これからも期間が空いてしまう可能性がありますが、どうかお許しください。
ちなみにエタるつもりは今のところ無いです。
「……いい加減、ポケモンリーグに帰ったらどうです?シロナさん、なんやかんや言ってもう3ヶ月くらい居ますけど。」
「別にいいじゃない。四天王を勝ち抜いて私のところまで来る人なんてめったにいないんだし。」
「定期的に帰った方がいいと思いますよ。」
「別に帰らなくても大丈夫よ。私は自由でありたいの。」
いや、ずっと俺のところにいる時点である意味自由じゃないと思うんですが。
「そんなことより、ハルトくんは旅に出ようとか思ったことないの?ほとぼりも冷めてるみたいだからもう大丈夫だと思うんだけど。」
「……あー、そうですね。たしかに旅に出るのもアリかもしれないです。」
俺はもう12歳だ。旅に出られるのは10歳からなので一応旅に出ることは可能ではあるんだけども。
「
そう、生憎俺の手持ちは伝説やら何やらで癖の強いポケモンばかりだ。
「すぅ………、すぅ………。」
こうして話している間もデオキシスは俺に正面から抱きつくようにしてすやすやと眠っている。触手のような長い髪は俺の服の中に忍び込み、離すまいと巻きついているのだ。
他にもメアはいつも俺の影の中に潜んでいて、夜になれば夢を喰われるし、ラティアスはこころのしずくを通して、常に監視している。身体の一部として俺の体内に浸透してしまっているっぽいのでどうしようもないらしい。
とにかく俺への依存傾向があまりにも強すぎて旅どころじゃないっていうのが本音だ。
「ま、私はハルトに着いて行くだけだから………ね♪」
シロナさんにもすごく懐かれてるのが謎だが。
『〜♪』
すると、聴きなれない音楽が聴こえた。
「シロナさん携帯鳴ってますよ。」
「あ、ホントね。ゴメンね、ちょっと離席させてもらうわね。」
そう言うとシロナさんは若干急ぎ足で玄関を開けて出て行ってしまった。
***
しばらくするとシロナさんが戻ってきた。
「ハルトくん、ちょっと挑戦者が来そうだからポケモンリーグの方に戻るわね。」
「四天王倒したんですね、その人。」
「えぇ、しかも結構やるみたいなのよ。年は10歳みたいだし。とんでもないトレーナーが現れたものね。」
トレーナーになって一年足らずでもうチャンピオンに挑むところまで来るなんて、一体どんなやつなのか少し気になるね(適当)
「頑張ってくださいね、シロナさん。」
「えぇ、負けないわ。」
軽く会話を交わすとシロナさんはそのまま出て行った。
「10歳か………、
俺はそう一言こぼし、天を仰いだ。
***
「……待たせたわね。」
大急ぎでポケモンリーグの方に戻り、最深部に足を運ぶとそこには例の挑戦者がいた。
白くピンク色のモンスターボールが刺繍されたニット帽に上手くまとめられた紺色の髪、白いマフラーをしており、赤色のダウンコートを着こなし、ピンク色のブームを履いた幼い少女だった。
「……チャンピオン、シロナ……。……あの人じゃないのか。」
「改めて自己紹介するわね、私はシンオウリーグチャンピオンのシロナよ。普段は、考古学者として各地のいろんなところにある古代遺跡を巡ったりしてるの。」
ま、最近はほとんど彼のところにいるんだけどね。
「あなた、今年トレーナーになったばかりでしょ?正直驚いてるの。名前を伺ってもいいかしら。」
「………ヒカリです。」
「そう、ヒカリちゃんっていうのね。」
「馴れ馴れしく呼ばないで下さい。そんな呼び方をしてもいいのは
……この子すごい辛辣ね。てか、すごい視線が冷たいし。
「……もう、正直私はチャンピオンなんてどうでもよくなりました。あの人じゃないんですね。」
「あの人って?」
「二年前、ヨスガシティであなたに善戦していたあの人ですよ。……あの人なら軽く貴方なんかねじ伏せてチャンピオンになってると思ってました。」
ハルトくんのことね……、やっぱりほとぼりが冷めたとはいえ、記憶に焼き付いてる人もいるみたいね。
「彼はつい最近までホウエンにいたからね。今のところ旅に出る気もないみたいだし。チャンピオンにはあまり興味がないようにも見えたわよ?」
「ということは、ホウエンでポケモンコンテストで優勝してたのも……、………あの人らしいですね。ふふっ……。」
「………で、どうするのかしら?別に戦いたくないならそれでもいいんだけど?」
早くハルトくんのところに戻りたいしね。ふふ……。
「いや、せっかくですし、貴女にはこの子たちの経験値になってもらいますね?」
そう言うと彼女はおもむろに懐からボールを取り出した。……やるみたいね。
「……いいわ。チャンピオンとして、貴方の挑戦受けてあげます!!」
私もボールを取り出し、構えた。これほどワクワクしたのは二年前、ハルトくんと戦った時以来かしら……、史上最速でこの舞台まで登りつめた彼女の実力、じっくりと見させてもらうわ。
「……ふふっ、秒で終わらせてあげますっ♪」
その時の彼女の不気味な笑みは私の記憶に焼きつくものとなるなんて……
その頃の私には知る由もなかった。
***
「……エルくん、きあいだまで押し切っちゃって♪」
「……エルッ!!」
エルレイドから放たれたきあいだまはルカリオの鳩尾を正確に捉え、ルカリオは吹き飛ばされてしまう。
「ルカリオッ!!」
ものすごい速度で壁に叩きつけられたルカリオは地面に倒れ込み、ビクともしない。
「ふふっ、めいそうを極限まで積んだ状態でのきあいだまですからね、まぁ、耐えられるわけがないですよ♪」
この子………、相当強い……!!
ポケモンのレベルもそうだが、彼女自身もポケモンの技や特性を知り尽くしていて、それを完璧に活かしたバトルをしてくる。そんなことを思っている頃には私の手持ちはもうほぼ全滅、あとはこの子だけになってしまった。
「さてさて、シロナさんの手持ちもあと一匹だけになっちゃいましたね♪……最後の一匹は例のガブリアスでしょう?」
「そうね、かなり厳しい展開になってしまったけど……、それでも諦めない、私にもチャンピオンとしての意地があるわ。行きなさい、ガブリアス!!」
私は最後のポケモン、『ガブリアス』を繰り出した。
「ガルァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」
ガブちゃんの強い咆哮が鳴り響く。
「あれっ、人型じゃないんですね。あの時は人型で戦ってたのに。」
「まぁね、こっちの方が動き易いみたいだし。」
「そうですか、じゃあ私もちょっとホンキ出しちゃいます♪」
そう言って彼女は新しくボールを取り出した。
「……頼んだよ、エンペルト♪」
ボールから出てきたのはもちろんエンペルトだ。その目つきは鋭く、殺気が尋常じゃなかった。
「………。」
しかも、無言だし。
「……先手は頂くわ!ガブちゃん!ドラゴンクロー!!」
そう言うと、ガブちゃんは一気にエンペルトとの間合いを詰めていった。
***
「……ふふっ♪」
………彼女、ヒカリは楽しそうに微笑んだ。
私のガブリアスはエンペルトを前に地面に倒れ伏せ、既に虫の息だった。
「エンペルト、『みねうち』ですっ♪」
「………。」
エンペルトはコクリと頷くと、無言でガブリアスをきりさいた。急所を外しつつも、確実に傷をつけていく。
「……っが……」
叫ぶ気力も残されていない。
「やめなさい………。私の負けよ。だから、これ以上、私のガブリアスを傷つけないで……!!」
この悲痛な光景に耐えられなくなった私は堪らずサレンダーした。
「……ふふっ♪まぁ、
嬉しそうに、でもどこか少し残念そうに微笑む
「……さて、チャンピオンの座は結構ですので、あの人がどこにいるか知ってるなら教えてください♪」
「……彼に会ってどうするつもり?さっきみたいなことをするなら教えることはできないわね。」
彼には守ってくれるポケモンたちがいるから大丈夫だろうけど、でも正直会わせたくない。それが本音だ。
「まさか。あの人にこんなことするわけがないでしょう?」
「……自覚はあったのね…?」
「………ええ、無理矢理にでも貴女に居場所を吐かせるつもりだったので。で、あの人は今どこにいますか?」
「……彼ならミオシティに住んでるわ。」
「……そうですか。じゃあ私もう行きますね。」
そう言って、彼女は背を向け歩き出す。でも、ひとつだけ、どうしても気になることがあった。
「……貴方って一体何者なの?」
彼女がただのハルトくんのファンじゃないことは一目見てわかった。でも、それ以上に彼に執着しているような、そんな目をしていた。一度も顔も合わせたことのない人がそんな目をするわけがない。まだ私が知らない何か秘密が隠されている、そう思ったのだ。
「そうですね、あなたが信じるかどうかは自由ですけど、特別に教えてあげましょう。」
彼女は振り向きざまにこう言い放った。
「私はあの人の………。」
***
「母さん。」
「なぁに?ハルト。」
「俺さ、そろそろ旅に出るわ。」
正直、年がどうこう言い訳して家に籠るのもよくないと思ってはいたんだ。俺ももう12。この世界において、旅に出ていてもおかしくない、むしろ遅いんじゃないかと思われる年齢になる。いつまでも親に頼りっぱなしになってるわけにもいかない、そう思ったのだ。
「そう……やっと旅に出る気になったのね……。」
「ほんと決意固めるの遅くなってごめんなさい。本当に申し訳ないです。」
うん、精神年齢がちょっと高めだから、思考がリアリストになっちゃってるんだよね。
『10歳になった!!旅出るぞーー!!!うおおおおお!!!』
って気持ちに微塵もならなかったからなぁ。はぁ、前世のあの幼きあの頃に戻りたい……。
「誰に似たのか知らないけどハルトは慎重すぎるのよ。思い切って行動に移すことも大事なんだからね?」
「はい。」
ホントそれ。てか、もう優柔不断ってレベルじゃねえな、ただのチキンじゃん。
「で、結局いつ頃旅に出るつもりなの?」
「もう早めに出たいから今週中には出ていこうかなって思ってる。」
「そう……、ある程度荷物をまとめておきなさい。」
「……はい。とりあえず明日はナナカマド博士のとこ行って、ポケモン図鑑貰えるか聞いてみることにするよ。」
初心者用ポケモン……通称『御三家』貰えると良いんだけど………。
『……はるとに
「……おにいちゃん?どうしてそんなこと言うの?」
「心読むな。」
「……お前ら強すぎるもん。」
「………お、おとう……さん………?わたし……おとうさんのためだけを思って……、おもっでぇ……!ごごまで……ぇ……!!づよぐなっだのにぃ……!なんでぞんなこと……いうのぉ……!!」
流石に言いすぎた。誰よりも強くなろうと努力したヤヨイのことをあまりにも考えてなさすぎたな。
「……ごめん、言いすぎた。俺が言いたかったのはな?ポケモンだけが強くなってもそれをトレーナーである俺が使いこなせなかったら意味がないんだ。もっと、トレーナーとして、おれが、俺自身が強くならないといけない、そう思ったんだよ。」
「………。」
「だからさ、俺は一かr「だとしても御三家を最初から育てるのはおかしくない?」………え?」
「お父さんはトレーナーとしての技術をもっと身につけて最終的にはわたしたちを使いこなせるようになりたいわけなんでしょ?だったら、新しいポケモンなんて必要ないじゃん。」
「えっと、だから……」
「わたしたちを使って強くなればいいんだよ。これ以上手持ちが増えることなんて絶対無いんだし、それが一番だよお父さん!!」
黄色い瞳をキラキラさせながらずいっと迫るヤヨイ、柔らかい双丘も当たり、色々とアレな状況なんだが、もう知らん。
「はい、御三家貰いにいきまーす。」
「おどうざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
簡単にゲームがクリアできちゃったらつまんないでしょ?俺はそう言いたい。……そう言いたかった。
***
「……てことなんですけど、ポケモン図鑑ってまだ在庫あったりします?」
「うむ、確か一つ残ってたはずだ。少し待っていたまえ。」
周りの反対を押し切り、俺はナナカマド博士のあるポケモン研究所を訪れていた。とりあえず旅に出る上で必需品であろうポケモン図鑑をなんとか譲ってもらえないかと懇願しにきたんだけども……。
「少し……傷はあるが、正常に動くはずだ。それでもいいなら進呈しよう。」
『……はるとにこんな"ふりょうひん"をわたすなんて……!』
「……おい。もちろんありがたく使わせて貰います。わざわざありがとうございます。自分なんかに。」
デオキシスがほおを膨らませ、不満そうな表情を浮かべているが、そもそも傷ありの品とはいえ、ポケモン図鑑を貰えたことでも奇跡に近いと思っている。もちろんありがたく使わせてもらうとした。
「謙遜しなくてもいいのだぞ。君はあのシンオウチャンピオンと中断されてしまったとはいえ、互角に戦っていたのだからな。私は君の将来性を買ってこれを渡したのだ。」
『あのにんげん、みるめあるね。』
「……それは、どうも。あと、もう一つお願いがあるんですけどいいですかね。」
「なんだね?」
「初心者用のポケモンが欲しいんですけど……無理ですかね?」
「……なぜ、欲しいのかね?」
博士の目つきが鋭くなった。まるで俺を試しているかのように。
「……自分はあのシロナさんと戦って善戦してたかもしれません。でも、それは自分のポケモンが強かっただけでトレーナーである自分は未熟だったと思ってるんです。このままだと、自分はポケモンの強さだけに頼るダメなトレーナーになってしまう気がするんです。もちろん、今持ってるポケモンも大事に育てていきますが、一から育てることで何かを得られるかもしれない、そう思ったんです。」
「………うむ。」
ナナカマド博士は目を閉じ、頷いた。
「よし、君にポケモンを一匹あげよう。ちょっと待っていなさい。」
そういうと、博士は部屋から出て行ってしまった。とりあえず、合格だったらしい。
『むぅ………、わたしがいるのに……。』
「ごめん、デオキシス。」
『……はるとがあんなにしんけんにこたえちゃったらなにもいえないよ……。』
「まぁ、俺はお前らに頼りっぱなしじゃダメって気づいたからな。この機会を絶対モノにしてみせるさ。」
『さすがですね。』
「ッ!?」
後ろから女性の声が聞こえた。振り向くとそこに立っていたのは……。
「………マジか……!」
ポケットモンスター『ダイアモンド』『パール』『プラチナ』における主人公。白いニット帽に赤いコート、それにあのブーツ……『おんなのこ』の方だ。
「……君は?」
「ふふっ、私の名前は『ヒカリ』っていいます。シンオウチャンピオンとさっき戦ってきたばかりなんですよ。」
優しく微笑む彼女は例の一年足らずでいきなりポケモンリーグの頂点、チャンピオンシロナと渡り合ったトレーナーだった。
「私、あなたにずっと会いたかったんです。二年前……、ヨスガでチャンピオンと戦っていたのを見た時から……。」
「……。」
俺はどうにも変な感じがしていた。彼女の俺を見る目、あの執着しているような、淀んでどこか不気味な感じ、どこか覚えがあった。………まるで、………いや、そんなはずはない。気のせいだろう。
「……ふふっ、
「なッ……!?」
「『
嘘だろ………!?なんでお前がここに………、
「に い さ ん ♪」
そこにいたのは前世の俺の実妹にして正真正銘の天才『
ヒカリのこの設定は結構前から考えてあったりします。
あとポケモンに詳しい人ならもしかしたらあることに気づくかもしれないなぁ……。
因みに高評価くれるとモチベが1.7倍になります(おい)