っていた。
「ほい。」
「……?」
「これあげるよ、お前ならきっと似合うと思ってね。」
ハルトさんはそのブローチを私に差し出してきた。
「……物で釣ろうとしてるんですか?」
「さぁね。俺は少なくとも好意で渡してるよ。」
「……」
ハルトさんは軽い口調で言っていたが目はまっすぐと私の目を見ており、言ってることは本当だと思った。そう思うと胸の奥から熱いものが込み上げてくる。………そうか、これが…!
「で、どうする?受け取る?受け取らない?」
「も、もちろん貰いますっ!……えへへ」
初めて他の人からプレゼントをもらった。そのブローチにはハルトさんの優しさが詰まっているようでとても嬉しかった。
「ありがとうございますハルトさん、一生大切にしますね!」
***
なんかさ、こいつら仮に俺が殺人とかしても警察を全員駆逐してしまいそうで怖い。てか、してしまいそうじゃなくてするよねあいつらなら。
「あとさ。」
「はい?」
「なんか、あの三角石赤くないか?」
「そ、そういえばそうですね…。」
そう、レックウザとヤヨイたちの乱戦に巻き込まれてしまった隕石先輩から出てきたあの三角石、日に日に赤くなってきているのだ。
「あれ、最終的にどうなるんだろ?」
「爆発する……とか?」
「………ありえそう。」
まぁ、正体は知ってるからいいんだけど、問題はそいつが果たして俺らに何してくるかなんだよね。
***
「……んぁ?」
唐突にぼんやりと意識が覚醒した、いや、させられたと言った方が正しいだろうか。誰かに揺すられているのだ。
「なんだよ…またメア…………か………?」
目を開けるとそこには見たことない誰かがいた。次第と暗闇にも目が慣れてきたのか視界がクリアになっていく。はっきり見えるようになるとそこにはオレンジ色の髪に左右に二束ずつ、オレンジと水色の髪がツインテールのように伸びており、ダボダボの赤い長袖のTシャツ一枚の幼j……小さい女の子が俺の上に跨っていた。
「……ん」
取り敢えず身体を起こして思考する。誰だこいつは?彼女は俺の目をじっと見つめていた。なんだ?見たことがない…………?いや、こいつは…!
「………デオキシス……か?」
「ん……!!」
「うおっ……!」
すると、当たっていたのか彼女、デオキシスは嬉しそうに俺の胸に頰を擦り付けていた。何だこの可愛い生物は……!!(悶絶)
「よーしよしよし、かわいいなーおまえー」
「んぅ……!!」
デオキシスの頭を優しく撫でてあげると彼女も気持ちよさそうにしていた。やばい、俺ロリコンに目覚めそう…!(直球)
流石に夜中なので眠気が再び俺を襲ってきた。俺は布団に入り、デオキシスも一緒に入れてあげようとした。
「よーし、デオキシスも俺と一緒に寝るかー」
「…ん!」
デオキシスは布団の足元から入り、ひょこっと俺の目の前に顔を出して抱きついてきた。あ〜^かわいいんじゃ〜^
「…ッ!?」
しかし、突然俺は違和感を覚えた。正面から今、彼女、デオキシスは俺に抱きついている。そう、完全に密着している状態なのだ。そして、何かとてつもなく柔らかい感触があった。それも2つ。…………俺は信じたくなかった。突然現実に戻されたようなこの感覚。もうこれ以上遠回しに言うのもやめよう、単刀直入に言わせてもらう。
彼女、デオキシスは
……迂闊だった。あのブカブカのTシャツ、あれが完全にあの双丘をカモフラージュしていたとは…!!よく見れば多分気づけたはずだが、あいにく夜中でしかも照明もついていない。これに気づくのは不可能だ。ちくせう…、完全に彼女に嵌められた(関係ないです)!!まだ、巨乳というわけではない、しかし、生まれたばかりだというのにメアと同じ、いや、それ以上の
「ん…♡」
「………ん"ー(困惑)」
さてさて、明日からどうしますかねぇ……。
***
………?
¥88\<4×4^
〆85あ&8%に¥532・::^…]
gなjに・:+2ち・・7<627
………。
…………
めをあけるとよくわからないばしょにいた。
まわりをみわたすといろんなものがあった。
ひっぱるとあくものがあったのであけてみるとそこにはなにかがいた。
………
そこにいたのは目を瞑り、気持ちよさそうに眠る生き物だった。
それを見た瞬間、私の胸がキュンとなり、突然鼓動が高まった。
それ……?
その生き物………?
オス………?
………私は
鼓動が抑えられない。
どんどん高まっていく。
恋しく………
愛おしく………
我慢できない。
どうやれば目を開けてくれる……?
「……んぁ………ぁ……!」
あれ
「………ぁ……ッ!」
口から音が出ない。………
私は彼の身体を揺すって目を開けさせることにした。
「……んぁ?」
彼の声が漏れた。
ドクン……!
なに………これ………?
私の胸の奥が熱くなり、謎の幸福感で包まれる。愛おしくて、気持ちよくて………
次に私の中に何かが入ってきた。
……なんだろう?
このドロっとしたような感情は…
メアという言葉を聞いた瞬間、へんな感情が…。今度は彼を独占したい……そんな感情に包まれる。
……よくわからない。
彼はゆっくりと身体を起こし、私を見つめる。すると、私の頭の中に彼の情報が飛び込んできた。彼はまだ私がよく見えていないらしい。
「……デオキシス?」
……ッ!!
ハッとなって、気付けば私は彼の胸に頰を当てて擦るようにしていた。そして、さっきのとは比べ物にならない快感、幸福感が私を包み込んだ。
「ん……!」
でおきしす………私はデオキシスという名前らしい。
もしかしたら彼が……
「かわいいなぁー」
やった……!ハルトが私を可愛がってくれた!!嬉しいなぁ……!
ハルトは私の頭を優しく撫でてくれる。この行動の意味はよくわからないけどとても気持ちがよかった。まるでハルトの
「んぅ……!」
思わず気持ちよくて声が漏れた。
「よーし、デオキシス俺と一緒に寝るかー」
うん!一緒に寝たいっ!!
私はハルトに抱きつくようにした。ハルトは暖かくて……なんだろう、安心する……
……?
あれ、ハルト……なんで興奮してるの……?
ハルトから、興奮……感情の高ぶり……羞恥心……いくつかの感情が私の頭に飛び込んでくる。
胸……?
私はなぜか胸あたりに少し大きく膨らんでいる2つの山のようなモノに視線を移す、それはハルトの体に押し付けられるようにして当てられており、今はつぶれるようにして形を変えている。この状態を見る限り、とても柔らかいものらしい。それに何故か感覚がほかのところに比べてハッキリしている。………よくわからない。
でも、ハルトはそれに興奮しているみたい……なんだろ……少し嬉しいな……///
他にも色々わかったことがあった。ハルトは
ハルトを見てから胸の高鳴りが止まらない。むしろドンドン高まっていくばかり。
私はハルトが親だからこんなにドキドキしてるの?
……なにか少し違うような気がした。
でも、今はとても幸せ。ハルトの子として生まれてきてよかったと思う。……あれ、なんだか眠い……………おやすみ、マ……m…、ハル……ト…♡
***
「……ハッ!もう朝か。」
多分眠りについたのは夜の3時くらいだろう。つまりだな、どういうことかというとだな。全然眠れなかったんだよチクショウ!!
「んぅ……♡」
そして昨夜からずっと変わらないこの柔らかい感触。……夢オチじゃなかったようだ。
「ん……」
デオキシスは目を覚ますが、まだ寝ぼけているのか目が半分ほどしか開いていない。
「まだ眠たそうだな…。」
「……ん。」
彼女はまだ首がこくりこくりとしており、再び眠りに落ちようとしていたので取り敢えず朝食ができるまで寝かせておこうかな。朝食を作る為に俺は立ち上がってリビングへ向かおうとした。
「………ん?」
「あぁ、俺は今から朝食作ってくるからまだ布団で寝てていいぞ?」
俺が扉に手を掛けた瞬間だった。
「……ゃ…!」
デオキシスは目を潤ませて今にも泣きそうな顔で俺を見ながら服の裾を掴んでいた。
「や……ぁ……っ…!」
彼女は想像以上に幼いみたいで親(代わり)である俺から離れるのが嫌だったらしい。裾を掴んで俺から全く離れようとしないのだ。
「そっか、それじゃあ一緒に行こうか。」
「ぅ………ん…!」
俺は彼女を背中におぶってリビングに向かった。扉をあけて中に入るとそこには普段と変わらないメイド服を華麗に着こなして朝食を作っているアオイの姿があった。……あぁ、今日は俺が作る日なのに…。
「おはようアオイ。」
「おはようございますご主人様!あ、ご主人様の背中にいるその子は?」
「あの三角石から産まれた子だよ。」
「……ん!」
デオキシスは俺の後ろに隠れてアオイを睨みつけている。
「かわいい……!」
そう、この警戒している姿でさえ萌えポイントとなるのだ。……てか、コイツほんとうにデオキシスだよな?あのサイコブーストぶっぱなしまくるデオキシスだよな?その面影が微塵もないんですが…。
「…?」
デオキシスは俺をみて首を傾げていた。かわいい。
「あ、この子昨日産まれたばかりのくせにいきなりお兄ちゃんに夜這いしてきた子だ!とりあえず殺すね。」
「おいやめろ。」
どうやったらあれを夜這いと受け止めるのか。ただ俺は起こされただけだというのに。てか、何でもかんでもコイツは殺そうとしすぎだろ。
「……?」
「お前は知らなくていいことだからなー?」
純粋な彼女を穢したくないからこのことは是非是非忘れていただきたい。そう切に願っております。
「おはようございまーッス、あれ、その子は?」
レックウザも起きてボールから出てきたのか俺の部屋から出てきた。
「お前のお土産の中身だよ。」
「はぇー、なんかエネルギー感じたからパワーストーンかなって思ったんすけど、まさかのタマゴっすか!」
「………。」
レックウザが近づき頭を撫でようとした瞬間だった。
「かわいいっすねぇ」
「ん!!」
ガブッ!
「いっだぁ!?」
その腕に思い切り噛みついたのだ。離したあと、すぐに俺の後ろに隠れた。
「まってまってまって普通に痛いんだけど、ぁぁぁぁ!!めっちゃ痛いめっちゃ痛いいいいいい!!!」
レックウザは噛まれた痛みで悶え苦しんでいた。……御愁傷様です。血が出るほどではないがくっきりと歯の跡がついていた。
「お兄ちゃん、やっぱコイツ危ないよ!今すぐ消してやる!」
ラティアスが殺意全開でデオキシスとの間合いを詰めた瞬間だった。
「…ん!」
ガブリ!
「ッ!!」
デオキシスが今度はラティアスの腕に噛みついたのだ。
「こらデオキシス!むやみやたらに噛み付くのはやめなさい!」
「……ん……♪」
ダメだ、こいついいことしたと思ってるのかめっちゃ俺に嬉しそうな顔で擦り寄ってるわ。てか、胸がガッツリ当たってるから正面から抱きつくのやめてくれよ?
「ラティアス……大丈夫か?」
デオキシスに噛まれた後、よほど痛かったのかその場から動けずにいたラティアスに声をかけた。
すると、彼女の体が揺らぎ、
「………う……そ……で……しょ……?」
そのままうつ伏せに倒れ伏したのだ。
「は?ラティアス?おい、ラティアス!?」
は?なんでいきなり倒れたんだ?夜中に何か大変なことでもあったのか?おれは何故ラティアスが倒れたのかわからず、半分パニック状態に陥っていた。
「彼女はおそらくひんし状態になってるわ。」
「……シロナさん。」
突然後ろから声が聞こえたので振り向くとそこには寝癖で髪がボッサボサのシロナさんがいた。
「え、ひんしって………なんでですか?」
そう、ラティアスが何故ひんし状態になったのか理由がさっぱりわからなかったのだ。
「……理由は簡単よ。ラティアスは効果バツグンの攻撃を受けたの。」
「効果バツグンの攻撃……?でも、今朝はまだ一度も外に出てないですし、戦闘なんて………。」
「いや、今さっき起きたわ。……………ねぇ、ハルトくん?ラティアスって何タイプ?」
「えっと、ドラゴンとエスパーですね。……あ。」
「そう、あくタイプのかみつくは効果バツグンなのよ。」
え、てかあれ攻撃技だったの?しかも結構強いラティアスをワンパンで沈めるなんて…!
俺は自覚した、いや自覚させられてしまった。こんなに小さくて可愛らしくてもポケモンなのだと、それも圧倒的な強さを誇るポケモンだったのだと。
少しデオキシスのことが怖くなった。
「……や……ぁ…ッ……!」
すると突然デオキシスの抱きしめる力が強くなった。ふと視線を下げると彼女の瞳から大粒の涙がぽろぽろと零れ落ち、まるで捨てないでと言わんばかりに俺の目を見ていた。顔に出てしまっていたらしい。俺は彼女を抱き抱えて、優しく頭を撫でてあげた。
「大丈夫、絶対捨てたりなんてしないからな。」
「ぅ……ん……。」
「……。」
「シロナさん?」
「この子も貴方のポケモン達と同じ匂いがするわね…。」
オマエモナー(的確)
「取り敢えず、ラティアスを回復しないとな。シロナさん、何か回復系の道具持ってます?」
「ふっかつそう(苦さ4京倍)ならあるわよ。」
「死ぬやん()」
「死ぬわよ()」
「あれですか、なんか罰ゲームで食わせる……みたいな?」
「いや、こんなもの罰ゲームでも食わせないわよ、というよりこんなもの食べたら舌が溶けてしまう(物理)わ。」
「げんきのかたまりとか持ってないんですかね?かけらでもいいです。」
「私ポケモン持ってきてないのよね。」
「は?」
「え?」
なんだこのひと、さっきポケモン持ってきてないとかぬかしてなかったか?いや、もしかしたら気のせいかもしれない。
「シロナs「持ってきてないわ。」…………。」
「なんで持ってきてないんですかね……流石に護身用にガブちゃんさんくらいは持ってきた方がよかったんじゃ……。」
「だって、ハルトくんと一緒に居たかったから私のポケモン邪魔だったし……」
「は?」
「いや、普通にポケモン達を休ませてあげたくて…。その、ほら、ここ最近忙しかったから!」
なるほどな、たしかにチャンピオンともなると普段よりももっと忙しくなるよね。腑に落ちない点もあったような気がするが、まぁ気にしなくていいか。
「はぁ、そんじゃちょっとげんきのかけら買ってきます。」
とりあえず抱っこしているデオキシスを降ろそうとするが、
「……む…!」
離れてくれない。てか、ビクともしないんですがどうすればいいんですかね。めちゃくちゃ密着してるし(しかも正面)胸が思い切り当てられてて理性がぶっ飛びそうなんですけど誰かぼすけてください。
「デオキシス、これからちょっと買い物に行くから離れなさい。」
『………ゃだ。』
「ん"ー、どうしたもんか。」
今、さらっと流したけど喋ったよね。いやテレパシー使ったのか、だとしてもやっぱ言葉話してるようなもんだし……、学習能力高すぎだろ。……もういいや、このまま行くか。
「ちょっと行ってくるので留守番よろしくです。」
「はいはい。」
***
ミナモデパートに向かって歩いて行ってるのだが、さすがに抱っこしながらだと歩きづらかったので言ってみた。
「抱きついてもいいけどさ、せめて背中に乗ってくれないかな。」
『…やだ。』
はい。
「てかさ、普通に喋れないの?まだ一度も喋ってるの見ないけど。」
『………まm、はると以外とはなしたくない。』
「なんで話したがらないんだ?何か嫌なことでもあるのか?」
『…はるとが好き、はるとだけいればいい、それいがいはなにもいらないから。』
一瞬寒気がしたが、流石に産まれたばかりの子だからきっと母親(代わり)に甘えたい、そんな感情から来てるのだろう。……でないと困るわ。
『……ちがうのに』
***
「これでよし。」
俺はげんきのかけらを粉末状に砕き、それを水と一緒に飲ませた。
「…………んん……?」
「お、起きたか?」
飲ませたらすぐに意識を取り戻した。
「あれ、お兄ちゃん……?」
「お前、ずっと気絶してたんだぞ?デオキシスに噛みつかれた後。」
ちなみにその本人は俺の背中で眠っている。デパートの人混みで疲れてしまったらしい。
「ひっ……!」
ラティアスが彼女に対して完全に怯えてしまっている。それも珍しい現象だなぁと思った。
***
因みにだが、
例を挙げるとすれば、ラティアスを目覚めさせた後のことだ。
「……ラティアス、俺を守ろうとしてくれるのは嬉しいけどあまりやり過ぎるなよ?」
「……お兄ちゃんは私のものだもん。」
「少しはその欲を抑えなさい。」
あっ……なんか一通り済んだおかげか知らんけど急にトイレに行きたくなってきた。流石に我慢するのも限界だったのでとりあえずデオキシスをソファーに寝かせてからトイレに行くことにした。
「よいしょ……っと。」
ゆっくりと起こさないように俺の背中から下ろし、寝かせてあげた。よし、トイレに行こう。と、トイレに向かい一歩踏み出した瞬間だった。
「……ゃぁ……!」
「!?」
おれの服の裾を何かが掴んでいた。しかも、想像以上に力が強くてこのままだとおれの服の方がビリっといってしまいそうだった。
『……どこへいくの、はると?」
そして、この脳内に響いてくる声、テレパシーを使うのは彼女しかいない。恐る恐る振り向くと虚ろな目で見て俺を見つめるデオキシスがいた。
『……ねぇ、もしかしてわたしのこときらいになったからわたしをすてるの?』
「い、いや…」
『……いや、いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤ!!!』
デオキシスの叫びが俺の脳内に鳴り響く。頭が痛くなって今にも意識が飛んでしまいそうになった。
「はぁ、はぁ…い、いや、トイレに行こうと思った……だけだ……。お前を……捨てるわけが……ないだろ……」
『……えへへ……はると……///』
デオキシスはさっきの虚ろな表情とは裏腹に嬉しそうな表情に変わり、再び俺に抱きついてきた。
「そ、それじゃ、俺はトイレに行ってくるからな。」
「…ん」
彼女もわかったらしく返事が返ってきたので、俺は急ぎ足でトイレに駆け込んだ。
「あぶねぇ……危うく膀胱爆発するところ………だ……っ……t」
「♪」
何か違和感を覚え、振り向くとそこには嬉しそうに俺の服の裾を掴んでいるデオキシスがいた。
「あの、デオキシスさん?」
『なぁに?』
「用を足したいのでちょっと出てもらえませんかね?」
『…………。』
ギュッ
あっ………
***
結局、俺は彼女と同室で用を足すという暴挙に出てしまった訳だが、恥ずかしいなんて次元を遥かに超えてるからやめてほしい。デオキシスは俺がどこに行こうとしても絶対服の裾やら何やら掴んで着いてくると来たもんだ。しかも、もっとタチが悪いのが産まれたばかりでラティアスを倒しちゃってるもんだから周りも中々手が出せないのだ。手を出せる子って言えば、単純に強いヤヨイと、母性の塊とも言えるアオイくらいなのだ。
「はぁ……」
「どうしたの?ため息なんて吐いて。」
「…カイオーガか。」
ソファに座っていたら(デオキシスは膝の上で寝てる)カイオーガがとなりにすとんと座って来た。最近、カイオーガが癒しに感じ始めてる当たりかなりやられて来ていると実感している。
「この子がさぁ……」
「………殺そうか?」
カイオーガの眼の色が変わる。おいおい、ゲンシカイキしようとするのやめろやめろ。
「……いやいや、殺す必要はないだろ!」
「ハルトの障害になってるし、そんなもの消してしまったほうがいいよ。」
「なんでお前らはそんな荒々しい考えしか持ってないんだよ、もう少し温厚に済ませようぜ。」
「……コイツのかみつく痛いもん。」
あ、ちょっと涙目になってる、可愛い。思わず彼女の頭を優しく撫でてあげた。
「……ん///」
気持ち良さそうで何よりだ。
「……ハルト、好き。」
「どうしたよ?いきなり」
カイオーガが俺の方に体を預けてきた。
「こんなに充実してる生活、今まで生きてきて一度もなかったんだもん。これも全部ハルトのおかげだよ。それ以外でもハルトのことが好き、ハルトがいない世界なんて必要ないって思えるくらい好きなの。……ハルトが死んじゃったらどうしよう。ニンゲンだから絶対私より先に死んじゃうし……………私も一緒に逝こうかな。…いっそのことハルトをニンゲン以外にするのも……ブツブツ…。」
カイオーガの目からハイライトが消え、不気味に微笑みながらブツブツつぶやき始めた。
『はると…?』
「ん?どうしたデオキシス?」
目が覚めたのかデオキシスは俺をじっと見つめていた。
『はると……わたしよりさきにしんじゃうの…?』
うーん、聞こえちゃってたか。どうしたもんかなぁ……
「……そうだなぁ。お前より先に生まれたんだから多分先に死んじゃうのは当たり前なのかもな。」
そう、デオキシスは俺のことを親と思っている、ならば、親が先に死ぬということにもできるのだ。騙しちゃってるのも申し訳ないが、あまり悲しませすぎたくなかった。
「うっ、……うぇぇ…!」
泣くなよ…。
「大丈夫だからな?別にまだすぐ死ぬわけじゃないし、まだまだ先の話だから。気にすることじゃないぞ?」
『で、でもぉ……!』
デオキシスが俺の胸にしがみついてじっと涙目で見つめてくる。誰だよ、寿命のネタ振ってきてたやつ()
『ピンポーン』
すると唐突にインターホンが鳴った。
「ん?誰だろ、N●Kかな?(適当)」
俺は立ち上がり、玄関に向かう、もちろんデオキシスも俺の服の裾を掴んで一緒について来ている。
「はーい」
俺は玄関の扉を開けた。するとそこにはメガネを掛けた怪しげな白衣の男がいた。
「……え?どちらさまですか?」
「私はトクサネ宇宙センターの局長を務めております、アラキという者です。」
「あっ、はい。で、その宇宙センターのトップが僕に何の用ですかね?」
トクサネシティなんて行ったことないし、全く心当たりが無かった。何故この人はわざわざ俺のところにきたのだろうか……。
「単刀直入に言います。アナタ、宇宙から来たポケモンを持ってますよね?」
「ゑ……?」
その男は核心に迫る言葉を俺に言ったのだった。
僕ね、胸がおっきい子大好きなのよ()
次回、多分ホウエン編最終回(信用度:中程度)