悪夢の少女と   作:ヤマシロ=サン

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第3話 翌朝

 

 

「ん、んん...?」

 

カーテンの隙間から日差しが差し込む。

無事に朝を迎えることができたようだ。

 

壁に掛けてある掛け時計を確認する。

 

 

 

『7:08』

 

 

よし、いつも通りの時間に起きれたな。

俺は昔から生活リズムを気にするタイプで、起床時間は7時プラマイ10分で起きるよう心がけている。

 

 

特に何もないいつも通りの朝だ。ただ.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『俺のとなりで気持ちよさそうな寝顔で寝ている少女がいることを除けば』だ。

 

 

 

 

 

 

 

「すぅ......すぅ......」

 

 

 

何故か夢の中で会った少女、『メア』が俺の布団の中で気持ちよさそうな寝息を立て、眠っていた。

 

 

 

メアの正体はあの悪夢に定評のあるポケモン『ダークライ』で、前世では俺のポケモンでかなり愛情込めて育てた記憶がある。

 

 

 

どうして、こんな可愛い少女になってしまっているのかは知らないが。

 

 

 

布団を被っているため顔しか見えないが、透き通るような白くて綺麗な髪、雪のような白い肌、首元には赤いマフラーのようなものがまかれている。

 

 

「んん......」

 

 

メアも目が覚めたのか静かに目を開ける。

 

 

「おはよう、メア。」

 

 

とりあえず俺はメアにおはようの挨拶をした。

寝ぼけて半分しかメアの目は開いていないが、その青く、透き通るような瞳はいつ見ても美しい、そう思えた。

 

 

「ま......すたぁ......?」

 

 

メアは目をこすりながら俺の方を見て言う。

 

 

「あぁ、そうだよ。」

 

 

俺は返事をした。

 

 

「あれ........返事が返って来た.......。まだ私夢見てるみたいです......。」

 

 

そう言ってもう一度メアは布団に入って寝ようとする。

 

 

 

「おいおい、少なくとも夢じゃないと思うが...。」

 

 

「でも......マスターとは......会えないはず......じゃ......?」

 

 

そう、本来なら会うことなどできない。ゲームの中のキャラクターとそのプレイヤー。誰もが夢見る二次元の世界だ。ゲームのキャラクターに話しかけたって答えるはずがない、そのキャラクターはプログラムされた通りに動くだけ、それが世の理だ。

 

 

メアは確かめるようにペタペタと俺を触る。

 

 

「あ...れ...?触れる...。ゲーム内には来れるはずがないのに......!」

 

 

「そうペタペタ触るな、俺はちゃんとここにいるぞ?」

 

 

さっきまでの眠気はとれたのか目を見開いて俺の顔を見ていた。とても驚いているようだ。

 

 

「やっと会えたな......メア。」

 

 

俺は静かに微笑む。するとメアの目から一粒の雫が落ちる。

 

 

「ま、マスターだ......!夢なんかじゃない...!触れるし声も聞こえる......!本物のマスターだ......!!」

 

 

メアはそのまま俺の胸に飛び込んで来た。

 

 

「ぶべら!?」

 

 

そのまま俺は後ろに吹き飛び、ベッドから落ち、背中で着地した。

.........すごく痛いです。

 

 

「マスターぁぁぁぁ......!」

 

 

そのままメアは俺に抱きつく。メアは再会が嬉しくて気づいていないのかもしれないが、俺の肉体はまだ10歳で俺の方が少し背が低い。それに精神面においては思春期真っ只中の16歳だ。こんな美少女に抱きしめられて平静を装えるはずがない。メアは気づいていないだろうが抱きしめられている時にメアの胸の柔らかな感触が俺の理性を壊しにかかっている。メアの体型は中学生くらいと言えるだろう、それでも僅かに感じられる膨らみ、『むにゅり』という擬音がお似合いだろうか。さらに、追加攻撃で女の子特有のいい匂いが俺の鼻腔を通り、脳に直接リンクしてくる。今言えることはこのままだとヤバイということだ。前世では女子との交流が皆無だった俺にとっては精神的ダメージが大きすぎる。

 

 

 

 

「マスターぁ...!夢のようですよぅ...!こうやってマスターと話しができて、触ることができるなんてぇ......!!」

 

 

 

メアは抱きしめる力を一層強める。女子のおかげなのかそこまで痛いとは感じないが心が痛い。メアのちょいふっくら胸が若干変形するくらいにまで強く抱きしめられている。あばばばばばばばば...そろそろ理性がログアウトしそうだ。そろそろ止めなければ......

 

 

「マスター、ずっと前から、マスターに言いたかったことがあるんです。」

 

 

メアは俺を抱きしめたまま耳元で艶めかしい声で囁く。

 

 

やめてください、これ以上やると俺の精神が死んでしまいm...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「好きでした。マスターと新月島で出会ったときからずっと......。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の唇に柔らかい感触。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ.........なんか意識が朦朧としてきた...。体を動かそうとしてもうまく動いてくれない。このままだと......落ちる。

 

 

 

 

 

そして、メアが唇を離した後微笑んでこう言った。

 

 

 

 

 

「ふふっ、これからの生活が楽しみです♪......ね?マスター?」

 

 

 

 

 

 

 

 

その直後、俺の意識がプツンと切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.........ん、んん......。」

 

 

 

 

目がさめると壁に寄っかかって長座体制で座っていた。

 

 

 

「あ、お目覚めですねっ、マスター♪」

 

 

 

「あ...あぁ.........。」

 

 

 

隣にいる白髪で綺麗な青い瞳の少女、メアは俺と同じ状態で隣にいて、俺の右肩に寄っかかって右腕を抱きしめていた。それに、再びメアの胸の感触が俺の理性を(ry

 

 

 

 

 

「大丈夫ですか?15分くらいは気絶したままでしたけど......。」

 

 

メアが心配そうな目で俺の顔を覗いてくる。

 

 

 

「いや、ちょっと思春期真っ只中の俺にはちとばかし刺激が強すぎたみたいだ。こんな美少女にハグされた挙句、キスまでされたんだぞ?」

 

 

 

そう言うと、メアの表情が少し暗くなる。

 

 

 

「ご、ごめんなさい......。」

 

 

 

「でもな.........。」

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

「お前の気持ちは十分に伝わったよ。ありがとな、正直すごく嬉しかったよ。」

 

 

 

すると、メアの表情が花が咲いたようにぱあっと明るくなる。

 

 

 

「マスターぁぁぁ......!!」

 

 

 

再びメアに強く抱きしめられた。今度はおれも強くメアを抱きしめ返してあげたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、メア。」

 

 

おれとメアはベッドに腰掛けて話していた。

 

 

 

「なんですか、マスター?」

 

 

「どうして人間の姿になってるんだ?」

 

 

 

そう、まず一番気になったのがそれだ。メアは今、紛れもなく人間の姿になっている。いわゆる擬人化というやつだ。ポケモンの擬人化なんて今まで聞いたことがない。

 

 

 

「うーん、それがよくわからないんですよねー。気がついたらマスターの夢の中にいて、気がついたらマスターのとなりで目が覚めたんですもん。」

 

 

 

「そうか......」

 

 

 

「まぁ、私は神様からのプレゼントだと思ってますけどねー♪」

 

 

 

メアはおれの腕に抱きついて嬉しそうな笑顔を見せながら言った。

 

 

 

「私はゲームの中にいたときから、マスターのことが好きでした。でも、想いを伝えることはできないです。......でも、この世界にきて、この姿になってマスターにこうやって腕に抱きつきながら話すことができる.........私は今、幸せです。」

 

 

「そうか、それは俺もだよ。なんてったって一番愛情込めて育てたのはメアだからな。一度は会って見たかったさ。..............女の子とは思ってなかったけどな。」

 

 

「知ってますか?性別不明のポケモンってほとんどが女の子なんですよ?」

 

 

 

 

 

なんか今、とんでもない事実を知らされた気がする。

今は気にしないことにするが、その事実をこの目で知ることになるのはもう少し後のことであった。

 

 

 

 

「お前ってさ、やっぱりダークライなんだな。」

 

 

「そりゃそうですよ、一応この姿でも中身はポケモンですし。」

 

 

ダークライをそのまま女の子にしたような姿をしているからだ。

 

 

透き通るようで腰の部分までかかった白い髪、雪のような綺麗な白い肌、青くて水晶のような瞳、首には赤いマフラーのようなものが巻いてあり、服装は真っ黒なゴスロリの服、細くて綺麗な脚は黒いニーソソックスで覆われている。

 

 

しかし、メアが街中を歩けば10人中15人くらいが振り向くだろう、そのくらい可愛い容姿なのだ。

 

 

「......かわいいな。街の人たちにめちゃくちゃモテるんじゃないか?」

 

 

俺はメアの頭を優しく撫でる。メアは嬉しそうで気持ちよさそうな表情をしている。

 

 

 

「ありがとうございます。でも、私はマスター、あなたのものなので離れずにずっと傍にいますよ?それに私もマスターのことが大好きなので離れたくないです。」

 

 

 

 

 

「......そうか。」

 

 

 

 

俺は相当な幸せ者らしい。前世では長い間一人にさせてしまって寂しい想いをさせたというのにこんなにも愛してくれている。

 

 

 

「メア......。」

 

 

 

 

 

「これからもよろしくな。」

 

 

 

 

メアは嬉しそうな顔でこう返事をした。

 

 

 

「はいっ、マスター♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...さて、まず親にどう説明しようか。」

 

 

そう、よくよく考えてみれば親はこの事実を知らない。気づけばこんな美少女と寝ていたなんて言って信じてくれるだろうか。それに、彼女は美少女でもダークライだ。ミオではダークライに関する事故が以前起きている、母さんや親父もそのことは知っているだろう。母さんと親父はそれを知った上で承諾してくれるだろうか......?

 

 

 

「お前の特性ってナイトメアだよな?」

 

 

 

「そうですよ?この『メア』って名前もナイトメアから取ってるんですから。」

 

 

そう言えばそうだった.......。

 

 

「メアはナイトメアの制御ってできるか?」

 

 

「勿論ですよー!!制御くらいできないと人と暮らすなんてやっていけませんからねー!!」

 

 

メアは自信満々に答える。......なら大丈夫かな。

 

 

 

「よし、下に降りるぞメア。親に説明しに行く。」

 

 

「もし......ダメだったらどうするんですか...?」

 

 

メアが不安そうに聞いてきた。だが、俺の答えは決まっている。

 

 

「その時は二人で旅に出よう。」

 

 

メアは嬉しそうな表情で

 

 

「は、はいっ!」

 

 

 

 

そう返事した。

 

 

 

 

 

「よし、行こう。」

 

 

 

 

 

 

俺とメアは部屋を出てゆっくりと階段を下りていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ、ウチの親は器の大きさにおいては世界一だから多分許してくれると思うけどね。

 

 

 


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